「なぁ・・・一体どうなっちまってるんだ・・・・?」
「俺が知るか・・・!ルディアス様のお言葉では皇国の非常事態としか・・・」
「家族を避難させようとしたら、戒厳令とかでエストシラントから外に出れなくなっちまってたんだよ・・・・」
パーパルディア皇国皇都エストシラント内ではピリピリとした空気が張り詰めていた。
ルディアスの命の元、一般臣民の徴兵が通告され一週間。
そして全ての属領から統治軍がエストシラント防衛任務の為に招集されていた。
しかも臣民の逃走を防ぐ為にエストシラント内の皇国民はエストシラント外部へ行く事を禁じられていた。
この状況に徴兵対象外の一般臣民は不安にかられており、先程の会話の様な物が巡回警備中の徴兵兵士が小声で囁き合ったりしている光景があちらこちらで見られた。
「もうすぐ昼か・・・」
「ああ、腹減った」
そんな会話をしている徴兵兵士の周囲が不意に暗くなった。
曇ってきたのか?と何気なく空を見上げ、そしてそのまま固まる。
「ん?おい、どうしたんだ?早く行こうぜ」
「てか、空になんかあんの・・・・かぁっ!?なんだありゃっ!?」
他の所でもそれに気付いた者がいたらしく、エストシラントのあちこちで驚きの声が上がっていた。
それを見上げる大勢の中の一人にはパーパルディア皇国内において日本国とのパイプを持ち皇国滅亡を防ぐ為にクーデターの実行をこれより行おうとしていたカイオスの姿があった。
「日本国!?いや、そんなはずは・・・」
かれらの見上げる先、空の一点。
航空部隊を失いワイバーンが一匹も飛んでいない澄み渡ったエストシラント上空。
そこに巨大な物体が悠々と浮かんでいた。
エストシラント上空約百メートルに現れた飛行物体こそはかつて連邦に飛来したBrotherhood of Steel・・・通称B.O.Sの飛行船プリドゥエン号。
しかしその内部はB.O.S時代の整然とした秩序ある環境の面影はなく、乱雑に積まれた物資にレイダーが我が物顔で船内を歩いている。
かつてB.O.Sに一時的に所属しパラディンにまで上り詰めつつ裏ではヌカワールドの総支配人になった111のアイツはプリドゥエン号と言う飛行船をどうすれば入手出来るか頭をフル回転させた。
その結果考え付いたアイディア。
それはオフのB.O.S隊員と交流を深めると言う名目でチートなカリスマ会話で言葉巧みにプリドゥエンの外に連れ出しインスティチュートに拉致しそこで人造人間とすり替えると言う手段。
ある程度のB.O.S隊員が人造人間にすり替わった段階で船内に催眠ガスを撒きB.O.Sの上級士官と言うゴミを掃除し飛行状態に移行したプリドゥエン号から地上に投げ捨てヌカワールドに持ち帰ったのであった。
人間のB.O.S隊員の生き残りは総支配人の慈悲によって薬漬けにされ・・・。
何と言う事でしょう、今ではジェットやサイコ欲しさに何でもするどこに出しても恥ずかしくない立派なジャンキーに成長していたのです。
そのプリドゥエン号の操舵室において総支配人が双眼鏡を使い地上の一点を見る。
そこにはヌカワールドにおいて走行可能な原子力自動車の一部がエストシラント襲撃に向け一直線に向かっている。
双眼鏡で別の場所を見る。
そこにも同じくヌカワールドの原子力自動車の一群がいた。
この作戦に使う原子力自動車はヌカワールドの全ての原子力自動車だ。
それらはエストシラントを囲う様に複数の方向から迫っていた。
頃合いかと判断し、総支配人は腕を上にあげた。
その合図に後ろに控えていたレイダーが船外スピーカーのマイクのスイッチを入れた。
プリドゥエンの全ての船外スピーカーからレイダーの声が発せられ、エストシラント全域に響き渡る。
『パーパルディアとか言う連中、今から俺様が総支配人の決定を伝える!耳かっぽじってよぉく聞いておけ、ニ度は言わねぇからな!』
レイダーが船外放送を行なっているのを尻目に総支配人は操舵室を後にする。
『俺様達はヌカワールド!今からてめぇらをぶっ殺す!服従か死か!好きな方を選べ!今よりこの都市の全ては総支配人と俺様達の物になる!服従する奴は奴隷として生かしてやる!泣いて喜べ!』
プリドゥエン号から次々にベルチバードが離船して行く。
さぁ、始めようか。
そんな意思を表すかの様にパワーアーマーを装着した総支配人がヌカランチャーを構える。
デュロの時と違うのはプリドゥエンの船外部に総支配人以外にも十を超える数のパワーアーマーを装着したレイダー達がヌカランチャーを構えている事だった。
総支配人がヌミニニュークを発射する。
それを合図にしたかの様にパワーアーマーレイダー達はミニニュークを眼下のエストシラントに向けぶっ放した。
プリドゥエン号を中心として十を超えるミニニュークが撃ち出される。
カッ!と言う閃光と小さなキノコ雲がエストシラントに次々に立ち上る。
悲鳴が上空のプリドゥエン号にまで微かに届く。
ガシャン!ダンッ!
