後、アンケートを取っています。
「あっ、一番星」
夕日が落ち、月が顔を出そうとする時間、道を行く五人組の一人である茶髪の少女が夕方から夜に変わろうとしている空に指を指して一言。
「つぐみってホント、一番星見つけるの上手いよね」
「うんうん、大会があったら優勝出来るレベルだよね~」
「あはは、そんな大会あるのかな……?」
二人の幼馴染に言われ、苦笑いをするつぐみ。それを見ると黒髪に赤色のメッシュを付けた少女が空を見て言葉を漏らす。
「ん?」
彼女の瞳に一筋の流れ星が見えた。
「蘭~? どうしたの~?」
「流れ星……?」
「ウソ⁉ 何処⁉」
赤メッシュの彼女、蘭の返答にピンクにおさげをぶら下げた髪の少女が空を必死に探す。
「いや、もう消えてるから」
「そう言えば、あこが今日は流星群が見られる日だとか言っていたな」
「ホント! う~ん、何をお願いしようかな? 皆は何かある?」
「アタシはやっぱこの五人でバンドをしていきたいだな!」
「モカちゃんも右に同じ~」
「えっ~と、私は……」
ひまりが思考しているとモカが横槍を入れる。
「ひーちゃんの事だから、食欲、睡眠欲、性欲の三つじゃないの~」
「そんな訳ないでしょ! それに何⁉ 性欲って!」
「や~い。むっつり邪神~」
「んもぉ~! 巴ぇ~」
「ところで蘭ちゃんは?」
「え? あたし?」
つぐみは赤メッシュの少女、蘭の願いを聞いてみるが、そっけなく返す。
「別に大したことはないけど」
「とぼけちゃって~」
「わざわざ言う必要ないでしょ」
「ズバリ、蘭の願いは……」
「願いは……!」
「パンが五千兆個欲しい……!」
「……」
「いや~、なんて壮大で素敵な夢ですな~」
「……それ、絶対アンタの欲望でしょ」
「さぁ皆、今日は流星群を見るわよ!」
日も完全に沈み、月明かりと星明りだけが光源となっている小さな丘の頂点で五人が座って、金髪美少女の話を聞いていた。
「皆で、この煌めく空を眺め、願いを捧げるなんて……ああ儚い……」
「それにしてもよく見つけたね。星もくっきり見えるし」
相変わらず芝居がかった台詞回しをしっかり決める薫と思わぬ穴場に驚く美咲。
「あの、こころちゃん」
「あら、花音。何かしら?」
「確か日菜ちゃんが来るはずだったよね。来てないみたいだけど……」
「日菜はお仕事で来れなくなってしまったの。だから代わりに彩が来てくれたわ!」
「皆、今日はよろしくね!」
両手を振る彩に美咲は申し訳なさそうに言う。
「彩先輩もわざわざすいません。忙しいでしょうに……」
「いいよ、私も今日は暇だったし。それに日菜ちゃんに代わりに楽しんできて言われたから」
だが、楽し気な一行の中でオレンジ髪の少女だけは浮かない顔をしていた。
「……」
「おや、はぐみどうしたんだい? 君に曇った顔は似合わない、何かあるなら私に話してごらん」
「あ、薫くん。あのね、はぐみお願い事がいっぱいあって、流れ星が消える前に全部言えるかどうか不安で……」
「お願い……それは何だい?」
「ベースも上手くなりたいし、ソフトボールでも強くなりたいし、後、皆にコロッケを好きになってもらいたいし、それに世界中を笑顔にしたい!」
「ふむ……それなら、全部と言ってみるのはどうかな?」
「全部?」
「ああ、流れ星ははぐみの事はお見通しだからね。分かってくれるさ」
「へぇ~流れ星って凄いんだね! それに気づくなんて薫くんはやっぱり凄いや!」
一方彩は、スマホで星空をバックに自撮りをしていた。
『今日は流星群が見えると聞いて学校の後輩と一緒に見に来ました!』
スマホにそう書き込み、星空の写真を張り付けると、SNS上に投稿した。
ある家では少女が机に向かって神妙な顔をして詩を書き込んでいく。
そんな中、少女のスマートフォンが振動すると液晶に文字が浮かぶ。
『友希那、今話せる? 出来るなら、ベランダで話さない?』
少女は長い銀の髪を揺らして、自室の窓を開けてベランダに出る。隣の家のベランダに立つ茶髪の少女が声を掛けてきた。
「友希那~、何してたの?」
「作詞よ。それでリサ、どうしたの?」
「あいや、今日、流星群が来るって言うから友希那と見たくて。ほら、空を見てみて」
「そう……」
興味なさげな反応をしつつも空を見上げる。
「これは……!」
