あれから二日が経った。アゲハと次狼の傷は深く、眠りから覚めることなく今もキャッスルドランの奥で静かに横たわっている。かくいう俺もようやく動けるようにはなったが、走ることもままならず、しばらく戦うのは無理だと言われてしまった。こんなところで立ち止まっているわけにはいかないのに……俺らをまとめて圧倒したあの化け物は健在であり、その行方は未だ知れない。何より麗牙が……最悪のタイミングで麗牙が燐子ちゃんのことを知って、しかも再び彼女に拒絶されたと言うのだ。屋敷に閉じこもってしまった麗牙の代わりに出てきたキバットによってそれを知った俺は、居ても立ってもいられず、安静にしていろという指示を無視して外へと飛び出した。
しかし俺は麗牙と会うことは叶わなかった。麗牙の屋敷を目指そうとしても、入り組んだ路地が迷路のように編成され、俺の侵入を拒んでいたのだ。あの屋敷へ繋がる道は麗牙の意識次第で簡単に閉じられてしまう。今は誰とも会いたくない麗牙は、無意識ながらに結界を強めて他人との接触を絶ってしまっていた。故に、俺はどう足掻いても麗牙と話をすることも出来なかったのだ。
「(電話も……出やんよな……)」
結局、行く当てを見失った俺はキャッスルドランへと重い足取りで赴いた。ここには重傷を負って眠りに就くアゲハと次狼がいるはずだ。俺が不甲斐ないばかりにいたずらに傷付けてしまった二人の大切な仲間が……。
幸いにもこの城にはまだ戦力は残っている。城に駐在するファンガイアや他の魔族たち……ラモンや力も未だ顕在だ。今は彼らが、眠りに就く二人の部屋を守護していた。俺の姿を目にした二人は何も言わずに、しかし俺の気持ちを察してくれたからかアゲハの眠る部屋へと導いてくれた。
「アゲハ……」
部屋の外に二人を残し、俺は一人部屋の中心で横たわる彼女の元へと近付いていく。真っ赤な薔薇の花びらが敷き詰められた空間、その中心に彼女は眠っていた。ファンガイアとしての姿ではなく、一糸纏わぬ可憐な少女の姿で、大量の薔薇の花びらにその身を包まれていた。顔以外は薔薇で隠れているが裸体で眠る彼女の傍で膝をつき、俺は大きく溜め息をついていた。
「何言ったらええんか……」
言いたいことは山程ある。自分が不甲斐ないばかりにと詫びも入れたいし、早く良くなってくれとこの場で祈りたいし、そして麗牙と燐子に起きたことを伝えたいし……しかし言葉が定まらないまま時間だけが過ぎていく。
言っても聞いてはくれないだろうけど……。
そう思ったところで、思わぬ事態が起きた。
「……健吾」
「っ、アゲ──っ!?」
静かに俺の名を呼んだアゲハに驚き、その名を呼び返そうとする。意識が戻ったのかと喜んだのも束の間、彼女はガバッと起き上がると俺の首を掴み、そのまま勢いよく床に押し倒したのだ。
「っぐ!? な、何を……?」
傷痕の残る腹部を除き、彼女の白い肌が露わになっているが、お構いなしに俺を床に押し付けるアゲハ。その女子中学生とも思わせるような華奢な身体のどこにそんな力があるのか不思議だったが、その瞳に宿る怒りの感情を前に疑問も消え去る。
「キバットから聞いた……アンタ……知ってたんでしょ?」
「え?」
「っ、燐子が……昔の麗牙を傷付けた少女だって……アンタ全部知ってたんでしょ!」
激しく捲し立てる彼女が何を言いたいのかすぐに理解できた。彼女は俺を責めているのだ。麗牙と燐子の間にあった秘密を俺だけが知って、それを誰にも打ち明けなかったことを。結果、燐子ちゃんはその時まで麗牙があの日の怪物だと気付かず、事情を深く知る間もなく麗牙は再び彼女に拒絶されてしまった。俺がもっと早く皆にその話を共有できていれば、ここまでの大事にはならなかったのだとアゲハは言いたいのだろう。
