「……」
この日、練習の為にCircleに一足早くやって来たましろはソワソワしていた。
「……」
待合室の席についてるましろの前にはレイヤが向かって座っており彼女の顔を黙って見つめてる。
(うう……確かにレイヤさんも音撃戦隊の人になったけれど、RASの人達近くにいないよね? 怖そうだし、音楽にも真剣だし、変な事言ったらひどい目に遭うかも……正解が分からないよ……。皆早く来て―!)
(今回も何かを言った方が良いわよね……次は何がいいかしら?)
それぞれ別々の事を考えていたその時、外から轟音が響く。
「な、何⁉」
「来た! ましろちゃん、まりなさんに皆を裏から避難させるように言って!」
「え? は、はい!」
それだけ言ってレイヤは外に飛び出し、走りながらギターアックスとDバレットを両手に叫ぶ。
「Raise your hands!」
「そ、そうだ、まりなさんに言わないと!」
残ったましろは受付に向かいまりなに迫る。
「あの! 外にエクスードがいるので、裏から逃げて下さい!」
「え⁉ エクスード⁉」
疑ったまりなが外を覗き込むと人の形をした異形が歩いており、その姿を見るとましろに言う。
「分かった。ましろちゃんも避難の手伝いをしてもらえるかな?」
「えっと……」
この時、ましろは何故かレイヤの事が気になっていた。
「すいません。私、行かないと!」
「あっ! ましろちゃん! 危ないよ⁉」
まりなの制止を聞かずにレイヤの後を追うのだった。
Circle付近では、猪のエクスードがピコピコと音を鳴らしながら彷徨っており、Circleを見つけると左手をかざし、光の球を生成すると光弾を放った。
「はぁ!」
そこへレイヤが現れ、Dバレットを装填する。
『ホームラン!』
ギターアックスをバットの様に構えフルスイング。光弾を空の彼方へと吹っ飛ばした。
「音撃戦隊が現れた!」
「……変化が無いと飽きてくるね」
そう呟き、ギターアックスを捨て素手で立ち向かう。
「セイヤッ!」
初手はボディブロー、隙を出さずに裏拳、腹にヤクザキック。
「痛恨の一撃!」
エクスードは叫び、腹を押さえつつのけ反り、その隙にレイヤはギターアックスを回収し、エクスードを掴んで跳ぶ。
場所は変わって、高架下。
ギターアックスのヘッド部分で相手の頭を小突き、肩に足を掛けると飛ぶ様に蹴り、距離も取る。
「レイヤさん!」
「香澄ちゃん! みんな!」
そこへ音撃戦隊が駆け付け、横一列に並んでいる五人はDバレットを構えて叫んだ。
「音撃チェンジ!」
レイヤはそれを確認して、エクスードを羽交い絞めにすると友希那に応援を頼む。
「湊さん! コイツの左胸を突いて!」
「? 分かったわ」
友希那は疑問を持ちつつも、胸を突くとエクスードは吹き飛んでいき地面を転がる。
「レイヤさん!」
だが、そこへましろが来てしまう。
「時間が狂った⁉」
「え?」
エクスードはましろに気づき彼女を取り押さえる。
「きゃあ!」
「音撃戦隊を手に入れた!」
「ましろちゃん!」
ましろを盾にして手を出せなくしたが
「……今回は捨てた方がよさそうね」
「レイヤ?」
レイヤそれに全く動揺せず、ギターアックスを捨てて走り出す。
「レイヤさん⁉」
「ゲイマアは混乱している!」
エクスードもレイヤの予想外の行動に驚きを隠せずにしているが、レイヤは奴の顔面を殴った。
「きゃあ!」
「ピガガガガガガガガ」
「大丈夫⁉」
膝をつくましろを起こして、その場から離れようとしたその時、白銀色の爆発が起こり二人を飲み込んだ。
「ましろちゃん! レイヤさーん!」
『おきのどくですがぼうけんのしょはきえてしまいました』
「え?」
「……」
この日、練習の為にCircleに一足早くやって来たましろはソワソワしていた。
「……」
席についてるましろの前にはレイヤが向かって座っており彼女の顔を黙って見つめてる。
「あ、あれ?」
「ましろちゃん?」
「私さっきまでエクスードに襲われててそれで……」
「ましろちゃん! もしかして記憶が……!」
それぞれ別々の事を考えていたその時、外から轟音が響く。
「来た! ましろちゃん、まりなさんに皆を裏から避難させるように言って!」
「え? は、はい!」
それだけ言ってレイヤは外に飛び出し、走りながらギターアックスとDバレットを両手に叫ぶ。
「Raise your hands!」
「そ、そうだ、まりなさんに言わないと!」
残ったましろは受付に向かいまりなに迫る。
「あの! 外にエクスードがいるので、裏から逃げて下さい!」
「え⁉ エクスード⁉」
疑ったまりなが外を覗き込むと人の形をした異形が歩いており、その姿を見るとましろに言う。
「分かった。ましろちゃんも避難の手伝いをしてもらえるかな?」