とある質屋、そこの地下蔵から五人の少女が出てくる。一部の娘は背中にギターやベースを背負っており、特に星の形を模したギターが一際目立っていた。
「今日も練習したね!」
「ふふ、そうだね」
「あ、あのさ!」
談笑をしている二人にツインテールの少女が思い切り話しかける。
「最近、近くでスイパラが出来たらしいだけど……今度、皆で行かねーか?」
「……」
沈黙。
「な、何だよお前ら……」
「あ、有咲が誘ってきた……」
基本、人見知りな彼女の行動的な姿に香澄は感動。
「有咲~、自分から言って来てくれるなんて……嬉しい~」
嬉しくなった香澄が有咲に抱き付くと照れ隠しに怒鳴る。
「うるせーな! 私だってそういう時があるんだよ! つーか、引っ付くな!」
しかし、当人は知ってか知らずか力を強める。
「もう行こう! 今行こう!」
「行かねー!」
そんな会話をしつつ、蔵の外に出て最初に空をみた、たえが一言。
「皆、上を見てみてよ!」
「わぁ……!」
流れ星の雨に五人は息を飲んだ。
蘭はそんないつも通りを噛み締めつつ、いつも通りな会話をしつつ道を行く。
こころは世界を笑顔にするなんてビックスケールを持ち、彩は自分の行きたい夢へ向かってゆっくり歩いて行く。
友希那は、底知れぬ志を抱いて今を飛んでいる。
香澄は、歌と仲間を両手に握りしめて生きている。
この日、多くの若者が流星群を見た。
そして、それが開戦の合図になる事は誰も予想していなかった。
「ハッハッハ……」
暗い夜道、力なき少女が何かから逃げる。
しかし、恐怖からか足がもつれ転んでしまう。
「ヒィ!」
そこへ、八体の白色のマネキンの様な人の形をした何かが、各々がナイフや銃を片手に人に迫る。
先頭を走っていた奴が人の前に立つと手にしているナイフを振り下ろした。
「キャアアアア!」
『止まって!』
だが、それが当たる事は無かった。
追わていた人が恐る恐る目を開くと、相手の動きが止まっていたのだ。
声の方向には二つの人影。
一人は拡声機とライブで使う光る棒、緑色のサイリウム両手にし、黄緑色したフリフリのドレス、ツインテールに薄緑色のサングラスをしており何者か分からない。
もう一人は、剣を片手に、海の様に深い青のドレスを纏い、同色の剣を手に、頭には薔薇のアクセサリー、そして顔には目隠しをするように茨が巻き付かれ同じく何者か分からない。
青の戦士は少女に最も近い相手に近づくと、持っている剣で急所を確実に突き、緑の戦士は少女の傍にしゃがみ声を掛ける。
「ねぇ、立てる?」
「は、はい……」
よろめきながら立つ彼女の背中をさすりながら手を取りつつ一緒に立つ。
「あ、あの……」
「私達は大丈夫。さ、速く逃げて!」
「は、はい!」
少女は言われ、背を向けるとそこから走り去っていった。
「さて……」
少女の背中が見えなくなったのを確認すると二人は改めて人の形を睨む。
相手は既に動けるようになっており、八体から七体に減った奴らはゆらゆらと立ちながら武器を構える。
「行くわよ!」
「うん!」
一方街から離れた山、人が入ってこれないほどの奥には自然の中には相応しくない鉄製の円盤が埋まっており、その中には街が一つはいるほどの空間が広がり、そこを人ならざる者が跋扈している。
玉座が設置された大部屋で、鎮座している黒の人型が、龍の様に細長い体に顔からは二本の髭、蒼の体をした紳士的な怪人に聞く。
「この世界の事は分かった?」
「それですが……」
青の龍はそう言って指を鳴らす。すると、宙に映像が映し出された。画面には、青の戦士、緑の戦士、二体のコドウの姿が映し出される。
「これは?」
「この世界の戦士です。銃弾と珍妙な道具を使うようです」
「うん」
「更に以前、我々が襲った世界の者達もいるようです」
「協力しあってるって事?」
「はい、これまでと違って警戒するのがよろしいかと」
「そうだね。でも……」
黒の人型は笑顔で言った。
「僕らなら出来るはずさ、この世界の人達も願いを叶えよう!」
「御意」
真昼の校舎、女子高である花咲川の中庭で五人の少女が話をしていた。
「そういえば、昨日も例のアレが出たみたいだよ」
「あの人たちが?」
「アレ? りみりん知ってる?」
「何だよ香澄、ニュースとか見ないのか?」
疑問を浮かべる香澄に有咲がスマホでニュースサイトを出すと、画面を見せる。
