月から聖杯戦争のマスターが来るそうですよ?   作:sahala

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 皆様、お盆休みをいかがお過ごしでしょうか? コロナウイルスによってあまり外出してない、という人がほとんどだと思いますが、そんな方でも自分のssを楽しんで貰えれば幸いです。
 最新話の代わりに、今まで温めていたネタを昔話風に書き上げました。自分で書いていて、何だこれ? な代物ですが、どうかお楽しみ下さい。


おつきさまのむかしばなし

 それはとてもむかしむかし。まだ神さまがたくさん生まれていた頃。

 神さま達は自分の神話(せかい)こそが正当(絶対)だと主張して、毎日の様に争っていました。

 そうしていく中で沢山のお星さまが生まれては消え、神さまに付き従う人間(子供)達の文明も生まれては消えていきました。

 

 ある日、ふと空を見上げて、神さま達は首を傾げました。

 

“あれは何だろう?”

 

 空に浮かぶどの星よりも明るくはっきりと見え、どの星よりも大きく見えるまん丸なもの。

 いつの間にか浮かんでいた“ソレ”に、あれはどこの神さまが作ったのだろう? と思いながら、おそるおそる“ソレ”に神さま達は触れてみました。

 

 そして―――“ソレ”が何をしているか、分かってしまいました。

 

 “ソレ”はずっと前から―――神さま達にも分からないくらい、ずっと前から―――神さま達や人間達の事を見ていて、それを全部記録していたのです。

 神さま達は大変驚き、“ソレ”を作ったのが誰か分からなかった事に慌てて―――“ソレ”をどうにか自分だけの物に出来ないか、と考え始めました。

 もしも“ソレ”を手に入れる事が出来たら、敵の神さま達の事も全部分かるし、そうなれば何でも思い通りにする事が出来てしまう。自分だけでは限界のある事も、“ソレ”の力を手にすれば限界なんて無くなる。そう気付いてしまったのです。

 

 “ソレ”を手に入れようと、さらにたくさんの争いが起きました。中には神さまとは呼ばない者達も戦いに現れ、地上にたくさんの血が流れました。それなのに、“ソレ”の中枢には誰も入れません。神さま達は“ソレ”が何をしているのかが分かっても、“ソレ”を自分だけの物にする事がどうしても出来なかったのです。

 “ソレ”と同じ物を作ろうとした神さまもいました。しかし、“ソレ”を詳しく調べていく内に、“ソレ”は自分達では―――恐らく、遠い未来であっても―――到底理解しきれず、同時に作り出す事も叶わないと思い知る羽目になりました。

 

 

 そうして長い年月が流れ、ようやく神さま達は“ソレ”を独り占めするのではなく、皆で分けて使おうと考えます。

 何度かの話し合いの後、神さま達に馴染み深い方法で権利を十五個に分けて、その権利を持った者だけが“ソレ”に触る事が許される様になったのです。時を同じくして、“ソレ”に“月”という名前がつきました。

 そんな風に色々の事が取り決められましたが、“ソレ”―――お月さまは、そんな神さま達の争いなんて知ったこっちゃない、と言う様にずっと観察を続けていました。そして月に触れる権利を手に入れた神さまは、そんなお月さまを大事にしようと思いました。

 中枢に入れないとはいえ、表側にある情報だけでも神さま達もとっくの昔に忘れてしまった事や、敵となった者達の弱点となる情報を知る事が出来たし、何より今は無理でもいつかはお月さまの全部を手に入れられる機会を合法的に得たのです。大事な、大事な権利を手放さない様にしようと神さま達は心に決めます。

 

 神さま達は自分達の権利を“月の主権”と名付け、同時に“月の主権”で色々な事を決められる様にしました。

 海の満ち干きや地球(ほし)の重力、季節や時間の決め方、さらには神さま達の宇宙(せかい)のカタチや法則なども“月の主権”を基に決めていきました。そうする事で神さま達はより強くなり、神さま達に付き従う人間達の生活も豊かになっていきました。そしてますます神さま達はお月さまの事を大事にしました。

 

 神さまも人間達もお月さまのお陰で笑顔になっていきました。でも―――白夜の王様は面白くない顔でした。

 自分の力の源であるお日さまを差し置いてお月さまがチヤホヤされてるのは面白くないし―――何より、どの神さまやお星さまよりも先に生まれた自分ですらも何なのか―――そもそもいつ置かれたのか、すら分からない“ソレ”が白夜の王様には気味が悪い物として見えていました。

 そんな白夜の王様の話を何人かの神さまは真剣に聞いてくれましたが、ほとんどの神さま達は聞く耳を持ってくれません。

 

 何故なら―――昔の白夜の王様は、永く太陽の力を独り占めにしてきたし、そして自分の力を守る為に多くの神さま達を虐めていたのです。だから、多くの神さま達は白夜の王様の事が嫌いでした。そんな嫌われ者の白夜の王様の言う事なんて聞きたくないし、何よりお月さまの全部を手に入れれば、今まで自分を虐めてきた白夜の王様を出し抜けるんじゃないか? そう思うと、白夜の王様の言う事にみんな耳を傾けようとは思いません。

 

 不満顔の白夜の王様を差し置いて、お月さまの影響はますます大きくなりました。どの神さま達も“月の主権”を欲しがったし、その神さまを信仰している人間達の文明はとても大きく、立派なものへとなっていきます。

 

“ああ―――なんて便利なのだろう”

 

 “月の主権”を手に入れた神さま達は、お月さまの機能に喜びました。

 

“ああ―――なんて美しいのだろう”

 

 地上の人間達は、お月さまによって栄えた自分達の文明とそれをもたらしてくれた神さまに感謝の祈りを捧げました。

 

“ああ―――なんて美味しそうなのだろう”

 

 ―――はるか遠く。空の彼方で星々を巡っていた彗星は、お月さまを見て涙を流しました。

 

 




 これだけではイミフだと思うので、一つだけ。
 Fateの“お月さま”とは性能が少し異なる、という感じです。
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