暗い遺跡の中、レッドとリュカは順調に進んで行った。
途中、かなり敵が多かったのだが、二人の連携でなんとか退けたようだ。
「どこにいるんだ? フシギソウ」
「そんな簡単には見つからないとは思ったけど…こんなに見つからないものなの?」
レッドとリュカはそんな話をしていた。
それもそのはず。この遺跡に入ってもう一時間が経過するというのに、いるのは敵ばかり。お目当てのポケモンが見つからないのだ。
レッドは腕を組み、「うーん…」と唸った。
「こんな予定じゃ、無かったんだけどなあ……ん?」
突然、レッドが止まった。リュカは止まったレッドにドッとぶつかってしまった。
「うわ! ちょっと、止まらないでよレッド!」
「なあ、リュカ。あそこに何かいないか?」
「え?」
レッドはある方向を指差した。そこにあったのは、背中に蕾を持った生き物のフィギュアだった。リュカはそれを見て、自分達が狙っているものだとわかった。
「ふ…フシギソウ!」
遺跡の通路内にリュカの叫びが木霊した。
「やっぱりそうか! こんなとこにいたんだな!」
レッドはここぞとばかりにポケットからモンスターボールを取り出し、フシギソウのフィギュアに向かって投げつけた。
モンスターボールはフシギソウのフィギュアに当たり、フィギュアのフィギュアはモンスターボールに光と共に吸い込まれ、捕獲された。
「おっしゃ! フシギソウ、ゲットだぜ!!」
「やったね、レッド!」
「おう! リュカ!」
リュカとレッドはお互いハイタッチを交わした。
そして、さらに奥へと二人は進んで行った。
「ゼニガメ! みずでっぽう!」
「ぜにぃ!!」
レッドの指示を出す声がとある一室に響き渡った。
どうやら、大乱闘の最中らしい。相手は、オレンジ色の体に力強い翼を持つドラゴンのような見た目をしたポケモン───リザードン。
「リザッ!」
リザードンはゼニガメのみずでっぽうを羽ばたいて避け、「仕返しだ!」と言わんとばかりのかえんほうしゃを放った。
「ぜにっ!?」
ゼニガメは避ける事が出来ず、見事に食らってしまった。
「ゼニガメ!」
ゼニガメは大きく吹っ飛ばされてしまった。この時点で、ゼニガメは戦闘不能だ。
「くっ……戻れ! ゼニガメ!」
フィギュアになったゼニガメにモンスターボールをかざし、ゼニガメを戻す。先程捕獲したフシギソウを出そうと構えた。だが、
「…レッド。ここは、ぼくに任せて」
「え…? リュカ…?」
リュカがレッドの前に立ちふさがり、リザードンと向き合う形になった。
レッドは一瞬リュカの行動と言葉を理解するのに苦労した。だが、次の瞬間、それをムリヤリ理解させられる事になる。
「【PKファイアー】!」
なんと、リュカは、リザードンと戦うつもりなのだ。
「リュカ!? お前、何してんだよ!」
レッドは気が動転してしまい何がなんだかわからなくなってしまった。
「見ればわかるでしょ!? リザードンを吹っ飛ばして、フィギュアにして、レッドのゲットを手伝うんだよ!!」
リュカはレッドの質問をリザードンの攻撃を躱しながら答えた。
「ぼく…、ずっとレッドに迷惑かけてきたから…それで、ネスも守れなかったから…! だから!」
キッと前を向くその姿は、レッドが初めてリュカと会ったときとは別人のように思えた。
「今度は、絶対に足枷なんかにならないって、決めたんだ!!」
そう叫ぶと同時に、リュカは虹色の光を手から放った。リュカと彼の双子の兄だけが持つPSI【PK love】。
「………!」
リザードンは【PK love】を避ける事ができずに、もろに食らってしまった。吹っ飛ばされたリザードンは、まばゆい光に包まれて…フィギュアに戻った。
「はあ…っ、はあ…っ。れ、レッド!」
先程の技で精神力を使い果たしたのか、リュカの声はかすれていた。
「あ…ああ! 行けっ! モンスターボール!!」
レッドはモンスターボールをリザードンのフィギュアに投げつけた。
リザードンのフィギュアはボールの中にスウッと吸い込まれて行った。
「よ…よっしゃあ! リザードン、ゲットだぜ!」
「やったね…! レッド!」
レッドとリュカはまたハイタッチを交わした。
その後、二人は遺跡を進み、とある広い空間に差し掛かった。
「なんだ…? ここ…」
「この遺跡って、こんなに大きかったんだね…」
そこは天井が闇に覆われる程の高さだった。だが、二人は知る由もないだろう。