学園黙示録~ANOTHER OF THE DEAD~   作:聖夜竜

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お待たせしました!最新話です!

今回から新章突入!これからは拠点を舞台にしばらく平穏な話が続きます。




第3章 海動邸
ようこそ我が家へ


 

 ──前回、マイクロバスを捨てて危険地帯から逃げ出した明達。どういう訳か避難民らしき人間や〈奴ら〉と思わしき見るも無惨な死体があちこちに転がっているこの道路を全員で歩いていた。

 

「海動君……そろそろ私達に教えてください。あなたは明らかに普通の人間じゃありませんよね?」

 

 武器を手に警戒はしているものの、今のところ〈奴ら〉の気配がこの近辺から全く感じられない為か、一番前を歩く明に智江が若干怯えた表情で問い掛ける。

 

「その赤い目もですけど、ゾンビに対して落ち着き過ぎで……海動君はこんなことになった今が怖くはないんですか?」

 

 智江の聞きたいこと……それはここにいる全員が気になっていた事でもある。

 

「………」

 

 明は無言のまま死体だらけの道路を進むが、やがて道の曲がり角を右折してから口を開く。

 

「お前らは俺が怖いか? ま、どう見ても普通じゃねぇからな……だが今はダメだ。夜にはちゃんと話すからそれまで待っててくれないか?」

 

「……本当に? 約束ですよ?」

 

「おう。もう少ししたら俺の家だ」

 

 頷く智江や仲間達。すると今度はバスの中で紫藤に衣服を引き裂かれ、露出してしまった胸元を腕で何とか抑えつつ、音を弾ませてHカップの巨乳を揺らし続ける京子が質問してきた。

 

「ところで海動君? 私達女性はいったいいつから“あなたの女”になったんですか?」

 

「!?」

 

 いきなりの事で動揺したのか、隊列の先頭を歩いていた明が思わず立ち止まる。

 

「そ、そんなこと言ってたか?」

 

「「「「「言ってた」」」」」

 

 冷や汗を流して聞き返す明だが、女性陣は揃ってはっきりと頷く。最早言い逃れはできない。

 

「うっ……そ、それはだな……」

 

 言い訳らしい言葉が思い付かずにたじろぐ。するとそれを尻目に今度は静香が興味津々な様子で明の隣に駆け寄ってきた。しかも彼女に至っては露出した胸元を腕で隠そうともせず、暴れるままにJカップの爆乳を乱暴に跳ね揺らしており、それを間近で見せられる明にとっては非常に厄介な事この上ない。

 

「そうそう。それに私の事なんて『静香』って呼び捨てにしてたし……でも、あの時の海動君かっこよかったから許しちゃう♡」

 

「フフ♪ そう言えば海動。アンタ、時々アタシのこと気安く名前で呼び捨てにしてくるわよねぇ? ひょっとして胸の大きい年上のお姉さんタイプが好みとかぁ?」

 

「「「!?」」」

 

 静香と美玖の大胆発言を聞き、明に密かな恋心を向ける麗、智江、敏美の巨乳美少女三人が実にわかり易い反応を見せて明の傍に慌てて駆け寄ってきた。

 

「そ、それなら私だってみんなに負けないくらいおっぱい大きいし! 今は留年しちゃったから同級生だけど、本当は夕樹先輩や毒島先輩と同じだから大丈夫なはず……ねぇ明、そこのところどうなの!?」

 

「海動君、前々から思ってはいましたけど……やっぱりあなたは女の敵です。元学級委員長として、今後もしっかり監視させてもらいますからそのつもりで」

 

「ひどいよ海動君……私や美鈴との事はお遊びだったの……? あんなにデートしてたのに……うぅ」

 

 三者三様の反応で明を取り囲む可愛らしい仕草の巨乳美少女達。その後方では明に対して普段からあまり良く思っていない美鈴が何やら暗い表情で深い嫉妬の念を明に向けていた。

 

(敏美……やっぱりまだそいつのこと諦めてなかったんだ。あんなに二人の仲を近付けないように妨害してたのに……一番仲良しの私より、そんな不良で悪い男を選ぶんだ……渡さない、敏美は絶対に私だけのものなんだから……!)

