パーパルディア皇国皇都エストシラント皇城前。
第三文明圏の列強国と呼ばれ七十二もの文明国・文明外国を支配下に置いた巨大国家。
繁栄を謳歌していたその皇都は今未知の敵の襲撃を受けていた。
所々で火事が起きているのか黒煙が立ち上っている。
一体どこでおかしくなったのかと皇城前で皇城防衛の任務を与えられた兵士達の一団が慌ただしく動いている。
皇城へと続く跳ね橋は全て跳ね上げられ、頑強な城壁と深く水を湛える堀の二段構えの上に城壁の上には銃を持つ兵士が一定間隔で並び城外を監視していた。
彼等が見る先・・・皇城前の広場に一つの影があった。
金属の全身鎧にも見えるその姿は総支配人のパワーアーマーである。
真っ直ぐ歩き進む総支配人はやがて皇城前の堀に辿り着いた。
視線を下にして堀を見るその姿にパーパルディア兵達は嘲笑を浴びせる。
「馬鹿が!そんな鎧で何が出来る!」
「溺れ死ぬのがオチだが泳いでみろよ!」
「空でも飛べるなら別だがな!」
と、総支配人は顏を上げ城壁上にいる兵士を見た。
その兵士は「空でもーーー」と言ったその兵士であった。
ゴゥッ!
突如としてパワーアーマー背部から炎が噴き出す。
そのまま浮かび上がる。
総支配人はジェットパックの推進方向を調整し前方に進む。
「おいおいおい!本当に飛べるのかよ!?」
「撃て!撃て!皇城に一歩たりとも入れさせるな!」
パンッ!
パンッ!
パンッ!
城壁上にいる兵達が銃を発砲する。
だが安定性に欠けるパーパルディア軍の銃の弾丸は一発だけが虚しく総支配人のパワーアーマーに弾き飛ばされただけで残りは外れる。
慌てて次弾装填を始めるパーパルディア兵達だったが一番早い者が弾丸を装填し終え発射状態に出来たと同時にズシンッ!と総支配人のパワーアーマーが城壁上に着地した。
「ば、蛮族が栄光あるパーパルディアの皇城に足を踏み入れただと!?」
「不敬な!断罪してくれる!」
「貴様ら全員皆殺しだ!」
激昂するパーパルディア兵達だったが・・・・。
ダダダダダダッ!
ダダダダダダッ!
「ぎぁっ!?」
「ぐっ!?」
「ひぃっ!?」
総支配人は何の躊躇もなく二丁のサブマシンガンを左右同時に乱射し周囲のパーパルディア兵を一掃する。
「馬鹿な・・・連射出来る銃だと・・・・?」
「いてぇ・・・いてぇよ・・・・」
目標を定めない文字通りの乱射であった為、運良く致命傷にならなかった者もいたが戦闘続行は不可能でありその場から先に進む総支配人を止めることなど出来なかった。
跳ね橋の巻き取り装置が破壊され、跳ね橋が降りてしまう。
総支配人の命令で待機していたレイダー集団が歓喜の雄叫びをあげ皇城へと向かう。
皇城内は大騒ぎになった。
皇都に敵の侵入を許しただけではなく、皇国史上初の外敵が皇城の敷地に侵入してきたこの未曾有の事態に皇城内の警備をするパーパルディア軍の中でもエリート中のエリートの彼等は慌ただしく動き城門前のエントランスにバリケードを作る。
同時進行で城門を内部から補強していたが・・・・。
「撃て!」
ただ一言のレイダーの声。
ミサイルランチャーを構えた数人のレイダーが一斉に小型ミサイルを撃ち出す。
小型ミサイルは一直線に城門に向かって進んで行く総支配人の両脇を通過し、着弾する。
ドガァンッ!
爆音と共に城門が内側へと吹き飛ぶ。
補強を行なっていた兵士や皇城勤めの使用人達がその爆発に巻き込まれ同様に吹き飛ばされる。
ある者は同時に吹き飛ばされた補強資材によって命を落とし、ある者はもろに爆発の衝撃を受け爆死する。
もうもうと燻った煙が漂う中、遂に総支配人が皇城内に足を踏み入れた。
その後方では大勢のレイダー集団が獲物を求めて武器を手にしている。
一方その頃、カイオスとシルガイアは危ない時もあったがなんとかレイダーをやり過ごしカイオス邸へ辿り着いた。
「酷い有様だな・・・・」
荒らされた我が家を見て思わず呟く。
だが今は荒らされた後だから逆に安全かも知れない。
使用人達も逃げたのか死体も見当たらない。
無事に逃げきれたらいいが・・・とカイオスは使用人達の身を案じる。
「こっちだ、ついて来て」
カイオスの後に続きシルガイアも移動する。
隠し部屋に入り入り口を閉じる。
これでとりあえず当面の危機は脱したと判断しその部屋に設置されている日本国の無線機のスイッチを入れる。
「日本国の方、聞こえますか?応答願います」
今度はプレストークボタンを離し忘れると言うミスはしない。
一方、シルガイアは第三外務局局長が戦争中の相手とパイプを持っていた事に驚いた。
『こちら日本国外務省。カイオスさんですね、成功しましたか?』
「そ、それどころではなくなってしまった。確認したいのだが、現在日本国は我が国の皇都に攻撃を行なっていますか?」
『いえ、カイオスさんが失敗したと判断されるまで軍事作戦は警戒をのぞき停止しています』
「じゃあ、あれはやはり日本国とは無関係なのか・・・!きゅ、救助を、救助を求めます!現在パーパルディアはヌカワールドと名乗る集団に攻撃を受け混乱しています!空と地上から攻撃されています!」
『攻撃ですか?』
「そうです、ヌカワールドと名乗る集団は空に浮かぶ飛行要塞から地上を攻撃している上に飛行要塞から飛び立った飛行機械が飛び回っています。地上からも連射出来る銃を持った集団が・・・!」
カイオスは必死に今現在知っている情報を全て話す。
『落ち着いてください。とにかく、この情報を上に伝えてからの判断になります。今現在いる場所は安全ですか?』
「あ、ああ、あの閃光を放って大爆発する攻撃さえ近くで起きない限り安全だと思う・・・」
『でしたら、その場を動かずにいつでもこちらからの通信に応答できる状態にしておいて下さい』
「分かった・・・・」
通信は終え、外部からたまに聞こえる銃声と爆発音と悲鳴以外の二人の呼吸音がこの小さな隠し部屋の唯一の音になっていた。
アスタラス王国において待機していた部隊に偵察任務が発令されてた。
敵対中のパーパルディア皇国に何者かが攻撃を行なっていると言う情報。
それを受け、本国から偵察任務が与えられた航空自衛隊の部隊が離陸をして行った。
ゲーム的には出来なかった攻撃方法でもパワーアーマーの頑丈さがあれば出来ると思う。