亜空の使者〜結ばれし絆〜   作:平世ふゆめ

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ステージ30「キボウノヒカリ」

エリア1 時限スイッチ

 タブーの力が及ばなかったのか、亜空間をふよふよと漂うこの場所───〈デデデ城〉。

 その場内に、“それら”はあったのだ。

 突然、場内に取り残されていたフィギュア二つがまばゆい光を発し、そして───

 ───ネスとルイージが復活した。

「う〜ん……ボク、何してたんだっけ?」

 まだ意識が回復しきっていないらしく、ネスは両目を擦って辺りを見渡した。

そこは、知らない城の中だ。

「あれ? 僕がいたのは確か普通の平原で……それで、フィギュアにされた気がするんだけど……」

 ルイージは自分が覚えている限りの記憶を辿る。

 だが、ここでネスがある異変に気づいた。

「ん? ルイージ、いつからそこにいたの?」

「あれっ、ネス!? なんでいるの?」

「ボクもよく分からないよ……ん? アレ? ネス、僕の鼻に何かついているかい?」

 そう言って、ルイージは自分の鼻を指さした。

 ネスが鼻を見てみると、そこには何やら大きめのブローチが取り付けられていた。

 ネスはそのブローチを引っ張り、取った。

「これがついてたよ。いつ、誰がつけたのかは分からないけどね」

 ネスは持っているブローチをルイージに見せた。

「こんなの、いつ、付けられたんだろう。ん? ネス、君の服にも同じブローチが付いてるよ」

 ルイージの指摘により、ネスが先程取った物と同じものが自分の服に取り付けられている事に気がついた。

「ほんとだ……一体誰が───あれ?」

 ネスは目の前にもう一つフィギュアが転がっているのを確認した。

ブローチに描かれている顔とフィギュアの顔を交互に見比べ、とある推理にたどり着いた。

(まさか……これを付けたのって……!)

 ネスはフィギュアに歩み寄り、フィギュアプレートにぽんと触れた。フィギュアは意思を持ったかのようにまばゆく輝き───

「う〜ん……オレ……何してたんだっけか?」

 フィギュア───デデデが復活した。

「良かった気がついた!」

「大丈夫?」

 倒れていたデデデをネスとルイージが覗き込む。

 そんな二人を少し見つめたあと、デデデはまるでプレゼントを貰った子供のように目をキラキラと輝かせて、勢いよく起き上がった。

「おおおっ!! 良かった、成功したのか! そうか、そうか! これで“アイツ”に対抗できるぜ!」

 そして、二人の肩をバシバシと叩いて喜んでいた。勿論、二人はその理由がよく分からないため、されるがままになっている。

「あ、あの! 君は?」

 見た目にそぐわない怪力によろめきそうになりながら、ルイージがかろうじて問いかける。

「ん? オレ様か? オレ様はデデデ大王様だぜ! カービィの最っ大の好敵手(ライバル)さ!」

 拳を胸にドンと当てて、ニッと笑うデデデ。

 要はカービィの知り合いか、と勝手に納得したネスなのであった。

「ボクはネス、〈初代期間〉から参戦しているんだ! よろしくね!」

「僕はルイージ、同じく〈初代期間〉からの参戦者だよ。よろしく!」

 ネスとルイージも、とりあえずは自己紹介をした。

「ところで……大王、僕らがなぜここにいるのか、知っているかい?」

「あ? オレ様が連れて来たんだ」

 一瞬の沈黙。

 次の瞬間、ネスとルイージは「えっ!?」と拍子抜けた声をあげてしまった。

「ネスはあの悪人ヅラ野郎から奪い取って、ルイージの事はオレがふっ飛ばして回収した。

 詳しい事は、ここを出てから話すぜ」

 デデデは愛用のハンマーを肩に担ぎ、城の出口を指さした。

 出口の先に広がっていたのは、光で照らしても照らしきれないような闇だった。

 

エリア2 デデデの行動

 城から進み、ルイージとネスはデデデの行動について本人から聞かされた。

 デデデによると、彼は二人の部下(仮)と共に〈この世界〉にやって来た途端に、“亜空軍”の襲撃に遭い、“亜空軍の頭首”であるタブーの存在に気がついたらしい。

 なぜ、他のファイターが気が付かなったタブーの存在に彼だけが気づけたのかというと、部下の二人が戦艦ハルバードから投げ出された際に、タブーは通信回線を乗っ取り、挨拶代わりの宣戦布告をしたのが原因らしい。

