音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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30thLive 二重の虹(ダブルレインボウ)

 バンバンバンッ! 

 けたたましく市ヶ谷家のドアを叩くと有咲の祖母が顔を出す。

「こんな時間にどちら様……」

 有咲の祖母はドアを開けると満身創痍の五人が玄関に立っており蘭が聞く。

「一体どうしたの⁉」

「有咲……いますか? いないなら……呼んでください」

 

 

 

「…………」

 満天の星空の下、一人の少女が眠る。

「……んん」

 カスミソウの絨毯の上で目を覚ました彼女は体を起こして辺りを見渡す。

「ここは?」

『気が付いたか』

「ポップ?」

 香澄が胸に手を当てて聞くと彼女の身体からポップが現れる。

「ここはどこなの?」

「ここは私達の故郷、星の国」

「星の国……」

「私はどうなったの?」

「君は……君の肉体は灰となって消えた……」

「そんな……!」

「だが、君の魂だけをここに持ってきたことで完全に消滅するのをだけは避けられた」

「私……死んじゃったんだ……」

「……場所を変えようか」

「……分かった」

 立ち上がり香澄はポップの指す方向へ歩んでいった。

 

 

 

「よし、後は安静にすればいいぞ」

「ん、ありがと」

 音撃戦隊の面々は市ヶ谷家に帰って来たポピパの三人から治療を受けていた。

「それで蘭ちゃん、エクスードはどうなったんだ?」

「逃がしたわ」

 有咲の質問に答えたのは蘭ではなく友希那。

「え⁉」

「けれど、一度は撃退できた。明日には必ず決着をつけるつもりよ」

「決着……?」

 りみが聞く。

「ウィンドは去り際に、明日まで猶予を与えると言った。後は……」

「あの!」

 友希那の台詞を遮り沙綾が叫ぶ。

「香澄は? 香澄はどこなの? さっきから全然、見えないんだけど……」

「!」

 音撃戦隊が最も恐れていた質問に全員の動きが止まる。

「一体どこに行ったんですか⁉ 皆でいるなら確実に会っているはず!」

「さ、沙綾ちゃん。香澄ちゃんは今……」

 彩が咄嗟に嘘を言ってその場を切り抜けようとしたその時

「亡くなったわ」

 友希那が真実を吐く。

「…………は?」

「ゆ、友希那ちゃん!」

「嘘をついたって、いずれはバレるわ」

 友希那の言葉には全員が驚いたらしく、顔を友希那に向ける。

 

 

 

「この辺りだろう」

 一方、香澄はポップに導かれある場所に来ていた。

「ここって?」

「同胞たちが集まる場所だ」

「けれど……!」

 カスミソウが咲き誇っていた場所とは打って変わって、たどり着いた場所は焼野原だった。

「エクスードに派手に荒らされてな……数は少なくなったが同胞はここに集まるはずだ」

「ここって前には何があったの?」

「カスミソウが咲いていた。君のいた場所は数少ない無事だった地域だ」

「エクスードが……」

 ポップの言葉に香澄は俯いていると彼女の上を数十の光の球が漂い始める。

「来たみたいだな」

「え?」

『なんでここに人間が?』

『契りを交わしたコドウもいるんだ』

『結構可愛い』

「こ、この子達が喋ってるの⁉」

「香澄、聞こえるのか?」

『私達の声が聞こえるの⁉』

「う、うん!」

『人間、何者だ?』

『何で私達が聞けるの?』

「待て! 香澄が困っている、質問があるなら一人ずつ頼む」

 混乱する香澄にポップが制止をかける。

 

 

 

「……以上よ」

「……」

 友希那はこの日、戸山香澄の最期を伝えた。

「嘘だろ……」

「そんなの……」

 有咲もりみもその事実を聞かされ、頭を抱える他なくしている。

「……そ」

「山吹さん?」

「そんなの嘘に決まってる!」

 テーブルを叩いて叫ぶ沙綾に驚き、一同が視線を向ける。

 俯いて拳を震わせてながら、絶叫する。

「香澄は! 香澄は、私達に嘘なんてつかない! きっとどこかでいるはずで……何かの間違いで……」

 沙綾の声が徐々に弱くなっていく。

「うわあああ……」

 遂に泣き出した。

「有咲、流星堂の鍵持ってない?」

「え? な、何だよ……」

「これからの話がしたいから」

「あ、ああ。これ」

 有咲はポケットから地下蔵への鍵を出して蘭に渡す。

「……ありがとう。でも……ごめん」

 鍵を手にした蘭を先頭に音撃戦隊の五人は逃げる様に部屋を出た。

 襖を開けて玄関に向かおうとしたが、廊下にへたり込んでいる人影を見つける。

「たえちゃん……」

「香澄……ごめんなさい……ごめんなさい……」

(私と山吹さんのやり取りを聞かれたのね……)

