音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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十話までのアンケートはブルーとレッドに決まりました。
皆様のご意見、参考になりました。
また新しいアンケートを用意したので投票して下されば幸いです。


11thLive LOUDER

「んじゃそろそろ休憩にしよっか」

 ある日のロゼリアの練習中、リサの号令にメンバー全員が楽器を鳴らす手を止める。

 紗夜はぶら下げていたギターを下して立て掛けると友希那に近づく。

「湊さん、今後の事でお話がしたいのでよろしいでしょうか?」

「いいわよ、カフェにでもいきましょうか」

「ああ、アタシも行くよ!」

 そう会話をしつつ、友希那、紗夜、リサの三人はスタジオから出て行き、あこと燐子の二人だけが残された。

 

 

 

 紗夜に言われ、カフェテリアに来た友希那とそれについて来たリサ。

 適当な席に座り会話を始める。

「それで今後の話と言うのは何?」

「いえ、湊さんの名誉にも関わると思ったので、二人には少し嘘をつきました」

「紗夜?」

「単刀直入に聞きます。先日のあれは何ですか?」

「あれ? 何の事かしら?」

「怪しい仮面を着けていた時の事です」

「……知らないわ。別の人と勘違いしたんじゃないかしら?」

「一度だけ喋りましたがあれはどう考えても湊さんでした」

 簡単には逃げられないと悟ったのか友希那は話す。

「そうね、あれは私よ」

「ではなぜ?」

「エクスードにやられたのよ」

「エクスードだなんて……宇田川さんと同じ事を言って……」

「貴女、この間被害にあったじゃない」

「あれはその……質の悪い夢です!」

(紗夜、この間のあれは相当堪えているみたいね……)

隣にいるはずのリサでさえ入れなくなっている話術戦の最中、友希那の脳裏に声が響く。

『ユッキーナ、このロン毛すごい食い下がってない?』

「この場を抜ける方法は……」

『またいつもの様に電話する?』

小声で呟き、小さく頷くとポケットに手を入れる。

「湊さん?」

「ごめんなさい、スタジオにスマホを置いて来たみたい、取ってくるわ」

「ちょっ、湊さん!」

そうれだけ言うと、そそくさとスタジオへ戻って行った。

その戻り道、廊下には誰もいない事もあって友希那はバラネコに対して独り言を言いつつ進んでいた。

「紗夜……私を疑ってるわね」

『そのくせエクスードの事は信じないないなんてロン毛ってめんどくさいね』

「紗夜をロン毛と言うのは止めなさい」

そう言っている間にスタジオ前に立ち、ドアノブを握りしめると開錠した。

 ガチャンッ! 

 スタジオと廊下を隔てる防音性の重いドアが開けられた音がして二人がそこを見ると友希那が目を見開いて立っていた。

「ゆ、友希那さん……!」

 燐子は目をひたすら動かして辺りを見渡すと、椅子の上に友希那のスマホが置かれていた。

 それを見た燐子は友希那から目を離さずに忍び足で椅子に近づいてスマホを手にすると後ろからこっそりと渡す。

「ゆ、友希那さん……スマホ……忘れてますよ……」

「ええ、ありがとう」

 友希那は普段と変わらない抑揚で言って淡々と受け取る。

「あこ……貴女……!」

「友希那さんって……」

震えるあこは叫んだ。

「音撃戦隊の事が好きなんですか⁉」

「え?」

あこの思わぬ答えに

「え、ええ、そうね。あこは何か知ってるの?」

 

 

 

 

