荒野。
草一つ生えてないこの場所は、ジリジリと照らす太陽の光を遮る木さえ生えない。
そんな中をポケモントレーナーことレッドとPSI使いのリュカは進んでいた。
「レッド、こんな所にいるのかなあ…。どう見たって絶対にいないよ」
自信なさげなリュカの言葉にレッドは「そんなわけ無いだろ!」とリュカの肩をぽんと叩いた。
「絶対にいる! おれの勘はハズレた事は無いぜ!」
「ふーん。何回ぐらい?」
「聞いて驚け、0回だ!」
「意味ない!!少しでも期待したぼくが馬鹿だったよ!」
レッドの凄まじく清々しいボケにツッコミをいれるリュカ。
「とにかく、少しでも情報収集をして絶対に捕まえられるようにするんだよ!……あ、ほら、あそこに何か知ってそうな人達がいるじゃん」
張り切ったレッドの視線の先には、何やら青い四人組───一人ピンク───がいた。同時にカキンっ! カキンっ! と音をたてて剣がぶつかる音がする。
「え…? あの人達に聞くの? やめときなよ、なにか取り込み中っぽいよ」
「まあまあ、大丈夫だって! すいませーん! そこの人達ー!」
「あー、ちょっと待ってよレッドー!」
もうマイペースなレッドを止めるのは不可能と判断したリュカは諦めてレッドを追いかけた。
「ちょっとすいませーん!」
「ん? どうしたの?」
レッドの言葉にいち早く反応したのは、コバルトブルーの髪を持ち、上品な顔立ちの青年だった。
「ここらへんで、こういうヤツとか見かけませんでしたか?」
レッドはポケットに入れていた写真を青年に見せた。青年は「少し借してくれ」と言ってレッドから写真を借りた。
「なんだ? 人を探してるのか?」
上品な青年の近くにいた緑のバンダナをつけた青年も写真を見ていたようだ。
「何なに? どういう事?」
「一体なんの騒ぎだ?」
そこへ、先程まで剣で戦っていたであろうアザレアピンクの髪をポニーテールに結わえた少女と夜空のような青くキレイなまん丸の青い体を持つ男───声からして男───もこちらによって来た。
「レ、レッド〜!」
少し遅れてリュカがやってきた。
「も、もう! お願いだから一人で突っ走るのやめてよ……すいません、みなさん」
かなり申し訳なさそうな表情で謝るリュカに、バンダナをつけてないほうの青年が「大丈夫。気にしないで」と微笑んだ。
「う〜ん…僕は知らないなあ…。アイクは?」
アイクと呼ばれたバンダナの青年は、「いや。俺も知らん」と返した。
「俺達は各地を転々としているが、コイツらみたいなヤツは見た事無いぞ」
「……そう、ですか。ありがとうございます!」
レッドとリュカはその場を離れた。
「やっぱり、知らないみたいだよ。地道に探すしかないかもね…」
さっきの人達に申し訳ないなあ…と思いながらリュカはレッドに話しかけた。
「そうだな〜。それじゃ、ちょっと移動しようぜ」
「うん…そうだね!」
リュカとレッドは別の場所に移動する事に決めた。
天に近いその遺跡。
その近くを、一匹のドラゴン───ポケモンが飛んでいた。そのポケモンはオレンジ色の体を持ち、翼を羽ばかせ飛んでいた。
そのポケモンの名は……リザードン。
「……いた…あれが、リザードンだ…!」
レッドは手に持った写真を見た。写真に写っていたポケモンとリザードンの姿が完全に一致していた。
レッドはぐっと拳を握りしめた。
「絶対に…ゲットするぜ!」
そんなレッドをリュカは希望の眼差しで見つめていた。
「(ぼくも……あれぐらい強くなれたら…)」
それが、リュカの願いだった。
遺跡の近くに来ると、二人は言葉を失った。もちろん、感嘆のために。
ここまで大きな遺跡は、二人はもちろん見た事無いからだ。
「ハッ。こんな所で呑気だなァ。ガキども」
その時、物凄く遺跡に合わない声が二人の鼓膜を震わせた。
声がしたほうを見ると、リュカにとっては久しぶりで、レッドにとっては初めて見る人物がいた。
「オレ様だよワr……」
「ワ、ワリオ…!」
「オイ! 覚えてたのかよ!」
……ツッコむ所が間違っているぞ。
ワリオはリュカとレッドの前にジャンプして立ちふさがった。
「なんだ、オッサン!?」
「コイツは…ぼくの友達を奪ったヤツだ!」
レッドの驚きとリュカの怒りが同時に響き渡った。ワリオは「あんときビビって逃げ出したガキが何言ってんだあ?」とリュカを挑発した。
「もう…ぼくはあの時のぼくじゃない! お前を…倒してやる!」
「ほお? 殺れるもんなら殺ってみな!」
若干漢字が違うが、リュカの意気込みにワリオが反応した。
「リュカ、おれも戦う!」
それに便乗してレッドもモンスターボールを構えた。
「【PKフラッシュ】!」
「んなもん効くかよ! ワリオバイク!」
リュカのPKフラッシュをバリアで防いだワリオは、ワリオバイクでリュカに突っ込んだ。
「ゼニガメ! みずでっぽう!」
レッドのゼニガメがワリオバイクにめがけてみずでっぽうを放ち、ワリオバイクが壊れた。
「ちっ!」
ワリオが舌打ちをした途端…!
「これで、終わりだ…! 【PKサンダー】!」
「う…嘘だろおおおお!?」
リュカのPKサンダーでワリオは吹っ飛ばされ、ワリオの負けとなった。
「…いよっ……しゃあああああああああ!!」
「やっ……たあああああああ!!」
喜びの雄叫びをあげ、二人はお互いにハイタッチをした。
しかし、リュカには心残りが……
「ネス………ネスは…」
そう、ワリオが連れ去ったネスだ。そのことが気になって周りを見渡すが、ネスはいない。
「ネス……ごめんね…」
またも弱気になってしまったリュカ。そんなリュカの肩をレッドがぽんと叩いた。
「なあ、おれにはそのネスってヤツのこと、わかんないけど。リュカが心配するほど弱くないと思うよ」
「え?」
「だって、リュカを守ってくれたんだろ? だったら、大丈夫だって!」
レッドはレッドなりのエールでリュカを励ました。
「そう……だよね。絶対に、そうだ!」
リュカはそう叫んだ。
二人は遺跡の入り口を見た。入り口は、深い闇の口を開けていた。