音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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六月だからウェディング回は何としてでもやりたかった


16thLive ハッピーサマーウェディング

「今日は結婚式場に来たわ!」

「誰に言ってんの?」

 突如、こころが叫び美咲がツッコむ。

 こころの言う通り今日はハロハピのメンバーと一緒に教会に来ていたのだ。

 そんな中薫は一人、物思いにふける。

「ここに来ると沙綾ちゃんとの式を昨日のことの様に思いだすよ……」

「そういえば薫さん、山吹さんと式場の撮影に参加したんですよね」

「ああ、巴ちゃんが乱入した事もあったけれど、それを含めても儚い体験だったよ」

「かのちゃん先輩! はぐみ、花嫁さんを始めて見るんだ!」

「そうなんだ。私も初めてだからテレビで見るよりもキレイかもね」

「いやはぐみ、実際に見れるとはまだ決まった訳じゃないからさ」

 それぞれが好き勝手言ってる中、美咲がぼやく。

「はぁ~、何でこうなったんだか……」

「まさか、こころちゃんがサムシングフォーが見たいなんて言い出すなんてね」

「ホント、自由なんだから……」

 それに花音と美咲の頭の上で寝そべっているプチミッシェルが励ましているとこころが叫ぶ。

「あら? あそこにいるのは彩と日菜じゃないかしら? 彩! 日菜!」

 教会外で、見知った人に出会い手を振りながら二人に向かって行く。プチミッシェルもそれに気づいたのか、こころの中に入りこんで隠れる。

「あれ、こころちゃん? それに皆も!」

「ハロハピ勢揃いだね! 今日はどうしたの?」

「サムシングフォーを見に来たの!」

「サムシングフォー……?」

「あはは……お二人はどうしてここに?」

「前にイヴちゃんがウェディングドレスの仕事が来たんだけど、それがすごく評判が良くてね」

「今度はあたし達にご指名がかかったの!」

「あ、仕事でしたか。ほら、こころ迷惑になるから行くよ」

「あたしは別にいいよー。現にお姉ちゃん連れてきたし」

「紗夜先輩もいるんですか?」

「うん、一緒にバージンロードを歩くんだ~!」

 身内と一緒だからかウキウキを隠せていない日菜。その時、一行から離れた所で男性の悲痛な声が聞こえてきた。

「どうして⁉ いきなり別れようだなんて⁉」

「もうあなたとは一緒にいたくない! あの人……運命の人に出会ってしまったんだから!」

「誰⁉」

 男性は必至に女性の手を掴み逃がさないようにしているが、女性はそれを振り払い歩き出す。

「こんな物もいらないわ~!」

 女性は首に掛けられたネックレスとポケットから指輪の入ったケースを出して明後日の方へ投げ捨ててしまった。

「ああ!」

 男性がそれを拾いに行っている内に女性は何処かへ消えてしまう。

「ああ……うう……」

 恋人に振られ項垂れいた所へ、唯一気づいていたこころが駆け寄る。

「あなた、どうしたの? とっても悲しい顔をしているわ!」

「ちょっとこころ! 今この人ナーバスになってるから話しかけるのは……!」

 その後を追って美咲達ハロハピの面々が寄り、先頭の美咲が注意をする。

「どうして? あたし達はハロハピだから、落ち込んでいる人を笑顔にしなきゃ!」

「貴方の悲しみは私達が拭わせて欲しい……それが私の……ハロハピの意志だからだ」

「おじさん! だから教えて!」

 相手の事情を知ってか知らずか好きに言う三人。

「み、美咲ちゃ~ん。どうしよ~」

「あー……こいつらが本当にすいません」

『これ人によってはめちゃくちゃ煽っているよね』

 暴走する三人に頭を抱える花音と美咲、プチミッシェル。

「……分かりました」

「あっ、話すんだ……」

 まさかの男性の説得に成功し、語り始める。

「僕はトオル、さっきまで恋人がいたんだ。名前はマリ、付き合って四年になるかな? この間プロポーズをしてOKを貰ったんだ」

「まあ、とってもおめでたいわ! でもどうして?」

「僕にも分からないんだ、ここに来るまではいつもと変わらなかったのに……」

「あの……失礼ですけど、振られたのに思い当たる節は?」

「無いよ! だから分からないんだ!」

「事情は分かったわ!」

 感情的に叫ぶトオルに負けない程にこころも叫ぶ。

「あたし達でマリとトオルを仲直りさせてみるわ!」

 