『またしても登場! 謎の美少女戦士!』
その大きく書かれた見出しを見た香澄は、その下を音読していく。
「昨日未明、不審者が花咲川付近で出没した。これは通り魔的犯行を繰り広げており、素性もつかめていない事から警察も手をこまねいており、同時期に現れたのが、奴らを倒す謎の二人組の青と緑の人物だ。目撃者の証言から服装、二人組の一人称が発覚したが、顔についての証言が一切見つからない事から、不審者らとは別ベクトルで謎の多い存在とも言われている……」
要点だけを読み上げた香澄は、感想を述べる。
「不審者とそれを守ってくれる人かぁ……何かいいね!」
「そうか? 私達だっていつかどっちかに会うかもしれないし……もし、両方共危ない奴だったらどうするんだ?」
「その時は……友達になりたい!」
「お前……話聞いてたか?」
「やっぱり、この人達も兎やハンバーグが好きだったりするのかな?」
「うーん……それは分からないけど……」
「さーやはどう思うの?」
「私は、不安だけど守ってくれる人がいるってのは心強いよね」
「だよね!」
戦いも事件も全く無縁の五人組の生活は平和の一言に尽きる。
そうやって、平和が地続きになって時が過ぎて行く。
例のニュースを知って数日後、学校が休みの休日。質屋、流星堂の地下蔵。ここは、有咲の実家でもあり、ポピパの拠点でもあり、皆の場所でもある。そこへ一つの光の球が人の目に入らない様に天井をゆっくり進みつつ、彼女らにこっそりついていき地下に入った。
その中では、五人の少女が次のライブに備えて会話をしていた。
「今日、何歌う?」
「私は、オトモダチフィルムを歌ってみたい!」
「次のライブに備えて、他のもやった方がいいんじゃないか?」
「何を歌うんだっけ?」
「確か、最初はあの歌だったはず」
「じゃあ、まずはそれから行こう!」
茶髪に猫の耳を思わせる髪型をした少女の声に乗って、五人は演奏の準備を始める。
そして、演奏が始まろうとしていた。
「1、2、3、4……」
ドラム席に座った沙綾の合図と共に演奏が始まった。
(これは……!)
光球は何も言わず、物陰に隠れてそれを見つめていた。
「そこ、誰かいる」
「嘘⁉」
曲を弾き終えたその時、たえの一言に四人は彼女の指を指した方を見つめるがそこには何も無い。
「ごめん、気のせいだったみたい」
「お前が言うと、マジっぽいんだよなぁ……」
「もしかして私、有咲に信用されている?」
「そんなんじゃねーよ!」
「……」
「香澄ちゃんどうしたの?」
香澄のソワソワした態度にりみは聞いてみる。
「う~ん、何て言うかさっきから誰かに見られているような気がして……」
「え⁉」
香澄の言葉に一同が驚くと直ぐに付け足しで雪目を始めた。
「あ! でも、不思議と嫌な気分じゃないんだよ! 何て言うか優しいって言うか……」
「優しい……」
たえが有咲に向かって言った。
「有咲駄目だよ、香澄を見る時はちゃんと許可を取らないと」
「見てねーよ! 大体、今の今までお前と話していただろ!」
「それもそうだね」
「あはは」
そんな談笑も織り交ぜつつ練習は続いていき、朝に集まった五人はいつの間にか昼下がりまで練習をしていた。
「それじゃあ、今日はこの辺までにしておこうか」
「え? まだ時間は沢山あるけど……」
沙綾の提案に香澄は疑問を持つがそれはすぐに消えた。
「スイパラ、行くんでしょ?」
「ああ、そうだった!」
「一番楽しみにしていたお前が忘れてどうすんだ……」
有咲は呆れていた。
場面は変わり、店。席に着き注文を受ける所まで来ていた。
「皆は何にするの?」
「私、ショートケーキ!」
「私はチーズケーキいいな」
「私は……取り敢えずシュークリームだな」
香澄、りみ、有咲が決まったの対したえは未だに考え込んでいる。
「ねえ、ハンバーグは無いの?」
「あるわけねーだろ、ファミレスじゃないんだから」
「じゃあハンバーグ風ケーキは?」
「ねーだろ、何だよハンバーグ風ケーキって……」
「それじゃあ、ケーキ風ハンバーグは……」
「あるわけ無いだろ! いい加減にしろ!」
「あはは、それでおたえは何にするの?」
「チョコケーキ」
「おい、何で沙綾にはちゃんと答えるんだ」
「皆、決まったみたいだね。それじゃあ……」
ガッシャーン!