「えっと……」
この時、ましろは何故かレイヤの事が気になっていたが違う選択を取った。
「分かりました!」
レイヤの方はエクスードと戦い、高架下に来ていた。
「湊さん! コイツの左胸を突いて!」
「? 分かったわ」
友希那は疑問を持ちつつも、胸を突くとエクスードは吹き飛んでいき地面を転がる。
「ゲイマアは逃げ出した!」
エクスードはそれだけ吐き捨てて走って逃げだした。
「皆さん!」
そこへましろが遅れて駆け付ける。
「倉田さん、遅いわよ」
「うう……Circleの人達の避難を手伝っていたんです……」
「そうなの?」
「はい、私がやって欲しいと頼んだので」
レイヤの擁護にましろは胸をなでおろすとこころが聞く。
「ねえレイヤ。どうしてエクスードの事が分かったの?」
「ああそれなら……信じられないんですが」
レイヤは一息飲んで言う。
「私だけ、時間が巻き戻っているみたいなんです」
「時間が巻き戻る⁉」
六人が一斉に声を荒げるが、最初に友希那が冷静に質問をぶつける。
「……それで和奏さん、その能力について詳しい事は分かっているの?」
「一つは相手に攻撃を与えると時間が戻るんです。もう一つは、倒すには順番を守らないといけない事ですかね」
続いては香澄だ。
「レイヤさん、その順番はどこまで分かってるんですか?」
「ボディブロー、裏拳、ヤクザキック、ブルーローズでの突き、ここから先はまだ……」
「じゃあ次にあったらランダムスターバレットを使ってみよう! 時間を戻される前に倒すって言うのはどうですか⁉」
「私も一回やったんだけどね、ダメだった」
「そうですか……」
落ち込む香澄に続いて聞いて来たのは蘭だ。
「……一応聞くけど、これって毎回説明してるの?」
「まあ……うん」
「何かゴメン……」
レイヤの知られない奮闘を知って彩は申し訳なさそうに謝るのだった。
「ああ、ましろちゃん」
「な、何ですか?」
「これから話があるから一緒に来てくれるかな?」
「は、はい」
「待って」
去ろうとしていた二人に友希那が呼び止める。
「倒し方が分からなくとも、次の出現場所は分からないの?」
「二時間後、駅前に現れますが下手に手を出さないで下さい」
「分かった!」
「あの、レイヤさん、話って……」
五人と別れ、ましろとレイヤは河原を並行して歩いていた。
「うん、これは私の予想なんだけど……」
「は、はい」
「ましろちゃんも時間の巻き戻りに巻き込まれたかも知れない」
「え? えぇ~⁉」
レイヤの台詞にましろは驚くが当人は続けて言う。
「ましろちゃん、今回は来るのが遅かったけど何かあったの?」
「えっと、まりなさんに避難を手伝って欲しいって頼まれて……」
「引き受けた?」
「はい」
「それじゃあその前は?」
「え? たしか断って戦いにいって……あれ?」
「やっぱり」
自分の言葉に矛盾を感じ目を回すましろにレイヤが優しく言う。
「落ち着いて、この状況を抜ける方法は無いと決まったわけじゃない」
「それって……?」
「順番通りに相手を倒せれば、きっと光はある」
「でも、どうやって順番を見つければ……」
目標は分かってもそこへの行き方が分からずましろは項垂れてしまうが、レイヤは何かを思いついたのか優しく語る。
「……いつも行く場所があるんだけど一緒に来てくれる?」
「わ、分かりました」
「ここは?」
「チュチュのマンション」
「!」
苦手意識を持っている相手の拠点の前にしてましろは思わず竦んでしまう。
レイヤは入り口に置かれているチャイムを押すがチュチュは出てこない。
「今日も反応なしか……」
「あの、RASの中で何かあったんですか?」
「あはは……チュチュに嫌われちゃってね。実を言うと、私はもうRASの人間じゃないんだ」
「え⁉ でも、ここに来たのは?」
「音撃戦隊として戦う、RASのベーシストに戻る、両方をやり遂げる為にね」
そう言いながら、レイヤは背負っているベースを下ろして、肩に掛け演奏の準備を始める。
「届くまで、何度だって歌い続ける」
「ましろちゃん、今スコアとか持ってる?」
「す、すいません。今は持ってません」
「それじゃあもし次の巻き戻りがあったら用意してもらえないかな?」
「分かりました」
この日、レイヤの練習風景をましろは何も言わずに、黙って見続けていた。
そして約二時間後、レイヤの言う通りエクスードが駅前に現れた。
「音撃戦隊が現れた!」
「私達は何度だって現れるよ!」
だが、音撃戦隊の七人もまた先にスタンバイしていたのだ。
「皆行こう!」
「音撃チェンジ!」
「RaiseYourHands!」
一瞬で姿を変えた七人だが、攻撃方法は分からず警戒をする。
「レイヤさん、私達は何をすればいいですか?」