 

 

『全く、そんな約束安請け合いしちゃってさ……』

「プチミッシェル? 約束に安いも高いも無いわ!」

『いや、そういう意味じゃないんだけど……』

 トオルの頼みを聞いて、教会に戻って来た五人。プチミッシェルが何かを言いかけたその時。

『こころ、この辺にエクスードがいるみたい』

「そうなの? 早く探しましょう!」

『場所が場所だからここは穏便に……』

「皆! ちょっとエクスードを探してくるわね!」

『しー!』

 一方彩の方でもパスカルが彩の内側から伝える。

『彩……』

「? どうしたの?」

『エクスード……この辺にいる……』

 小声で聞くとエクスードの情報に、彩はこっそり日菜から離れていく、だが日菜はそこまで甘くなかった。

「彩ちゃん、何処に行くの?」

「え⁉ ちょちょっと、トイレに……」

「嘘だ~! 目が泳いでいるもん!」

「え⁉」

 日菜に言われ彩は目の周りを押さえていると日菜が迫る。

「それであたしに秘密で何をしようとしてたの? 教えてくれなきゃ……」

 両手をワキワキ動かしながら近づくと飛びついて来た。

「こうだー!」

 しかし、彩はそれを避けて走り去って行く。

「逃がさないよー!」

 それでも日菜は追っていくのだった。

 

 

 

「全くあの子ったら……」

 ぼやきつつも頬が緩んでいる紗夜。

 妹にウェディングドレス姿を見てもらいたいがために半ば無理矢理、撮影場所の教会に連れてこられ、時間が来るまでバージンロード傍の長椅子に座り待っていた。

「実際に結婚するわけでもないのに、一緒にバージンロードを歩いて欲しいなんて……」

「そうだよね」

「ええ」

 独り言を喋っていた紗夜に答える声が聞こえ、驚いて席から立ちあがり距離を取る。

「誰ですか⁉」

 白の体にスーツ、頭はハトのエクスードが右手を胸に当ててお辞儀をしてきた。

「フフ私、シュクジ・チャアムです」

「……その見た目ですと、エクスードと捉えてよろしいですか?」

 警戒を解かない紗夜の話を聞かず、シュクジは質問をする。

「君が……氷川日菜ちゃんだね」

「いえ私は……」

 双子の姉と言いかけたが、妹に危機が迫っていると読んだ紗夜は後の言葉を飲み込んで言った。

「……そう、私が日菜よ」

「ちょうど良かった! アイドル枠はまだ埋まってなかったからさ」

「それで、私に何をするつもり?」

 紗夜は相手をチラチラ見ながら、眼球を動かし周囲も伺う。

「君と結婚しに来たのさ!」

「……はい?」

 全く想定していなかった動機に紗夜は素っ頓狂な声を出す。

「これでも浴びろ~」

 そこにすかさず、シュクジが光線を放った。

「きゃあああああああ!」

 虹色の光線を受け虹色に光りながら悲鳴を上げる紗夜。そこへ彩、こころ、日菜の三人が駆け付ける。

「お姉ちゃん!」

「紗夜ちゃん!」

 力なく倒れた紗夜に真っ先に寄って抱き上げたのは日菜。

「お姉ちゃん! お姉ちゃん!」

「一般人に様は無いんだよ!」

「え……」

 シュクジはそれだけ吐き捨てて、ドア前に立つ二人を押しのけ教会を飛び出す。

「あの……私、アイドル……」

「彩、落ち込んでいるヒマは無いわ!」

 こころは彩の手を掴んでエクスードを追って走り出した。

 

 

 

