今回は番外編第二回です。一部キャラ崩壊注意です。
これは、亜空間突入前のちょっとした事件である。
空にぽっかり空いた直径約十キロメートルを余裕で越える亜空間への入り口を尻目に、ファイター達はとある問題に直面している。問題といっても、この先の作戦についてモメているとか、そういった仲間割れするような大事ではない。案外くだらない──失礼、ある意味大問題だ。
けっかけは、ファルコ、サムス、ファルコン、オリマー──四人の運転士のとある一言であった。
「……なあ。これ、誰がどの機体に乗るんだ?」
全く頭にないことをファルコに言われたのだ。
そう言われてみれば、突入作戦の会議に夢中でむしろ一番大切なんじゃないかと思うほどのことを決めていなかった。
「すまん……まだ決まっていないんだ。定員数さえ教えてくれれば、すぐに決めるよ」
マリオが申し訳なさそうに三人に確認をとった。リーダーにこんな表情をされたら、責める気にはなくなく──もとより、そんな気もなかったのだが──。三人に聞き終わると、一応、全員にそれぞれの機体の定員数知らせる。
「みんな聞いてくれ! これから、機体に誰が乗るのかを決めようと思う。まず、ファルコンフライヤーなんだが、運転士を除いて十人だ。次にスターシップ。これも運転士を除いて十人。最後にドルフィン初号機、……申し訳ないけど、運転士除いて一人だ」
「どうやって決めるんですか?」
「……話し合いで決める余裕がないから、俺とじゃんけんで。負けたヤツとあいこは手をおろしてな」
ピシッ。空気が瞬間冷凍されたような感覚を皆覚えた。そら一機だけいつ落ちるか分からないおんぼろ機なのに、それに当たったら死刑よりも恐ろしい目に遭うんだから嫌だわな。
──とにかく……マリオに勝てば良いんだよな!?
──わぁ……じゃんけん苦手なのにいぃぃ……。
「それじゃあ、ファルコンフライヤーに乗るメンバーから決めるぞ。行くぜー」
一同、最終決戦にでも臨むかのような表情になる。沈黙とともに、空気が張り詰め始めた。
「さ~いしょはグー! じゃーんけーん……ぽん!」
マリオが出したのはチョキ。これに対して──
「っしゃァ!! グー!!」
ドンキー、
「なっ……助かったぁ……」
リュカ、
「ふっ……勝ったな」
メタナイト、
「……行った……」
サラ、
「やっ……やりましたぁ!」
ピット、
「いよっしゃあ!!」
ディディー、
「やったわ♪」
ピーチ、
「ゲムヲ、カッタ、ゲムヲ、ウレシイ」
Mr.ゲーム&ウォッチ、
「あ……危なかったぁ……」
ヨッシー、
「やっ……たぁ!?」
マルスの十人がグーで勝利した。……あれ、また気温が下がった気がするなあ……。
申し訳無いと思いながらも、スターシップに乗り込むメンバーを決めるべく、二回戦がすぐに開催された。
「じゃーんけーん……ぽん!」
マリオはパーを出した。それに対して──
「おお、勝ったか」
スネーク、
「……読み通りだな」
ルカリオ、
「ふぅ……なんとか勝てたか……」
アイク、
「やったやった! おそろいで勝利!」
「もう、ポポったら」
アイスクライマー、
「やりましたか……!」
ゼルダ、
「わ……私でも勝てたか……」
エインシャント、
「やった! なんとか勝てたよ!」
ピカチュウ、
「えっ!? おれも行けた!!」
レッド、
「よし!」
フォックスの十人がチョキで何とか難を逃れたようだ。──あらら、ということは?
──なんでオレはことごとく負けるんだよおおおおおおおおおおお!!
……緑の勇者・リンクが死にそうな表情でグーをただ見つめている。この勇者……もはや運がなさすぎる。
マリオもリンクの気持ちはよく分かる。ここまで来たら、自分もリーダーぶっていられるほどの余裕さえなくなる──今はそれを悟られないようにするのが精一杯だ。
「だっ……大丈夫だってリンク! 最後は俺と一対一の決闘だからさ!」
「絶対大丈夫じゃねぇだろ!! 負ける確率五分五分じゃねぇかよ!!」
「どっちみち五分五分だよ……。……とりあえず、やるぞ」
マルスは拳を構えてリンクに覚悟はできているかと視線を送る。それに対して、諦めたように拳を用意するリンク。両者の間にこれまでとは比べ物にならないほどの緊張感が流れ込む。
「行くぜ……さ~いしょはグー!!」
「じゃんけん……!」
「ぽんッ!!」
お互いの運命をかけた一突きが、一つの沈黙を招いた。果たして、勝利はどちらの手に──!?
「…………」
「…………あ」
マリオ──パー。
リンク──グー。
結果──リンク……ご愁傷さま。
その後、突入の時にエンジンが止まりそうになってガチで心臓が止まりかけたリンクなのであった。