「うわ~、遅刻だ~」
この日、丸山彩はピンクのウェーブヘアーと鞄を揺らして道を疾走していた。
「目覚まし五個セットしたのに~!」
今朝あった事を叫びながら、十字路に差し掛かる。
右に曲がろうとしたその時、香澄らポピパの五人が歩いて来た。
「うわっ⁉」
「わわわ!」
何とかぶつかりそうになった香澄を辛うじてかわすが、バランスを崩して前のめりによろめく。
「彩先輩、大丈夫ですか⁉」
「う、うん。ごめんね、今急いでいるから!」
彩は一行に向き、頭を下げると直ぐに振り返り走り出した。
「目覚ましが全部電池切れになるなんて聞いて無い~!」
小さくなっていく彩の背中を見つつ、五人は会話をする。
「で、電池切れ……」
「何て言うか……彩先輩らしいって言うか……」
「五個全部ってのは、ある意味奇跡じゃねーか……?」
聞こえてきた寝坊の原因にりみと沙綾、有咲が苦笑いをしている。
「でも、あそこまで叫んでも息切れしてないなんて凄いよね」
「彩先輩はアイドルやってるからね」
五人の会話を聞いていたポップが香澄の脳裏に声を掛ける。
『香澄、アイドルとは何だ?』
「えっ、アイドル? 歌を歌って皆を喜ばせる仕事の事だよ」
『仕事か……』
ポップは少し考え込むと、直ぐに聞く。
『それに何の意味がある?』
「え?」
『仕事で歌う歌に意味はあるのか? アイドルは何故、その笑顔を届けようとするんだ?』
「え、えっと~……」
「おい香澄、何一人でブツブツ言ってるんだ?」
「あ、いまポップがアイドルが何かって聞いて来て……」
「アイドル? そりゃあ……歌を歌う仕事だろ」
「そうじゃなくて、もっとこう……心意気みたいな?」
『私が直接話そう』
それだけ言うと、香澄の否応無しにポップが香澄の中から現れた。
「皆、アイドルとは何だ?」
場面は変わり、何処かの事務所。
「お、おはようございます~……」
「アハハ、彩ちゃんギリギリセーフ!」
「はー……はー……」
フラフラで事務所に転がり込んだ彩に、水色短髪の少女がケラケラ笑いながら歓迎する。
「アヤさんスゴイ汗です! 今、お茶を用意しますね!」
「イ、イヴちゃん……ありがとう……」
今度は白髪に長身の少女に心配され、息絶え絶えに答えた。
「彩さん、練習前からボロボロですけど……少し時間開けましょうか?」
「ううん、大丈夫」
眼鏡をかけた少女にも心配されるが多少余裕が出来たのか、笑いながら答える。
「彩ちゃん」
「ち、千聖ちゃん……」
最後に澄んだ金髪に彩より小柄な少女が彩の横に立つ。
「最近ギリギリに来る事が多いわね。時間を守れてもその後に余裕が無ければ、本末転倒よ」
千聖に窘められ、彩は小さくなる。
「うぅ……以後、気を付けます……」
「それで、どうして遅れそうになったの?」
「目覚ましが止まってて……五個全部」
「五個も……⁉」
「全部同時にっすか?」
「うん」
「アハハ、彩ちゃんプライベートでも持ってるね!」
「わ、笑い事じゃないよ~!」
「ヒナさん、持ってる何ですか?」
お茶の入った紙コップを手にしたイヴが日菜に聞く。
「笑いの神様をだよ!」
「わ、笑いの神様⁉」
「アヤさんが神様を持ってる⁉ ……お、お茶をどうぞ……!」
「イヴちゃん、そんなかしこまらなくていいから!」
日菜の台詞にイヴは勘違いをしたのか、こわばった顔で彩に茶を差し出す。
「ふぅ……」
一杯喉に流し込んで一息、その時日菜が一言。
「あっ、彩ちゃん今日もそのぬいぐるみ持ってきたんだ」
「え?」
日菜の台詞を聞いて彼女の視線の先である自身の鞄を見る。僅かな隙間からパスカルが顔を覗かせていた。
「あっ! あー! う、うん! そうそう! か、可愛いーでしょ?」
彩が弁解してる横で日菜はパスカルを手に取り揉みくちゃしていた。
「いいな~それ、初めて見た時から何だかるんってしたんだもん。ねぇ、何処で買ったの?」
「えっ⁉ え~っと、降って来た?」
「え?」
「ん?」
彩の台詞に千聖と麻弥は疑問を持つ。彩もその姿を見たからか必死に返す。
