「……」
花咲川から離れた田舎にやって来たのは一人の少女。
普段とは違い口数の少ない姿に知る人が見たら驚くだろう。
「今年こそ……会えるのかしら……」
「こころが一人で出かけた?」
「うん」
プチミッシェルが奥沢家で五体のコドウと音撃戦隊の五人に加え美咲にそんな会話を切り出していた。
「あの、考えが分からないこころさんが?」
「うん」
「黒服の人達は?」
「ついてこないでって皆に言ってたよ」
「じゃあプチミッシェルも?」
「うん、ボクも留守番を無理矢理任されちゃったよ」
ましろ、蘭、彩の質問に答えると友希那が呟く。
「弦巻さんでも一人になりたい時があるんじゃないかしら?」
「いや、普段のこころなら、みんなで行きましょう! って騒ぐはずです」
「美咲ちゃん、声真似上手いね」
「そ、それは今は別にいいの!」
香澄に言われ美咲はとっさに訂正する。
「それでプチミッシェル、こころんが何処に行ったか分かるの?」
「分からなくはないけど……」
「我々は契りを交わした人物とはいつでも位置を特定できるはずだが……?」
口ごもるプチミッシェルにポップが問う。
「ただ、場所がね……」
「場所?」
「かなりの山奥でさ、スマホとか無い?」
「はい」
プチミッシェルに言われ香澄はスマホを出すと指示を出す。
「地図を開けない? 場所を伝えるからさ」
「分かった」
香澄はプチミッシェルの言う通り、マップアプリを開いて問題の場所を見つける。
「ここだよ」
「ここ? 太陽村って書いてあるけど……」
「待って⁉ ここって電車どころかバスも通ってないって!」
横で場所に加えてアクセスも調べていた彩が叫ぶ。
「いや、行く手段は一応あるよ」
『成程、俺の出番みたいだな』
その時、蘭の中からスカイが現れ肩に乗る。
「皆で俺に乗ればいいんだ」
「ああ、そういう事ね」
「待って頂戴」
出発の空気になりそうになり友希那が割って入る。
「弦巻さんの秘密を勝手に知っていいのかしら?」
「う~ん、でもやっぱり」
香澄は顎に手を当てると
「気になる……」
全員が声を揃えた。
「友希那先輩もですか?」
「有るか無いかで言ったら有るわ」
「湊さんが音楽以外に興味を持つなんて珍しいですね」
「失礼ね」
(太陽村はにゃーんちゃんが多いって聞いた事があるわ……)
香澄や蘭の台詞を他所に友希那はそんな事を考えるのだった。
「私はバカだった……」
廃墟の一角でビリビリが呟く。
「まず、この辺りの自然を荒らす。そうすれば、噂を聞いた警官や音撃戦隊がここに来る。その隙に街を襲う! 最初っからこうすれば良かったじゃん!」
自身の回りくどい計画を考えこれを実行しようとしていた。
「フウキイインは全滅したし、肩身が軽くなったけどなんか寂しい物ね……」
立ち上がり一言。
「さてと、一暴れしますか」
「あら、こころちゃんいらっしゃい」
「おばあさん! 今年も来たわ!」
一方、太陽村にやって来ていたこころは顔なじみのおばあさんと会話をしていた。
「貴女、子供の頃に初めて来た時から毎年来てくれてありがとうね」
「だってあたし、ここで見られるひまわり畑がとっても大好きなの!」
「嬉しいねえ、けれど管理をする人が亡くなって以来、年々規模が小さくなっているけどねえ」
「そうなの? 見る人がいないのに咲くなんてここのひまわりは凄いわ!」
「人の手を借りずとも咲く花……不思議な事があるもんだねえ」
「それじゃあ、あたし行ってくるわ!」
「ええ、いってらっしゃい」
おばあさんと別れてこころはひまわり畑の方へ走っていった。
「はぁ~……疲れた!」
こころに遅れて太陽村に来た六人は息が絶え絶えだった。
「何で途中から歩いて行くことにしたの~!」
「直接来たらこころにバレかねないし……意外と勘が鋭い所があるんですよ」
道中でスカイから降りて、真夏の田舎道を徒歩三十分。ここに来るまでに疲労が蓄積されていた。
「ん?」
彩が辺りを見渡すと五人に減っており、友希那が消えていた。
「友希那ちゃん?」
一方、友希那は村の入り口に立っていた猫に魅せられて、一足は早く村に踏み込んでいた。
「にゃーん」
「ふふ、そうやって私を誘ってるの? うふふ待って頂戴」
人前では見せないようなにやけ顔でフラフラと追う。
猫は一軒の家に入って行くが友希那も気にせず入って行った。
「あらあら、可愛いお客さんねえ。猫ちゃん、好きなの?」
猫は縁側に座るおばあさんの膝に飛び乗ると丸くなる。
それと同時に、人前に出た影響なのか友希那の顔が普段通りのすました顔に戻った。
「……普通です」
「友希那せんぱーい!」
後ろから声が聞こえ振り返ると香澄達が手を振りながら走って来ていた。
同じ時間帯、こころはひまわり畑に着いて思い切り叫んだ。
「向日葵ー! 今年も来たわよー! 今年こそは一緒に遊びましょう!」
こころがそう叫ぶと、高く伸びるひまわり畑の中から小さな少女が顔を出す。
「こころちゃん? 今年も来たの?」
「向日葵!」
腰まで延びる茶髪に白のワンピースの少女にこころは抱き付いた。
「久しぶりね! 十年ぶりかしら?」
「そうだね、それよりも毎年毎年来てくれたよね」
「ええ! もう一度、向日葵に会いたかったから!」
