ステージ1「戦いの始まり」
ここは、空中スタジアム。
ここで、今期間最初の大乱闘の大会となる【大乱闘トーナメント】が行われる。
さて、中はどうなっているだろうか?
「さあ、始まりました!! DX期間から大幅な間が空いてしまいましたが、やって参りましたあ!!」
既に大会は開会式を迎えているようだ。
「今回、マスターハンド様が前回の期間よりも超豪華なメンバーを収集してくださいました!! この大会での活躍に乞うご期待です! さて、そろそろタイトルコールと行きましょう。【大乱闘トーナメント・X大会】スターーーーーート!!」
パンッ!!
実況者の言葉が合図となり、乾いた破裂音と共に紙吹雪が会場にばら撒かれた。会場には歓声が響き渡り、その声はスタジアムの外に漏れ聞こえるほどだ。そんな中───
「わあ……! 今回もスゴイ盛り上がりね……!」
「ええ。前回以上に盛り上がっていますね」
───二人の女性が話していた。
一人は金髪に桃色のドレスを来たなんともお姫様らしい姿をした女性。もう一人は茶色の髪を編み込み、白と紫を基調としたドレスを身に着けた女性。こちらは、もう一人とは違ってかなり大人しく、女王のような美しさがある。
「ピーチ。あなたにも参戦権があるはずですが……、今日は参加しなくていいのですか?」
ピーチと呼ばれた金髪の女性は満面の笑みを浮かべた。
「ええ! わたしはマリオ達の活躍を見ていたいの。まあ、見ているうちに乱入してしまうかも♪」
「ええ……」
「そういうゼルダはどうなの?」
ピーチは自分の隣にいる女性───ゼルダに問いかけた。ゼルダは「そうですね……」と腕を組み考えてた。
「私もリンクが戦っているところを見れば戦いたくなるかもしれません……」
「そうでしょう! だから、今はこうやって見ているの。そうすれば相手の戦法もわかるでしょう?」
「なるほど……」
二人は前回も高戦績を残し今期間も参加したファイターだ。二人の見た目では考えれられないようなファイターらしい話をしていると、実況者の声が高らかに轟いた。
「まず最初にエキシビションマッチを行います。皆様、会場右側をご覧ください」
観客やピーチ達の視線が会場右側にあつまった。一つのフィギュアが投げ込まれたのだ。
フィギュアはすとんと着地すると金色のプレートの部分から目映い光が灯り、フィギュアだった人物───マリオは動き始めた。
「おお……! 今回もスゴイ迫力だな!」
マリオは観客達の多さに驚いた。彼が入場した途端ものすごい観客が上がったのだ。
マリオは初代期間から参戦しているスマッシュブラザーズのリーダー的存在だ。
「続いて皆様、会場左側にご注目ください!」
今度は会場左側に視線が集まった。
次に投げ込まれたフィギュアはピンクの丸っこい体のファイターのようだ。
マリオ同様、こちらも金色のプレートから目映い光が灯り、カービィが動き出した。
「うわあ……! 今回も楽しい戦いになりそう!」
無邪気に(しかも笑顔で)そんなことが言えるのはきっと彼だけだろう。しかし、観客(特に女性陣)は歓声を上げていた。
「カービィ! 見ろよこの会場を! 最初の頃じゃ考えられないほどだぜ!」
「うん! ぼく、今日がすごい楽しみだったんだよ!」
カービィはぴょんぴょん跳ねながらマリオと会話をしていた。
「ああ。俺も楽しみだった! でもな、今回の優勝は俺がいただくぜ!」
「え〜、絶対違うよ〜。今回の優勝はぼくだからね!」
もう優勝の話をするとはかなり自信があるようだ。(しかし、これはエキシビションマッチだ)
そして───
「さあ! 両者の戦いをとくとご覧あれ!!」
Rady? Go!
───X期間最初を記念する、大乱闘のエキシビションマッチが始まった。
さて、勝つのはどっち?
