ステージ20「元凶の地にて」
「あわわわわわ……が、頑張ってくださいピクミン!」
頑張れ。そんな言葉を彼らにかけたところで、無駄だということはわかっていた。しかし、今、“彼”が置かれている状況はとても深刻なもので、自分の行動にも疑問が浮かぶほどだ。
それは、目の前に現れた巨大ロボットをどうやって倒せば良いのか。と、いうものだった。
思えば『この世界』に招集されてから、ツイていないという日が増えたような気がする。会社の公用ロケット───ドルフィン号で
仕方なく、日を改めようと引き返した矢先にまたもエンジントラブル。たまたま見つけた
連れて来たピクミンがロボットの全身に纏わり付いてペチペチ攻撃するが、全然効いている様子は無い。──まあ、当然かもしれないが。
「…………」
ロボットは邪魔だと言わんとばかりに自分の体を回転させた。ピクミン達はその反動で地面に叩き落とされほとんど消えてしまった──ほんの数匹は生き残った──。
「うわああああ!! どどどど……どうすれば……」
オリマーは恐怖ですくみ上がる。
もう、これはマズイのでは?
そんな余裕のよの字さえ無くなったオリマーを一匹の赤ピクミンがつんつんとつついた。
「……? ど、どうしたんだい?」
赤ピクミンはなぜか、自分達の後方を指さした。
(後ろ? まさか……何かが来る?)
予想通り、森しかないはずのこの空間に微かだがエンジン音が空気を震わせた。その音はだんだんと大きくなってくる。しかも、かなり速い。
「ななな……何が来るんだ!?」
想像を絶するスピードで近づいてくるモノの正体は、青い機体を持ち、尾翼に07と書かれた一台のレースカーのようだ。
レースカー───なのだが、車輪は無く、地面スレスレを滑るように走っている(正確には飛んでいる)。
レースカーがオリマーの目の前を残像を残すかのような速さで通り過ぎようとしたその時、レースカーから一人のファイターらしき人物が飛び出した。
その青いスーツから鍛え抜かれた筋肉隆々の身体がよくわかる。特徴的な赤いヘルメット。青いの背中の部分には、ファルコンのマークが描かれている。
「ファルコンッ……パアアアアンチッッ!!」
振り上げられた右腕は闘志を具現化したような炎に包まれ、ロボットに鉄槌を下すかの如く振り下ろされた。謎の乱入者の鉄拳をもろに食らって、ロボットは大きく吹き飛ばされた。
「えっ……ええええ!?」
オリマーは驚きからなのか、感動からなのか、わからない悲鳴を上げた。
ファイター──キャプテン・ファルコンはそんなオリマーをよそに華麗に着地を決めた。──のは、良かったが。
彼が砂煙を立ち上げながら着地したその場所には、まだ生き残っていたピクミン達の姿があった。だが、そんな事もお構い無しに、ファルコンは決めポーズを決めながら着地した。その反動で、生き残っていたピクミンたちも消滅してしまった。
「ふっ……決まった……」
キラーン、というような効果音が鳴りそうなほどの清々しい笑顔を浮かべたファルコンだったが、とてつもなく気まずいような虚しいような空気を醸し出しているオリマーの存在や、ヒュウウと鳴る風の音にも当分気づいてくれなさそうだ。
あの着地時の事故──またの名をスタイリッシュ虐殺──のあと、オリマーは勇気を振り絞ってファルコンに状況を伝えた。その事実を知ったファルコンはすぐに自分がしでかした事を謝ったのだ。
「いやあ……申し訳無い事をしたな」
「あ、大丈夫ですよ……多分」
「いや、多分ってなんだ!? 多分って!!」
「え? 気になります?」
「いや……別に」
もはやなんの話をしているのかがわからない二人なのだった。
「あああ!! いた! あそこだよ、ファルコ!」