「なんでもっと……早く言ってくれなかったのよ!」
「言えるかよ……少なくとも、あの時は絶対にな」
最初に麗牙が彼女に拒絶された時、俺は真っ先に少女のことを知ることができた。そして他の王城に住まうファンガイアは、結局その時に知ることは出来なかったのだ。しかし、もし俺があの時言っていれば? 燐子ちゃんはどうなった? ファンガイアの次期キングが人間の少女に泣かされたなどという話が立てば、同族の中の誰かがその矛先を彼女に向けかねない。純粋に麗牙のため、同族の誇りのため、人間を襲う大義名分……何にせよ彼女が殺される可能性があった。それだけは絶対に起きてはならないと、俺は敢えて口を閉ざすことで彼女を守ったのだ。
「じゃあ何? アンタが燐子を守ったって言うの?」
「そうや。お前やって知ってたら何してたか分からんやろっ」
「っ……」
俺の指摘にアゲハは黙り込む。あの少女を……燐子ちゃんのことを恨んでいたのはアゲハも同じだったのだ。麗牙がかつて人間の少女に拒絶されて苦しんだという話を聞いてから、当時のアゲハはまだ見ぬ少女へと怒りの感情を募らせていた。だからアゲハにも伝えた場合、その怒りの矛先が必ずしも彼女に向かないとは思えなかったのだ。麗牙を想う故に、アゲハが燐子ちゃんを手にかける可能性もあったのだから。
「……今は……違う……」
「それ聞いてやっと安心したわ……」
ずっと怒りの表情を見せていたアゲハも、ようやく落ち着いて手に込める力を緩めてくれた。ここにいるのはかつてその少女を恨んだアゲハではなく、燐子ちゃんの友達であるアゲハなのだから。一度好きになった友達を、彼女は殺したいとは思えなくなっていた。
「でも……今になっても俺が言えんかったんは……怖かったからや」
当時ならいざ知らず、今現在でならその真実を一部の人に伝えることはできたかもしれない。キバットや愛音、次狼にも。なんならRoseliaのみんなにだって、それとなく伝えて備えることはできたかもしれない。それを分かっていても出来なかったのは、俺の中に恐怖が残り続けていたからだ。
俺が口を出すことで再び友達になった二人の関係が壊れてしまうこと。それによって二人が酷く傷付くこと。あの時の麗牙みたいなことが二度も起こることがとても怖かったのだ。結局は何もせずともその通りになってしまったのだが……。
「知っていたのに、俺は何もできんかった……」
結局、俺は麗牙のために何も出来なかった。彼のためを思いながら結局何もすることなく、結果として最悪の結末を彼に見せてしまった。こんな無能で役立たずな俺など、今みたいにアゲハに罵られているのがお似合いだった。
なのに……。
「……ごめん」
ポツリと、アゲハの口から謝罪の言葉が漏れていた。言葉の真意が分からない俺に、アゲハは小さく消えるような声で言葉を発していた。
「え?」
「気付けなくてごめん……アンタ一人に全部背負わせて……」
「それは……」
一人で背負ったつもりなんてない。ただ自分の中に押し込めていただけなのに……。だけどアゲハはそれ以上俺を責めることはなく、それどころか麗牙と燐子の関係に気付けなかった自分も責めていた。
「健吾は……頑張ったよ……」
「ぇ」
力なく俺の胸に頭を押し付け、アゲハは呟く。彼女の言葉で胸の奥に吊り下げられた重りが一瞬軽くなったような感覚がしたが、同時に俺の上に急に重圧がかかってきた。何事かと思ったが、彼女の身体が俺の身体にもたれかかっていたのだ。
「……ん? アゲハ? おーい、アゲハー?」
「……」
「気ぃ失っとんな……(無理するから……)」