「行けー! そこだ! 巻き返せー!」
とある場所。そこで一人の少年が空中スタジアムで行われていた大乱闘を観戦していた。
栗色の髪にソーダ色の瞳、その背には純白の翼。彼の名はピット。光の女神パルテナの親衛隊の隊長である天使だ。
「かっこいいなー、マリオさん。ボクもマリオさんと一緒に戦えたらなー…」
ピットは密かにマリオに憧れを抱き、こっそりとつぶやいた。
Winner is……マリオ!
試合終了。勝ったのはマリオだ。会場にはまたもや大歓声があがる。
「ふー終わった終わった。あ、カービィ戻してやんなきゃな」
マリオは近くに落ちてきたカービィのフィギュアのプレートのぽんと触れた。すると、カービィのフィギュアが輝きだし───
「うーん……あれ? ぼく負けちゃったのかー…」
───カービィが元に戻った。
元に戻ったカービィはションボリとしていた。しかし、またいつもの明るい笑顔に戻ると、「でも、楽しかったからいーや!」と自分に言い聞かせた。
「お二人共、ありがとうございました! 以上でエキシビションマッチを終了いたします!」
「え? エキシビションマッチ?」
二人は「え?」と顔を見合わせた。そして、すべてを悟った。
「なんだよ〜まだトーナメント始まってなかったのか〜」
「なら、まだ、だいじょーぶだね〜!」
マリオは呆れ、カービィは先程より元気になった。
「でも、カービィとまた戦えるならいいかな」
マリオもそんなカービィの様子を見て、「まあ、いっか」と納得したようだ。
両者は握手を交わした。またも巻き起こる大歓声。二人は観客に手を振った。
その時だ。
ゴゴゴゴゴゴゴ…………
「…!? なんだ!?」
突然、空中スタジアムが揺れ始めたのだ。地震? いやそんなことはありえない。だってここは空中スタジアム。名前のとおり
だが、それ以上に不可解な事が起き始めた。なんと、空にまるで血を含んだような真っ赤な雲が出てきたのだ。
「な………にあれ……」
カービィがつぶやいた。確かに、この世界でこんな事は初めてだ。
すると、真っ赤な雲の中からさらにありえないモノが出てきた。
それは不気味な雰囲気をまとった戦艦だ。
黒い艦体に悪魔の翼にも見える装飾が付いており、艦首は仮面のようだ。
「なんだ…あれ」
マリオの世界にも戦艦はあるが、
「メタナイト……サラ………」
ふと、カービィが呟いた。
「メタナイト…? サラ…? カービィの知り合いか?」
「うん…あの戦艦………ハルバードの持ち主なんだけど…どうしたんだろう……」
カービィの表情はいつもの明るい表情とは打って変わって暗く沈んでいた。マリオもその気持ちも分からなくはない。
「メタナイト! サラ! ぼくだよ! カービィだよ!! まさか、分からないの…!?」
その叫び声も、悲しみと困惑で溢れていた。確かに、仲間がこんな事をすれば誰でも今のカービィと同じ状態になるだろう。
「それでも…今は戦わないとな…」
だが、相手がこの世界に住む者に牙を向けるようなら、戦って、守り抜くしかない。マリオはカービィに言い聞かせたようで自分自身に喝を入れるように囁いた。
「………! 大変………!」
「なんてこと……!」
客席にいた二人はその光景を見ていた。周りの人々はざわめき、これはいよいよな修羅場になりかけているようだ。
すると、戦艦に異変が起こった。艦体から何やら闇色の“ナニカ”が降り注がれた。
「っ…!? 何あれ!?」
驚きと困惑が入り混じった声でカービィは叫んだ。戦艦から注がれた“ナニカ”はフィールドの至るところにひとかたまりとなって人形のような生き物───プリムとなった。
「あっ………あれはっ…!?」
「まずいわ……!」
その様子を黙って見ているわけにはいかないゼルダとピーチだ。ゼルダは瞬間移動でフィールドに上がりピーチはピーチパラソルでふわふわと降下し着地した。
「ゼルダ!? ピーチ姫!」