 

 この時、女性陣の対応で動揺していた明は美鈴の内なる感情に気付けなかった。もしもこの時点で美鈴の違和感を察知していたら、この後敏美があんな悲劇に巻き込まれずに済んだのかもしれない……

 

「おい、みんな頼むからそれ以上誤解を与えるような事は言わないでくれ。それにデートって……別に学校帰りに同じ駅前のゲーセンで偶々会って偶々遊んでたってだけじゃねぇか。だいたい俺は特定の女と付き合うつもりなんざ──」

 

「あなたたちッ! 学校帰りにそんな場所に寄り道してたんですか!? 海動君、後でゆっくりお話を聞かせてもらいますッ!」

 

「おいおい……勘弁してくれ」

 

 ついには真面目な性格の京子までもが明を巡る会話に加わり、収束が付かなくなってしまう。その様子を他の女性達より後退した位置でニヤニヤと見守っていた美玖が悪戯っぽい笑顔で愉しげに言う。

 

「あら、じゃあいっそみんなでハーレムぅ? アタシは面白いから別にいいけどぉ?」

 

「「「「「~~~~ッ!?」」」」」

 

 ……これ以上はさすがに我慢できなかったのだろう。顔を真っ赤にして怒る女性陣からジト目の集中光線を浴びてしまう中、その何とも現実離れしている緊張感の無い男女間の空気に入り込めないでいるのは不良生徒の森田と今村両名。

 

 たとえ女性関係で軽蔑されようが、それでも何だかんだ藤美学園が誇る巨乳揃いの美少女美女達にしっかりと挟まれて歩く明に対し、同じ不良の男として完全敗北を悟ったモテない男子二人は恨めしそうに内心呟くのだった。

 

((おのれ海動許すまじ……ッ!))

 

 そんな話を全員で繰り返しているうちに空も完全に暗くなった夜の18時過ぎ──ようやく長い旅路を終えて明達がひとまず安全な海動邸に到着した。

 

 まだ床主市内でパンデミック発生から僅か1日目の出来事である。

 

 

 

 

 

 明の自宅はこの近所でも一際目立つ大きな洋風の屋敷だった。まずは厳重に閉められた鋼鉄の門を開き、〈奴ら〉の侵入した気配を感じない広大な庭を少し歩いた距離にその立派な家は建っている。

 

「ここだ。着いたぞ」

 

「うわぁ……」

 

「すごい……」

 

「あらまぁ……」

 

「うそ……」

 

 玄関前に集まった女性陣が驚きのあまり思い思いに感嘆する。この場所からも距離的に遠い沙耶の実家──県下最大勢力を誇る国枠右翼団体『憂国一心会』本拠地である高城邸には当然ながら規模で負けてしまうが、個人住宅という意味では明の家はなかなかの規格外だった。

 

「ねぇ海動君、あなたの家族は何してる人なの? こんなすごい家に住んでるんだから、きっとお金持ちよね?」

 

「ん、まぁ……」

 

 口調からして明らかにワクワクしている静香の質問を受けて途端に歯切れの悪くなる明。どうやら家族関連の話題はあまり好きじゃないらしい。

 

「あっ……みんなに話しておくと、明の両親はずっと海外暮らしなの。中学生になったくらいから私も全然来てなかったけど、小さい子供の頃はよく幼馴染みの孝や沙耶も連れて遊びに来てたから……なんだか懐かしい」

 

「っ……今はその話はいいだろう。家族なんざ俺には……」

 

 麗がみんなに説明する傍らで独り落ち込んだ表情で寂しげに呟き、明は懐のポケットから家の鍵を取り出してドアを開ける。

 

 玄関ではそれぞれ靴を脱ぐ事に。非常時ではあるが、この時点で〈奴ら〉に侵入された痕跡は見当たらない為、靴を脱いでも大丈夫だろうと判断した。

 

「よし、とりあえずリビングで作戦会議だな──っておい!?」

 

「うわ~綺麗~!」

 

「見てみて! 家具もすごいよ!」

 

「それに部屋も広いし言うことなしね!」

 

「これからここで暮らしたいわね~!」

 

 玄関で全員を一階のリビングに案内すると、またしても女性陣が楽しそうにはしゃぎ始めた。

 

「……お前ら、人ん家で随分楽しそうだな」

 

 呆れ顔の明は額に手を置いて溜息を吐く。それからちょっとした興奮状態にある全員をふかふかな高級ソファーに座らせて話を進める。

 

「とりあえずDay1はここに籠城だ。災害対策用の物資なんかは一通り備蓄してあるから後で確認しとくか」

 

 喋りながらリビングに置いてあったノートに黒のボールペンで今後の予定などを細かく書き記していく。

 

「おっと……忘れてた」

 

 そしてふとボールペンを止めた。

 

「電気ガス水道がまだ使えるうちにさっさとやれる事するか。あ~、すまんが女達は先に風呂でも入ってくれると助かる」

 

「「「「「「「えぇっ!? お風呂!?」」」」」」」

 

 明がノートに目を通したまま全員に伝えると、突然ソファーから立ち上がる女性陣。まさかこの状況下で入浴できるとは思ってもいなかったのだろう。全員それはもう大喜びという表現で歓声を上げていた。

 

「あっ……でもあの、私達で一人ずつ順番に入ってたら時間が掛かっちゃうんじゃないかな?」

 

「ん? ああ、ウチの風呂場は無駄に広いからその点は多分問題ない──っと、女は全部で何人だ? 7人か……だったら何人かは先に身体を洗って、その間に残りは先に風呂に入ればいいだろ」