急にどうしたのかと思えば、既にアゲハの意識は消えていた。無理が祟って再び眠りに就いてしまったようだ。わざわざ俺に確認を取るため、そして自分の詫びを入れるために身体に鞭打って起きていたのだと思うと、胸に込み上げてくるものがある。それになにより……。
──『健吾は……頑張ったよ……』
麗牙のために頑張れたつもりはないが、彼女にそう言ってもらえたことがとても嬉しく感じていた。一人冷や冷やしながら麗牙を見守ってきたが、その言葉でようやく解放されたような気がしていたからだ。
だが、結局俺はただの傍観者でしかない。その言葉はありがたいが、俺に向けられるものではないと内心でその言葉を返上していた。
まあ、それはそれとしてだ……。
「……どないしよか」
冷静に考えてみれば、今のアゲハは人間が生まれたままの姿……要は素っ裸だ。
真っ白で柔らかい肌を俺にべったり貼り付けたまま、あられもない姿で気を失っているアゲハをどう動かそうかと、一人焦りながら考えるのであった。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
CiRCLEのスタジオでは嫌な沈黙が流れていた。私もリサも、紗夜もあこも、皆がろくに動かない手を無理に動かそうとしながら、ここにいない少女に想いを馳せていたからだ。
先に燐子の異変を知ったのは彼女と付き合いが長いあこだった。待ち合わせに来ない燐子が気になったあこは、彼女にメールや電話を何度も繰り返していた。それでも反応が無かったため、あこは直接燐子の家に様子を見に行ったそうだ。しかしそこで見たのは彼女が予想だにしない光景であった。
──ごめんなさい……ごめんなさい……。
自室で布団に蹲りながらひたすらうわ言のように謝罪の言葉を唱え続ける、変わり果てた燐子の姿がそこにあったのだ。前日の雨にずっと打たれていたのか身体は熱に侵されており、親友のあこのことも上手く認識出来なかったらしい。
そんな燐子の様子を聞かされ、練習に身が入る者などここには誰一人としていなかった。親友の変わり果てた姿を目の当たりにしたあこも、今にも泣きそうな顔で喋ることなくドラムの前で項垂れていた。
「白金さん、一体何があったんでしょうか……」
「多分、麗牙とライブ見に行った帰りに……だよね……」
燐子と連絡が取れなくなる直前にこの中で彼女と話したのはリサだ。何かあったとすればそれ以外にあり得ないと、リサの証言からも予測できた。麗牙との間に何かがあった、そう言う風に考えるのが自然だ。
問題は、その麗牙当人にも全く連絡が取れないということだけれど……。
「(麗牙……本当にどうしたの……)」
メールも電話にも応じない、それどころかTETRA-FANGの誰とも連絡が取れないのだ。
嫌な予感がする。
燐子だけでなく皆の身にも何かが起きている。
私の胸を激しく打つ不安は、音楽で繋がった者たちの危機を確実に感じ取っていた。
その時だった。
『お〜い!』
「?」
「今何か聞こえなかった?」
静まりきったスタジオ内に小さく響く声があった。
聞き覚えのある低い男性の声。
いや、その声の正体を知っている私は、それが人のものでないことをすぐに把握していた。
『おーい! こっちだー!』
「……キバット?」
「えっ、あ、ホントだっ!?」
「アレって確か紅さんが変身する時の……」
「ああっ、あの変な蝙蝠だ!」
あの小さな一頭身の金色の蝙蝠が、私たちがいるスタジオのガラス扉をその翼で叩きながら呼んでいたのだ。いきなり非日常が目の前に現れた驚きよりも、ようやく麗牙たちの手掛かりになるそれを見つけたことによる嬉しさが優っていた。ここでキバットを逃す手はなく、私は急いで扉を開けて彼をスタジオに招き入れた。
