「もう残ってるエクスードは俺達だけか……」
「そうだな」
エクスードらの拠点、地下帝国で残された二体が会話をしている。
「どうする? 俺言っちゃうけど降伏するつもり」
「だよな。そもそも、幹部のウィンドが死んだ時点で引くべきだったんだ」
「バカだよな」
二体は、死んでいった仲間の事を思い返していた所に幹部の一人が現れた。
「何の話をしてるの?」
「あ、コナモ様」
上司であるコナモの姿を見て二人は頭を下げる。
「音撃戦隊の事?」
「ええ、我々はここは退いて別の機会に再びここに来るのが良いのではないかと考えていたのですが……」
かしこまった態度を見せる二人にコナモは語った。
「うーん、それが正解かもしれないけど……。クラム様、ここをすごく気に入っちゃったみたいで……残念だけど今のコナモ達には戦う以外の選択肢は無いんだよ」
「そ、そうですか……」
「だからさ!」
コナモは手を叩いて、楽し気に一言。
「コナモの案を聞いてくれないかな?」
「案? 何でしょうか?」
「二人で力を合わせて、時間稼ぎをして欲しいんだ。準備が終わったらコナモ達の反撃の時間! これで音撃戦隊は終わりだよ」
「時間稼ぎ?」
「何でもいいよ! 例えば……」
コナモはこっそりと二人に耳打ちをするのだった。
それからしばらく、音撃戦隊の面々は普段通りの生活をしていた。
ポピパもまた地下蔵で演奏の練習をしようとしていた。
他愛のない会話をする三人とは別に香澄は、考え込んでいた。
「香澄ちゃん、難しい顔をしているけどどうしたの?」
「あ、りみりん! 実はねこの間エクスードのリーダーに会ったんだけど……」
「リーダー⁉」
「おい、何もされてないよな⁉」
香澄の言葉に沙綾と有咲も驚き問い詰める。
「うん、けれど直接会って話して思ったけど、とても悪い事をする子には見えなかったんだよね」
「悪い事をしないって……お前、あいつらのせいでどれだけの人が被害に遭ったのか分かってるのか?」
「それは分かってる! けれど、何てゆうか黒幕? そんな感じがするんだよ」
「そりゃ漫画の読み過ぎだ。話が上手く繋がっている訳ないだろ」
香澄の憶測に有咲が呆れていると上から強い足音が聞こえだす。
「この感じだと、おたえも来たみたいだな」
「けれど、なんかうるさくない?」
「おたえちゃん、こんなにも音出さないよね?」
「うちのばあちゃんもないな」
騒々しさに違和感を覚えていると、問題の人物が階段を降りてきた。
「香澄! 私、性転換した!」
「は?」
たえの言葉に有咲達が振り返るとたえが立っているだけだ。
「お、おたえそれってどういう事?」
「さっきそこでギター対決を申し込まれて、負けちゃったんだ。それで気が付いたら男の子になってた」
「そ、そんな訳……」
たえの言葉に有咲は狼狽えるしかない。
「でも、おたえの声普段より低くない?」
「それに喉仏もあるし……」
「うん、私男の子になってたみたい。そうだ、折角だし見てく?」
「止めろ! ズボンを下ろそうとするんじゃない!」
たえの奇行に有咲が怒鳴り続いて香澄が叫ぶ。
「どこで対決したの⁉」
「江戸川楽器店だよ」
「分かった! 行ってくる!」
エクスード絡みだと確信した香澄は、飛び出していった。
「あれ、香澄練習は?」
「お前は少しでも自分の性別に違和感を持て!」
「不正です! こんなの真っ当な判定ではありません!」
楽器店前では、紗夜が男を前に怒鳴っていた。
「そうだよ! ズルじゃん! 恥ずかしくないの⁉」
「そういうのえこひいきって言うんだよ!」
赤のパーカーを着こなした男に向けて、日菜とあこまた叫ぶ。
「でも、結果が全て。三人の審査員は、君を〇2、俺を〇3にしてくれた」
男は自身の後ろにいる審査員のピラーを指差す。
周りのギタリスト達は逃げようにも、何故か動けずその光景を見つめるしかない。なお、あこ達を含めた一部の人は動く事が出来るが、逃げずに戦いを見つめる。
「紗夜先輩! どうしたんですか⁉」
「香澄ちゃん! 実は……」
この中に混じっていた彩が説明しようとするが
「ストップ! 罰ゲームはまだ決まってない!」
「罰ゲーム?」
「ああ、弟よ!」
「ああ!」
緑のパーカーの男がいつの間にか置かれている回るルーレットに向かってダーツを放った。
「決まったぞ! 幼児退行だ!」
「させない!」
香澄が止めようと、走り出すが
「ま、待っ……」
紗夜が言いかけた時、両膝をついて動かなくなってしまう。
「さ、紗夜ちゃん……」
「お、お姉ちゃん?」
彩と日菜が恐る恐る聞く、すると顔を上げて心配げに口を開く。
「ひ、日菜ちゃん? 危ないからお姉ちゃんと一緒に行こう?」
「お、お姉ちゃんが子供みたいになっちゃった!」
「紗夜!」
リサも俯くしかない。
「もしかしておたえを男の子にしたのも!」
「男にした……ああ、あの黒髪ロングか」
「やっぱり! もしかしてエクスードなの⁉」
「○か×か?」
挑発的な赤パーカーに香澄はDバレットを出して叫ぶ。
「音撃チェンジ!」
スタートレットにDバレットを装填するが何も起きない。
「あれ?」
「香澄ちゃん、何故か変身出来ないんだよ」
「そんな……!」
そこへ友希那達残りの音撃戦隊の面々も駆けつける。
「リサ、これは一体?」
「友希那! 来てくれたんだ!」
「貴女達があまりにも遅いから様子を見に来たら、こんな事になっている何てね……さて」
二人の方を睨んで問う。
「貴方達、何者なの?」
動揺する香澄らに二人は元の姿に戻り、語り掛ける。
「俺の名前は、プレイヤ・エンタメ。こっちは弟のバアサス」
「名前なんてどうでもいいわ」
友希那は一蹴してDバレットを出して、ブルーローズに装填するが
「俺達との間では暴力は禁止、やるならそれ以外の方法でな」
プレイヤの言う通り、何も起きず、友希那はDバレットしまって睨む。
「と、言っても今日はもうテンションも下がったしここらで引かせてもらうからな」
「待って!」
香澄の叫びも空しく、ターゲットは逃げていくのだった。
「日菜、紗夜は?」
「家に連れて行ったよ」
「そう。ところで丸山さん、一体何があったの?」
場所を変えてCircleのカフェテリアで音撃戦隊に加えリサ、あこ、日菜も混じり会議を開いていた。