沙綾が皆の物を取りに行こうとしたその時、店の窓ガラスが一斉に割れた。
そこから、白色のマネキンの様な人の形をした何かが一斉になだれ込んでくる。
「な、何⁉」
「うわああああああ!」
「あああああああああああ」
店内は一瞬でパニックになり、奴らは更に店内を荒らす、銃乱射、周囲の人を見境なく襲い始めた。
余りにも非現実的な状況に怯えるしかない五人に思わぬ救いが来る。
「来なさい! 私達が相手になるわ!」
『ついて来て!』
噂の青と緑の二人組が現れたのだ。
緑の戦士の暗示によって荒らしていた奴らの殆どは二人を追って店を飛び出す。
その隙に店の中に人達が必至に出て行く。
「おい逃げるぞ!」
「うん!」
五人もそれを見逃さず立ち上がり、外へ出ようとした。
ふと香澄は近くの席の下が目に入る。そこには逃げ遅れた小学生程の女の子、更にその近くを暗示から逃れた奴がうろついている。
「皆、先に行って!」
「香澄!」
それを見た香澄は迷わず、四人が止めるのも聞かず、走り出す。
木製の椅子を投げつけ怯んだ所で女の子に話しかける。
「もう大丈夫だよ!」
「……え?」
「あの、お姉さんたちについていって!」
「……うん!」
女の子は立ち上がり、有咲らの元へ走り出したその時りみが叫ぶ。
「香澄ちゃん! 後ろ!」
急いで振り返ると、奴がナイフを胸に突き刺そうとしていた。
「うわっ……⁉」
体を左に逸らして避けようとしたが、僅かに遅かったらしく、肩を斬りつけられ、血が流れだす。
「うっ……ううう……!」
痛みと恐怖で涙が出そうになるが堪え、近くの椅子を掴み構える。
その頃、店外では、二人の戦士が奴らと交戦していた。
場数の多い二人と知能の無い下っ端複数、という事もあってか戦いは優勢に進んでおり、残り三体の所まで来ていた。
「……⁉」
二人も勝てると確信していたその時、一体が豹変する。
「うぉっぉおおおおぅ!」
奇声を発しながら、姿を変えていく。
「な、何⁉」
「様子変ね……」
「えーっと……『止まって!』」
緑の戦士は迷わず暗示をかける。
「うぉっぉおおおおぅ!」
しかし、全く聞いていおらず。奴らの進化体、異形のタックルを受けて吹き飛ぶ。
「きゃあ!」
「ぐっ……」
更に異形は両手に力を込めると光の球を店に向かって飛ばした。
店は音を立てて崩れ始める。
「うわああああああ!」
瓦礫の崩落に巻き込まれて香澄の姿は見えなくなってしまった。
「香澄!」
「香澄!」
「香澄ちゃん!」
「香澄ぃぃぃ!」
四人の叫びが響いた。
「うぅ……」
一方、香澄は瓦礫の下敷きなったかに思われたが、崩れてきた瓦礫の隙間が出来た事によって軽症ですんでいた。
「み、皆……」
意識が絶え絶えの中隙間から射す光に手を伸ばす。
腕を一杯にまで伸ばし手に届きそうになったその時、一つの光球が香澄の前に現れた。
「君は無力だ」
「だ、誰?」
「だが、私と契りを交わすのならば、相応の力を与えられる」
「皆を助けられるの……⁉」
「ああ」
それを聞いた香澄は球に手を伸ばしたその時「ただし」と忠告をする。
「私の力を手にする、というのはこれから君は終わりの見えない戦いに身を投じるという事になる」
「戦う……?」
「ああ、ここで勝てたとしてもまた奴らは来る。その度に多くの人が傷つく」
光球はひたすら言う、香澄を試す様に。
「時間はないこの場で決めろ!」
光球は叫んだ。
「戦うか! ここで死ぬか!」
「私は……」
そして、出した答えは。
「力を貸して! 皆を守って涙を拭える程の力を!」
挑む。
「いいだろう」
香澄の返答に光球は嬉しそうに、彼女の手に触れると香澄の中へと吸い込まれていった。
その時、香澄の体が光りだした。
「あぁ!」
「きゃあ!」
緑と青の戦士が異形に突き飛ばされ地面を転がる。
「つ、強い……」
「今までの感覚はもう効かないわね……」
膝をついて相手を睨んでいたその時。
ドゴォッ!