 嗚咽を吐きながら、悔恨をし続けるたえに何も言えずに五人は急ぎ足で流星堂の地下蔵へ向かって行った。

 

 

 

「……さて、ウィンドの能力の対策をとりましょうか」

 地下蔵に来た五人はソファに座るが、何も浮かばない。

「……」

「ウィンドは私の予知からは逃げられないと言っていたわね」

「ええ! もしかして未来が分かるのかしら?」

「その可能性があるわね。問題はその突破口だけど……」

「こんな状況でも、会議はするんだね……」

 友希那とこころの態度に彩が呟く。

「……アイツが逃げられないぐらいの範囲に攻撃をするのはどうですか?」

「それを予知されたら意味無いわ」

「縛り付けて、一撃で決めるのは?」

「あの相手に同じ手が通じるとは思えないわ」

「だったら、遠くから狙撃するのは?」

「美竹さん、さっきから似たり寄ったりな案しかないのね」

「けれど、もしもアイツの能力に限りがあるとしたら、一度に一人だけとか、読める先は数秒先だけという可能性もあると思うんです。それならきっと……」

「……確信出来ない以上、決定打は無いわね」

「だったら、もう打つ手は無いって言うんですか⁉」

 友希那との問答にしびれを切らした蘭が叫ぶ。

「いえ、私には一つだけ案があるわ」

「何かしら?」

 友希那の案にこころが興味を持つ。

「RASブラックをこちら側に引き込む」

「レイヤちゃん達を?」

「アイツらが簡単に力を貸してくれるとはあたしには到底思えません。それに、その案も湊さんの言う決定打にはならないんじゃないんですか?」

「どうして……」

 今まで黙っていたましろが声を出す。

「どうしてそこまで戦おうとするんですか⁉」

「ま、ましろちゃん?」

「六人がかりで……香澄さんもいてようやく勝てたっていうのに……! 五人じゃ絶対に勝てませんよ!」

「だから、戦力を増やすのよ。……はっきりってこれ以外の案が浮かばないの……」

 後半からは友希那は下を向いて小声で呟く。

「私は……まだ死にたくないよ!」

 ましろはそう叫んで、外へ出して行った。

「ましろちゃん!」

「臆病風に吹かれた倉田さんは放っておきなさい」

「けれど……!」

 彩の声も聞かず友希那は淡々と言う。

「私は明日の午前中にRASと交渉するつもり、皆は帰って英気を養って頂戴」

 友希那はそれだけ吐き捨て足早に地下蔵から出て行くのだった。

「友希那ちゃん! こころちゃんも手遊びしてないで友希那ちゃんを止めて!」

「今、新しい円陣の組み方を考えてたの!」

「今はそんな事してる場合じゃ……」

「音撃戦隊が七人になったら新しい円陣でカッコよく決めたいんですもの!」

「こころちゃん、香澄ちゃんはもう……」

「大丈夫! 香澄は絶対に帰ってくるわ!」

 

 

 

「……」

 友希那は雨が降る中、フラフラと歩く。

 俯いて歩く彼女が顔を上げると駅前に来ていた。

「うわあああああああああああああああああああ!」

 友希那は今まで溜めていた感情を、厚い雲に覆われた空に向かって咆哮をあげるという形で爆発させる。

「友希那……」

 友希那の帰りの遅さに探しに来ていたリサはその光景を見つつも声を掛けるのだった。

 

 

 

「うん! それでね……」

星の世界では香澄はコドウ達に取り囲まれて身の上話をしていた。

『バンドかぁ……』

『歌って楽しい?』

コドウ達も香澄の話に興味津々で

 

 

 

 

 

