MAJIKOI×DRIFTERS   作:霜焼雪

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第六幕 virtual insanity

 

 

 

 キリキリと、限界まで弦が引っ張られて弓が(しな)る。かけと呼ばれる弓を引く際に必要な手袋が、弦を捻りすぎず返し過ぎず、理想的な位置で弦を引いたまま保つ。

 

 その姿勢を保ったままでいるのは、決して狙いが定まらない訳ではない。弓道における射の基本事項は“真善美”。弓術を扱う与一がそれを踏襲して弓を扱っているかどうかは分からない。しかし、弓を放つ手前で体勢を保つ与一のその姿は美しさを意識して会得したものに他ならない。最早意識せずともその美しさを表現できるようになってしまったのだろう。

 

 射の精度を上げるために必要なのは速さではない、美しさを見せつけることだ。

 

 驚異的な飛距離を保ちつつ驚異的な命中率を維持するために、与一は一射一射長い時間をかけて大事に放つ。確実に一人一人、敵の兵を戦闘不能に追い込んでいく。

 

 本来なら、与一も準と同様に十夜を追いかけるべきだったのだろうが、彼はそれを放棄した。

 

 十夜と準がハーピーの村まで行くことはまず間違いないと判断し、与一は完全なサポートに徹することにしたのだ。正確には、準と十夜が守ってくれるであろうハーピーたちを守るために狙撃兵となった。

 

 準に夜なべして作り方を教え、不器用ながらも十分な矢の本数を確保できた。本数は百もないが、五十もあれば十分だった。襲ってきた兵は百にも満たず、準が二十人近くを気絶させていたこともあり、兵隊を半数どころか七割は壊滅させることができる計算だった。

 

 

 

 しかし、その兵隊の指揮者はその計算を無意味にする程圧倒的だった。

 

 

 

 与一が威嚇として放った矢を触れずして弾き落とし、仲間がやられていくことで士気が下がりかけていた兵を持ち直させる何かを持っていた。これ以上ないくらいに、合戦としては厄介な将だった。

 

 何とか敵の指揮者を揺るがせようとしたが、それよりも先に準と十夜がやられてしまう。準の方はまだサポートできる位置だったが、十夜は民家や木々により完全な死角に持って行かれてしまう。

 

 与一の額から滲んだ汗が雫となって頬を伝い襟元を濡らす。精神力に関しては偉人の中でも最高クラスのクローンである彼も、不可能を前にしてしまえば動揺の極致に達してしまう。弓と矢の性質上、跳弾は使用できない。天下五弓の肩書を持つ弓兵の中には矢の軌道を曲げる技えお持つものがいると聞くが、与一はそれを扱うことはできない。

 

 準の周りの敵兵は始末した。しかし、十夜を助けることができない。

 

 

 

 ――――万事休すか……!?

 

 

 

 焦る与一。何とかしなくてはならないと思いつつ、弓を構えることはできなかった。左手に弓を準備する際に使う、野球で言うところのロージンバッグを握る様に、滑り止めの灰色の粉を左手に、右手の手袋に黄色の粉をそれぞれ馴染ませていた。実に呑気に冷静に、準備だけを推し進めていた。

 

 彼の中にある偉人の遺伝子の一部が「戦って死んだのなら、それは恥晒しではなく誉れだ」と訴えかけてくる。見捨てろと、仄めかす。

 

 

 

 ――――そんな非情だから、お前らは身内殺しって言われんだよ!!

 

 

 

 ――――オリジナルの俺もオリジナルの義経も、黙って死んでおけ!!