 練習を終え、自宅に帰って来た友希那は自室でバラネコと今日の出来事を話していた。

「いやー、今日は危なかったね!」

「全くね」

「やっぱりユッキーナ、皆に告白するってのは……」

「無しよ」

「でももう隠しきるのは無理があるんじゃない? おチビちゃんと美人さんにブルーローズを見られるし、ロン毛の人に至っては思いっ切り疑ってたじゃん!」

「紗夜をロン毛と言うのは止めなさい。……と言っても、ブルーローズを持っていたらまた問い詰められる可能性が高いわね」

「ま、バレたら笑って自慢しちゃお!」

 バラネコは笑いながら軽々しく言って室内をうろつき出す。

「何を言ってるのよ。正体をバラされないようにと言った私がそれを破ったら戸山さん達に顔が立たないわ」

「アハハ、大丈夫でしょ。カスミンそういうの気にしなさそうだし」

バラネコは最終的には机の上に乗ると一枚のCDを見つけ、友希那に聞き出す。

「ん? ユッキーナ、これ何?」

 バラネコの質問にそれを確認する為立ち上がり、机の方に行くと手に取る。

「何かの曲? 名前は?」

「LOUDERよ」

「へぇ~、どんな曲なの? 出来れば今度皆に上手い事言って歌ってみせてよ!」

「生憎だけどそれは出来ないわ」

「え⁉ 名前から分かるカッコいいやつだと思うのに!」

「……この曲は封印したの」

「封印? もしかしてうまく歌えなくて黒歴史に……」

「違うわよ。これは私の始まりとなった曲なの」

「始まり?」

「そうね……まずは……」

 LOUDERに興味が絶えないバラネコに友希那は自分、ひいてはロゼリアの軌跡を話し始めた。

「私は元々、父の無念を晴らすためだけにバンドを始めたの」

「パパッキーナの無念?」

「ええ、それまで私は周りの事なんてどうでもよかった」

 席に着き机上のバラネコの喉を撫でる。

「けれど、隣には何時もリサがいて、そこからあこが、燐子が来て、紗夜とも巡り会えた」

「リサリサはともかく、三人はロゼリアじゃなきゃ会えなかったと思う?」

「そうね、もし過去の私の行動が違っていれば会えなかったと思う。それに……変われなかったと思う」

「変わってよかった思う?」

「ええ、これは絶対に言えるわ」

「それで、このLOUDERってどんな曲なの?」

 バラネコは一番の疑問をぶつける。

「これは……LOUDERは今の私を作った父の歌なの」

「そっか……これがユッキーナのビギニングナイトなんだね」

「ナイトと言うよりソングね。この曲はもう役目を終えたの」

「役目って?」

「FWF……私達はあなた達が来る前に大きなライブイベントに出たの、そこで私達は一つの事を決めた」

「……」

「私達は一つの目標を達成した。けれど、ロゼリアはこの先も続いていく、始まりだったこの曲も役目を終える時が来たと……」

「それが封印の理由……」

 バラネコがポツリと呟くと友希那は軽く咳払い、立ち上がりベッドに向かう。

「……少し話し過ぎたわ。今日は寝ましょう」

「……カッコいい」

「え?」

「今のユッキーナ、メッチャクールでハードボイルド! 分かった! 私も応援する……」

 夜にも関わらず大声で宣言をするバラネコに友希那は口を無理矢理押える。

「し、静かに! 近所迷惑よ!」

 だが友希那の脳裏に一つの疑問が残っていた。

(どうして私の机の上にLOUDERが置かれていたのかしら……?)

 

 

 

 エクスード達の拠点である地下帝国、そこの玉座では

 歌を歌いながら小躍りをするアンコウの様な光りを頭につけたエクスードを前にクラムは難しい顔をしていた。

「……ねぇ、ウォップそれって何……?」

「LOUDERよ」

「……そっか」

 その様子に見ていられなくなったのかクラムの隣に立つシーが止めに入る。

「止めて下さい」

「何でよ」

「クラム様は音楽がお嫌いなんです。その不快な音を止めなさい」

「はあああああ⁉」

 それが気に入らなかったのかアンコウ怪人のウォップが発狂をし始めた。

「アンタ! 私の事ならともかく、ロゼリアを馬鹿にするなんて! 殺すよ!」

「してません。ただここで歌うのを止めなさいと言ってるだけです」

「それを馬鹿にしているって言うんだ!」

 ウォップは左手をかざして紫色の光弾をシー目掛けて放つ。

「フッ」

 しかし、それを軽々と素手で叩き落とす。

「謝れ! 謝罪しろ!」

「……ではこうしましょう」

 シーは頭を抑えながら言う。

「音撃戦隊の事はご存知ですよね?」

「ああ、ふざけた五人組だっけ?」

「はい、その者を始末出来たら、我々の無礼を謝罪しましょう」

「……本当に?」

「ええ、何でしたら私達に布教して貰っても構いませんよ」

「分かった! 約束だかんね!」

 ウォップはそう指差しつつ言うと、玉座の間から出て行き、二人きりになった中でクラムがシーに聞く。

「あの子、ロゼリア? にご熱心だね」

「人間の音楽に惹かれるなんて理解できませんね……」

「ねぇシー」

「何でしょうか?」

「音楽って危険だね」

「はい、だから彼女も歪んでいるのでしょう。……いや、歪んでいるのはコナモの部下だからか……?」

 後半は聞こえない声で呟く。

「僕さ音楽を聞くと、体がゾワゾワすると言うか、何だか気持ち悪くなるんだ」

「それは貴方が、悪意に敏感だからですね」

「音楽は悪意、かぁ……」

 