「あー! いや! 貰った、貰った! ファンの人から貰った!」
「ファンから……見た事の無いものですし、手作りでしょうか?」
「へ~、どんな人だったの?」
麻弥の推理から日菜が彩に純粋な追撃をする。
「な、何で聞きたいの……?」
「あたしもそれ欲しくて! 彩ちゃんが紹介してくれたらもう一個用意してくれると思ったんだ!」
「む、無理じゃないかな……? 貴重な材質使ってるらしいから……」
「そうなの? 本当に~?」
「あの、そろそろ練習を始めたほうがよろしいのでは?」
「そ、そうだね! よし行こう行こう!」
麻弥の助け舟にすかさず乗って、彩はパスカルを手に逃げる様に部屋を出て真っ先にレッスンルームに向かった。
「……」
千聖は彩の様子を黙って見ていた。
「ふー……」
レッスンルームに向かう前に更衣室に向かい練習着に着替える。最初に来たため周りには誰もいない、そんな中彩はパスカルに声を掛ける。
「もー! いつも言ってるでしょ! レッスンには来ちゃ駄目だって!」
「彩の頑張る所……見たい」
「お、おだてても駄目だよ!」
「でも私……ぬいぐるみじゃない……」
「
「……」
「パスカル? パスカル?」
突然動かなくなったパスカルに彩は振って様子を見る。
「彩ちゃん」
声が聞こえ後ろを振り向くと、千聖が立っていた。
「ち、千聖ちゃん?」
「今日の帰りちょっといいかしら?」
その頃、セフィロらの地下帝国ではいつも通り、クラムが玉座に座り、その傍にシー、ライトとウィンドが佇んでいた。
「今日は何を話す?」
「そうですね……」
クラムの台詞にシーが答えようとしたその時、五つ目の人影が現れた。
「俺も混ぜてよ」
声のした方を見るとクラムは嬉しそうに口を大きく開いたのに対して三人の幹部はあからさまに嫌そうな顔をする。
「皆、酷いじゃないか。コナモをハブるなんてさ」
白色の兎の怪人はニタニタ笑いながら歩いて来てシーは強めに言った。
「貴方は呼んだ所でまともに参加しないじゃないですか。だから呼ばなかったんです」
「俺はお前が気に入らない」
「私もですわ。その醜い顔、止めてくれません?」
「それは出来ないね。なんてったってコナモのチャームポイントだからね」
「いいよいいよ、それよりも嬉しいな。こうやって四幹部の皆が揃う事って滅多にないからさ」
コナモを名乗る兎の怪人に三人は怪訝そうに対して、クラムは子供の様に喜んでいた。
「それと、クラム様。もう部下に行かせたから」
「お前、勝手に……!」
「そうなんだ。じゃあ今日の会議はこれまで、皆何して遊ぶ?」
コナモの勝手な行動にライトが憤りを僅かに出すがクラムがそれを消す様に遊戯の案を出す。
「ク、クラム様……」
「いいね! 何をしようか?」
コナモはクラムと同じ視線にまでしゃがみ、笑顔で受け答えする。
「トランプ? 双六? 何でもいい!」
「コナモは、トランプがいいね」
コナモはポケットから取り出し、クラムの前でチラつかせる。
「三人はやらないのかい? 主の命に背くなんて……ねぇ……」
笑顔で振り返り三人を煽る。
「はぁ……」
三人は頭を抱えながら癪に障りつつも参加をするのだった。
「ごめんなさいね、わざわざ付き合ってもらって」
「いいよいいよ。それよりも千聖ちゃんが買い物に付き合って欲しいって珍しいね」
練習を終えたその帰路、彩は帰りに千聖から買い物に付き合って欲しいと言われ、それに付き合っていた。
「そうかしら?」
「だって普段は花音ちゃんと過ごす事が多いでしょ?」
「確かに、休みの日はそうね」
「今度は三人で行きたいね!」
「ふふ」
「あの!」
無邪気な彩に千聖が微笑んでいると、そばかすの少女が声を掛けてきた。
「はい?」
「あ、あの白鷺千聖さんですよね? パスパレの」
「!」
千聖が声を掛けられたのを見た彩は、さりげなく少女に近づく。
「ええ、そうですが」
「す、凄い! まさか、ここで会えるなんて! あの、サインいいですか⁉」
(私! 私!)