総支配人のパワーアーマーがプリドゥエン号の床を蹴り、そのまま船外へと飛び出す。
「行くぞ!総支配人に続け!!」
それを見ていたレイダーがパワーアーマーの無線越しに叫ぶ。
雄叫びをあげ、パワーアーマーレイダー達は次々とプリドゥエン号から飛び降りる。
「イヤッハーッ!」
「ヒーハーッ!」
「殺す殺す殺す!!」
「うおおぉぉぉぉぉっ!?」
「ヒャッハー!!」
レイダー達が自由落下しながら思い思いに叫ぶ。
ドガァンッ!
あるレイダーのパワーアーマーはエストシラントのとある貴族の豪邸の屋根に落下した。
「ぱ、パパ・・・・」
「だ、大丈夫だ。ルディアス様の軍がきっと守って下さる。お前は何も心配することはない」
「そうですよ。ね、あなた」
バキバキッ!ズシンッ!グチャッ!!
重力による加速という力がプラスされたパワーアーマーの落着の衝撃に豪邸の屋根は耐えきれず、そのまま突き抜け真下にいた貴族を踏み潰していた。
ビクンビクンと痙攣する血塗れの肉塊と化した貴族。
「い、いやぁーーーー!!?パパーーーーー!?」
「あ、あなたーーー!?」
「んんっ!?おほっ!カワイコちゃんはっけーん!最初からツイてるぜ!!」
父であり夫であった現肉塊をガチャンガチャンと言う金属質の音とグチャグチャと生々しい音を立てながらレイダーパワーアーマーが娘に近付く。
「む、娘を離しなさい!!」
カンッと言う頼りない音。
貴族の妻がロウソク台でパワーアーマーを殴った音だ。
「なんだ、ババァか・・・・。ババァに用はねぇ!すっこんでろ!」
ダダダダダッ!
至近距離でアサルトライフルの弾丸が叩き込まれ胴体を真っ赤に染めた貴族の妻は弾丸の威力で壁にドンッとぶつかりそのままズルズルと力なく崩折れた。
「パパ・・・・マ・・・・マ・・・・?」
バタッと貴族の娘はショックで倒れる。
「ん?気絶したか?ま、あとで回収すりゃいいか」
ふと見ればドアがあり、そこは窓もない小さな部屋だった。
レイダーはそこに娘を放り込むとドカドカとテーブルやら棚やらをドアの前に積み上げる。
「じゃあなカワイコちゃん、後で迎えに来てやるぜ」
部屋を出て建物の外に出るまで何人か使用人がいたが全員男かレイダーの守備範囲外だったので全員殺されて行った。
またあるレイダーは誰もいない場所に落下して拍子抜けしたり逃げ惑う群衆のど真ん中に落下して手当たり次第に銃を乱射して殺戮を楽しんだり「このような狼藉が許されるはずがなかろう!我が国は列強ぞ!」と叫ぶ者を呆れながら銃をぶっ放して殺して行ったりしていた。
そして・・・・
ズドォンッ!
「うぉっ!?」
とにかく安全な場所を探そうと逃げていたカイオスの目の前に何かが落下して来た。
砕け散った石畳の破片がビシビシと体に当たり痛みに顔をしかめる。
もうもうと土煙が立ち込め、ガチャンガチャンとそれは出て来た。
それこそは総支配人のパワーアーマーであった。
ゴクリ、とカイオスは息を飲んだ。
総支配人は目の前で怯えるカイオスを一瞥だけすると腕をブンッと振った。
ドガッ!
「うぎゃっ!?」
ドガシャンッ!
パワーアーマーの腕で殴られたカイオスは短い悲鳴だけを上げそのまま近くにあった民家の窓を突き破り壁に頭を強かに打ち付け昏倒してしまった。
総支配人はまるで何事もなかったかのように歩き出し、視界に映る建物を眺める。
パーパルディア皇国最高権力者である皇帝の住まう皇城であった。
エストシラントが内側から蹂躙され人々は外側に向かって逃げ出す。
だが、外側からも蹂躙が開始されていた。
皇都内へ続く道は全てが厳重に警備され、銃を装備した兵士が大量に配備されていた。
彼らはしばらく前にエストシラントに招集された属領統治軍の所属であった。
「来たぞ!!」
大量の馬のいない鉄の馬車の群れ。
それが彼らが原子力自動車を見たときの感想だった。
だがそれらは突然方向を変え、後ろ向きになった。
「なんだ?」
「はっ、俺たちの姿を見て怖くなったのさ!」
「臆病者め!」
口々に敵を罵るパーパルディア兵達。
だが原子力自動車のトラックはバックにギアを入れそのまま後方に直進して行く。
「な、なんの真似だ!?」
「なんかの儀式か!?」
訝しがるパーパルディア兵の十数メートル手前で急停車し、その勢いでか後部の金属板が倒れると地面との間にスロープを作った。
暗いトラックの荷台の内部に赤い光が見えた。
警戒を強めるパーパルディア兵達の前にそれは現れた。
最後に出て来たのはなんでしょう?(すっとぼけ)
そして超捏造設定満載です。
プリドゥエン号を奪っていたりとか。
ゲーム中じゃ敵対勢力に所属すると組織やコンパニオンとかが「なぜ裏切った!?」とか言ってくるけどどうやってその情報を得ているのかが毎度ながら疑問。
こっそり所属して黙ってれば互いの組織を利用できるじゃん?なんでやらないの?といつも思っていたので。