 エクスードを追って、式場の庭に出た二人。

「紗夜ちゃんに何をしたの⁉」

「ちょっと俺に夢中になる魔法をかけただけさ」

「魔法?」

「トオルの恋人に何かをしたのもあなたなの?」

「ああそうさ、男の笑顔は見たくないからね」

 あっけからんと言うシュクジにこころと彩がDバレットを出しながら叫ぶ。

「人の笑顔を奪うなんてダメよ!」

「紗夜ちゃんもその人達も取り戻す!」

『クローバー!』

『スマイル!』

「音撃チェンジ!」

 二人は姿を変え立ち向かって行く。

 先手を打ったのはこころ、ハッピー砲を構え、何度も引き金を引いた。

「うわっ!」

 シュクジは驚いた素振りを見せると鉄の塊となり、こころが放った光弾を全て打ち消してしまった。

「あら?」

 鉄の塊状態が解けた所に彩が斬りかかる。

「そこっ!」

 ギ~ン! 

「いった~い!」

 だがまたしても鉄の塊に変化して彩の攻撃を防ぐ、センターブレードで叩いた反動で持ち手から全身へ痺れが走り抜け、彩は手首を押さえながらその場で回り始めた。

「とうっ!」

 シュクジは飛び跳ね、彩の頭上へ到達すると鉄の塊に変化して彼女を押しつぶす。

「ぶえっ⁉」

「彩!」

 射撃は駄目だと悟ったこころは彩に駆け寄り、シュクジを退かそうと肩を掴んで後ろに思い切り引っ張る。

「ん~!」

「おっと」

「きゃっ!」

 シュクジは突然、鉄の塊状態を解除。こころはいきなり重みが消えた事で彼女だけが後ろに倒れた。

「ん~……」

 再び宙に浮かび地面を見る、仰向けに倒れるこころと潰された事でダメージを負った彩が互いに近くにいる。

「くらえ!」

「べぇぇぇ!」

「きゃあああ⁉」

 両手足を広げて、鉄の塊に変化。今度は二人を押しつぶして大ダメージを与えた。

 転げて悶える彩とこころを他所に、シュクジは元に戻り再び跳んで距離を取る。

「この銃弾ホントに便利だな~」

 シュクジは懐から金属の絵が描かれたDバレットを出してうつ伏せ状態の二人に見せつける。

「Dバレット⁉」

「あなた、それをどこで見つけたの? よかったらあたし達にちょうだい!」

「渡す訳ないだろ⁉」

「どうして? それはあたし達にも必要なの!」

 こころの態度にしびれを切らしたシュクジは左手を構え、その手を虹色に光りだす。

「ええい! これでも浴びろ~」

 紗夜を襲った虹色の光線が二人に向かって迫る。

 だがその直前に、二人の目の前に一枚のバックラーが飛んできて光線を打ち消した。

「誰だ!」

 全員がバックラーが飛んできた先を向くと投げた本人であろうましろと香澄、宙にはフォルが浮いている。

「で、出来た……!」

「相棒! 初めてにしてはやるじゃねえか!」

「彩先輩! 助けに来ました!」

 二人共、既に変身しており、香澄がキラキラドキドキ剣を両手に立つ向かって行く。

「香澄ちゃん! 待って!」

「たああああ!」

 彩が制止をかけるが、止まらず剣を振り下ろす。

 予想通りシュクジは鉄の塊に変化し、香澄の攻撃を無効化する。

「硬い⁉」

「Dバレットを取り上げて!」

「はい! ましろちゃんも手伝って!」

「は、はい!」