一方、彩は両人差し指で自分を指して声に出さずとも、アピールをしていた。
「ごめんなさい。今はプライベートだから……」
「あっ……そうですよね」
「でも、彼女なら貴女の声に答えてくれるかもしれないわよ?」
千聖は彩に目を配るとさりげなく彩の後ろに回る。
「えっと……」
目を光らせている彩に少女は少し考えて答えた。
「丸山……彩さん?」
「うん、そうだよ!」
「ほ、本物⁉」
「うんうん!」
彩は嬉しさのあまり相手よりも先に両手を握る。
「何がいい⁉ サイン、歌、何だったら自撮りもいいよ!」
「あ、あの」
「彩ちゃん、落ち着きなさい」
「あ、ごめん……」
千聖に言われ、少し落ち着いた彩。
「それじゃあ、サインをお願いします」
少女は鞄から色紙を出して彩に差し出す。
「うんうん任せて! 名前は? 今なら書くよ!」
「それじゃあ、ユカリって書いて下さい」
「分かった!」
彩はウキウキ気分で、ペンを走らせている中、ユカリは語る。
「パスパレさんの活躍、初ライブの時から見ています!」
「その時から……⁉」
「はい、一目ぼれでした。でも、初ライブの時に……」
彩は一瞬、ペンの手を止めたが、再び動かす。
「……うん、あったね」
「けれど、私は批判に負けずに復活した姿を見て決めたんです! 私もこんな強くてキラキラしたアイドルになりたいって! 今はダンスしかできませんけど……」
「なれるよ! だって、私達の事を見ていてくれたんだもん!」
サインを書き終え、彩はユカリに笑顔で色紙を返す。
隅にユカリちゃんへと書かれたサインを見るとユカリも笑顔で「……ありがとうございます!」そう言って、頭を下げて去って行った。
「ち……千聖ちゃ~ん」
「あ、彩ちゃんどうしたの⁉」
突如、彩が泣き出し千聖は驚き聞く。
「だって……初めて街中で声かけられたから……」
「ふふ、よかったわね」
「えへへ……うん」
涙を拭う彩を見て、千聖は彩を誘った本当の目的に触れだす。
「ねぇ、彩ちゃん。貴女、何かを隠してるわよね?」
「え?」
「彩ちゃんは演技と嘘が苦手だもの分かりやすいわ。それで……」
二人の間に割って入る様に彩のスマホが鳴り響く。
「あ、ちょっと待っててね」
着信の相手は蘭で、何かあったのかと思い彩は電話に出る。
「もしもし」
『彩さん! サークル前にアイツが出ました!』
「そうなの⁉ 分かった今行くね!」
電話を切ると、走り出しつつ千聖に叫ぶ。
「千聖ちゃんゴメン! 続きは今度聞くから!」
「あ、彩ちゃん⁉」
千聖を置いて現場へ走り出した。
戦場と化したライブハウス、サークル前の屋外カフェ。
現在は現れたハリネズミのエクスード、ソルジャに既に変身した彩以外の四人が交戦を始めていた。
ソルジャは右手がナイフ、左手は銃になっており、正に兵士のようだ。
「はっ! せいっ!」
「とおっ! やぁ!」
戦う四人の後ろから彩が走って来ている。
「お待たせ!」
『クローバー!』
「音撃チェンジ!」
姿を変えて五人で戦う。
五人がかりと言う事もあり、戦いはこちらの流れで進んでいたのだが
「三十六計逃げるに如かず……ってか?」
そう呟き、五人に手をかざす。
「ぐっ!」
彼女らの足元で火花が散り、目を瞑る。
五人が目を開いた時には既に奴の姿は無かった。
「に、逃げられた……」
「まだそう遠くには行ってないはずよ。それぞれ手分けして探すわよ」
「了解!」
友希那の指示に従い、五人はちりじりに別れ捜索を始めた。
五人は逃げた相手を探したが、結局見つからずその日は解散となった。
家に帰った彩は自室に戻りノートを開く。
「彩……何それ?」
「これは駄目!」
パスカルにも見られたくないのか、開きかけたノートを閉じる。
「夢ノー……ト?」
「だから駄目だって!」
表紙のタイトルを読むと、より一層赤くなってパスカルを追い払う。
「むぅ……」
パスカルは不服そうに彩から離れていった。
「よし……」
そのノートには多くの目標が書かれていて、この日新しい、夢が書き込まれた。
『ユカリちゃんを応援する!』
翌日、学校も終わり今日は何も無いという事もあり彩は一人、近所の捜索をしていた。
その時、どこからか爆音が聞こえ彩は走り出す。
そこでは、人々が逃げ惑い、銃を乱射するソルジャの姿がいる。
逃げ遅れた人の中には昨日彩からサインを貰った少女、ユカリの姿もあった。それを見た彩は走り出す。
「ユカリちゃん!」
彩は叫ぶが、両者気づいていないのか、ソルジャは銃口を一人一人に向けて、誰に発砲しようか考えている。
「お前がいい感じだな」
「きゃあ!」
その中からよりにもよってユカリを選び、彼女の腕を掴むと、投げ飛ばす。
転んだユカリに近づき足に、銃口を当てる。
「踊れないようにしてやるよ」
ダァン!