「わたし達も戦うわ!」
「こんな緊急事態ですからね…!」
「ありがとう! 二人共!」
四人は同時に戦闘態勢をとり、刹那、同時に攻撃を仕掛けた。
四人の圧倒的な連携でほとんどのプリムが消滅した。そして───
「えいやああああ!!」
カービィの放った【ファイナルカッター】で最後のプリムが消滅した。
「……やった……のか?」
今の戦いと先程のエキシビションマッチでのダメージが効いているのかマリオの額から汗が滲んでいた。
「そうですね…ですが、あの飛行物体は……一体…」
「ああ、あれはね」
カービィがゼルダに説明しようとしたその時。
「ほう………。我が【亜空軍】の兵隊、プリムを倒すとはなかなかだな。だが、ヤツらは所詮ただの捨て駒に過ぎん。ふふっ、やはり、この世界のファイターとやらは大した事が無いようだな」
突然、バカにしたような機械じみた男の声が聞こえてきた。
現れたのは緑色のローブに見を包んだ男だ。巨大な球体を着け、空中に浮いている。
「お前、何者だ?」
マリオは男に問いかけた。
「私はエインシャントだ」
男───エインシャントは短くそう答えると会場の観客達に向けて叫んだ。
「この世界に住む愚かなファイター共、そして原住民共に告ぐ、この世界は我々亜空軍がいただく」
「何それ、どういう事だ! せつめーしろ!」
いきなり現れたうえに、聞き捨てならない言葉を投げかけたエインシャントの態度が気に入らなかったカービィは怒って叫んだ。エインシャントはそんなカービィを見下ろし「ふん…」と笑った。
「言っただろう? 我々がこの世界を貰う、と」
聞こえなかったのかとあざ笑うエインシャントにピーチが抗議した。
「できもしない事を軽はずみに言わないで。あなた達にそんなことができるはずが………」
「無い。とでも言うのか?」
急に発せられたエインシャントの声は先程の嘲笑に満ちた声とは違って、無機質な声に変った。
「では、見せてやろう。我ら亜空軍の技術を、この【亜空爆弾】の力を!」
そう吐き捨てると、亜空爆弾と呼ばれた球体はエインシャントから離れ、ドスンと落ちた。
すると、どこからともなく二体のロボットが現れ、亜空爆弾を展開させた。爆弾の中にあったのは藍色に光る物質だった。しかも、タイマーが付いており時間は、たった三分。
「この時間は…まさか!?」
エインシャントはその声には動じず会場を見渡し、叫んだ。
「この亜空爆弾は、今からおよそ三分後に爆発する。そして、爆発した地帯は亜空間に飲まれる。つまり…」
少しの間が空いた。
「お前達は、全員死ぬ」
その冷徹かつ邪道な言葉でスタジアムがシーン…と静まり返った。そして───
うわああああああああああぁぁぁぁ!!
会場全体に観客達の悲鳴が響き渡った。所々で「嫌だああ!!」とか「死にたくない! 助けてえええ!!」などという声が上がるのがわかった。
『会場にお越しの皆様。入場の際にお渡しした自動転移装置を使って近くの街に避難してください。繰り返します…』
スタジアム内に避難勧告のアナウンスが入り客席の至るところで水色の光が上がった。
「とりあえず、一般の方々は避難してくれてるみたいだな!」
「そうだね! ぼくらはアイツをやっつけよう!」
四人はエインシャントを睨みつけた。エインシャントは四人に目もくれず下にいる部下を見下ろした。
「後は任せたぞ。お前達」
「ハッ!」
エインシャントは部下にそれだけ言い残して戦艦へと帰って行った。
「ま、待て!!」
マリオがエインシャントを追いかけようとしたその時…!
ズドンッ!!
「づあっ!?」
戦艦から放たれた大砲がマリオに直撃した。
「ノオオオオオオォォォォォ………」
やはりダメージが効いてしまっていたようで、マリオは遠く、遠くふっ飛ばされてしまった。
「マ、マリオーーー!?」
戸惑うカービィ。だが、さらなる困難な彼に降り掛かった…!