 剣を腰に納刀し、傍に来たましろと共に、シュクジが右手に握るDバレットを取り上げようとガッチリ握られた手を掴む。

 しかし、鉄の塊を動かす事は出来ず、一ミリも動かない。

「触るな!」

「うわっ!」

「きゃあ⁉」

 シュクジは右手以外を元に戻し、その手を横に振って二人を殴り飛ばす。

「まあいいか、嫁も沢山揃えたし後は式だけだ」

 それだけを言うと、両手を広げて飛び立っていってしまった。

「逃げられちゃいましたね……」

「うう……もう少しだったのに……」

「香澄ちゃんありがとね、おかげで助かったよ。二人はどうしてここに?」

「ポップがエクスードの反応に気づいて……ましろちゃんは途中で見かけたので連れてきました!」

 それぞれ言いながら、変身を解いたその時、遠くから叫び声が聞こえた。

「お姉ちゃん! どこに行ったの⁉」

 日菜の叫び通り紗夜が何処にもおらず、動揺を隠せない日菜の元に四人が寄り聞き出す。

「日菜ちゃん! 紗夜ちゃんに何かあったの⁉」

「彩ちゃん! お姉ちゃんが突然おかしくなってどっかに行っちゃったんだよ!」

「あの、日菜先輩! 何か変なハトみたいな怪物を見ませんでしたか⁉」

「確かにさっきいたけど……もしかしてそれがお姉ちゃんを⁉」

「かもしれない……香澄ちゃん達は連絡して、私は日菜ちゃんを見てるから」

「分かりました!」

 

 

 

「いや~ゴメンね。わざわざ付き合ってもらちゃって」

「別に構わないわ」

「ん? あれって……」

 一方、そんな事も知らない友希那とリサはショッピングモールからの帰り道でドレスが飾れているショーウィンドウを穴が開くほどに真剣に見つめる紗夜を見つけた。

「紗夜じゃん! そんな所で何してるの?」

「ああ……今井さんに湊さん。式で着るドレスはどの様なものが良いでしょうか?」

「え?」

「紗夜?」

 リサ達に気づいた紗夜は、二人の方を向くと胸に両手を当てて、スカートをなびかせる様に回転し、右手を空に差し出す。

「愛しの人よ……私は早く貴方の元へ飛んでいきたい……」

「さ、紗夜? 普段と違くない?」

「瀬田さんの真似? 貴女がやると違和感しかないわ」

 紗夜の異変に気づいたリサ、知ってか知らずか紗夜に質問をする友希那。

「それよりも、次の練習の事で話があるのだけど」

「今はそんなことはどうでもいいんです! あの人……運命の人の為なら何だって捧げられるんです……」

「……そう、リサ行くわよ」

「一日千秋とはこの事なのですね……ああ! 私はその時を待っています!」

「待って友希那!」

「湊さん、今井さん。恋とはすばらしいものですね……」

 これだけの会話を終え、一人語りをする紗夜を放置して友希那は速足で紗夜から離れていき、リサもその後をついていく。

「友希那、あの紗夜の様子……」

 その時、友希那のスマホから着信が入り、持ち主は迷わず取り出し画面を見る。

『友希那先輩、今時間ありますか? エクスードの事で羽沢珈琲店に集まるので来てください!』

「話す手間が省けそうね。リサ、羽沢さんの所に行きましょう」

「えっ? 友希那⁉」

 それだけ言って、友希那はそそくさと羽沢珈琲店へと向かうのだった。

 

 

 