「うわああああああああああああ!」
太ももを貫通する程の一撃にユカリは悲鳴を上げ、周りの人も耳を押さえ恐怖に怯えている。
「ユカリちゃん!」
駆け付けた彩は思い切りソルジャを突き飛ばし、転ばせる。
「皆逃げて!」
彩が叫ぶと、人々は一斉に逃げ出す。
負傷したユカリも傍の人の肩を借りて逃げる事が出来た。
「邪魔をしやがって……」
「どうして……」
エクスードが暴れ始めたほぼ同時の流星堂の蔵。
『香澄、奴が現れ様だ』
「分かった!」
蔵でギターの練習をしていた香澄もポップから聞かれ現場へ向かう。
「どうして……」
「あ?」
「どうしてそんな酷い事が出来るの⁉」
「酷い? どうして、責められなきゃいけないんだ? むしろ感謝して欲しいぐらいだ」
「ふざけないで! ユカリちゃんはアイドルを夢見てたのに……どうして!」
「夢は見るもの? 壊す物の間違いだろ? 私を壊してくださいっていたもんだから、やってやった。それだけだろ?」
「私は……」
彩はソルジャを睨みながらポケットからコンパクトとDバレットを取り出す。
「貴方を許さない!」
『クローバー!』
ホイッスルのポップでキュートな音を背景に叫ぶ。
「音撃チェンジ!」
戦いの場所は変わり、河川敷。
「彩先輩!」
彩の後ろから香澄ら四人が応援に駆け付けた。
「音撃チェンジ!」
一瞬で姿を変え参戦をする。
「失せろ!」
「うわああああ!」
ソルジャは銃を横に掃射して周囲四人を吹き飛ばす。
「くうっ……!」
しかし、彩だけは気合で踏ん張り、飛ばずに済んだ。
「こいつ!」
右のナイフで切り付けるが彩はセンターブレードで鍔迫り合いをする。
「丸山さん! これを!」
友希那は倒れた状態でポケットからDバレットを出して思い切り振り被った。
彩から数メートル離れた地点に銅色のDバレットが落ちて、それに気づいた彩はソルジャの腹を蹴って怯ませると背を向けて走りだす。
「クソッ!」
しかし、その晒した背に向けて発砲。
「はあああ!」
それでも彩は気合で堪え、Dバレットを拾い上げ、センターブレードに装填した。
『シャウト』
「ふううう……」
メガホン部分に口を近付け、深く息を吸う。
「ああああああああああああ!!」
肺の酸素を全て出す勢いで絶叫すると、音波が衝撃となりソルジャを襲う。
「お⁉ おわあああああ⁉」
ソルジャの全身から火花が散り、ダメージを負った。
「あたしも手伝うわ!」
最初に立ち上がったこころは自分の黄金銃にDバレットを装填する。
『ビック!』
音声が流れると引き金を引く、するとこころの黄金銃は宙に浮かびあがり巨大化、更にグリップが二つに割れ車輪となり砲身が人が入れるほど太くなると後ろの部分から白色のロープが現れ、巨大な大砲に変形した。
「何これ大砲⁉」
「銃そのものが大きくなるなんて……!」
「でも、弾はどうしよう?」
「だったら、あたしが弾になればいいのよ!」
「弦巻さん⁉」
そう言って、こころは周りが止めるのを聞かずに砲身の中に入り込む。
「さぁ皆、思い切り飛ばして頂戴!」
「と、飛ばす⁉」
「もしかしてこの紐を引っ張れば!」
困惑する彩に香澄は白いロープを掴み、残りの三人が砲身を掴み、獲物に砲口を向ける。
「標準……良し!」
「いっけー! こころん大砲!」
三人の確認を聞いた香澄は豪快にロープを引っ張る。
ドッカーン!
