亜空の使者〜結ばれし絆〜   作:平世ふゆめ

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ステージ7「絶たれた想い」

エリア1 恐怖の鬼ごっこ

 荒廃した動物園。そこは、かつて様々な動物達が溢れ、週末には多くの家族連れが賑わっていた、人々の遊び場。

今となっては、空を暗雲が覆い、動物達はおろか、人っ子一人いない、寂しい風景だけが残されていた。

 そんな動物園の中を、一人の少年が歩いていた。金髪の癖っ毛に赤と黄色のシャツを着ている。

彼の名は、リュカ。【PSI】と呼ばれる不思議な力の持ち主。なのだが…

 

「はあ…。なんでこんな世界に呼ばれちゃったんだろ…」

 

 彼は、今、物凄く暗い。

 元々、リュカは大乱闘には参戦したく無かったし、気が弱い故余計、暗く見える。

 

「それに、ぼくに大乱闘なんて、向いてないよ…」

 

 ポツリとまた一つ呟く。すると…

 

オオオオオオオオ………。

 

 不気味な風の音。同時に、砂が降ってきた。

砂にしては、随分と暗い色をしているなあ、という呑気な考えは、次の瞬間、吹き飛んだ。砂だと思っていたソレは、ひとかたまりとなって、人形のような敵になったのだ。

 

「え………!? な、何これ………!?」

 

 しかも、自分の周りに集まって自分を取り囲んでいる。さらに…

 

ずしーん…ずしーん…ずしーん…

 

 人形よりも不気味で恐ろしい足音が、こちらに近づくのがわかった。

 

「……………!」

 

 体の震えが止まらない。周りの景色が孤独感を煽り、足音が恐怖を駆り立てる。そして、目に入ったのは───

 

───なんとも巨大で、不気味なワルガキっぽい像だ。

 

「うわああっ!!」

 

 ひとたび絶叫すると、リュカはゼンリョクで走りだした。その像はリュカを追いかける。

 恐怖の鬼ごっこが、始まった。

 

 

「はあ……、はあ……っ!」

 

 しばらく逃げるが、未だに像は追いかけて来る。

 

「なんで……っ、ぼくが何をしたの………っ!?」

 

 それが唯一の疑問だ。なぜ、いきなり現れて、しかも何もしてないであろう自分を追いかけるのか…?

 だが、考えながら走るのは本当に無謀だった。

 

「あっ…!」

 

 いきなり、地面に叩きつけられたのだ。足元を見ると、ツタのような根っこに足を取られたようだ。振り向けば、像はどんどんこちらに迫ってくる。

 リュカはジタバタと暴れ、なんとか像から逃れようとするが、それがなかなか叶わない。

 

「(怖い……、誰か……、助けて……!)」

 

 心の中で悲しい叫びが響く。リュカは頭を抑えガクガクと震え上がった。

 その時!

 

「【PKサンダー】!!」

 

 勇敢な少年の声。同時に雷らしきエネルギー弾。

エネルギー弾は像の顔面に命中し、その威力のせいか像はズドーン!と轟音を立てて倒れた。

 

「え……?」

「大丈夫だった?」

 

 そう微笑みながらふわりと目の前に降り立ったのはは、リュカと同じ世界から来たであろう少年だった。

頭には赤いキャップ。黄色と青のボーダーシャツに、思い出がたくさん詰まっているような優しいオーラをまとったリュック。

 

「ね………ネス…?」

 

 我ながら情けない弱々しい声でリュカは少年───ネスに尋ねた。

 ネスはリュカに振り向いて「うん。そうだよ、リュカ」と微笑んだ。

ネスはサッと像に向き直し、像を睨みつけた。

 像はその巨体にそんな軽さがあるのかと思うほどの軽々とした動きでジャンプした。ネスもその後を空中浮遊で追いかけ、

 

「【PKフラッシュ】!」

 

 光のPSIを使った。PKフラッシュは像の中心───恐らく、核コアがあるところ───に見事命中した。やがて、像の中心から激しい光が灯り、ネスがスッと上昇すると凄まじい爆音と共に爆発四散した。地上には像を覆っていた石が降り注ぎ、同時にネスも着地した。

 

「オマエなんだろう? ポーキー!」

 

 ビシィッと指を指しキッパリと言い切った。やがて、砂煙が晴れた。

 石像の中から現れたのは変なカプセル。それにクモの足を取ってつけたような禍々しいものが蠢いている。中に入っているのは、小柄な白髪の老人のようだ。

 

「ネ、ネス……!」

 

 リュカは腰が抜けたまま動けない。

 

「大丈夫! 一人ではできなくても、二人だったら立ち向かえるよ!」

 

 その言葉は自分を励ましてくれているのと同時に一緒に戦ってほしいと言っているようだ。

 

「……そう……だよね。二人だったら!」

 

 リュカは立ち上がり、ネスと共に戦闘態勢に入った。

 

 

エリア2 強さがほしい

「【PKサンダー】!!」

 

 二人は同時にPKサンダーを放ちポーキーにぶつけた。ポーキーはひっくり返ったかと思えば、砂のように消えて行った。

 

「ネス!」

 

 リュカはネスに駆け寄った。その時、

 

「はっ! なんかあるかと思って来てみりゃ、くだらねえ友情ごっこやってんなあ」

 