『あーよかったぁ、気付いてもらえて』
「見れば見るほど本当に奇怪な生き物ですね……」
「蝙蝠っていうより、ちょっと髑髏っぽいかも……」
『るせぇ! ほっとけ!』
「そんなことよりキバット。あなた知っているのよね? 麗牙と燐子に何があったのか」
今までキバットと絡んだことがないであろう二人の純粋な感想に話が逸れかけるが、私はそれを許すことなくキバットに事の真相を訊ねていた。
『ああ、知ってるぜ。それを伝えに来たんだからよ』
そして息を整えたキバットは、二人の身に起きた出来事を、そして二人の間で複雑に絡み合った鎖について語ってくれた。
黒麓大地を名乗る怪物に襲われ、麗牙はファンガイアとしての姿を晒して戦ったこと。
そんな様子を錯乱状態で見ていた燐子は、叫び声を上げて麗牙のことを拒絶したこと。
そしてそれは、彼らが子どもの頃にも全く同じことが起きていたということ。
幼い頃に繋がり合い、しかし悲劇によって分かたれた二人は何の因果かこの現代において再び巡り合い、そしてまた引き裂かれてしまった。そんな悲しい物語がキバットの口から語られていた。
「燐子の言っていた少年って、麗牙のことだったのね……」
「紅さんが語っていた少女が……白金さん……」
数日前に燐子に相談されたことを思い出し、彼女のトラウマの原因となる少年の正体が麗牙であるとようやく知るに至った。それと同時に、麗牙がどうしてあそこまで他人の拒絶を恐れるのかを理解してしまった。彼が好意から反転した拒絶を恐れるのは、幼い頃の燐子に拒絶されたことに起因していた。一度好意を抱いて少女から拒絶されたトラウマが、今の彼を形作ってしまっていたのだ。
私が二人の境遇に合点がいった頃、紗夜も同じように思い返していた。きっと麗牙も、幼い頃のトラウマを紗夜に語っていたのだろう。
「あの黒麓さんがまさか……っ、それよりも二人は知ってたの? 麗牙と燐子のこと」
黒麓という人がどういう人か私には分からないけれど、彼と関わったことのあるリサにとっては少なからずショックな事実であったようだ。しかしそこだけに構っていることなく、麗牙と燐子の件を知っていた私たちに向けて問い質していた。
「私は燐子から話を聞いただけよ」
「私も紅さんから……ただ、その様子ですと二人とも互いのことに気付かなかったようですね……」
『ああ全く、その通りだ……』
敵から受けた傷もあるがそれ以上に精神的に負った傷が大きすぎて、麗牙はずっと塞ぎ込んだままだとキバットは言う。心身共にボロボロの彼は、もはや生きていると言っていいか分からない程に打ち拉がれているのだとも。
「麗牙がそんな……」
想像し得ない麗牙の現状にリサも悲痛な表情を浮かべていた。話を聞く限り今の麗牙は、以前に襲われて心が壊れかけたリサと似たような状態なのだろう。自分を救ってくれた彼が今、かつての自分と同じような絶望の淵にいる。それがどれほど辛いことか痛いくらい理解できるからこそ、リサは麗牙を想って身体を震わせていた。
「りんりんが謝っていたのって……」
「白金さんは今も、紅さんへの罪悪感に押し潰されようとしているのですね……」
燐子がずっと壊れたように謝り続けているのも、紗夜の言う通り麗牙への途方もない罪悪感故であろう。燐子は心から麗牙のことを嫌って拒絶の言葉を投げかけたわけではない。それくらいは直接その現場を見ていなくとも、普段の彼女を見ていれば自ずと理解できることだ。しかし結果として麗牙を拒絶し、彼を傷付け、そしてそれを理解した燐子は、もはや自分という存在そのものに失望と絶望を感じてしまっていた。
「(こんな時、どうすればいいの……)」