「合流しようとは思わなかったの?」

 ネスが問いかける。

「一度は思ったさ。でも、オレが気がついた時、オレは街中でぶっ倒れてたんだよ」

 街中という言葉に、二人が真っ先に想像したのは〈この世界〉の中枢都市〈スマッシュシティ〉だ。

「《OFF波動》の存在に、なぜ、気がついたの?」

 今度は、ルイージが問いかけた。

「独自で調べたんだ。図書館でな。駄目元でタブーについて本で調べたら、一冊だけ、載ってたな。アイツについて」

 情報源が意外過ぎて言葉が出ない二人。

「……もっと早くアイツらに合流してやれば良かったな。そうすりゃ、アイツらも《OFF波動》の対策を練れたのによ」

 自分の行いに皮肉を込めながら、デデデは苦笑した。

 それでも、ルイージ達からしたら大した活躍だと思う。独断でここまでの事ができたのだから。

「おっ? 早速、お仲間を発見したぜ?」

 デデデが指さした方向を見ると、そこにはサムスのフィギュアが転がっていた。

 きっと、《OFF波動》の衝撃でここまで飛ばされてしまったのだろう。

「サムスだ……!」

 ネスは焦るのをなんとか堪えながら駆け寄り、フィギュアプレートに触れ、サムスを復活させる。

「っ……ネス、ルイージ……!」

 二人を見たサムスは、胸の奥が熱くなる感覚があった。

「やあ。久しぶりだね、サムス」

「ああ……まさか、お前達に助けられるとは……思ってもいなかったな」

 そして、サムスはデデデに目を向けた。

「新しい参戦者か?」

「ん? まあ、そういう所だな。詳しい話はおいおいするが」

「そうか。簡単に私も自己紹介をさせて貰う。

 サムスだ。よろしく頼む」

 サムスが軽く自己紹介を終えたところで、皆再出発したのだった。

 

 それから少し進んだエリアには、どこまで伸びているのか分からない柱に括り付けられたブランコのようなものがゆっくりと動いていた。

 一同はそれをテンポよく登り、紫色の扉の前までなんとか登りつめた。

 サムスが「お前達はここで待ってろ」と、先に扉を開けて入ってしまったので、あとの三人は仕方なくその場で待機する事になったのだった。

 一方、扉に入ったサムスを待ち受けていたのは───

「うおっ!?」

 地面がところどころ無い空間だった。

 バランスを崩しながらも、なんとか着地を決めたサムスは、注意深く辺りを見渡す。

サムスのバイザーに、二つのフィギュアの反応が映し出された。

 サムスはその場所まで身軽く移動し、フィギュアプレートに触れ、最初にピットを、次にファルコを復活させた。

「あれ……ボク……復活してる!?」

「……どうやら、お前に助けられたみてぇだな。サムス」

 復活した二人はサムスに礼を言おうとしたが、サムスがそれを制した。

「礼なら、私じゃなくて、外にいる奴らに言ってやってくれ」

 そう言い残し、足早にこの場を去った。

 

 四人と合流したサムス達は、扉がある場所から更に上へと、進み、新たなる扉の近くに放置してあったリュカを見つけ、復活させた。

「リュカ!! 大丈夫!?」

 動物園で彼を救出したネスがリュカを覗き込む。

「ね……ネス?」

「そうだよ! 良かった……リュカが無事で……」

 リュカの目に、段々と涙が溜まった。

助けられなかった友に会えたから。ずっと、会いたかったから。

「ネス……! 君こそ…無事で良かった! ほんとに……ほんとに心配したんだから!」

 こうして、良き友は再会したのであった。

 