突如、瓦礫の一部が吹き飛び煙が巻き起こる。
「⁉」
「ゴホッゴホッ!」
「何⁉」
突然の衝撃にその場にいた全員が顔を覆う。
煙が徐々に晴れていき、人影が浮かび上がっていく。
「……」
「戸山さん……⁉」
そこに立っていたのは、香澄の姿。ただ、さっきと違うのは香澄の左手にはピンク色のガントレットが装着されていた。
「か、香澄?」
ゆっくりと歩き、進化した異形の前に立つ。
『使い方はさっき教えたとおりだ』
「うん!」
ポケットから星の絵が刻まれた弾丸を取り出し、ヘッドの部分を押す。
『スター!』
音声が流れ、香澄は目を瞑り、弾丸を握りしめ、祈る様に力を込める。
「……」
そして、目を見開く。
「音撃チェンジ!」
そう叫んで、ガントレットに挿し込む。
すると、ガントレットから軽快な音楽が流れだし、香澄はゆっくり両手を天に挙げる。
ガントレットには銃のグリップらしきものが付いており、そこを握り締め、引き金を引いた。
ピンクの光弾が発射され、香澄の足元に着弾。すると香澄の姿が変わっていく。
ピンクのドレス、所々に星のアクセサリーが付き、仕上げと言わんばかりにに香澄の顔に星の形をした仮面が貼られた。
「これが……私?」
香澄は変貌した自分の姿をまじまじと見つめる。
『前を見ろ! 来るぞ!』
「!」
自分の中の何かに言われ顔を上げると、異形が腕を振り下ろそうとしていた。
すかさずそれを転がって躱し、腹にパンチを打ち込み、更に突き飛ばして距離を取る。
『武器は出せるな?』
「えっと……こんな感じ?」
香澄が腕を前に出すと宙に一本の剣が現れた。
『キラキラドキドキ剣!』
それを握り、両手で構えながら叫ぶ。
「よ、よーっし! かかってこい!」
戦士というよりバッターの様な持ち方をしつつ威嚇する。
「うぉっぉおおおおぅ!」
異形はよろめきつつ香澄に迫っていき、その不気味な姿に香澄は思わず剣を振り下ろす。
「う、うわっ!」
肩から斜めに切られ、異形はのけ反る。
「私達も行くわよ!」
「う、うん」
膝をついていた二人の戦士も士気を取り戻し香澄の応援を始めた。
「手伝うわ!」
「だ、誰⁉」
「ごめんね。後で教えるから今はあれに集中して!」
「は、はい!」
緑の戦士は腰に付けているサイリウムとメガホンを繋げると音声が流れる。
『センターブレード!』
「私が最初に出る!」
青の戦士が迷わず相手に向かって行き、緑の戦士と香澄はその後を追う。
「私に続いて!」
「はい!」
青の突き、緑の叩き、香澄の斬撃を連続で受け、よろめく。
「今よ!」
青の号令に三人は、一斉に各々の武器を頭から振り下ろした。
「うぉっぉおおおおぅ⁉」
断末魔を上げ、異形は爆散、跡形もなく消し飛んだ。
「ふぅ……」
「香澄!」
戦いが終わり、一息ついていたその時『ウィンド』という音声が流れる。
「え⁉」
「少し話があるわ。来て頂戴」
「皆、ごめんね! ちょっと香澄ちゃんと話がしたいから!」
ポピパの四人に向かって緑の戦士がそう叫ぶと、三人は風に包まれて姿を消した。
風に包まれてワープをした三人は人気の無い商店街の路地裏に立っていた。
「あれ?」
突然の場面が変わり、辺りを見渡す香澄に青の戦士が一言。
「驚いたわ、まさかこんなに身近な人が契りを交わしていたなんて」
「あのー……どちら様ですか?」
「私は……」
青の戦士は持っている群青色の剣の鍔の部分に銃弾を挿せる穴が二つある。その一つには既に一つの弾が込められており、それを抜く。
すると、青の戦士の全身から青薔薇が咲き誇ったかと思うと一瞬で散ってしまう。
散りながら消えゆく花びらの中から青の戦士の本来の姿が明かされる。
「え⁉」
元の姿に戻った彼女に香澄は驚きを隠せない。
「友希那先輩⁉」
銀の長髪を靡かせる歌姫が立っていたのだから。
「それじゃあ、こっちの人は……」
「うん、私は……」