 

「燐子、紗夜は?」

 

 

 

 江戸川楽器店の前で変装を解いて本来の姿になると、手を叩いて複数のピラーを呼び出し、周囲の人々と店内を襲い始めた。

 楽器を破壊して暴れるウォップの元に駆け付け友希那を除いた音撃戦隊四人が横に並ぶ。

「そこまでだよ!」

「それ以上、楽器を壊さないで!」

 香澄と彩に怒鳴られ、ウォップは叫ぶ。

「うっさい!」

「貴女はどうして、楽器を壊すのかしら?」

「ロゼリア以外の害悪は耳障りなのよ!」

「何コイツ……ロゼリア推し……?」

 ウォップの返答に蘭が引いていると、友希那が遅れてきた。後ろに紗夜に連れてきている事に気づかず。

「待たせたわね」

 友希那が横に並ぶとウォップの様子が変わった。

「あ、貴女は……!」

 ウォップは目を見開いているがそれに気づかず五人は叫ぶ。

「音撃チェンジ!」

 物陰に隠れて五人の変身を全て見た紗夜が口に手を当てて驚いているが、五人はそれに気づかず武器を構え相手に向かって行く。

「邪魔!」

 それぞれ戦っていると、ウォップが友希那にしがみつく。

「友希那だー!」

「なっ⁉」

「アンタ何してんの⁉」

 友希那にハグをするウォップを引きはがそうと蘭が腕を掴んだその時

「触るな!」

 

 

 それぞれ、必殺技の準備を始め、構えた。

 一方でウォップも右手をかざそうとする。

 武器が光だし、後は振ればいい所までになり五人は技を放った。

「はああああああ!」

 

 

 

「うわあああああ⁉」

 だが、香澄のは彩に、彩は蘭に、蘭はこころに、こころは香澄に当たり全員が吹き飛び元の姿に戻ってしまった。

「な、何で彩先輩を……?」

「わ、分からない……さっきまでエクスードが目の前にいたはずなのに……!」

 よろめきながらも蘭とこころは立ち上がり、香澄と彩を起こすと周囲を見渡す。

「アイツは……逃げたみたいだね」

 蘭が呟くと香澄が叫ぶ。

「ちょっと待って! 友希那先輩は⁉」

 香澄に言われ改めて周りを見ると友希那の姿が無かった。

「ホントだわ! 友希那がいなくなっちゃった!」

「友希那ちゃん⁉」

「まさか、アイツにさらわれた……?」

 

 

 

