音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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38th Live クリスマスのうた

「今年のクリスマスは何をしましょうか!」

 ジングルベルが流れるショッピングモールでこころがハロハピのメンバーに向かって叫ぶ。

「まあ、こころなら言うと思ったけどさ、何でショッピングモール?」

「だってとっても楽しいじゃない! 楽しい場所なら楽しいアイデアが浮かぶかもしれないわ!」

「あーそうですか」

 こころの飛躍した案に美咲は雑に流していると、はぐみが叫ぶ。

「こころん! はぐみ、サンタさんのソリに乗ってみたい!」

「いいわね! サンタさんにお願いしてみましょう!」

「サンタが困るから駄目です」

「では、サンタさんがどれだけ儚いのかシェイクスピアになぞらえて、私が伝えるのはどうだろうか?」

「楽しそう! 薫くんのシェイクスピア聞いてみたい!」

「はぁ……と言っても……」

 呆れた美咲が辺りを見渡すと、並ぶ店先にはトナカイの人形、壁にはリースが掛けられ、サンタの恰好をした店員がティッシュを配って回っていた。

「もうこの季節が来たんですね」

「そうだね、サンタさんと言ったら美咲ちゃんはいくつまでサンタさんを信じてたの?」

「うーん……少なくとも今は信じてないですね。でも、子供の頃は信じてましたよ……多分」

「確かにありえないかもしれないけれど、いるって考えている方が夢があっていいんじゃないかな?」

「そういうものですかね?」

「あら?」

 花音と美咲が二人で話していた時、こころはベンチで俯いている男の子を見つけて声を掛ける。

「貴方、笑顔じゃないわね。一体どうしたの?」

『いやこころ、クリスマスだからってみんなが浮かれている訳じゃないから』

「そうかしら?」

 プチミッシェルの突っ込みに疑問を持っていると子供が呟く。

「サンタなんていない」

「ん?」

「サンタなんていないんだよ!」

 そう叫ぶと、走り去ってしまった。

「あの子、何かあったのかな……」

「何だか、悲しげに見えたね……」

「ええ! せっかくのクリスマスなのに笑えないなんて悲しいよ!」

 子供の台詞に花音、薫、はぐみが寂しげな顔をする。

「……」

「こころ?」

「今年は……」

 黙っていたこころだが何かを思いついたのか叫んだ。

「花咲川スマイルランドでライブをしましょう!」

「いやいや! 何でそうなるのさ!」

「音楽を聴いてサンタさんを呼ぶのよ! そうすればあの子も信じてくれるわ!」

『うわー……今年のクリスマスは長くなりそうだなー……』

 プチミッシェルはこころの確実に規模が大きくなりそうな企画に頭を抱えるのだった。

 

 

 

 クリスマスの色に浮かれているのは何もハロハピだけに限った事ではない。別の場所では、彩がパスパレのメンバーに加え、香澄とましろと共にクリスマスの飾りが入った袋を両手に道路を歩いていた。

「二人共、今日はありがとね」

「いえいえ、これぐらいお安い御用です! 彩先輩も怪我はもういいんですか?」

「うん。ただ、無理は出来ないけれどね」

「あんな事があったんですもの、私もしばらく活動を休止するように言ったのだけど……」

「ううん。私は大丈夫、それよりも心配してくれている人達の為にも私の元気な所を見てもらわなきゃ!」

 一人奮起する彩に皆が見つめていると二人の影が歩いてくる。

「千聖ちゃん」

「あ! カノンさん!」

「……と薫」

「まあまあ」

 二人の正体を知り、笑顔のイヴと怪訝な顔を見せる千聖。それを麻弥が宥める。

「薫くんと花音ちゃんだけって何気に珍しい組み合わせだよね。何かあったの?」

「丁度良かった、香澄ちゃんとましろちゃんもいるんだね」

「奇跡の巡り合わせだね、これが儚きクリスマスの奇跡……」

「早く用件を言いなさい」

 語る薫を遮り、千聖が問いただす。

「えっとね、今度のクリスマスにスマイルランドでライブをするんだけどパスパレも参加してほしいって声を掛けてみたんだけど……」

「クリスマスライブ⁉ いいよ! 出よう!」

「ええ、私も構わないわ」

「千聖ちゃんも彩ちゃんも、まずは事務所から許可を取らないと駄目だよ」

 既に参加する気満々の二人に日菜が呼び止める。

「ポピパとモニカにもぜひ出てもらいたいだ。どうかな?」

 薫が続けて、二組のメンバーにもオファーを掛ける。

「私はいいですけど、皆に相談してみないと……」

 その時、香澄のスマホから着信が入り、それに出る。

「もしもし?」

『香澄か。今度のライブの事で相談なんだが』

「何何?」

『実はさっき、奥沢さんからクリスマスライブに参加して欲しいて言われてな、香澄はどうしたいんだ?』

「私もたった今、花音先輩と薫さんから誘われたんだよ!」

『マジか、アフグロも誘ったって聞いた時に予想はしてたけど、ハロハピ主催って事になるな』

「勿論、ポピパは参加だよ!」

『まあお前ならそう言うだろうな、沙綾達には私から伝えておく』

 

