亜空の使者〜結ばれし絆〜   作:平世ふゆめ

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ステージ17「隠すのは真実か、感情か?」

エリア1 闇を見て何思う?

 荒野にて。

 巨大な闇色の穴がポッカリと空いている。

先程の戦いで、ガレオムが開けたものだ。近づこうものなら、その闇色の空間に吸い込まれてしまいそうだ。

「……作戦は失敗したのか」

 その穴を見て、エインシャントの心は深い哀愁で真っ青に染まっていた。なぜなら───

「……私のせいで……皆は……」

 あの空地スタジアムでの亜空爆弾爆破作戦や、各地の作戦でどれほどの仲間を犠牲にしたか、もう、自分でもよくわからないからだ。

悩んでいても仕方が無いのは百も承知だ。だが、それでも、こんな判断しかできない自分が憎くてならない。

(しかし、ガレオムは所詮戦闘兵器。ヤツを用いた作戦が失敗することは想定済みだったからな。……仕方が無い。そうだ。これは、仕方の無いことだったのだ……)

 心で自分に言い聞かせる。これは、自分にあらかじめ定まっていたから運命なのだと。

 どこかの世界では、自分の運命は一冊の本に記されていて、その運命がどんなに残酷なものだろうと、逃れることはできない世界があるとか。そして、その運命に納得がいかない者は、その運命を自らの都合の良いように変えてしまう存在になってしまうとか。

(少なくとも、私には、そんなことはできない。……そんな、ことはあってはならない……)

 本当なら、こんな運命、ぶち壊してやりたい。

 本当は、こんな事、したくないのに。

(とりあえず。移動するか)

 部下を待たせてはならないと思い、考えるのを止めて、移動した───

───一本の矢が飛んで来なければ、前述した通りにはなっていたのかもしれないが。

「……!」

 スッと軽く飛んできた青白い光の矢を避け、それを放った犯人に目を向ける。

「……っ!」

 どうやら、放ったのはこの白い翼を持つ少年らしい。他にも、赤い帽子やピンクのボール、緑の青年とドラゴンらしき姿も確認できた。

「……しつこい奴らめ」

 低くそうつぶやき、飛び去るエインシャント。

「あっ! 待て!」

 マリオが叫ぶと同時に、五人組は走り出した。

「なんでいつもそうやって逃げるの!?」

「…………」

 カービィの声に応じるわけもなく、エインシャントはぐんぐんスピードを上げていく。

「この野郎……ッ!!」

「今回は絶対に逃さねえ!」

 リンクとマリオは声を荒げ、他の三人を置いて走るスピードを上げた。

「……さい」

 エインシャントが何か言った。しかし、二人には届いていないようで、自分を追う速度を緩めない。それに───

「お前の目的はなんだ!」

「あの亜空軍っていうのは、なんなの!?」

 他のメンバーからの質問───というより、尋問と言ったほうが正しい───も絶えない。───なぜか、こちらを振り向くエインシャント。そして……

「うるさい!! 黙れッ!!」

 機械じみた声とは思えないほどにまで、声を荒げ、マリオとリンクに向かってレーザーを撃ちまくった。二人は、それを軽やかに躱していく。

「貴様らに私の何がわかるというのだ! こんな事、好きでやっているわけでも無いのに! この世界を手にするだとか、奴の事情だとか、……私は関係ないというのに!!」

 え………?

 五人はこの男が言っていることが理解できなかった。───亜空軍の頭領であろうこの男の言っていることが。

「お前……何言ってんだ?」

 リンクはつい、そんな言葉を口にしてしまった。すぐさまエインシャントの機械とは思えない鋭い視線が飛んできた。

「……だから、私は───」

 彼が何か言いかけたその時。グラッとその体が揺れた。そして、下にかかる重力。

何事かと下を見てみるとロボットが亜空爆弾にしがみついていた。

「エインシャント様! ソレ以上ハオヤメクダサイ!!」

 悲痛なその言葉は機械音声ながらも、エインシャントを本気で気遣っているようだ。

「なっ……何をする! 離せッ!!」

 振り払おうおしても、重さで体がびくもとしない。───というよりも、「奴ラニ、我々ノ現状ヲ教エル必要ハゴザイマセン!」と言って離れない。

バキッ───亜空爆弾が自身から離れる感覚と共に、そんな音がした。

 亜空爆弾はロボットを巻き込んで地面に落下した───その反動で、ロボットは首が取れ、壊れてしまった───。

そして、どこからともなくロボットが現れ、亜空爆弾を展開した。あと、残り3分。

「マリオさん!」

「ピット!」

 二人は亜空爆弾の左右にいるロボットを引き剥がそうと殴ったり、力いっぱいに引っ張ったりした。だが、ロボット達は亜空爆弾にガッチリ密着していてどんなに攻撃しても離れそうにもない。

しかし、そんな二人を更に増えた別の二体のロボットが亜空爆弾から離した。

「何するんだよ!」

 ジタバタと暴れるピット。

「オイ。邪魔ヲスルナ」

「なぜ! このままだと、お前らも巻き込まれるんだぜ!?」

 巻き込まれるのは十分承知だ。だが───

「知ッタ事カ。オレ達ハエインシャント様ノ為ニ動イテイルダケダカラナ」

 返ってきたのは、無機質な答えだった。

 「そんなの、おかしいよ!」とカービィが抗議するが、ロボット達は行動を変えることはなかった。

「お……お前……達」

 泣きそうな機械音声が空気を震わす。ロボット達はマリオとピットを投げ出し、エインシャントのほうを見た。「オレ達ニ任セテクダサイ!」そう言って手を振る。

「…………」

 エインシャントは無言で頷き、飛び去って言った。

「あ! 待て!」

 カービィが追いかけようとしたが、ヨッシーに止められてしまった。

「タイマーを見て! もう、時間が無いんだよ!?」

 その事実には、カービィだけでなく、他のメンバーも驚いた。リンクがタイマーを見ると、残り30秒しか時間が無かった。

「マズイな……逃げるしか無いぞ!」

 マリオのその意見に全員が同意するしかなかった。

「マリオ! ぼくに乗って!」

「来て、ワープスター!」

 各々逃走の準備が整った。マリオを乗せたヨッシーは風のように走り、カービィとリンクとピットを乗せたワープスターが流れ星のように宙を舞った。

 刹那、亜空爆弾が爆発した音が聞こえた。

 

エリア2考察(ぎもん)

 しばらく、荒野を進んだ五人は休憩していた。

「はあ〜……なんで、エインシャントもロボットも何か隠すんだろ」

 うつ伏せでぐったりとしたカービィが気の抜けた声でつぶやいた。

「……なあ、マリオ。今思ったんだが」

「なんだ?」

 リンクは、今思ったことを率直にマリオに聞いてみた。

「あのエインシャントって奴、お前が見たときは、あんな風に動揺とかしてなかったんだろ?」

「え? まあそうだな。それが、どうしたんだ?」

 「いや……なんでもねえ」とうつむいたリンク。

 先程マリオが言った通り、エインシャントが部下が亜空爆弾に巻き込まれても動揺しないような冷徹な男なら、きっと、さっきも動揺しないはずだ。なのに、彼は「好きでやっている訳ではない」と言った。これは──

「どういうことなんだ?」

 1つの疑問だけが、彼ら“スマブラ五戦士”に残された真実だった。

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