 

 

 

 与一は諦めることなく弓を構えた。自分は自分だ。クローンであっても那須与一オリジナルとは違う。そう知らしめんばかりの行為。与一は偉人の幻影を打ち払うべく弓を引き保つ。

 

 

 

 

 

 それを邪魔するように、上空から乱入者が現れる。

 

 

 

 

 

 与一はそれを迎撃しようと狙いを瞬時に変え、その乱入者が落ちてきた瞬間を狙い矢を放とうとした。

 

 その瞬間、乱入者が先に気で作られた大砲のような塊を放ってきた。与一の矢では弾くことはおろか反らすこともできない。そう察した与一は樹から樹へ飛び移ってそれを回避する。少しでも判断が遅れていれば、立っていた樹の枝ごと消滅させられていたことだろう。

 

 何とか右手で別の樹の枝を掴んで地面に落ちることはなかったが、死に隣接した体験により体の汗腺からブワッと汗が大量に滲み出した。

 

 弓も矢も落とすことなく、再び高台とも言える樹の上に立ち、息を整えつつ足場を何とか見繕うことに成功する。与一が猛禽類のような目で戦場を確認すると、黒い兵士の七割が沈黙し、指揮官である川神一子と乱入者が戦っていた。

 

 加えて、乱入者と同じ気配を感じる気で作られた狼がハーピーたちを救出し、安全な場所へ避難させていた。生き残ったハーピーたちは与一の方へ向かってきているようだ。

 

 

 

 ――――あの乱入者、味方か?

 

 

 

 確信は持てない。少なくとも、準と十夜を自分の背後において庇うような体制を取っている。

 

 それだけで、一子よりは信頼できると判断した与一は、乱入者の援護を開始する――――。

 

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 

「流星・毘沙門天!!」

 

 

 

 轟ッ!! と一子の上空で大きく大気が歪むほどの莫大な気が収束し、準や十夜を吹き飛ばした時よりも大きな拳となって、斜め上から千李に向かって降りかかる。

 

 

 

「餓皇双狼刃!」

 

 

 

 豪ッ!! と千李の両手の周囲に渦が発生して空気が震え、使役していた二匹の狼の親狼と思わせるように大きな狼が姿を現し、一子の放った巨大な拳に向かって牙をむき出しにして飛び掛かった。

 

 大地を抉り、大気を蹴って拳に噛みついた狼。まるで綿菓子でも噛みきる様に、あっさりと拳は食いちぎられて狼の腹の中に納まった。

 

 またしても気を奪われて疲弊する一子。顔にはじんわりと発汗した汗が浮かび上がり、歯を食いしばって耐え忍んでいた。

 

 

 

「舐めやがって、舐めやがって、舐めやがってェ……!」

 

「舐めてないわよ。だからこうして全力を出してるんじゃない」

 

 

 

 ――――この状態での全力だけど。

 

 

 

「…………さっきから、人を値踏みしてるその態度が――――舐めてるって言ってんのよォ!!」

 

 

 

 一子は怒りにまかせて薙刀を全力で横に薙いだ。その薙刀の刀身から黒く染まった気の波が飛ばされる。その気の色は先程の毘沙門天とは打って変わって、生まれながらにして戦闘に狂った者が産み出すような黒い闘気に近かった。

 

 伸びきった筋肉が唸りを上げ、肩と肘の関節が外れてしまいそうなほど腕が伸びきっている。歯を剥き出しにし目を細め痛みに耐えている一子の表情は、一子が全力を出しているという証拠だった。

 

 

 

 

爪刃狼影斬(そうはろうえいざん)

 

 

 

 しかし、千李はその飛ばされた斬撃を、気で作りだした鉤爪のような刃で真横にあっさりと弾いた。その手はどこか洋画に出てきそうな形状をしており、狼を扱う彼女のイメージにそぐわない技と見える。

 

 全力で放った気の波も弾かれ、一子は一瞬呆然としてしまう。憤りを全て乗せた技が呆気なく弾かれてしまったことにより、一子の胸に穴が開いたような虚無感がやってくる。

 

 しかし、その穴もすぐに怒りによって埋められる。

 

 顔を凄惨に歪ませながら、一子は距離を一気に詰めた。迎撃しようと気で作った爪を構えた千李だったが、一子の口角が若干上がっていることに嫌な予感がしたのか、迎撃から回避に移ろうとした。