「チッ……っるせえな。少し黙ってろ」
一方、ファルコは自身のアーウィンにディディーを乗せて、ドンキーのフィギュアを乗せた飛行船を追いかけていた。
飛行船に追いつくと、ファルコはディディーを見た。
「良いか、ディディー。こっから先は、自分で行け。お前なら行けんだろ」
「えっ!?だ、だけど──」
ディディーが何か反論しようとした瞬間、機体が上下反転し、コックピットが開いた。
「お前なら行けるぜッ!! オラ、邪魔する奴らを──」
ディディーを掴み、放り投げるファルコ。
「全員ブッ飛ばして来やがれッッ!!」
「うわああああっ!?」
ファルコなりの励ましの言葉をバックに、ディディーは落ちた。だが、最初は悲鳴に近かった叫び声はだんだんと雄叫びに変わりつつあった。
「絶対に……諦めない!!」
ピーナッツポップガンを装備し、銃口を二匹のプリムに向ける。
「オイラの邪魔をするなああああああッッ!!」
一寸のズレもなく、プリム達を撃ち落とす。
ディディーは見事に飛行船に着地すると、ドンキーのフィギュアめがけて走った。
「ドンキーーー!!」
急いで、ドンキーのフィギュアプレートに触れる。ドンキーのフィギュアから、まばゆい金色の光が──!
バキッ! バキバキッ!! ──金属が、引きちぎれる音。
「粉砕……玉砕……大喝采ッ!! オレ、大復活だぜ!!」
……前半は意味が違う気がするが。
ドンキーは両腕を大きく空に振り上げた。
「おおっ! 復活しましたね!」
「そのようだな」
その様子を、遠くで見ていた二人のキャプテンは、静かに微笑んでいた。
「……よし。俺たちも合流しよう!」
「あの、いきなりそのノリはなんですか?って、ちょっ……待っ……うおおおおおおおおおおおあああああああああああッ!?」
身長差と体格の差の問題で、ファルコンに抱えられる形で、オリマーは崖を飛び降りた。
ドスンっ! ──飛行船に衝撃が走った。
ドンキーとディディーが振り返ると、そこには、ファルコンとオリマーがいたのだ。
「よぉ。久しぶりだな、ファルコン」
「そのようだな。ドンキー」
二人は互いに不敵な笑みを浮かべた。
ディディーとファルコンから降りたオリマーは二人の関係をよく知らなかった。
しかし、こうやって合流し、ゆっくりできたのもつかの間。すぐに、どこからともなく湧き出たプリム達が無機質な視線を四人に向けた。
「おっ、なんだよこのチビ共。オレ達とやろうってのか?」
ドンキーは右腕をブンブン振り回した。
「どんな奴が相手でも、ドンキーがいりゃ簡単に吹き飛ばせるよね!」
ディディーも戦闘態勢に入った。
「えっ……まさか、戦うんですか?」
オリマーもビクビクしながらも、一応戦闘態勢に入った。
「よしっ……行くぞ!!」
ファルコンの掛け声に合わせて、四人はプリム達との戦闘に入った。
見事、プリム達を全員討伐した四人。
「よっしゃあ!!」
「やったああ!!」
ディディーとドンキーは互いにハイタッチを交わした。
「ありがとうな、ディディー。オレを助けてくれて」
「当たり前じゃないか! だって、オイラ達……相棒だろ?」
ディディーはドンキーにそう微笑んだ。
その時、一機の戦闘機──アーウィンが四人の上空を通過した。
「ありがとお! ファルコー! フォックスにも、よろしくねーー!!」
ディディーは、アーウィンの中にいる[[rb:協力者>ファルコ]]に向かって手を振った。
「……頑張れよ」
ファルコはディディーの無邪気な笑顔にグッドサインを送った。そして、仲間と合流するべく、アーウィンのスピードを上げた。
四人は、やがて無機質な場所にたどり着いた。
かなり、高度な文明を持つ者たちが住まうこの島──『エインシャント島』に。