 ファイター達が扉を潜ってやって来たのは、真っ平らな道だった。

「なんにもねぇッて訳ではねぇとは思うぜ」

 ファルコが扉から右に直進すると、光り輝く階段らしき足場があり、その上にアイクのフィギュアが放置してあった。

 これをいち早く察知するファルコの観察眼には頭が上がらない。

「オイ、起きろよアイク」

「……すまんな、ファルコ」

 他のファイター達も、すぐにファルコに追いついた

 そして、ファルコが先頭に立ち、「こっちだついて来い」と近くにある光の階段に飛び乗った。

そうすると、等間隔で光の階段の続きの段が現れた。

 ファイター達はこれを利用しながら上へと進み、ドンキーを発見した。

 復活させると、ドンキーは、悪かったな…と謝罪し、すぐにキッと前を見据えた。

「とっとと行こうぜ。タブー(あのヤロー)に一泡吹かせてやりてぇモンさ!」

 

 その後、近くに透明なブロックで覆われている扉を発見した。

透明なブロックはブロックと共に埋まっている爆竹を攻撃すると、いとも簡単に壊れた。

 扉に入ったファイター達は、先程の透明なブロックが続く空間へと召されたのだ。嫌な予感がしたが、進むしかない。

 慎重に進んでいると、レッドを発見した。

「レッド!」

 リュカが誰よりも先に駆け寄り、レッドを復活させた。

 そのまま先に進むと、爆竹と透明なブロックに覆われたピカチュウのフィギュアを発見した。

 しかし、ここで、ある問題が現れた。

「……このブロック。さっきと同じように壊れるよな」

 アイクがブロックを睨みながら言う。

「まあ、そうだろうね。それがどうかしたの?」

「ここの床は全部同じブロックでできている。……つまり、素早くピカチュウを救出しないと、俺達は亜空間のどことも言えない場所に落ちるぞ」

 その意見に、皆が身震いした。ここまで来て、落ちるなんて情けないことこの上ない。

それに、ここは〈この世界〉ではなく〈亜空間〉だ。マスターハンドの力が及ばない今、死ぬ可能性も無くはない。

 どうしようかと、悩んでいると、レッドが挙手をした。

「皆さんは、さっきの場所で待っててください。おれが行ってきます」

 その一言に、皆が驚愕した。先程アイクが出した仮設にも動じない、その勇気に。

「お前……本当に良いのか? もしかしたら、戻って来られないのかもしれないぞ?」

 アイクが心配しているのか脅しなのか分からない口調で確認した。

それでもレッドは、大丈夫という単語だけを繰り返した。

 ようやく折れたアイクは、「……無理はするなよ」とだけ言い残してこの場を去った。他のメンバーは彼の言動に戸惑ったが、すぐにそれを理解した者は彼と同じように自分なりのエールを送ってから去った。それでも、まだ、理解できない者は急いで彼らのあとを追った。

「よーし……頑張らなくちゃな」

 この空間に、一人取り残されたレッドは一歩一歩、ブロックに囲まれたピカチュウのフィギュアに近づいてゆく。

静寂が訪れたこの空間にある音といったら、レッドがブロックの上を進む際に響く靴音だけだ。

 しかし、これほどまでに何も起きない、何も無いとなると逆に不安になる。

(このまま……行かせてください……)

 心の奥でそう願いながら慎重に歩を進める。

ようやくたどり着いた時には、冷や汗がダラダラと垂れていて、寒気がするくらいだった。だが、ここで終わりではない。ピカチュウを救出しなくては。

 レッドは空中にモンスターボールを放り投げ、リザードンをボールから出し、背中に飛び乗る。

すぅ、と、深呼吸をしてからリザードンに指示を出した。

「リザードン、火薬に火をつけろ! 《かえんほうしゃ》!」

 リザードンは指示どおり火薬に火をつけた。

火薬が閉じ込められていたブロックはすぐに爆発し、周りのブロックが次々と爆発の連鎖を巻き起こす。

 レッドはリザードンから飛び降り、ピカチュウのフィギュアのフィギュアプレートに触れ、復活させた。

「あれ? ボク……何して……わあっ!?」

 自分が置かれた状況が理解できずにいるピカチュウをレッドは急いで抱えあげ、再びリザードンに飛び乗る。

リザードンはレッドの重みを感じ取った直後、扉がある足場に向かって飛び去った。

 

 ガチャリ──扉が開く音がしたので、全員の視線がそこに集まった。

そこから一人の少年と小さな生き物が出てきたのを確認したルイージは「Oh……」と、感嘆の声を漏らした。

「終わりましたよ……! 皆さん!」

「ただいま、みんな!」

 ニッと歯を見せて笑うレッドの傍らには、復活した電気ネズミ・ピカチュウがいた。ピカチュウはいつも通りのあざとい笑顔を浮かべ、「さあ、早く行こうよ!」と、次の足場にさっと飛び乗った。

