音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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36thLive からくりピエロ

「でやー!」

この日、下っ端怪人ピラーが複数体現れたとの事で七人は戦線に立ち応戦していた。

それぞれの大技でピラーを一掃すると彩が叫ぶ。

「みんなゴメンね! 私これから練習があるから!」

それだけ言うと彩は急足でその場から去って行き、その後ろ姿を見ながら香澄が考える。

「彩先輩、最近忙しそうだなぁ」

「何か用事がある、とかでしょうか?」

「何なのかしら?」

「さあ……」

 

 

 

「よっ……ほっ……」

同日、彩はスタジオで一人、鏡の前でダンスの練習をしていた。

それを微笑まし気に見つめるのは同じパスパレの二人。

「彩ちゃん気合入ってるねー」

「まあ、分からなくも無いですよ」

麻弥は皆が手にしている二枚の紙の内の一枚を見つめながら言った。

「ソロライブオーディション企画、成功させればМフェスへのパスパレ出演権の獲得ですからね」

「それってすごく有名な番組だよね? あたしも出てみたいし、彩ちゃんにはぜひ頑張ってもらわないと!」

「日菜さん、彩さんにあまりプレッシャーをかけちゃ駄目ですよ」

「そうかなあ? 後は最終選考をパスして、本番のソロライブでちゃちゃっと歌っちゃえばいいんでしょ?」

「そんな、日菜さんじゃないんですから……」

麻弥と日菜は笑いながら会話をしていた。

だが、それに対して訝し気に見つめる人が一人。

「千聖さん、さっきから難しい顔してどうしたんですか?」

麻弥が聞くと千聖は歌詞ノートに目を落として語る。

「いえ、この作家さん聞いた事の無い名前だって思えてね……」

「元々無名の人だったんじゃない?」

千聖は作詞者の名前を指差しているが、日菜は何も気にせず返す。

「ねぇ彩ちゃん」

「何?」

後ろから千聖が彩に問うと、彩は動きを止めて千聖に振り返る。

「この企画考えた人、誰かしら?」

「確か、長井さんだった筈だよ。今度のオーディションで」

「そう……教えてくれてありがとう」

「アヤさん!」

三人から離れていた所で待機していたイヴが、彩の傍で片膝をついてタオルとペットボトルを差し出す。

「お疲れ様です! こちらをどうぞ!」

「イ、イヴちゃん。そこまでしてくれなくてもいいから!」

「いえ! アヤさんは今、たった一人で頑張っているんです! それを応援するのが私のブシドーなんです!」

「そ、そこまで言われると照れちゃうな……」

今の彩を最も応援する純粋なイヴに、彩は嬉し気になるのだった。

 

 

 

「お疲れ様でした!」

後日、彩は最終選考を受け元気よくスタッフの人達に挨拶をして去って行く。

人も疎らになり、選考会場の撤収準備が始まり、スカジャンに無精ひげを生やし、キャップを深く被った男もそれに参加する。

「しっかしあの丸山って子も気の毒だよな」

二人のスタッフが作業の手を動かしながら話し始めた。

「だよな~これがドッキリなんて全く気づいていないんだから」

男はこの会話に興味を持ったのか、耳を傾けながら作業を進める。

「ネタバラシはどのタイミングでやるんだ?」

「ライブ会場に来た彩に向かってドーンと決めるらしい」

「へー、何か酷いな……」

「けど彩も彩だよな。ちょっと考えればこれがドッキリだなんて分かるのに」

「頑張ってて気づいていないとか?」

「頭丸山なだけだろ。ハハハ」

「だいたい、長井さん一体どんな番組を作りたいんだろ?」

「ここだけの話、アイツ宴会の場でアイドルは資源ゴミみたいな物とか言ってたぞ」

「そんな非道な人が番組作りをしてて何で怒られないんだ? まさか、バックに上層部がいるとか……」

「シーッ! それ以上言ったら、首を切られかねないぞ」

二人のスタッフの会話を聞いて一息ついた。

「ふーん……」

 

 

 

翌日、彩はCircle前のカフェテリアで音撃戦隊の六人に企画に参加している事、それが順風満帆に進んでいる事を話した。

「彩先輩、オーディションが受かったらどうなるんですか?」

「ふふふ……なんと! Мフェスに出まーす!」

得意げに言うと、香澄が「おおー!」と言って手を叩く。

「彩さんすごいなぁ……」

「彩なら絶対に合格出来るわ!」

「あれに出られるかもしれないって……彩さん、やりますね」

「みんな待って、まだ決まったわけじゃないから。そうですよね?」

興奮している面々を宥めて、レイヤは改めて彩に聞く。

「うん、最終選考が通ったらの話だから」

「……結構大変なんですね」

「そうだ! みんな、これからは彩先輩に負担がかからない様にしばらくは六人で頑張ろうよ!」

「え⁉ 香澄ちゃん、それはちょっと申し訳ないよ……」

「そうね。それがいいわ」

「友希那ちゃんまで⁉」

「その代わり、良い報告を待ってるわ」

「……! うん!」

友希那なりの応援を受け取って彩は笑顔で答えるのだった。

『彩……』

「パスカル? どうしたの?」

その時、彩の脳内でパスカルの声が響き呟く。

『エクスード……近くにいるみたい』

「え⁉」

「どうしたんですか?」

『香澄、エクスードだ。まさかパスカルが気づくなんてな』

「何処にいるの⁉」

香澄は席から立ちあがり辺りを見渡す。

だが、異形の姿は見えない。

「ここいらでいいか」

カフェテリアの敷地に入って来たスカジャンに無精ひげを生やし、キャップを深く被った男が袖を上げて左腕に付いた装置を弄る。

すると、人の姿から本来の姿へ戻っていく。

「よし」

ドーベルマンのエクスードは肩を鳴らしているとそれに気づいた客たちは我先にへと逃げ出し残ったのは、音撃戦隊の七人だけだ。

「あの人がエクスード⁉」

「人前で擬態を解くなんて一体何を考えている……?」

相手の行動にレイヤは疑問を持ちつつも立ち上がる。

「あれ? アンタ……」

ドーベルマンは彩に気づいたのは興味あり気に見るが、蘭が横から入って来て彩を見えなくする。

「一体何がしたいのか分からないけど、アンタの好きにはさせないから」

七人は横一列に並んでDバレットを取り出してそれぞれ装填していく。

「さあ、変身だよ!」

締めに、構えを取って叫んだ。

「音撃チェンジ!」

「Raise Your Hands!」

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