 エクスードに逃げられ、一旦羽沢珈琲店で作戦会議を執り行う事にした

 さっきまで不在だった蘭と友希那、更にハロハピと一店員のつぐみ、友希那と一緒だったリサも入り、計十二人の大所帯での会議が始まる。

「彩さん、仕事は大丈夫ですか?」

「エクスードが出てきたから撮影は延期だって、日菜ちゃんも相当落ち込んでたし……」

「教会に現れるハトのエクスード……一体何が目的なんだろう?」

 香澄が考えているとましろが恐る恐る手を上げる。

「あの、思い当たる事があるんですが……」

「本当? 何かな?」

「この間、透子ちゃんが言っていたんですけど花嫁さらいの噂を知ってますか?」

「いえ、詳しく教えてもらえないかしら」

 ましろから出てくる新情報に彩と友希那が食い付く。

「えっと、結婚式場に来たカップルや女の人が突然『運命の人』って言う人に夢中になってしまう噂です」

「夢中になるとどうなるの?」

「カップルは別れ、女の人は姿を消してしまうそうです」

「トオルの恋人も同じ事を言ってたわ!」

「誰?」

「式場で会った人よ!」

「紗夜も同じ事を言ってたわ」

「紗夜先輩が?」

「色恋に無縁な紗夜が、その上バンドの事を二の次にしたのよ? 間違いなくエクスードが絡んでいると見ていいわ」

 噂話とエクスードが繋がっていると確信し、次の議題に移る。

「さて、となるとエクスードに洗脳された人をどうやって取り戻すかだけど……」

「それならあたしにいい考えがあるわ!」

「本当⁉ 何をするの?」

「それはね……」

 興味津々な香澄に、こころは溜めてその案を発表した。

「真実の愛を渡せばいいのよ!」

「成程! 恋人との思い出を思い出させればいいんだね!」

「……」

 こころの突拍子もない案に香澄は彼女なりに解釈できたが、四人はだんまりするしかない。

「あの……弦巻さん、エクスードは一言二言で解決できるほど甘くはないと思うけれど……」

「どうして? 絵本では真実の愛を謳えば、皆が笑顔になるわ!」

「め、めちゃくちゃ……」

 こころの冗談ではなく本気で言っている姿に友希那とましろは頭を抱えるしかない。

「それでこころん、まずは何をするの?」

「真実の愛は結婚式……だったらサムシングフォーを集めればいいのよ!」

 またしても突拍子もないアイデアに頭を抱える四人、そんな中はぐみが質問を出す。

「所でサムシングフォーってなに?」

「フォー……これは英語で4だね。つまり、四つの儚いを集めればいいのさ」

「サムシングフォーって言うのはね、結婚する時に持っていると花嫁が幸せになれる物の事だよ」

「確か、古い物、新しい物、借りた物、青い物の四つでしたっけ?」

 はぐみの疑問に薫、花音、美咲がそれぞれ回答を出していくとこころが思いついたのか叫ぶ。

「古い物なら家にたくさんあるわ!」

「……一応聞くけど例えば?」

「確か、ハニワさんに有名な武将さんが使った刀とか……」

「あのね、式で埴輪とか持った花嫁とかいる? 古い物っていうのはもっとこう……指輪とかリボンとか身に付けられる物なんだって!」

「そうなの? それじゃあ皆で探しに行きましょう!」

「え?」

 こころの提案に美咲が困惑していると立ち上がり、誇らしげに言う。

「あたし達はサムシングフォーを探しに行くわ!」

「あの、弦巻さん、話はまだ……」

「それぞれ、うちにある物でサムシングフォーを見つけるわよ!」

「こころ! あの友希那先輩、ホントすいません! で、ではこれで!」

 友希那が答える隙も与えず、出て行ってしまい、美咲も謝罪しながら出て行ってしまった。

 嵐が去って行き、友希那が一言。

「……とりあえず、私達は相手の出そうな場所を推測して対策を立てておきましょうか」

「だったら、あたしはこの辺りの式場やデートスポットを調べておきます」

 

 

 

「それじゃあ、まずは新しい物から!」

「イエーイ!」

「いや、そういう空気じゃないでしょコレ」

 一旦解散し、弦巻邸に集まったハロハピの五人。こころに言われた通り、全員新しい物を出してテーブルに広げる。

「はぐみ、なにこれ?」

 テーブル上には、白い手袋が四組、問題なのはコロッケが入った袋がしれっと混じっている所だ。

「コロッケだよ! 出来立てで新しいよ!」

「いるか! 食べ歩きしながら入場なんてどんな式なの⁉」

「みーくん、コロッケ嫌いなの……?」

「え、いやそういう訳じゃないけど……なんかゴメン」

 はぐみの落ち込んだ姿に何故か謝罪してしまった美咲。こころははぐみの行動に一言。

 

「次は古い物!」

「イエーイ!」

「これ毎回やんの……?」

 

「こころォ! あんたあたしの話聞いてたの⁉」

 

 

 

 

 

 

 一際目立つのは、サファイア百パーセントの王冠

 

 

 

「もしもし?」

『あ! こころん?』

「香澄? 一体どうしたの?」

『いなくなった人達を見つけたよ! でも、皆様子が変みたい』

「ねぇ香澄、今どこにいるの?」

『丘ノ上教会の方だよ』

「それじゃあ、そこで会いましょう!」

『うん分かった!』

 そう言って通話を切るとこころは声を出す。

「黒服さん、皆お願いがあるの!」

 

