音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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6thLive えがおのオーケストラっ!

 時を戻そう。

 こころの初変身の日から翌日の出来事だ。

 巨大な門、その先には広大な庭、その中には絵に描いた大豪邸。

 その内部にある一室では、テーブルの上に座らせられたプチミッシェルが五つの影に囲まれていた。

 最初に言ったのは橙色ヘアのボーイッシュな娘、はぐみ。

「こころん! 大事な話って何?」

「みんな聞いて頂戴!」

 こころは、両手を広げて喜びを表す。

「ハロハピに新しいメンバー出来たのよ!」

「本当⁉」

「七人目のハロハピ……それでこころ、その人は何処にいるんだい?」

 中性的な容姿をした女性、薫に言われるが、こころは自分の台詞に違和感が無いような風に言った。

「今、ここにいるプチミッシェルよ!」

 こころは、机上のプチミッシェルを見せつけて言った。

「え⁉ ミッシェル小さくなっちゃの⁉ おまけに色まで変わっちゃって……」

「小さな……ミッシェル?」

 薫は予想外な答えに困惑しているのに対して、はぐみはミッシェルが変わったと勘違いしたのか、気になってプチミッシェルと目線を合わせる。

「こ、こころちゃん……」

 それを後ろで見ていたサイドテールに大人しそうな少女、花音は困った顔で

「こころ……」

 黒髪の気だるげな少女がこころを憐れむ表情で見つめる。

「プチミッシェル? どうしたの?」

 ──これ動かないと駄目なの? 

「うーん……寝てるのかしら?」

「こころ……そんなぬいぐるみが新メンバーって一体どうし……」

「はぁ……」

 座って、ぬいぐるみを演じていたプチミッシェルは立ち上がり手を振る。

「プチミッシェルだよー、見ての通り生きているよー」

 やる気なく声を出すと、全員が黙る。

「あれ、間違えた?」

 

「キェェェェェェアァァァァァァシャァベッタァァァァァァァ!!」

 はぐみの歓喜混じりの悲鳴に、

「わーい! ミッシェルがもう一人!」

 

 

「ようやくまともな人に出会えた……君は?」

「あたしは美咲、奥沢美咲。……何て言うかプチミッシェルも災難だったね」

「ホントだよ」

「それでこころ、一体なにがあったの?」

「ええ! 実はね……」

こころはプチミッシェルとの出会い、これからやっていくこと、洗いざらい全てを話した。

「エクスード?」

「はぐみ、知ってるよ! 都市伝説だよね!」

「でも、本当にいるなんて……」

 

 

 

 

 

 

 時は現在に戻り、地下帝国。

 幹部達は玉座の間で、クラムと会話をしていた。

「今日は誰を行かせたの?」

「今日は私の部下、フラメンに行かせましたわ」

 ウィンドの答えにクラムは珍しく、露骨に嫌な顔を見せる。

「クラム様、どうしたんだ?」

「彼女の能力はあまり好きじゃなくて……」

「無理もありません。フラメンの能力はクラム様には、嫌悪感が凄まじいですから」

 ライトの質問にシーがフォローを入れる。

「侵攻が一向に進んでいない今、私が功績を上げるチャンスですから」

「新参のお前に出来るのか?」

「何ですって⁉」

 ウィンドの意気込みにライトは軽く煽ると怒り出すが、クラムが諭す。

「二人共! とにかく、上手くいって欲しいね」

「ですわ」

 ウィンドは難しい顔で、呟くのだった。

 

 

 

「そういえば奥沢さん、今日の駅前見た?」

 授業が終わり、昼休みに入るとクラスメイトに声を掛けられ、美咲は一応聞いてみる。

「何かあったの?」

「なんかさ、人が踊っていたから奥沢さんなら知ってるんじゃないかなって」

「いやなんであたしなのさ」

「だって奥沢さん、弦巻さんと一緒にいるじゃない」

 花咲川の異空間の通り名を持つこころ、

「あー……一応聞いてみる」

「なんかゴメンね。よろしく」

 席から同級生が離れていくと、近くにいた香澄と有咲が声を掛ける。

「奥沢さん、何かあったのか?」

 有咲に言われ美咲は会話の内容を二人に話した。

「駅前でそんなことが?」

「有咲、もしかしてエクスードが絡んでいるかも」

「かもな、でも今は……」

「話は聞かせてもらったわ!」

 