 

 

 一方、ライブハウスの控室ではロゼリアの面々が、迫る本番に向けて調整を行っていた。

 その所に紗夜のスマホが震えだし、それに応える為に通話に出る。

「もしもし」

『あ! 紗夜先輩! 今、時間ありますか?』

「いえ、これからライブがあるので、あまり無いですね」

『ごめんなさい! 後から掛けます!』

「あまり、ですのでさわりだけなら聞けますが……」

『さわり?』

「一番大事な所の事ですよ」

『そうなんだ! あのね、クリスマスにスマイルランドでライブをするんだけど、ロゼリアの人達にも来て欲しいんです!』

「そうでしたか、私から湊さんに相談してみますね」

『やったあ! ありがとうございます!』

「そろそろ時間ですので切りますね。それでは」

『はい!』

 

 

 

 更に場所は変わってチュチュのマンション、今日の主はスタジオで新曲の製作に勤しんでおり、集中しているのか真剣な眼差しで画面と睨み合っていた最中、パレオが飛び込んでくる。

「チュチュ様! ヘリコプターが飛んでます!」

「……」

 だが製作に集中しているのかパレオの声は届かない。

「ヘリですよー!」

「……」

「しかも、うちの周りを巡回しているんです!」

「うっさい!」

 横から大声で騒いだからか、チュチュがしびれを切らして怒る。

「す、すいません! こんな事、初めてでどう対処したらいいか分からなくて……」

「大体、Helicopterが非常時でもないのに飛んでいる何てありえないわよ!」

「いえ、本当です」

「What?」

「兎に角来てください!」

「ちょ、ちょっと!」

 パレオはチュチュの言葉を無視して手を掴むと屋上に出る。

 プールの付いた庭園が広がる高い舞台のさらに上の場所でパレオの言う通り、黄色のヘリコプターが空を漂っていた。

「Oh……」

「ね? 言ったでしょう?」

 絶句してただ空を眺めていたらヘリのドアが開かれ、見慣れた金髪が顔を覗かせる。

「ちょっと! 飛び降りる気⁉」

「ああ! 早まってはいけません!」

「とう!」

 金髪、こころはヘリから豪快に飛び出し庭園に向かって落ちていくと華麗に三点着地を披露した。

「チュチュ! パレオ! 遊びに来たわよ!」

「あ、あのすいません、目測十メートルぐらいはあったんですがそれは……」

「怖い」

「チュチュ様、お気を確かに!」

 こころの大胆な侵入に完全に思考が止まってしまった二人。

 しかし、チュチュのスマホからの音声が思考を動かす。

「な。何?」

『チュチュ?』

「どうしたのよ」

『エクスードが出てきたから、遅れるかも!』

「エクスード⁉」

「場所はどこ?」

 チュチュのリアクションを見てこころも会話に参加してくる。

『ショッピングモール! 人はもう避難させた!』

「すぐに向かうわ!」

「ちょっと待ちなさいよ!」

 会話の最中だが、チュチュは思考が動き出した今のうちに聞きたい事を問う。

「ココロ、アンタ一体何しに来たの⁉」

「今度、スマイルランドでライブをするの! ぜひ、RASの人達に参加して頂戴!」

「スマイルランド? 箔の有るライブハウスならまだしも、大方、遊園地でしょう? そんな所はRASの舞台には相応しくないわ。残念だけど……」

「あの、チュチュ様」

 得意げな顔で断ろうとしていたチュチュにパレオをが声を掛ける。

「何⁉」

「もう行ってしまわれましたよ?」

 ヘリから垂れ下がった梯子にしがみついたこころはそのまま現場へ向けて飛んでいっていた。

「聞きなさいよー!」

 

 

 

 ショッピングモールでは、黒いサンタクロースの恰好に大きな袋を背負ったトナカイのエクスードが既に変身したレイヤと交戦していた。

「こんな時期にやって来るなんて、悪趣味過ぎない⁉」

「いいか⁉ 俺は、浮かれた人間が腹正しいんだ! 行事事なら尚更な!」

 鍔迫り合いをした状態で会話をして、

「レイヤー!」

 上空のこころが梯子から手を離し自由落下をしながら、ハッピー砲を抜いてスマイルバレットを装填する。

「音撃チェンジ!」

 宙で姿を変え無傷で着地してエクスードに立ち向かって行く。

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