 

 

 電話で会話をしながら、花嫁達の後ろをついていく五人。

 その集団の中には紗夜の姿もあった。

「紗夜……」

「それにしても皆、何処に向かっているんだろう?」

 彩の疑問にスマホで画面を見ていた蘭が呟く。

「この方向だと……丘ノ上教会?」

「丘ノ上教会……? 聞いた事あるかも」

「丘ノ上教会の方だよ……うん分かった!」

 通話を切って数分、集団を尾行していたその時、十本の腕が路地裏から伸びてきて五人を取り押さえた。

「誰⁉」

「放して!」

 各々が身体を振って抵抗していると聞きなれた声がする。

「手荒な真似をして申し訳ありません我々です」

 サングラスに黒スーツの女性を見た瞬間、ましろ以外は抵抗を止める。

「んんー! んんー!」

「ましろちゃん落ち着いて! この人たちは味方だよ!」

「んんー……?」

 香澄の一言が効いたのか抵抗を止め、黒服は続きを説明し始めた。

「皆様には、この衣装で潜入してもらいたく駆け付けました」

「衣装?」

 

 

 

「う~ん、壮観だ」

 シュクジは、教会に五十人以上はいるであろう花嫁達に見惚れている、その中にベールで顔を隠した五人に知らずにだ。

「ではこれより、私と君達の挙式を始める!」

「ちょーっと待ったー!」

 それに待ったを掛けるのは、

 

「えっ、何あれは……」

 

『ウッソぉ⁉』

 予想外の展開にプチミッシェルが叫んでいると、洗脳の解けた人々が逃げていき残ったのは五人の花嫁らしき者だけだ。

「フッ、所詮人間の言葉なんて全てに届く訳ない! さぁこちらへ……」

 シュクジを取り囲む様に立つ五人は粛々と近づいていき、ついには手の届く距離に立つ。

「フフフ……」

 その時、真正面に立っていた一人を除いた四人がシュクジを取り押さえる。

「え⁉」

 それを合図に一人がシュクジが懐に入れていたDバレットを抜き取った。

 奪い取ると、五人は一斉に距離を取り、ベールを取る。

「まさかこんな形でドレスを着るなんて……」

「木は森に、水は海にという事ね」

 彩と友希那。

「変じゃなかったかな……?」

「こういう恰好は柄じゃないんだけど……」

「これのおかげで簡単に近付けたよ!」

 ましろ、蘭、香澄だった。

 それぞれ感想を述べつつ、横一列に並ぶ。

「さぁ、変身よ!」

 こころの号令で六人は衣装を脱ぎ捨て、私服にジャケット姿になり叫んだ。

「音撃チェンジ!」

 一瞬で姿を変えて、武器を構えて突撃していく。

 

 

 

「お疲れ様でした」

 仕事であるベースとドラムのサポートを終えたレイヤとマスキングはこの日の仕事相手にそれだけ言うと、チュチュのマンションに向かおうとしていた。

 その道中で爆音が聞こえその方向を向くと、音撃戦隊の六人がエクスードと交戦している姿を捉える。

「あれは……!」

「ゴメン、持ってて」

「おう!」

 レイヤはマスキングにベースを押し付けると、走りながら叫ぶ。

「オーロラ!」

『何だい?』

「エクスード! 何で気づかなかったの⁉」

『僕は全能じゃないんだから、文句は止めて欲しいな』

「兎に角! ギターアックス頂戴!」

『やれやれ』

 レイヤの中にいたオーロラは呆れつつ念じると、ギターアックスがレイヤの前に現れ、握りしめて戦場に飛び込んでいく。

 

 

 