 

 一行はその場から少し離れた光の階段を登り、次のファイターが隠されているであろう空間の扉にたどり着いた。

───と、その前に。

「マルス……!」

 アイクがフィギュアと化したマルスを発見したようで、誰よりも早く駆け寄り、フィギュアプレートに触れ、復活させた。

 復活したマルスは今の状況をよく読めていなかったらしく、アイクにいろいろと尋ねていた。

アイクは一つ一つの質問に確実に答え、最後にざっと話をまとめた。

「……つまり、デデデのおかげで、僕らは命拾いをしたって事なんだね。あの二人も探し出せれば良いのだけれど……」

「心配するな。まだ、サラとメタナイトの行方は知らないが、必ず見つかるはずだ」

 心配するマルスに手を置き、その瞳をそらさずにじっと見つめる。

「そうだね……僕らがここで諦めるわけにはいかない。必ず全員再集合して、タブーを討伐しよう!」

 アイクは固くうなずき、他のメンバーからも「おー!」という賛同の声が上がった。

 

 マルスが放置してあった足場の下にある空間に、扉はあった。

 ここまでの経験から、その先にこのような広大な空間が待っている場合と、そうでない場合がある事を身を持って知ったファイター達は、この扉に誰を一人で行かせるかで議論を繰り広げている。

 結局、ドンキーが終始「オレ様に行かせろ!」と、催促していたので、ドンキーに行かせる事になった。

 その後、すぐに扉に飛び込んだドンキーだが、何かに追われて来たのか、風のような勢いで戻って来た。

「いや、速えよ!?」

「ファルコ、お前、ちょっとあの空間行って助けてやってくれねェか? オレじゃ、手に負えねェんだよ」

「一番行きたがってたヤツが何言ってんだよ!?」

 「なあ! 頼む!」と、しまいにはズシャッと深々と頭を下げ、というか土下座の体勢をとってしまったドンキー。

流石のファルコも頭に来たらしく、チッと舌打ちをしたが、無言で扉を潜った。

「……なるほどな。これが原因ってワケか」

 ファルコの眼前に飛び込んだのは、どこまでも続く闇と、亜空間に潜入する前、何度か見かけたことのある自動爆弾だった。この自動爆弾は非常に厄介な性質を持っている。それは、ファイターが接近すると、名前の通り、自動的に爆発するというものだ。

きっと、ドンキーも何度か道中で見かけ、被害にあったのかもしれない。

 そういう判断に至ったファルコは愛用のブラスターを自動爆弾に向けて、一秒という隙も与えずに撃ち抜いた。

自動爆弾は消え去るように一気に爆発し、そこに残されたのは沈黙と、ファルコ、そして、オリマー、フォックスのフィギュアだけであった。

「お前ら、起きろよ。表でファイターら(アイツら)が待ってるぜ?」

 まるで居眠りをしてしまった友人を起こすような口調で、ファルコはフィギュアプレートにぽんと触れて、二人を復活させた。

「ファルコ! 無事だったのか!」

「助けていただき、ありがとうございます……!」

 フォックスはファルコの無事にホッと胸を撫で下ろし、オリマーは突然の救世主に名一杯のお辞儀で感謝の意を示している。

 そんな彼らを連れて、ファルコは禍々しいこの空間から足早に立ち去った。

 

 一行は、更にこの広大な空間の奥地へと進む。

 そこで、また、次の空間への入り口を見つけ出したのだ。

ファイター達が再び、誰が扉の先に進むかで論議をしだす前に、ドンキーが啖呵切って先に扉へ飛び込んでしまった。もちろん、フォックスが止めるのも完全に無視をして。

 そして案の定、また風のような速さで戻って来た。しかし、今度はさっきの様子とは少しだけ違っている気がする。

「なァ、この先、全員で進んだほうが良さげだぜ?」

「え? それって、どういう……」

 マルスが言い終わらぬうちに、ドンキーは「付いて来い」と言わんばかりの視線を彼に送った。

 訳が分からないファイター達は、仕方なくドンキーについて行くしかなかったのである。

 扉の先に続く空間は、ちゃんと進めるような足場──といっても、なぜか下を印す矢印が描かれているブロックが敷き詰め られているため、にわかに安心し難い──があり、奥には、次の場所へと進めそうな扉が一つ。