「きゃああっ!」
「!?」
ピーチとゼルダの悲鳴が聞こえたのだ。
「うわあっ!? 二人共!?」
振り返るとなんと、二人はパックンフラワーの強化バージョンのような巨大な敵がその両手に鳥籠を持ち二人を閉じ込めたのだ。
「カービィ! 焦らないでください! この籠から生命エネルギーを感じます!」
「それってどーゆー事!?」
「要するに、この籠自体がこの魔物なのです! 花のようなこれはただの偶像です!」
ゼルダはカービィに説明した。
「じゃあ、この二つの籠を壊せばいーんだね!」
「ええ! カービィ、後は頼みます…!」
「りょーかい!!」
ゼルダの祈るような声とカービィの元気いっぱいな声がスタジアム全体の共鳴した。
「ぐがあああああああぁぁぁぁぁ………」
ものすごい断末魔を上げてパックンフラワーは力付きた。
籠から解き放たれたゼルダはスタッと着地した。
「ゼルダ、ピーチ! だいじょーぶ!?」
カービィがゼルダとピーチの元に駆け寄った。ゼルダは「ええ、大丈夫です」と冷静に答えた。
「とりあえず、ピーチを助けましょう!」
そう、ゼルダを助けた衝撃でピーチが籠の中に閉じ込められたままなのだ。
「うん! わかった!」
「おおっと! そうはいかねってんだ!」
ゼルダとカービィがピーチの元に駆け寄ろうとした時、そんな声が聞こえてきた。
なんと、空から巨漢の男が降ってきたのだ。
黄色の帽子はマリオの物に似ている。しかも、服も似ているのだ。だが、圧倒的に違うところはその顔に浮かべている下品な笑みだ。
「オレ様だよ! ワリオ様だよ!」
「………」
「………」
「…………………」
二人は(ー_ー)のような顔になった。次に言った言葉は。
「誰だよ!?」
キャラ崩壊もいい台詞だった。
「なんだよ! つまんねーな!」
ワリオは自身の懇親の決め台詞をけなされた気しかしなかった。
「もういい! オメーら覚悟しろ!」
ワリオは手に持った巨大な武器ダークキャノンをゼルダとカービィに向けた。
「来ます…!」
戦闘態勢を取った二人を見てワリオは「げっ」と表情を変えた。そして、ダークキャノンごと方向転換した。
「な、なんだよ! おまえの相手はぼくらだぞ!」
カービィもこの有様だ。ワリオはなぜ何もないほうを指しているのだろうか。───いや、何もない訳ではない。
よく目を凝らしてみると、砂煙の中、ある人影が───
「なっ……!」
ゼルダは小さく声を上げた。なぜなら、そこにはピーチがいたからだ。
「仕方ねえ! ピーチだけでも連れてくぜ!」
ワリオはダークキャノンのトリガーを押した。ダークキャノンの発射口から黒い矢印のような弾が放たれた。
「っ!? その声は…、ワリオ!? なんでここに………」
ズガ!
「っ!!」
ピーチが驚く暇もなく、ダークキャノンの弾が彼女の体を貫いた。ピーチは大きくふっ飛ばされ、金色の光を放ちながらフィギュアに戻ってしまった。
「あっ!?」
まさか、こんな能力を持つ武器を使用しているとは、このワリオという男は相当な強敵になりそうだ。ワリオは雑にピーチのフィギュアを掴んで「はははははは!!オレ様の力を思い知ったか!」と笑っている。
「へっへっへっ。ピーチはいただいてくぜ? あばよ!」
そう言い残し、その巨漢ではありえない軽々としたジャンプで立ち去った。
二人はワリオのジャンプであっけにとられていたが、直ぐに我に帰った。
「ま、待ちなさい!」
「ピーチ姫を返せ〜!」
カービィとゼルダは走って追いかけた。
ふと、カービィは自分の近くにあった亜空爆弾のタイマーを見た。
すると、そこには恐ろしい数字が記されていた。
「……!?」
なんと、爆発まで、あと5秒。
4秒、3秒、2秒、1秒。
「あ・ぶ・な・い!!」
タイマーが0になった。刹那。
亜空爆弾が凄まじい轟音と共に爆発した。瞬く間に空中スタジアムは闇色の空間に飲み込まれてしまった。
そのスタジアムの近くを小さな光が飛翔した。それはなんとカービィが呼んだワープスターだ。ゼルダも共に乗っている。
ここに、長い戦いの始まりを告げる鐘が、鳴り響いた。