亜空の使者〜結ばれし絆〜   作:平世ふゆめ

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ステージ33「追憶の大迷宮 SouthSide」

エリア1 懐かしさと葛藤と

 北エリアのファイター達が動き出した直後、こちら南エリアも休憩所から出発したようだ。ちなみに、このエリアの攻略メンバーはドンキー、ディディー、サムス、ピカチュウ、ファルコン、エインシャント、レッド、リュカの八人だ。

 マスターが説明し終わると、特攻隊長のドンキーが勢いよく休憩所を出ていくので、皆もそれにつられて元気良く出て行った。だが早速差し掛かったエリアの光景に、皆、口を閉ざした。真っ先に飛び出したドンキーなんて「なんでここも……」と低く唸っていた。

「あの……ここって、どういう所なんですか?」

「レッド」

 レッドがリュカを見ると、リュカは首をゆるゆると横に振った。その動きや表情から何かを察したのか、レッドも口を閉ざし、彼らをただ見ていた。

 鉄でできた壁や通路。〈この世界〉に唯一しかなかった超近未来文明の島──エインシャント島の一部である亜空爆弾工場の中に、ファイター達はいたのだ。

「…………」

「エインシャント……」

 ファルコンが彼の名前を呼ぶと、エインシャントは迷いなく動き始めた。

「早く行こう。私の部下たちがここにいないことは、重々承知している。……立ち止まる訳にはいかないだろう?」

 その言葉はあの出来事を経て先に進んでいるようにも聞こえるが、実際のエインシャントは言葉とは対照的に暗く沈んでいた。乗り越えなければいけないのに、乗り越えられない。引きずっていてはならないと分かっていても、彼らのあの電子信号(メッセージ)を消すことができない。哀しみを拭いきれないエインシャントを先頭に、一同は哀しい空間を進んでいく。

 

 とある地点に到着した。彼らの目の前にあるのは、禍々しいオーラを放つなんのへんてつもない扉。今で何回か遭遇してきた“あの”扉だ。

「お前ら……準備できてっか?」

 ドンキーが扉のむこうにいるであろう敵に向かって睨みをきかせながら、皆に確認を取る。言わずもがな、返ってきたのは勝機に満ちた視線と頷きだった。「それじゃあ……」と、ドンキーは扉に手をかけながら小さくつぶやいた。その場に先程の勝機にも劣らない緊張感が流れはじめる。

「行くぜェっ!!」

 緊張感を振り払うようなドンキーの雄叫びと共に、壊れるんじゃないかという勢いで扉が開かれた。そして、猪の如く突っ込むドンキーに続いて、皆、戦場に足を踏み入れる。

 その場所は、何もなかった。

 とてつもなく濃い闇が辺りを包んでいて見えない、というわけではなく、何もない。立てる空間があるというだけで、障害物があるわけでも、敵がエンカウントしそうな罠があるわけでもなかった。

「……あのぅ……本当に、ここが“例の部屋”なのでしょうか?」

 オリマーは震えながら誰かに尋ねる。彼の言う“例の部屋”とは、もちろん、シャドーファイターが待ち構える部屋である。

「あったりめェよ! このオレがまずいって思ったぐらいなんだからな! きっと、ここにいるはず……なんだけど、なァ……」

「だんだん自信なくすのやめてくれる?」

 はじめは胸を張って歩いていたドンキーだったが、一向に変わらない景色を見ているうちに不安になってきたようだ。それもそのはず、もしハズレの部屋だったら、メンバーに迷惑がかかってしまう。さすがのドンキーでも、皆に迷惑をかけて大丈夫でいられるほどの俺様主義ではない。

 その後、何十分と歩いているが、全く景色は変わらない。自分たちが動いているのかさえ分からなくなってくるほどだ。

 それからも相変わらず景色は変わらない。だが、一行の最後尾を行くファルコンは奇妙な物を目にした。現在位置から数百メートルほど離れたところに、闇をくり抜いて光を当てはめたような白い球体がぽっかり浮かんでいるのだ。「みんな……!

あれを!」と声をかけると、彼らもそれの存在に気づいていたようで、このチームのリーダー役を担っているファルコンの指示を待っているような視線を送った。

「……全員、突撃するんだ!」

「おぉーー!!」

 ファルコンが出した指示に従い、皆我先にと球体に向かって走り始めた。

 球体に飛び込むと、一同はまばゆい光に耐えられずに目をぎゅっとつむった。光が収まるのを感じ、目を開けた。

「……? なんか、おかしくない?」

 ディディーが狐につままれたような顔になり、頭をぽりぽりとかいた。

 それもそのはず。ディディーの目の前に広がっているのは、どこかで見たことのある光景──無機質な鉄張りの廊下──だったからだ。

「えっ? ここって……工場だよね? まさか……戻ってきたとか?」

「おそらく、そうかもしれないな。しかし……どうやって戻って来たというのだ──む?」

 ピカチュウに返答していたファルコンだが、ここである違和感を覚えた。なぜか、一人足りないような気がするのだ。気になって周りを見てみると、先程まで行動を共にしていたメンバーが明らかにいない。

 ファルコンははっとして振り返ると、先程まであった扉が無くなっていることに今更ながら気がついた。しかし、いなくなっているメンバーがどこにいるのかはまだ検討がつかない。

「……ファルコン。恐らく、エインシャントは……」

 サムスの声は、どこか不安を感じているようにも思えた。

 

エリア2 自分との戦い

 

 白い球体の先にあった空間は、ものものしい空気が漂う亜空間だった。エインシャントは辺りに漂う気配をセンサーで探し始める。すると──エインシャントはものすごい勢いで前方へと吹き飛んだ。

 何事かと思い後ろを見ると、目が光のない黄色に染まり、ボディがメタリックブラックの“自分”がいたのだ。間違いない。きっと、自分のシャドーファイター(コピー)だ。

 どうりでみんながいないわけだ。先程も書いたが、シャドーファイターは自分のコピー。いわば自分自身である。きっと、邪魔者──ファルコンら──と自分を隔て、一対一の決闘をしたかったのだろう。あるいは──。

 などという事を考えさせる暇──と言ってもほんの一瞬だが──を与えてくれるほど、シャドーファイターは優しくなかったようだ。目にも止まらぬ速技でエインシャントにコマを投げつけてきたのだ! これは自分の技だ。どうすれば良いかなんて、全て把握している。エインシャントは両腕をクロスさせてバリアを展開し、コマを弾いた。そして、すぐさまビームを放ち、命中させた。

(これは、私と(お前)との戦いだ。簡単に負けはせんぞ!)

 エインシャントはそう心に決めて、再び、シャドーファイターに立ち向かう。

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