 一同は、ブロックが落ちる前に急いでこの空間を矢の如く駆け抜ける。

途中、光る透明なブロックが行く手を阻むが、パワー系のファイター達がそのブロックをいち早く砕いてくれるため、スムーズに進む事が可能のようだ。

 思ったよりも早く扉の前にたどり着いたファイター達は、見覚えのある(中には初見の者もいる)ブロックとフィギュアを発見した。

「あれ……ゲムヲじゃないか?」

 サムスの指摘が暗闇の空間に飲み込まれるように響く。

そして、その指摘にデデデ以外が頷いた。

「まさか、この矢印のブロックと爆発するブロックに挟まれているなんて……結構難しい組み合わせですね……」

 ピットが眉間にシワを寄せてゲムヲのフィギュアを取り囲むブロックを睨みつける。

「この仕組み……多分、僕なら……」

 マルスは今ファイター達が纏まっている足場から矢印のブロックに降り、矢印のブロックが落ちたと同時に二段ジャンプと《ドルフィンスラッシュ》を繰り出し、ゲムヲがいる足場へと飛び移った。

マルスはぽんと軽くゲムヲのフィギュアプレートに触れて、彼を復活させた。

「ゲムヲ、ナニシテタ、ワカラナイ。ゲムヲ、フッカツ、シタ?」

 抑揚の無い声がファイター達の一瞬だけ緩ませた。

マルスはゲムヲに合流するよう促したら、善と悪の区別がつかないゲムヲはすぐに快い返事をしつつ、平面とは思えない軽やかさでファイター達が留まっている足場に飛び移った。

 こうして、段々と集結し始めたファイター達なのであった。

 

 扉に入った一行は、後ろから吹っ飛ばされた。突然にだ。

 何事かと思い、辺りを見渡すと、ドンキーが何かに目がけて体当たりをするように駆け寄っていたのだ。

「ディディー! ディディー!! 良かった、ここにいたのか!」

 どうやら、ディディのフィギュアを発見したようだ。

 ドンキーはディディのフィギュアに急いで触れ、復活させた。

「えっ!? ドンキー! いつの間に復活していたの?」

「おうよ! 詳しい事は、アイツに聞きな。……それより、お前が無事で良かったぜ、ディディー」

 ドンキーは、ディディーの肩にドスンと音をたてて手を置いた。

ディディーはその衝撃から、よほど相棒が心配していたのかを把握する事ができた。

「良かったな、二人共」

 それまでこの集団にいなかった声がディディーの背後から飛んで来たので、ドンキーはその声の主に視線を移す。

どうやら、ルイージがいつの間にかファルコンを復活させていたらしい。

 一同は、ファルコンが放置されていた場所の下側にある扉に向かい、その先へと歩を進めたのであった。

 

「ああああああ!! ににににに、兄さん!!」

 扉を抜けた矢先、魚を見つけた猫の如くそれに向かったのは、ルイージだった。

ルイージは転ばない程度の速さでマリオのフィギュアに駆け寄り、フィギュアプレートに触れた。もう一度、彼とファイターとしての役割を果たしたいと願いながら。

「ん……? ルイージ!? いつの間に復活したのか!?」

「う、うん……! 兄さん、無事で良かったよ……!」

 両目に涙をいっぱいに溜めている弟を見て、マリオは「心配かけてごめんな」と、申し訳なさそうな顔で謝罪を告げながら、ルイージの肩に手を置いた。

「良かった……マリオさんが無事で!」

 そこに、ピットも駆け寄り、少年らしい満面の笑顔を見せた。その笑顔は、マリオにとっては泣き笑いのようにも見えた。

ピットに視線をやってから、後ろに待機している仲間達に視線を移す。

 皆、リーダーの帰りを待っていた。

 スマッシュブラザーズの、リーダーである自分を。

 まだ、揃っていないメンバーを探し出して、こう言おう。

 

 『ただいま。お帰り、みんな』と。

 