 香澄は有咲の制止を聞かずにここの教室へ向かって行った。

 そこに美咲が声を掛ける。

「市ヶ谷さん、もしかして戸山さんがコドウを持ってる事知ってるの?」

「ああ、ていうか何でそっちも知ってるんだ?」

「こころが全部ベラベラと喋ってくれてね……まあ、あたしも出来る限りの手伝いをするけど」

 

 

 

 昼休み、本来なら昼食を取り、午後の授業に備える時間なのだが、こころ達は駅前にまで来ていた。

「とっとと終わらせて帰るよ」

 こころから話を聞いた蘭と友希那とも合流し現場に集まり、それぞれ変身アイテムを片手に移動を始める。

「もしかして、あれじゃないかな?」

彩が指を指す方向では、民衆が好き勝手に踊っていた。

「ヘーイヘーイヘーイ!」

「あの……」

香澄は話しかけるが全く聞く耳を持ってもらえない。

「ハーイ! そこのお嬢さん達!」

そこへ真っ赤なドレスを着たピンクのボディをしたフラメンコの怪人が立っていた。

「私の名前はフラメン・ダンサア! 高揚したまま逝きなさい!」

 指を指して、自信満々なダンサアに友希那は冷静に返す。

「逝くのは貴女よ」

 友希那の台詞を皮切りに全員が横一列に並んで臨戦態勢を取る。

「音撃チェンジ」

 淡々と姿を変え、友希那はブルーローズの剣先を向ける。

 

 

「レッツダンス! イエァ!」

 ダンサアが叫んで、両足のラジオを五人に向けると特殊な衝撃波が五人を襲う。

「うわぁ⁉」

 全員が驚きで顔を覆う。

 しかし、ダメージを受けた様子もなくそれぞれ、自分の手を見る。

「あれ?」

 彩は自分の手がプルプルと震えだしたのを皮切りに五人に異変が起き始める。

「か、体が⁉」

 突如、香澄はダンスを踊りながら叫ぶ。彩も盆踊りをこころもステップを踏み続けている。

 ランニングマンを踊る蘭が推測は叫ぶ。

「アイツ……体を踊らせる力があるの⁉」

「友希那先輩!」

「ミオ・アモーレ!」

 香澄は友希那に助けを求めるが、その友希那はバラを咥えて激しいフラメンコを舞っていた。

「友希那先輩も⁉」

「湊さん! 何踊ってるんですか⁉」

「私は踊ってなんていないわ」

 左手を掲げて、決め顔で叫ぶ。

「オーレ!」

「駄目だこの人!」

 締めたと思ったら再び踊り始めた。

「これじゃ攻撃出来ないよ~」

「だったら、踊りながら戦えばいいじゃない!」

 困る彩に対して、こころは自信満々にステップを踏みながら近づいていく。

「え⁉」

 ダンサアもこの行動は予想出来てなかったのか驚く。

 腕を振って攻撃するが、こころはそれを前転で回避。

 更に、転がった後に足に力を込めて跳びダンサアの腹に頭突きをかます。

「うぐっ!」

 腹を押さえて後ろに下がると、パンチを撃つ。

「よっと!」

 だがこころはそれをバク転でかわしつつハッピー砲で宙を飛んでいる中、射撃をする。

「あばばば⁉」

 こころの射撃に大きくのけ反るが、直ぐに手を出す。

「はぁ!」

 五人の足元に火花が散り怯むと同時に元の姿に戻る。

「ああもう! 逃げよ逃げ!」

 ダンサアは憤りつつ背中の翼を広げると飛び立って行った。

「ま、待て!」

 蘭は叫ぶが、奴の姿は見えなくなってしまう。

「に、逃げられた……」

「どうしよう~体が止まらない~!」

 香澄と彩が嘆いているがこころは平常運転だ。

「それじゃあ、学校に戻りましょう!」

「ま、待ってよ! この状態で⁉」

 彩は驚くがこころは変わらない。

「彩、どうしたの? 大丈夫、次は勝ちましょう!」

「そうじゃなくて! こんな姿、皆に見られたら……!」

「大丈夫よ! あった事を全部話せば分かってくれるわ!」

 

 

 友希那を除いた

「み、湊さん。帰りますよ」

「私の使命はここでフラメンコで頂点立つことよ。邪魔をしないで頂戴」

「ゆ、友希那ちゃん、羽丘に戻ろ、ね?」

「嫌よ」

「やっぱり友希那先輩、私達以上に操られているんですよ!」

「私は操られてなんていないわ」

 自分の奇行に全く疑問を抱かず、舞い続ける友希那。

 そして、またしても締めに入る。

「ボーノ!」

「ど、どうしよう……」

「……あたしがリサさんに伝えておきます」

「ごめんね」

 