派手な音と共に大砲からこころが射出され相手に向かって飛んでいく。
「それー!」
砲弾と化したこころが直撃、そのまま貫いて爆散。飛び出したこころも無傷で着地した。
「やった!」
「いや、まだ終わってない」
喜ぶ香澄に対して蘭は予想が出来ているからか、警戒を解いていない。
『リカバリーシステム、起動』
「こいつもいいもんだろ?」
その音声と共にソルジャは巨大化した。
「今回も大きくなったわね……」
「香澄ちゃん! 手伝って!」
「はい!」
「今日はあたしもやらせて頂戴!」
香澄、彩、こころの各々がコドウを出して叫ぶ。
「ポップ!」
「パスカル!
「プチミッシェル!」
「分かった」
「……うん」
「やりますよっと」
三体は巨大化、右腕にパスカル、左腕にプチミッシェルが合体した。
「セッション! スリーマンライブ!」
「一体なら余裕だ!」
ソルジャは銃を構え発砲。
「あたしも抜くわよ!」
それに対抗するのはこころ。プチミッシェルを構え口から光弾を打ち出す。
互いの弾幕を打ち落とし合いつつスリーマンライブは進軍する。
「せいっ!」
右腕のパスカル型ハンマーで銃を下からの叩き相手の左手を上に向けさせた。
すかさず、腕を横に振ってソルジャを空へと飛ばした。
「何いいいいい⁉」
「ここで決める! クライマックス!」
三人は叫ぶと、スリーマンライブは左腕のプチミッシェル型銃から頭と同じ大きさの光弾を生成する。
そして、それを野球のノックの様にバットに見立てた右腕を振って相手にぶつけた。
「グワアアアアアア!」
直撃空中爆散。今度こそ跡形もなく消し飛んだ。
後日、彩はユカリが入院した病院に来ていた。
「あっ……」
病室に入って来た彩に声を漏らすと、彩も何も言わず小さくお辞儀をする。
傍に座りユカリの顔色を伺う。
「ユカリちゃん……」
「……これで、よかったと思います」
「え?」
ユカリの答えに驚く彩を他所に語る。
「足をやられちゃって……でも、これで諦めれます」
「ユカリちゃん……」
「大体、私みたいなのがアイドルっておこがましいって言うか……見てるだけ良かったんだって、なりたいだなんて一線超えた事考えてさ……所詮は叶わない絵空事だったんです。だから……」
乾いた笑みを見せる姿に彩は思わず、場所もわきまえず叫んだ。
「駄目だよ!」
彩の叫びに肩をすくめる。
「自分が今まで持っていた物を簡単に捨ててもいいの⁉ ユカリちゃんは本当にそれでいいの⁉」
それに構わず彩は本心を叫ぶ。
「この足だってリハビリをすればまた動かせるかもしれない! だから、最後まで諦めないで!」
「酷いなぁ……」
ユカリの酷いにハッとした彩は必至に弁解する。
「あっ……ご、ごめんね。そんなつもりじゃ……」
「彩さん言われた私、諦められなくなっちゃうじゃないですか……!」
ユカリの顔は乾いた笑みのまま、しかしその眼からは涙が溢れていた。
「ユカリちゃん……」
「もう少しだけ夢見てもいいですか?」
「うん……うん!」
病院の中庭にて、面会を終えた彩は一人ベンチに座り空を眺めていた。
そこへ一人の後輩の影が迫る。
「彩先輩、少しいいですか?」
「あ、香澄ちゃん」
隣に香澄が座る。
「ん? 何かな?」
後日、香澄はポップに聞かれた事に答えられるように彩に聞き出していた。
「あの、彩先輩にとってアイドルって何ですか?」
「アイドル……」
「ポップが教えて欲しいって言ってて……それで、いっその事彩先輩に聞いちゃおうって事になったんです」
沈黙、そして彩はゆっくりと答えた。
「ねぇ、香澄ちゃんには夢がある?」
「私の夢、ですか?」
「私には沢山あるんだけど……」
ポケットからクローバーバレットを出して静かに見つめる。
「夢を守っていく事、じゃないかな」
「それが彩先輩の答えですか?」
「今はね」
香澄も静かに彩のバレットを見つめる。彩の頭に残ったのは、ユカリが涙ながらに言った本心。
『彩さん言われた私、諦められなくなっちゃうじゃないですか……!』
「あゆみさん……私、貴女に近付けているかな?」
芸能界を去った憧れの人を想いつつ、空を見上げた。
僅かに見えたエクスードの思惑。
彩は改めて、自分が手にした力で守るべきものを守っていく事を誓う。
彼女達の戦いは始まったばかりだ。
ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)
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STAR BEAT!~ホシノコドウ~
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二重の虹(ダブル レインボウ)
-
キズナミュージック♪
-
Returns
-
ティアドロップス