 

 

 

「遅い!!」

 

 

 

 一子は薙刀を構えて千李の胸に刃の先を向けて、薙刀を握り潰さない程度に握力を込め、全身の筋肉を最大限に使えるように関節の潤滑油を送り出す。

 

 

 

六花(りっか)・顎!」

 

 

 

 薙刀の高速の振り上げから続く、稲妻のような振り降ろし。川神流の奥義、顎。千李もそれを一度だけ実際に見たことがある。故にそれの性質も知っており対処もできる。

 

 しかし、その技は千李の遥か上を行った。

 

 体を千李に対して垂直にしているため、獣の噛みつきのような挟撃だけでなく、ほぼ同じ速度でオールを漕ぐ様に角度を変えて二回の顎を同時に放った。その軌跡を辿れば、まさしく雪の結晶のような六花を描いた。

 

 千李はそれを何とか捌こうと両手の鉤爪を犠牲にするが、残った一組の顎により千李の左肩から右脇腹にかけてが切り裂かれてしまう。

 

 

 

「あははははははははははははははははははァ!! 当たった当たったァ!!」

 

 

 

 千李の出血を浴び、一子は鳥肌を立てて身震いして興奮する。ゾゾッ、と体に小気味悪い感覚が遅い、絶頂の寸止めに達する。快楽と愉悦の渦に巻き込まれて宙に浮いたような気分に陥っていた。

 

 実に卑猥に、実に艶めかしく、狂気に塗れた一子は欣喜雀躍としていた。

 

 

 

「――――アハハ」

 

 

 

 しかし、笑っているのは一子だけではない。

 

 

 

「あら、気でも狂ったの? 出血多量で死ぬわよ?」

 

「お生憎様、柄にもなく熱くなってたから、血を抜く熱さましに丁度いいわ」

 

 

 

 そう千李が呟いた瞬間、千李の出血がピタリと止まった。一子は不審がって千李の傷口を見つめた。するとどうだろうか、千李の傷口にはまるで火傷のような跡がついているではないか。切り傷は火傷の後に変貌し、爛れによる痛みしか感じさせない。

 

 千李は自身の気を炎に変換し、炎の狼を自身の肌に密着させて傷口を燃やした。焼灼止血法という緊急の応急処置として使われてきた治療法を、道具も何も使わず自分の身一つで成し遂げた。

 

 傷口を塞ぐために自分の体を必要以上に痛めつけてるその異常な行動は、一子の異常な言動よって引き起こされていた。

 

 

 

「殺そうとする辺りお前の方が性質が悪いけど、昔のアタシがあのまま生きてたらこうなっていたんだろうなって考えたわ。偽物の妹見て我が振り見返すってのはどうなのよと、ノスタルジックでアイロニックな気持ちになっただけ」

 

「何を言って――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「だからね。これ以上ないくらいぶち切れちゃったかな」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 千李の殺気の質が変わったのを、一子は千李の瞳を見て判断する。

 

 判断できたが、反応はできなかった。

 

 千李は一子の薙刀を無理やり一子から引きはがし、石突で一子の鳩尾を突いて身体を浮かび上がらせた。その際、一子を貫いた衝撃が村の上空一体を覆っていた薄黒い煙の膜に、波紋が広がっていくように大きな穴を空けた。

 

 一子が口を膨らませて唾を吐き出してしまいそうになった瞬間、唾液を吐き散らす前に一子の頭部をがっちりと掴み、そのまま地面へ叩きつけた。今度は地面が再び大きなクレーターを作り出す。

 

 後頭部がガッチリと埋まってしまった一子の目は焦点があっておらず、激しい脳震盪に襲われているようだった。口からはだらしなく唾液と舌を出し、気絶寸前と言えよう。

 

 

 

 

 

 しかし、千李は攻撃の手を止めない。

 

 これは一子じゃないと自己暗示をかけ、彼女は冷酷非情な鬼神となる。

 

 

 

 

 