二人の負った傷はあまりにも大きすぎる。単純な失意だけではない。過去からの因縁、トラウマ、自身への失望……計り知れぬ感情という魔物が今の二人に襲い掛かっているのだろう。
私たちに何か出来ることはないのか。
Roseliaとして、そして音楽で繋がった仲間として、彼らが立ち上がるために何か出来ることはないのか。
それを模索しようとしていたところで、思わぬ声が上げられた。
『友希那。麗牙の所に行ってくれねぇか?』
「え?」
突然キバットが私を指名し、麗牙の元へ行くように言ったのだ。私を始め、その部屋のみんなが驚愕してキバットを丸い目で見つめていた。
『そ、そんな目で見るなよっ、照れるだろぅ? ……い、いやぁ……麗牙の代わりに屋敷から出てきたのはいいんだけどな。その途端に結界から閉め出されちゃって……オレ様、帰れなくなっちまったわけよ。だから友希那……オレ様を麗牙の家まで連れ帰ってくれないか?』
「どうして私なの……?」
『あれ? ちょっとボケたつもりだけどスルー? まあいいか。いやな、友希那しかいねぇからだよ、あの結界を超えられるのは。ブラッディ・ローズの音色が聴こえるお前だけがな。だから友希那、麗牙のところまで行って、アイツのこと一発張り倒してやってくれ』
確かに麗牙の家には何度か行ったことがあるけど、それが今の麗牙に会える理由になるというのか? 結界? とかよく分からないけど、キバットでさえ辿り着けなくなっている麗牙の元に、自分が辿り着けるという自信が持てなかった。
『麗牙も言っていたんだ、お前には何かがあるって。もう一度、あの薔薇の音に耳を澄ますんだ』
「薔薇の音に……」
キバットに言われるがまま私は耳を澄ませていた。彼の家から大きく離れたこのスタジオで耳を傾けたところで何も聴こえるはずなどない。
それくらい分かっているはずなのに……何故だろうか……私は今、真剣に耳を澄まし、あの薔薇の音を探そうとしていたのだ。
私を何度も導いてくれた、あの薔薇を……。
そして……。
♬〜〜♬〜〜
「っ!? 今……ブラッディ・ローズが……?」
私の耳に、あの名器の旋律が流れてきた。
何故だかハッキリと分かったのだ。今のは単なるヴァイオリンの音とは違う、正真正銘、麗牙の側にあるあのヴァイオリンの音色だと。
私の心を掴んで離さない、麗しい薔薇の旋律だと……。
「えっ、嘘? 何も聴こえないよっ?」
「本当に聴こえたのですか? 湊さん」
「ええ、間違いないわ」
『よっしゃやっぱりだ! よしっ、じゃあ行くぜ友希那っ!』
「え? ちょっ!?」
私にあの音が聴こえたと知った途端、キバットは私の袖を足で掴んで外に引っ張ろうとする。慌てて引き剥がそうとするも彼の力は想像以上に強く、そのまま成されるがままにスタジオの外に連れ去られそうになっていた。
「待っ……私も行きます!」
「えっ、紗夜も!? アタシは──」
「リサ姉っ、あこたちはりんりんのところに行こう?」
「……うん、そうだね。麗牙のことは二人に任せよっか」
あまりにも突然訪れた契機だが、この後に及んでは流れに身を任せるしかなかった。麗牙を立ち上がらせるのが私しかいないというのなら、それを断る手はない。どの道、彼には話したいことや伝えたいことが山ほどあるのだから。キバットの言う通り、本当に張り倒してしまうかもしれないが、それで彼が立ち直るというのなら……っ。
「リサ、あこ……燐子のこと、頼むわね」
「うん、任せて友希那♪」
「あこたちも早速行こう!」
こうして重い空気が流れていたはずのスタジオを飛び出し、私たちはそれぞれの目的を果たすために走り出した。
二人の絶望を打ち払うために……。
二人がもう一度立ち上がるために……。
そして、二人が真の意味で再会を果たすために……。