緑の戦士は懐からコンパクトを出して開く。
中央の部分に銃弾が挿さっており抜いたその時、友希那が一言。
「丸山さんよ」
「えっ⁉」
緑の戦士の驚く声を他所に、足元から巨大な花が現れ、蕾が閉じる様に彼女を包む。
そして、蕾が消えると元に戻った丸山の姿が現れた。
「友希那ちゃん、勝手に言わないでよ~」
「別にもったいぶる事でも無いでしょう」
「まさか、彩先輩と友希那先輩が……」
「それは私達もよ」
「まさか、香澄ちゃんがコドウに魅せられるなんて……」
「コドウ……?」
彩の単語に疑問を浮かべていると香澄の脳裏に声が響く。
『我々の事だ』
「え?」
その時、香澄からピンク色で背中に星の模様が描かれた兎が現れた。
「うわっ⁉ う、兎?」
「戸山さんのコドウは兎の形をしているのね」
「二人もそこにいるんだろう?」
ピンク兎が問いかけると、彩と友希那の体からそれぞれ、黄緑色で腹にクローバーが描かれたリスが、薄青色で全身に荊が絡みついているロシアンブルーの猫が現れた。
「うっわ、見破るの早!」
「……」
「今度はリスと猫⁉」
新たな生物に両手を上げて驚く香澄に、友希那が猫を肩に乗せて淡々と話す。
「この子は私のコドウ、バラネコよ」
「どもー、確か香澄って名前だよね。カスミンって呼んでいいかな?」
「え? うん、いいよ」
今度はリスを両手に乗せた彩がその手を付き出しつつ言う。
「それで、この子がパスカル!」
「……香澄、よろしく……」
「わぁ、可愛い! 触ってもいいですか⁉」
「うん、いいよ!」
彩から承諾を貰い、香澄はリスのパスカルを撫でまわす。
「むぅ……」
香澄にもみくちゃにされ、呻き声を出すパスカル。
「……二人共、そんな名前だったか?」
そこに兎が質問をする。
「あれ、知らないの? この世界での名前が必要だと思って名付けて貰ったんだ~。ね、ユッキーナ」
「それは止めて頂戴」
「私達の本名……誰も言えないから……」
「そうか」
「だからさ、名前貰ったら?」
バラネコとパスカルの案を聞いた兎は、香澄に頼む。
「香澄、私の名前を付けて貰えるか?」
「名前⁉ えっと……う~ん……」
突然、名付けをする事になり困惑しつつも、考え込む香澄。そして、一つの名前が浮かんだ。
「ポップ! ポピパからとってポップ!」
「ポップ……分かった、今後はその名を名乗ろう」
「よろしく! ポップ!」
そう言って、香澄はピンク兎、もといポップを強く抱きしめた。
「戸山さん」
「友希那先輩?」
「さてと……何処から話せばいいかしら……」
成り行きで契りを交わして戦う運命を強いられた香澄。
しかし、友希那、彩という頼れる仲間もおり、三人は人々を守るため、戦の最前線へと走り出す。
彼女達の戦いはまだ始まったばかりだ。
かなり書いたので、読みづらい、おかしい部分があるかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
後、設定とか見たいですか?
ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)
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STAR BEAT!~ホシノコドウ~
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二重の虹(ダブル レインボウ)
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キズナミュージック♪
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Returns
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ティアドロップス