「はああああああ!」

 友希那は必殺技を廃工場の壁に向かって放った。

「⁉」

 爆発が起きたのと同時に、自分がいつの間にか場所が変わっていた事に気づく。

「一体何が……⁉」

 首を大きく振って辺りを見ていたその時、後ろからウォップが友希那の手首を叩いてブルーローズを落とさせると拾い上げ一気に距離を置く。

「返しなさい!」

 だがそれを素直に聞く訳も無く、ブルーローズに挿さっているDバレットを抜くと、元の姿に無理矢理戻されてしまった。

「くっ……!」

「ああ~、本物の友希那だ~」

 甘い声を出しながら、優しく抱きしめるが友希那は即座に突き飛ばす。

「止めて頂戴」

「ねえ友希那、相談があるんだけど……」

「嫌よ」

「何で⁉」

 友希那はブルーローズを見つめながら淡々と言う。

「敵の言う事を素直に聞くほど私はお人好しでは無いわ」

「だったらさ~話を聞いてよ~。気が変わるかもしれないからさ~」

「変わらないわ」

「これはロゼリアの為にでもあるんだからさ~」

「……何ですって?」

 自分のバンドが名指しされた事に興味を持った友希那は視線をウォップの顔に向ける。

「実はさ、私の上司がバカなせいでロゼリアの魅力が分かってないみたいで……」

「そう」

「そこで、新生ロゼリアを作れば皆を納得出来るんだと思うんだよ! だからさ……」

「哀れね」

 相手が言い切る前に友希那はバッサリ突き放す。

「え?」

「もう一度、今度は分かりやすく言うわ。その貧困な発想に興味はない。私は私の方法で頂点に立つ、貴女の力は必要無いわ」

「……」

 友希那の台詞にショックで動けなくなっており、友希那は気づいてか気づかずかウォップが持つブルーローズとDバレットを取り返すと去って行った。

 少し歩いた先で、友希那の聞きなれた声が聞こえ顔を上げる。

「友希那~!」

「リサ、どうしてここが?」

 手を振りながら走ってくるリサに淡々と返す。

「香澄から話を聞いてね、スマホのGPSで分からないかなって、それよりも怪我してない?」

「問題無いわ。それと戸山さん達にも連絡して頂戴」

 そう言いながら歩き出し、会話を続けていく。

「ん、分かった」

「それと」

「何?」

「暫くは私に近づかないで」

「え⁉ 何で⁉」

「今回の相手はロゼリアに執着している。皆を巻き込む訳にはいかないわ」

「……分かった。でも、本当に危なくなったらアタシも参加させてもらうから」

「……そうはさせないわ」

 友希那はそう言って、二人は街へと帰って行った。

 

 

 

 どれ程の時間が経ったのか、陽も沈んでいるのにウォップは未だに棒立ちになっていた。

「おーい」

 そこへコナモが声を掛ける。

「……」

「どうしたのー?」

 反応しない

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「交渉をしましょうか」

「こう、しょう……?」

 懐から黒曜色に光るDバレットを出した相手に、友希那は首に両手を当てつつ睨みつけながら聞いた。

 

 

 

友希那に呼び出され、音撃戦隊は橋の下の河原で会話を繰り広げていた。

「友希那ちゃんの話って何だろうね?」

「うーん、とても大事なお話なんじゃないですかね?」

「の割には呼び出した本人が遅刻してるみたいですけど」

「けれど、どうして橋の下でお話をしたいのかしら?」

こころは河原の石を縦に積んで遊んでいた時、友希那が来た。

「待たせたわね」

「遅いですよ」

「……今日集まって貰ったのは他でもないの」

 

 

「……」

その時後ろから大量のピラーが現れた。

「新手⁉」

 

「音撃チェンジ!」

 

 

「友希那先輩!」

「湊さん!」

「……」

 友希那は二つのDバレットを出すと、二つのヘッドを押す。

「……音撃チェンジ」

『ローズ!』

『ブラックローズ!』

 音声が流れ、すかさずブルーローズに二発の弾を込め、剣先を天に向ける。

「新しいDバレット⁉」

 驚く彩を横に友希那が黒い靄に包まれたかと思うと、姿を変える。

 容姿こそは普段のドリーマーブルーと変わらないが、衣装の色が澄んだ群青色から光を通さない程の黒一色に染まっていた。

「黒い……ドリーマーブルー……?」

 

 

 

 

 

 

「流石、私の友希那」

「……」

 友希那は何も言わず、倒れている四人からDバレットと装備を取り上げていく。

 香澄のスタートレットとスターバレット。

 蘭のチェインオブフォンとサンセットバレット。

 彩のフラワーコンパクトとクローバーバレット。

 三人から奪い取りこころへと向かう。

 だがこころだけ何も持っていなかったのだ。

「弦巻さん、ハッピー砲とバレットは?」

「……うう」

 こころは弱々しく川の方へ指を指す。

「……そう」

 友希那はこころは装備一式を失った事を悟ると倒れる一行から離れ、ウォップの傍に立つ。

「私の友希那はもう貴女達の様な貧弱な人間達とは関わらないの」

「友希那先輩……噓ですよね……」

「……」

「貴女達も祝いなさい。新生ロゼリアと湊友希那の誕生の瞬間を!」

「誰が……!」

「友希那ちゃん……! 目を覚まして……!」

「目なら醒めてるわ」

 それだけを言うと友希那は背を向けて地べたを這う四人から離れていく。

「友希那先輩!」

「湊さん!」

「友希那ちゃん!」

 叫ぶ三人、しかしそれに対して友希那は何も言わない。

「……」

 地に伏せている四人に背を向け友希那は去って行く。

 ウォップの後ろに付き歩く友希那の顔はとても心苦しい表情をしていた。

 

 

 

 突如起きたのは友希那の裏切り。

 友希那は何を思っているのかまだ、本人以外には分からない。

 音撃戦隊の戦いは次回に続く。

ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)

  • STAR BEAT!~ホシノコドウ~
  • 二重の虹(ダブル レインボウ)
  • キズナミュージック♪
  • Returns
  • ティアドロップス
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