「ありがと」
会話をしてこころは向日葵の手を取ると叫ぶ。
「あそこに行きましょう! あたし達の場所に!」
「うん!」
そう言って二人はひまわり畑へと入って行く。
ひまわりをかき分けた先には一軒の木の小屋がポツリと建っており、そこに入って行った。
「そう、こころちゃんのお友達ねえ」
「はい! こころんの事が気になってここまで来たんです!」
六人は縁側に座らせてもらい、麦茶のご馳走を貰っていた。
「ここは昔は観光客が来ていたんだけどねえ」
「交通……ですか?」
「そうねえ、それもあるけど目立つものが無いからかしら。今はホラ……いんすたばえ? がするものはないからねえ」
「こんなにも綺麗な所なのに……」
「はい、ここにいると時間の流れが遅くなって体を休める事が出来るって言うか……」
香澄とましろが人の少ないこの村を憂いていたその時、庭先に火花が飛び散る。
「ひええ!」
おばあさんは驚いて顔を隠し、六人は前を向くとビリビリがレールガンを構えて立っていた。
「ビリビリ!」
「どうしてここに⁉」
「それはこっちの台詞よ! アンタらのせいでいきなり計画が頓挫しちゃったじゃない!」
構えているレールガンが光りだし銃口を一向に向ける。
「ここで、死んでもらう!」
「うらあ!」
その時、後ろから誰かがギターアックスを横に振るがビリビリはそれに気づいて屈んで避ける。
「貴女は……!」
「RASのマスキング!」
「オーロラの言う通り来てみれば、ホントにエクスードがいるとはな!」
今度は縦に振り下ろし、ビリビリと鍔迫り合いが始まりそのまま庭から出て行った。
「私達も行こう!」
「うん!」
香澄の音頭に全員が立ち上がり、後を追う。
「あ、お茶美味しかったです! それでは!」
美咲は、お辞儀をして最後尾を走り出す。
「Raise Your Hands!」
RASブラックに変身したマスキングと戦うビリビリに向かって五人が叫ぶ。
『スター!』
『サンセット!』
『クローバー!』
『ローズ!』
『バタフライ!』
「音撃チェンジ!」
一瞬で姿を変え斬りかかる。
「今回は本気で行く!」
ビリビリはそう言って腕にメダルを装填させていく。
『レベル1・レベル2……』
一枚入れるたびにレベルが上がっていき遂に限界にまで来た。
『レベル5!』
「くたばれ!」
地面を思い切り踏みつけると地割れその避けた地面から電が発生し六人を襲う。
「うわああああああああああ!」
遠くから様子を見ていた美咲にも迫る。
「危ねぇ!」
そこにマスキングが盾になり更にダメージを負う。
「特に裏切り者は!」
ビリビリがマスキングに銃口を向け発砲。
マスキングはレールガンを素手で受け止めるがそれと同時に爆発。
「ぎゃあああああああ!」
美咲は無事だがマスキングは片膝をついて息を切らす。
「マッスー!」
「裏切り者?」
叫ぶ香澄に対して友希那はビリビリの言葉に疑問を持つ。
「知らなかったの? RASブラック? だっけ、それは元々、コナモが作った物なんだけど」
「何ですって……!」
「つまりそいつは人類の敵。分かる?」
「で? それを聞いた所であたし達の考えは変わらない」
「……あっそ!」
蘭の返答がつまらなかったのかビリビリは足元にレールガンを放ち砂煙を巻き起こす。
「ぐっ!」
全員が顔を覆うと、既にビリビリの姿は無かった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「……」
「ねえ」
金髪の幼女の前に一人の少女が現れて声を掛ける。
「あなたはだあれ?」
「私は向日葵! 一緒に遊ぼ!」
「うん! あたしこころ!」
幼女はこれに答えて、手を引っ張られてひまわり畑の方へ向かって行った。
ひまわり畑にある木の小屋で、手遊びや小屋にあった玩具で遊び呆けた時にはもう日が沈もうとしていた。
「もう帰らないと」
「やだ! 向日葵ともっと遊ぶ!」
「ダメ、こころちゃんは皆と一緒にいないと」
「それじゃあ、向日葵も行こう!」
「……それは出来ないの」
「どうして?」
「私達の事は二人だけの秘密にして……お願い」
「うん、分かった! 来年も一緒に遊びましょうね!」
こころそう言って、ドアを閉めて去って行くと呟く。
「ううん、この一回だけでも嬉しいよ。……バイバイ」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「またこうやって向日葵に遭えて本当に良かったわ!」
木の小屋でこころは十年前の事を思い返していた。
「こころちゃんも毎年来てくれたんだね」
「ええ! 貴女にもう一度会いたかったんですもの!」
「こころちゃん、よく聞いてね。私……」
その時、外から轟音が聞こえ飛び出す。
「何かしら? 見てくるわ!」
「こころちゃん!」
外に出たこころが見たのは、ビリビリが立っていた。
ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)
-
STAR BEAT!~ホシノコドウ~
-
二重の虹(ダブル レインボウ)
-
キズナミュージック♪
-
Returns
-
ティアドロップス