エリア3 真の敵

 光の階段を登り、最後の扉をくぐり抜けると、ルイージ、デデデ、ネスの三人以外にとっては気まずい空間へと戻って来た感覚があった。

 唯一、初めて見たものといえば、倒れているマスターハンドの後ろに位置する崖から伸びる仄かな光に彩られた階段と、上空に集中する〈この世界〉のカケラだけだ。

「…………」

 先程の光景と、この薄暗い背景と同化した“ヤツ”の笑い声が脳裏に蘇る。

それと同時に、ここにいない、これまで共に行動して来た仲間の安否が心配された。

 ファイター達の間に、再び、重い空気と沈黙が流れ込んだ。

 そんな中───

「……こんなトコで野垂れ死にしてんのかよ? クッパさんよ」

 デデデの場と空気を読まない皮肉るような口調が、重い空気を切りさいた。

 こんな所にクッパのフィギュアなんてあったか? という疑問が一部のファイター達の脳内に浮かぶ。自分が見ていなかっただけ、なのだろうか?

「デデデ、お前、クッパの事を知ってるのか?」

 マリオが問いかける。

「おう。一度、コイツに襲撃された事があってな。そんときゃ、軽く逃げてやったけどよ、後でこんなトコに連れて来られちまってな。個人的にもムカついているもんさ」

 デデデはマリオに説明しつつ、軽くはたくようにクッパのフィギュアプレートに触れ、なぜか、復活させた。

 その意味不明な行動に、ファイター達は「はっ!?」と、素っ頓狂な声をあげてしまった。

「……キサマら、なんのつもりだ」

 復活したクッパは、血走った目でデデデを、ファイター達を睨みつける。呪うような重低音は、一部の新参ファイターを硬直させる。

「別に? ただ、お前さんに伝えてぇ事があるってだけだぜ? そんな言い方され筋合いはオレ様にはねぇけどなぁ?」

 クッパの威圧にも動じないデデデの勇気と打たれ強さは、この場にいるほとんどのファイター達になぜか、安心感をもたらすものだ。

 逆に、クッパにとって先程のセリフもその態度も自分の神経を逆なでするだけなのである。

「フン……なんとも生意気なヤツだ。新参者のクセに。ワガハイはガノンドロフのヤツに裏切られてイライラしとるというのに」

 言っている事が滅茶苦茶なクッパに、デデデは「ふん」と、鼻を鳴らす。

「その様子じゃ、当然だけど真の敵については知らねぇみてぇだな」

 愛用のハンマーを肩から下ろし、両手で持ち、構える。

「キサマ、今すぐここで蹴散らしてくれるわ!!」

「それはこっちのセリフだぜ!!」

 

 案外、簡単に決着はついてしまった。

 さすが、あのカービィ(ピンクの悪魔)を相手にしているだけあって、油断も隙も見せない動きであった。

その動きには、観戦していたファイター全員が驚愕し、関心したのだ。

「……おいおい、また、野垂れ死なれても困るぜ? クッパさんよ」

 軽くはたくようにクッパのフィギュアプレートに触れるデデデ。

どこかで見たことある光景に、ファイター達は無表情になった。

「……キサマら、なんのつもりだ」

 そして、数分ほど前に聞いたセリフも。

「こうなったら……また、直接対決してくれるわ──あ痛ぁっ!?」

 遠吠えをするクッパの鼻面を、デデデは軽く小突いた。

 このやりとりを見たファイターのうち数名が吹き出しそうになったのを全力で堪えていたのは、また、別の話。

「オイ! 痛いだろう! 何をするのだ!!」

 自分にこんな仕打ちをした事より、痛みを表明するクッパに、とうとう吹き出したのは誰かは絶対に言わない。死んでも言わない。

「オイ! 誰だ今笑ったの!」

「……俺だ」

 クッパに笑ったのがバレたアイクなのであった。(すいません)

「まあ、それよりも。……ほら、見てみろよ」

 デデデの仲裁と、指摘で地味に冷静さを取り戻したクッパは、デデデが指さした方向を見る。

 そこには、倒れているマスターハンドの姿があった。

「マスター……!? ……まさか、キサマが言っていた事は本当だったのか?」

 「まあな」と、〈この世界〉のカケラ達を睨みながらデデデは肯定する。

「ま、ここまで来たら。あとは、お前さんがどうするかだな」

 うつむくクッパに、後押しするようにデデデは言う。

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