 突然、聞き捨てならない言葉が二人に浴びせられた。

見上げると山らしきところに巨漢の男がいた。ネスは一瞬マリオと思ったが、マリオがそんなヒドイ事を言うはずがない。という事は、アイツはマリオとは別人だ。

 

 

「オレ様だよ! ワリオ様だよ!」

「…………」

 

 一瞬の沈黙。そして、

 

「誰だよ!?」

 

 キャラ崩壊もいいような台詞が飛んだ(しかもどこかで見たことあるような…)。「おい!! コレで二回目だぞ!?」とワリオ。

何が二回目なのかネスとリュカには分からなかった。

 

「まあ、いいや。とにかく、オメーらのどっちかはいただいてくぜ!」

 

 ワリオは手に持ったダークキャノンを二人に向けた。狙いは……ネスに定まった。

 

「まずはオメーからだよ!!」

 

 ワリオはダークキャノンのトリガーを引き、ネスに向かって黒い矢印弾を放った。ネスは黒い矢印弾をくるっと空中一回転とダッシュでかわした。

さらに追い打ち、連続で放つ。しかし、ネスはそれらを全て軽々とかわした。

 チッと舌打ちをするワリオ。

 無言でダークキャノンをリュカに向けた。

それに気づいたネスは黒い矢印弾が発射されるのとほぼ同時に、走りだした。

 

「………っ!!」

 

 まさか、自分が狙われていたとは思いもよらなかったリュカ。

 その時、なぜか、横から衝撃が走りリュカは突き飛ばされた。

それと同時に、ネスに黒い矢印弾が命中、彼はまばゆい光と共にフィギュアに戻ってしまった。

 

「……! ネス!!」

 

 駆け寄ろうとするも、彼の近くにワリオが降り立ち、再び恐怖にとらわれる。

 ワリオはふてぶてしく、そして地味に威圧するような笑いを浮かべながらネスのフィギュアに近づいた。その光景が怖くて、リュカは……、

 

 逃げ出した。

 

「あーあ。ヤッパそういうもんだったんだな!」

 

 背後でビカッと雷が轟く。ワリオはネスのフィギュアを顔に近づけ嫌味を投げかけた。

 

「な!? 言っただろ! くだらねえ友情ごっこだってなア!!」

 

「ワーッハッハッハッハッ!!」と恐ろしい笑い声がリュカにも届いた。

 その声は、動物園内に嫌らしく響いた。

 

 いつの間にか、雨が振り始めた。

 

 どの位、逃げただろうか?

 雨はすっかり止み、リュカはまた一人、悩んでいた。

 バカだ。助けてもらったのに、自分は助けることができなかった。

 ぼくは……ネスに……とんでもなくヒドイ事を……。そう考えて歩いていた矢先。

 

「のわっ!」

「うわあ!?」

 

 やはり、人とぶつかってしまった。

 

「ご、ごめんなさい!」

 

 リュカは深々と頭を下げて謝った。

 

「あはは、別に大丈夫だよ」

 

 ぶつかった人物は、自分よりもかなり年上のような少年だった。

赤いキャップに赤のパーカー。そして、黄色のリュック。

 

「ケガはなかった?」

「あっ…は、はい」

 

 少年の優しい言葉にリュカはどうしていいかわからずにうつむいてしまった。

 と、

 

オオオオオオオオ……

 

 彼の前に、紫の砂……いや、あの人形が現れた。

 

「っ! またアイツらだ…!」

 

 リュカは先程の恐怖がまた蘇った。だから、肩にぽんと少年の手が乗っかった時、すごい安心感があったのだろう。

 

「大丈夫! おれに任せてよ!」

 

 少年は不思議な赤と白のボール───モンスターボールを取り出すとそれを、思いっきり投げた!

 

「ゼニガメ! 君に決めた!!」

 

 ぽん!とボールが開くと中から、水色の体に茶色の甲羅を持った亀───ゼニガメが出てきた。

 

「おれ達の実力! 見せてやろうぜ!」

「ぜにぜにい!」

 

 周りから人形───プリムが消えるのを確認すると、少年はゼニガメをボールに戻らせた。

 

「じゃ、おれはこれで」

「あっ……」

 

 足早に立ち去ろうとする少年を止めるか止めないかで迷うリュカ。 

いや、迷ってる場合じゃない。さっき、友達を失ったばかりじゃないか…!

 リュカは覚悟を決めた。

 

「待って!」

「ん?なんだ?」

 

 少年は待ってくれた。

 

「ぼ、ぼくも…! 一緒に行かせてください!」

 

 突然そんな事を言ったら失礼だとはわかっていた。だが、今は…。ネスを…誰かを守る強さがほしい。

 少年はほほえんで「いいけど、つまらないかもよ?」と冗談めかして言った。

 

「そ、それって…」

「もちろん、オーケーさ!」

 

 少年はグッと親指を立てた。リュカはパアっと明るい笑顔になった。

 

「あ、ありがとうございます!ぼく、リュカって言います!」

 

 リュカは右手を差し出した。

 

「おれはレッド。よろしくな!リュカ!」

 

 少年、もとい、レッドはリュカの右手をガッチリ掴んだ。

 こうして、新しい旅路が始まったのであった。

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