 四肢の経絡を潰す様に抜き手を打ち込み身体の自由を奪い、両手両足も地面に埋め込ませて一種の磔状態を作り出す。ジョナサン・スフィフト作のガリヴァ―旅行記に出てくるガリヴァーのように捕えられた方が、幾分が人道的で情けがあったのではないかと思わせる程、惨烈だ。

 

 既に一子は虫の息だ。その虫の息すら耳障りだと言わんばかりに、千李は拳を振り上げた。その拳には膨大な気が渦巻いていて、拳の先が狼の(アギト)を映し出しているように見えた。

 

 

 

 

 

 鬼の振り降ろした鉄槌は、一子の体を打ち砕き、大地を崩壊させた。

 

 

 

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 

 平和だったハーピーの村は、僅か三十分足らずで地獄と成り果てた。

 

 ハーピーたちが見せしめの様に殺された。羽をちぎられ首を落とされ、子供が玩具を壊す様に殺された。壊れた玩具の後片付けはされない。誰も拾い集めることなく、それらは放置される。彼らの未来は最悪の天候だ。

 

 突如ハーピーたちに救いの手が舞い込んだが、形勢はさほど変わらない。しかし、ハーピーたちの幾らかが救われたことは事実だった。雨は晴れ、雲が去るのを待っているようだ。

 

 指揮官が救世主を瞬間的に打ちのめしてしまった。ハーピーたちは再び地獄を見ることになる。黒雲が再び立ち込める。雷鳴を轟かせ、嵐のような風がすべてを奪っていった。

 

 新たな乱入者が現れた。敵か味方かは分からない。しかし、それは敵も同じだった。ハーピーたちは混乱と動揺のスパイラルの先へ到達しようとしていた。荒れる天候の先は、誰にも読めなかった。

 

 指揮官と乱入者の勝負が始まった。ここでハーピーは確信した。あの乱入者は真の救世主であると。雨雲は去り陽光がようやく姿を現し、天使の階段が現れ虹もかかった。

 

 

 

 

 

 救世主は村を消滅させた。空ばかり見ていたハーピーは、足元の絶望を見過ごしていた。仮想の未来は狂気によって打ち崩される。彼らの命は助かったが、彼らの血と汗の滲んだ故郷は救世主によって失われてしまった。

 

 

 

 

 

 あまりの急展開に、ハーピーたちは着いていけていない。生き残ったことを喜ぶべきかどうか、そんな当たり前の判断すらつかなくなってしまっていた。

 

 

 

 

 

「――――やりすぎちゃった」

 

 

 

 

 

 後頭部をポリポリと掻きながら、申し訳なさそうに肩を落とす救世主の体は、指揮官の血で染まっていた。

 

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 

 “川神千李、ハーピーの村を壊滅?”

 

 

 

 新聞紙の見出しを読み、僅かに口を歪ませる紫。その表情からは感情は読み取りにくい。憤っているのかもしれないし、哀れんでいるのかもしれない。嬉々としているかもしれないし、悲嘆しているかもしれない。

 

 少なくとも分かるのは、それを紫が求めていたものであるということ。

 

 彼の感情の物差しにおける喜怒哀楽のどれかに当てはまっているのか、そんなことは紫の中では些細な問題であった。

 

 彼が求めるのは混乱であり、動乱であり、変遷であり、混沌なのだ。

 

 故にこの見出しと内容は彼の興味を惹き、彼を満足させた。

 

 すると、新聞の見出しがじわじわと滲みあがる様に変わっていく。この突然の変化を、紫は眉を顰めて煙草の煙を一気に吸い込み、溜め息と共に大きく吐き出した。

 

 

 

 

 

“崩王、コウガ第三帝国侵略完遂さる”

 

 

 

 

 

「――――急げ、漂流物(ドリフターズ)

 

 

 

 紫はそう呟き、泥水の様に濃い珈琲をズズッ、と啜った。

 

 

 

「次」

 

 

 

