この世界には、ある共通の楽しみがある。
それは、大乱闘と呼ばれるバトルである。この世界に住んでいるファイター達のいた世界を再現小さなステージ(中には大規模なステージもあるが)で闘うのだ。
ファイター達は同じ世界から来ている者も多いが、だいたいは違う世界から来た者だ。その為、ステージの数はかなり豊富なのである。
これまでにニ回ほど、色々な世界からファイターが収集され、激しく熱い戦いが繰り広げられ、多くの人々に感動と熱気を与えた。そして今回、初代期間、DX期間経て新たなる期間が幕を開ける。それは───
───『X期間』である。
※
その者は、暗い空間に映し出された光を見て、純粋な笑顔を浮かべていた。
──【この世界】……かぁ。行ってみたいなぁ。
光の中には、十人十色の景色達が映っている。その景色達が、自分をこちらにおいでよと誘っているような気がするのだ。
行きたい。この無機質な空間ではなく、そっちの世界で自由に生きたい。
しかし、それは叶わない。
なぜなら自分は、神だから。
この闇一色で染められた空間を治めなければならないから。
抱いていた憧れが、嫉妬と恨みに変わったのは、【この世界】を【亜空間】越しに見たその時からであった。初めは子供らしく「良いなあ」と、半ば諦めていた。だが
成長するに連れてこんな空間にいる自分を差し置いて、あの景色に囲まれた住人共はのうのうと暮らしている。さまざまな音量を聞き、さまざまな者と出会い別れを繰り返している──と、何かに漬け込んでは妬みを何度も繰り返していた。
憎い。憎い。憎い。あの世界に生けるもの、創りし者。全てが憎い。
どうすれば良いかなんて、既に決まっていた。
【この世界】を、亜空間に引きずり込む。この空間に食べさせる。もちろん、自分では手が下せないため、駒を使う。あの世界に直接干渉している神も利用する。
これまで、何度もこの空間に世界を喰わせた。時には失敗した事もあるが、ほとんどの世界はこの空間の餌食となってくれた。だから、今回もきっと成功してくれるはず。
神々の掟──『正しくない破壊と侵略は禁忌である』。これを破ったとしても、自分を責める者はいないだろう。
だって、自分は禁忌の神だから。その行為が禁忌かどうかは自分が決める事であり、掟などで縛られるものではない。
「……フッ。……あっはははははははは!!」
独裁者のような笑い声が薄暗い空間に木霊した。
この日から、その者の計画がはじまったのだ。