「香澄先輩が……亡くなった?」

「ええ」

「…………そう」

翌日、チュチュのマンションに来た友希那は、香澄の訃報と交渉の為にチュチュと対峙していた。

テーブルで対面し睨み合う二人、流石にチュチュも敵対している人間とはいえ、返す言葉は浮かばなかったようだ。

しかし、六花は

「ああ……」

「ロック!」

一瞬ふらつくと意識を失い、膝から落ちそうになった所をマスキングは支える。

「……ソファ借りていいか?」

「構わないわ」

チュチュから承諾を貰い、マスキングは六花の肩を担いで部屋から出て行く。

「さて、ここからが本題なのだけど」

「ワタシは聞くつもりは無いわよ」

「いえ、これは貴女達にとっても利益のある事。聞かせて後悔はさせないわ」

「……言いなさい」

友希那の利益が気になったチュチュは前かがみになり聞き出す。

「まずはこれ。中は見て貰ってもいいわよ」

友希那はテーブル上に金属がぶつかり合う音を発する、袋を一つ置く。

チュチュは迷わず袋の紐を解いて、中身を覗き込む。

「Dバレット⁉」

「まぁ!」

「⁉」

中にあったのは大量のDバレット、友希那の思わぬ行動にチュチュもパレオもレイヤも驚きを隠せない。

「それは、私達六人が持ってる全てのDバレットよ」

「……それでワタシ達は何をすればいいの?」

「話は最後まで聞きなさい。それはあくまで成功報酬よ」

成功報酬、そう釘を刺して目的を放し始める。

「幹部クラスエクスード、ウィンドが今日襲撃をしてくる」

「へぇ……ウィンドが」

今まで部屋の隅で丸まっていたオーロラが会話をする集団の周りを漂い始めた。

「一人間が幹部クラスに到底、敵うとは思えないんだけど?」

「そこでRASブラックには私達、音撃戦隊の援護をしてもらいたいの」

友希那はオーロラの台詞を無視して袋に手を突っ込むと、適当なDバレットを五つ、袋の隣に転がす。

「そしてこれが前払い、手を貸してもらえるかしら?」

「……」

Dバレットと引き換えにRASブラックの共闘、勝利の暁にはDバレット全部を譲るという交渉。

これにはチュチュも考え込むしかない所へ友希那が追い打ちをかける。

「これだけじゃないわ」

「What?」

「フェニックスバレット。これも渡す」

『ユッキーナ!』

友希那のDバレットの出し惜しみをしない姿にバラネコが現れ物申しだす。

「いくら何でも気前良すぎ! そこまでしなくても……!」

「オーロラ、幹部クラスの強さは?」

「一人死んでいるんだ。かなりの物だろうね」

「残念だけど答えはNoよ」

「……勝てないから逃げるの? RASのプロデューサーも大したこと無いわね」

「……何ですって?」

交渉決裂しかけた所で友希那が煽りを入れると予想通り食い付く。

「チュチュ様! バレットの力を思い出してください!」

「……」

チュチュは煽られ震えているが、叫ぶ。

「いいわよ! その戦い出てもらうわ! レイヤ!」

「……分かった」

レイヤも少し迷って頷く。

「ありがとう。……ところで」

交渉成立、したが友希那は気になっている事を聞きだす。

「RASが言っているインフィニティバレットって一体何かしら?」

「Infinity Barrettは究極の力を抱いているの、手にすれば破壊も創造も意のままになるのよ!」

「究極の力……最後に良いかしら?」

「何よ」

友希那は袋を手にして立ち上がり問う。

「貴女、もし私が煽らなかったら戦うつもりは無かったの?」

「そうね、参戦するのもあくまでRASブラックの力を証明する為よ」

「RASの事しか考えて無いのね」

「悪い? Infinity Barrettがあれば全てが丸く収まる。無駄な行動をとらなくてもいいのよ?」

「バレットさえ手に入れば、人が傷ついてもどうでもいいと言うの?」

「さっきから何よ! 大人しくワタシにDバレットを渡せば、全部が解決するのよ⁉ そっちの方が十分いいじゃない!」

「言ってなさい」

僅かに怒声混じりで吐き捨て、出口に向かう。

「お連れしますよ」

「結構よ」

パレオの対応をあしらい部屋から出て行った。

「……」

レイヤはその光景を黙って見つめるしかなかった。

 

 

 

マンションの廊下を進んでエレベーター前に立ちボタンを押すと、エレベーターが来て自動ドアが開かれる。

友希那は乗り込み、一階へのボタンを押したその時、一人の女性が飛び乗って来た。

「待って!」

「貴女は……」

『ドアが閉まります』

機械音声が響くとゆっくりと閉められた。

静かに降りていくエレベーターの中で最初に切り出したのはレイヤだ。

「あの、湊さんは何故戦っているんですか?」

「……私の夢はロゼリアで頂点に立つ事、エクスードはそれを脅かす存在。だから戦うのよ」

「だったら、他の人に受け継ぐというのは……」

「私は……ただ自分の守りたいものを自分の手で守りたい。それだけ」

「……」

「戸山さん……いえ、音撃戦隊は形は違えどこの考えは共通していると私は思ってるわ。……一方的にだけど」

「守りたいもの……」

「和奏さん、貴女は何故戦おうと決めたの?」

「私は」

『一階でございます』

機械音声が発せられゆっくりとドアが開くと友希那は降りて振り返らずに一言。

「いつか私に教えて頂戴」

「あ……」

『ドアが閉まります』

一人ぼっちの箱の中でレイヤは呟く。

「何で戦ってるんだろう」

 

 

 

 

ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)

  • STAR BEAT!~ホシノコドウ~
  • 二重の虹(ダブル レインボウ)
  • キズナミュージック♪
  • Returns
  • ティアドロップス
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