 ◇ ◆ ◇

 

 

 

「ふーん。川神学園の制服、か」

 

 

 

 南端の貿易大国、コウガ第三帝国――――跡地。

 

 燃え盛る城下町と機能していない港、日本の各地に見られる城跡のような土台しか残していない絶望の体現。

 

 その国の郊外、塀の外で赤いピアスの少年が陽気にステップを踏んでいたところ、黒い空間の歪みに仰向けに倒れている一人の少女を見つけた。

 

 少女の服装は見覚えがある、というか、男も同じ学園の服を着ていた。

 

 倒れている少女は体中血塗れで、何故こんな状況で生きているかさえ分からなかった。眠ったように閉じられた瞳、安らかな寝顔、ゆっくりと呼吸に合わせて上下する豊満な胸。なめまわす様にピアスの少年は少女を観察し、一つの結論に辿り着いた。

 

 

 

「――――B88W59H89のEカップってところか」

 

 

 

 何故かスリーサイズを完璧に言い当てると、満足気にドヤ顔をしてしまうピアスの少年。

 

 

 

「何してるの?」

 

 

 

 そのドヤ顔はばっちりと見られていたようだが、ピアスの少年は恥じる様子がない。

 

 そのドヤ顔を確りと記憶に焼き付けたのは、男と同じ学生服を身に纏った少年だが、明らかに体格が違った。例えるなら、ピアスの少年は風俗街にいる客引きのようなシュッとしたスマートさがあるが、後から現れた少年は風俗街の締め出しや金を払えと恫喝するようながたいの良さが見受けられる。それくらいには印象の差がある。

 

 身長はほぼ同じはずなのに、纏っている気迫と言うか、闘気と言うか、生命から感じ取られる雰囲気からして別物だった。生きる方向性が異なっていた。

 

 

 

「これこれ、どっちだと思うよ?」

 

 

 

 ピアスの少年は倒れている少女の胸をチョンチョンと突いてニヤニヤしながら少年に訊ねた。その問いに少年は大きく溜め息を吐いた後、実にいや嫌そうな雰囲気を醸し出しつつ呆れたように答える。

 

 

 

 

「無駄なことは聞かないでほしいんだよね。臭いで分かるでしょ?」

 

「あー……。面白くねェな相変わらず。ちっとは心開こうぜ」

 

 

 

 ピアスの少年の言い分に少年の目が一度閉じられ、うっすらと開けた目蓋から人を見下すような冷たい視線を送って呟く。

 

 

 

「――――あーあ、面倒くさいなぁ」

 

「時折出るその本音だけで話せばいいのにな?」

 

 

 

 揶揄するような男の物言いに少年は何も答えず、倒れている少女の体を持ち上げて背負った。

 

 

 

「テメェ待ちやがれ! ずるいぞ、背中に当たる二つの柔らかさに興奮するスケベは俺の担当だろうが!」

 

「――――僕が興奮するのは自己主張激しい胸じゃなくて、適度に主張したつつましい胸。あと、この場合重要なのは柔らかさじゃなくて臭いだから」

 

「お前やっぱり本音の方がいいって。いい感じにキモい」

 

 

 

 





 あとがきしょーとすとーりー 邪気眼千李様

千李「煩わしい太陽ね……(おはようみんな)」

十夜「耳が逝ったようだ。ハゲ先輩触診して」

準「奇遇だな、俺も聴覚狂ってるかもしれない」

与一「ほう、俺と同じ“瞳”を持つ者がここにもいたか」

準「お前ちょっと黙って」

千李「我の体内に巣食う獣が唸りを上げている……。魔力供給の生贄はまだか?(お腹空いたわね。ご飯はまだ?)」

十夜「俺ら殺されんのかな」

準「ああ。多分頭蓋噛み砕かれて蟹みそみたいに食われる」

与一「案ずるな、確りと蓄えはある。すぐに暁の儀式を執り行おう」

千李「宴の時迫る!(早くしましょう!)」

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