オレは死んだ。死因はなんだったか覚えてないし、思い出したくもない。誰だって死ぬ瞬間なんて覚えていたらトラウマになる。
死んだオレは神様に出会い、定番の転生をして貰えることになった。
そして転生特典も貰えるらしい。そこでオレは超版のブロリーを特典にした。なんで新ブロリーにしたかというと最近、『ドラゴンボール超 ブロリー』を見て、その圧倒的な強さに惹かれたからだ。あの戦闘力インフレ甚だしいドラゴンボールでも最強クラスなら死ぬこともないと思ったらだ。
転生先はランダムだが、ブロリーとして転生させてくれるから安心しろ、と神様に言われてオレは転生した。なのだが………。
「オレはブロリーを最強の
………境遇まで設定そのままにしなくてもいいでしょう。いや、『最強の戦士』が『最強の敵』で、『ベジータ王』が『オールマイト』に変わってるから所々、違うけど大筋は同じだよね?
てか、オールマイトってあれだよね、平和の象徴と呼ばれるトップヒーローの名前だよね? てことはこの世界って『僕のヒーローアカデミア』じゃないですか。それに父親が敵だから、将来が敵一択しかない。最悪だ。
◆◇◆◇◆
某所、とあるバー。
「………はぁ? 先生、いまなんて言った?」
いま言われたことが理解できずに顔面に手を貼り付けた男『死柄木弔』はテレビごしの相手に問う。
『言った通りさ。今回の雄英襲撃に使うはずだった対オールマイト用『脳無』なんだけど、
「——ふざけんなぁっ‼︎ 脳無なしでどうやってオールマイト殺すんだよ⁉︎」
「し、死柄木弔、少し落ち着いてください!」
声をかける黒い靄に覆われた人物『黒霧』を無視し、死柄木弔は更に怒鳴る。
「第一、なんで壊れるんだ⁉︎ オールマイトの100%にも耐えられる高性能サンドバッグ人間だぞ! オールマイト以上のパワーでもなけりゃ無理だろ‼︎」
『その通り。耐久テストとして『彼』に脳無をぶつけてみれば見事に粉砕されてしまってね。でも、これで『彼』がオールマイトを超えることが証明できたよ』
「? 先生、どういう事だ。まるでこっち側にオールマイトを超える戦力がいるみたいな言い方だぞ。黒霧、お前は何か知ってるか?」
「いえ、私も初耳です。そんな人材がいるなんて」
『色々事情があってね。……この際だ、少しお披露目には早い気もするけど雄英襲撃には彼に行って貰おう。いまからそちらに送るよ』
先生と呼ばれた人が、そういうと『転送』で誰かがバーに送られてきた。
現れたのはザンバラとした黒髪に大柄な褐色の男。服装は腰巻きとズボンだけ。上着は着ておらず、筋骨隆々な肉体には無数の傷痕が付いている。鋭い目つきも相まって力強い風貌だ。その首には不釣り合いな銀色の首輪をしていた。
存在するだけで空間を圧迫するような威圧感に、死柄木弔と黒霧は息を呑む。
『死柄木弔、黒霧。君達の新しい仲間だ。仲良くしてくれ。彼の名前はブロリー。対オールマイト用の切り札だ』
これがオレの始まり。
生まれながらに敵になることが決まった、オレの最悪の物語。
『最強の敵』、『破壊の悪魔』と呼ばれるオレの始まりだった。