 戦場は変わり、廃工場。戦っていた六人の足元で突如火花が散る。

「し、死神!」

 震えるつつ指を指すシュクジ。六人もその指し示す先を見るとギターアックスを担いだレイヤがゆっくりと迫っていた。

「アイツ……!」

「へぇ……私そんな風に言われてるんだ」

 ブツブツと言いながらギターアックスを下ろしDバレットを装填し叫ぶ。

『スダレ!』

「Raise Your Hands!」

 一瞬でRASブラックに変身し、戦場に乱入して三つ巴の混戦が始まる。

「今のうちに……」

 音撃戦隊全員がRASブラックを取り囲っており自分には気づいていないと見たシュクジは忍び足で戦場を抜けようとし始める。

「あなた、どこに行くの?」

 だがそれにこころが最初に気づき声を掛けた。

「あっ……」

 それだけポツリと言って走り出す。

「逃げた!」

「追いかけよう!」

 香澄、彩、こころ、ましろも相手を追って一斉に走り出した。

「逃がさない!」

 レイヤも追いかけようとしたその時、蘭と友希那が二人がかりで取り押さえる。

「くっ……放せ!」

「あのDバレットは私達の物よ。渡すつもりは無いわ」

「皆はアイツを!」

 蘭に言われ、四人は追いかけていった。

 

 

 

「う、嘘だろ……」

 逃げた先は行き止まり、そこに四人が追いついてくる。

「もう逃がさないよ!」

「あ! あれだ!」

 シュクジは自分の能力を思い出し、逃げる為に飛び立とうとした。

「久々にこれで決めましょう!」

『ビッグ!』

 こころはハッピー砲にビッグバレットを装填し、リボルバーを回転させる。

 するとハッピー砲が巨大化し変形、一門の大砲へとなった。

「ましろ! 今日はあなたが弾よ!」

「え? 弾?」

「よし! やってみよう!」

「え? え? え?」

 香澄と彩はましろの背中を押して、大砲に詰め込む。

「えぇ⁉」

 詰められて状況を察したましろは必至に助けを求める。

「標準ヨシ!」

「待って! 待って! 待って! 待って!」

「狙って!」

「やだやだやだやだやだやだやだやだ!」

「いっけー!」

 本人の懇願を無視してましろ砲を発射。

「き、来たー⁉」

「やだああああああああああ!」

 シュクジに直撃すると大爆発、爆炎の中からましろが出てきて目を回す。

「ましろ! あなたのおかげで倒せたわ!」

「やっぱり、めちゃくちゃ……」

『リカバリーシステム、起動』

 否応なくリカバリーシステムが起動し、巨大化して復活。だが四人でも戦う術はある。

「ポップ!」

「パスカル!」

「プチミッシェル!」

「フォル!」

 身体ポップ、右腕プチミッシェル、左腕パスカルのスリーマンライブになり、そこにフォルがパスカルの腕に装着されると盾の役割となって一体のロボになった。

「完成! スリーマンライブウィズモルフォニカ!」

 睨み合う一機と一体。最初に動いたのは一体だ。

「ああ! ビーム出ろ!」

 悪あがきと言わんばかりに洗脳ビームを放つが、盾のフォルにあっさりと防がれて、右腕のプチミッシェルの砲撃を逆に浴びせられる。

「よし! 皆、決めるよ!」

 香澄の号令と共に、フォルがプチミッシェルに連結し、スリーマンライブも右腕を水平に構え銃口を相手に向けて叫んだ。

「ミッシェルバンバンフィニッシュ!」

 力を込めた弾丸を何度も撃って、全弾をシュクジに当てた。

「どうして俺が主役の美少女ハーレムじゃないんだ……⁉」

 それだけ言って倒れると爆散、今度こそ消滅した。

 

 

 

 一方、レイヤと交戦していた蘭と友希那。

 彼女らもエクスードの最期を見ており、それを見たレイヤはスチームバレットを出して口を開く。

「今日は貴女達に譲るよ。けれど、次はこうはいかない!」

 それだけ言って水蒸気をまき散らして姿を消した。

「蘭ちゃん! 友希那先輩!」

 戻って来た香澄が叫びながら駆け寄る。

 友希那は肩で息をしているのに対して、蘭はボロボロになっていた。

 

 

 

 

ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)

  • STAR BEAT!~ホシノコドウ~
  • 二重の虹(ダブル レインボウ)
  • キズナミュージック♪
  • Returns
  • ティアドロップス
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