 

 敏美の指摘に冷静に答えると、続いては美玖からの質問が飛んでくる。

 

「ねぇ海動ぅ。アタシ達の制服、みんな〈奴ら〉の血とか汗でべっとりなんだけどぉ、ちゃんと全員分の着替えはあるんでしょうねぇ?」

 

「うっ……」

 

 そこで初めて明の眉間に嫌そうな皺が寄った。察するに女性達の衣服や下着類は全く用意していなかったらしい。尤も、パンデミックが発生する以前から不良学生の明が一人で女性用の衣服や下着までしっかり買い漁っていたとしたら、それこそ確実に周囲から気持ちの悪い変態扱いされて最悪警察のお世話になってしまうので、それは今回やむを得ない事情だったりする。

 

「え~!? 私達の着替えないの~!?」

 

「……すまん。今日は全員その格好で過ごすしかないだろう」

 

 素直に謝るが、普段から見た目に気を使う年頃の女の子達は案の定不満そうな仕草を見せる。

 

「……男物でよければワイシャツくらいは数日分用意してあるぞ。下着はさすがに今ので我慢してもらうが……どうする? もしくは風呂を諦めて今の格好で過ごすかだな」

 

 仕方ないとばかりに溜息を漏らす明が伝えると、女性陣はどうするかの話し合いをする事にしたらしく、ソファーから離れてひそひそ話を始めた。

 

 その間に明の正面に座っていた森田と今村が祈るような仕草で何やらブツブツ呟いている。『神様お願いします』という言葉が微かに聞こえてくるところを考えるに、どうやら二人のいつもの悪い癖が始まったらしい。

 

 明も別に女体に興味ない訳ではない。美少女達との性行為も必要とあらば今までの長い人生で経験してきたし、実際それがストレスを抱える彼女達の精神安定剤にもなる。

 

 安全な拠点に到着した時点で明達が危惧すべきは人間関係の縺れだろう。今のところは大丈夫そうだが、いつ些細な事で内輪揉めが勃発するかわからないのだ。明としてはむしろそちらの方が〈奴ら〉との戦闘よりよっぽど難儀な問題だった。

 

「………」

 

「明、お待たせ。話し終わったわ」

 

 その間にも女性陣が戻ってきた。彼女達を代表して麗がどうなったのかを報告していく。

 

「とりあえず、みんなワイシャツを借りて着る事で納得したわ。それから私達が今着てる服なんだけど……」

 

「お前らが着ている服に関しては後で俺が洗濯して綺麗に乾かすから、今日明日は全員ワイシャツと下着で我慢してくれよ?」

 

「うん、ありがと明。それとね? 鞠川先生と林先生の新しい服も欲しいって……破かれちゃってるし」

 

「あぁ……わかった。それも含めて後日ショッピングモールに行って着替えや食糧でも調達するさ。それよりほら、早いとこ風呂行かないと時間なくなるぞ?」

 

 そう言って明に促された女性陣は各々が感謝の言葉を伝えてから全員で風呂場に向かっていく。

 

「これは……騒がしくなりそうだな」

 

 彼女達が楽しそうに談笑する後ろ姿をリビングで見送り、明はやれやれと溜息吐いて天井を仰ぐ。この世界でパンデミックが発生してから久しぶりの戦闘、続けて一時的な能力を行使した事での身体にくる急激な負担……

 

 実のところ肉体的に疲労困憊な明は本当ならここで一眠りしたいのだが、それが簡単に出来ない事も明は理解している。今までもそうして誰かの為に、身体と命ある限り孤独に頑張ってきた。

 

(仕方ねぇ……色々怖い目に遭っただろうし、可愛らしいお姫様達の為にもう一仕事するか)

 

 重い腰を上げて今一度立ち上がる。肩から羽織った藤美学園の学ランをソファーに脱ぎ捨てた明の向かう先はキッチン──と、その前に。

 

「森田、今村。休んでるところ悪いが2階に行って誰も使ってない部屋から荷物をここに運んどいてくれないか? 女達が風呂を出たら全員に配る荷物や武器の確認をしておきたい」

 

 振り返って声を掛けると、森田と今村は何やらコソコソと怪しい動きを見せている最中だった。ビクッとしながらも二人は言われた事に応じる。

 

「い、いいけどよ……そしたら海動はどうするんだ?」

 

「ん? 俺か? 俺はまぁ──料理の時間だ」

 

 ニヤリと笑い、明は血や汗を染み込んだ汚いワイシャツの上から調理用のエプロンを着用するのだった。

 

 

 

 

 

 




次回、美少女だらけの入浴タイム。エロとポロリしかないよ!

そして幸せを楽しむ彼女達に音もなく忍び寄る怪しい人影がひとつ、ふたつ、みっつ……?
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