「鳰原れおな……」
『それがパレオちゃんの本当の名前だと思う』
「あの、住所は分かりますか?」
『うん、今から教えるからメモしてね』
六花は彩の言う住所をノートの端に書き上げる。
「千葉の鴨川……」
『私達もこれからこっちに向かうけど、どこで合流するの?』
「合流先ですか……」
六花が考えていた時、ますきが横から言う。
「アタシらは直接乗り込むつもりです!」
「ま、ますきさん乗り込むって……」
「今は時間が無いんだろ⁉ だったら一人でも行くぞ!」
『わ、分かった。今からパレオちゃんの家で会おうね。私達もすぐに出るから』
「お願いします!」
その会話を最後に通話が切れ、ますきは六花にヘルメットを押し付けバイクに跨る。
「乗れ!」
「はい!」
数時間後、れおながいるであろう鴨川にまでやって来た五人。
塀に描かれている名前を見つめる。
『干物の鳰原』
「干物?」
「みたいだね」
六花と彩が首を上げてその建物の外観を眺めているとこころが叫ぶ。
「中に入ってみましょう!」
「あ、あの勝手に入ったらいけないんじゃ……」
「そうだな、さっさとパレオに会わねぇと」
「ますきさんまで⁉」
まさかのこころの案に賛同するますきに六花は驚愕するが、二人は全く聞かず敷地へと入って行く。
「ああ! 駄目ですって!」
「六花ちゃん待って!」
三人も二人の後を追って敷地に入って行った。
「パレオ! 貴女に会いに来たわ! お話ししましょう!」
「おい! 出てこい! いるんだろ⁉」
「これじゃ、取り立て屋みたいだよ~!」
二人がかりで玄関をバンバン叩く姿を見た彩が思わず叫んでしまう。
「どど、どうしよう……」
「こ、このままやと泥棒に間違われてまう……」
「仕方ねぇ……」
狼狽えるましろと六花を他所にますきは近くにある手ごろな大きさの石を拾う。
「ますきさん! それは流石にアカン!」
「壊すのはダメだよ!」
「ロック! 彩さん! 時間が無いんだ! 邪魔しないでくれ!」
六花と彩が二人がかりでますきを押さえ
「あ、黒服さん! 開かないドアがあるのだけど……」
「こころさんも黒服の人を呼ばないで下さい~!」
ましろもこころを止めていた。
「あの……どちら様ですか?」
その時、五人の後ろから声が聞こえ振り返る。
そこに立っていたのは黒髪に腰まで伸びるほど長いツインテールに眼鏡をした大人しそうな少女だった。
「ワ、ワシらがけっすでそげなもんじゃ……」
「おいロック。喋り方がおかしくなってるぞ」
「え、ロックさん⁉」
「ん?」
少女のリアクションを見た彩が聞く。
「パレオちゃん?」
「違います。鳰原れおなです」
少女の返答にましろも聞く。
「え? でも、さっき……」
「違います。鳰原れおなです」
「鞄から何か出てる……」
「ウソッ⁉」
ましろの一言で咄嗟に鞄を見るが、ファスナーもしっかり閉まっているし、はみ出ている物は一つも無い。
少女はましろが発破をかけただけど安堵して胸をなでおろす。
「な、何も出てないじゃないですか……」
「おい、なんで焦った?」
「あ……」
ますきに睨まれた少女が次に取った行動、それは
「……」
背を向ける。
「お前、パレオだろ」
位置について
「何とか言え!」
脱兎の如く走り出した。
「逃げたわ!」
「追いかけましょう!」
「待て~!」
「パ、パレオさん想像以上に足が……」