 

 

「……それで、三人共ふざけているのですか?」

 花咲川に戻った香澄、彩、こころを待っていたのは風紀委員、氷川紗夜の洗礼だった。

「昼休み中に学校を出るのはまだ認めましょう。ですが……」

 腕を組んで三人を睨みながら説く。

「五限目が終わった頃合いにしれっと帰って来たのは駄目ですね」

「あらどうして?」

「授業を無断欠席した事に変わりないからです」

 この間も三人はダンサアの能力に囚われおり、紗夜の説教を踊りながら聞いていた。

「先程私は、学校を出るのはまだいいとは言いましたが本来なら許可無くやった時点で大問題です。それに……」

 三人のダンスシーンに遂に紗夜の堪忍袋の緒が切れる。

「いい加減にしなさい! 三人揃ってふざけているのですか⁉」

「さ、紗夜先輩違うんです!」

「そうよ! これはエクスードにされたの!」

 香澄は弁解、こころに至っては包み隠さず話す。

「エクスードって……宇田川さんじゃあるまいし、そんな都市伝説を信じると思いますか?」

 だが、紗夜には全く効果が無かった。

「特に丸山さん! 三年の貴女がそれでは示しが付きませんよ⁉」

「何で私⁉」

 そして、紗夜の怒りの矛先が何故か彩に向く。

「大体……」

 その時、生徒会室のドアが開き、教員が入ってくる。

「先生?」

「氷川さん、ちょっと……」

「はぁ……」

 先生に手招きされ紗夜は近づき耳打ちをされる。

「はい……え? でも……はぁ……分かりました……」

 会話が終わったのか三人に近づく、先生も紗夜と話すという用を終えたからか、生徒会室から出て行った。

「三人共、もう今日は帰っていいそうです」

「え……どうしてですか?」

「私にも分かりませんよ……」

 紗夜は俯きながらドアを開く。

「ほら、閉めますから出て行って下さい」

 紗夜に言われ三人は生徒会室から逃げ出す事が出来た。

 

 

 

「それで、これからどうするの?」

「あのエクスードを倒しましょう!」

 校庭に出て、今後の話をする彩と香澄の元に五人の人が走ってくる。

「おーい、香澄……ってお前何してんだ⁉」

「こころも何やってるのさ」

 先頭を走っていた有咲と美咲は三人の姿に驚き、その後ろにいるりみ、沙綾、たえも驚きを隠せない。

「有咲~、エクスードにやられちゃったよ~」

「はぁ? 文字通り踊らされるって言うのか?」

 今回の相手の頓珍漢な能力に有咲は疑問を持つ。

 その時、突如有咲のスマホが鳴り、有咲はその着信に出た。

「もしもし」

『ああ! 有咲、良かった通じて!』

「リサさん? どうしたんですか?」

『今、駅前にいるんだけどさ。友希那が全く言う事を聞いてくれなくて……』

「友希那先輩が?」

『うん、蘭から話を聞いて来てみたら……止めてって何度も言っても、踊り続けていて……』

「マジか……」

 有咲も友希那が踊る姿が想像つかないのか困惑している。

『このまま放っておくわけにもいかないし……』

「リサさんはどうするんですか?」

『今は友希那の傍にいるつもり、エクスードがまた出てくるかもしれないし』

「分かりました。……香澄、どうするんだ?」

「勿論、探して倒す!」

「私達は奴を探すつもりです」

『分かった、出てきたら連絡するから』

「よろしくお願いします」

 それを最後に有咲は着信を切った。

「……」

 たえは難しい顔で三人を見つめる。

「おたえ?」

「皆は踊りのペストって知ってる?」

 たえが神妙な顔で聞く。皆は分からないという顔をしており、りみが聞く。

「ペスト? でも、踊りってどういう事なの?」

「昔、人が突然踊りだしてしかも、それを見た人も踊りだして最終的には、皆最後まで踊る現象だよ」

「さ、最後って……?」

 沙綾が恐る恐る聞くと、たえが一言。

「死ぬまで」

「ちょっと! それってマズイじゃん!」

「高揚したまま逝けってそういう意味だったんだ……!」

 この答えに叫ぶ美咲とダンサアの言葉を理解した彩。香澄が顔を青くしている中、今度はこころが口を開く。

「ねえ皆」

「な、何?」

「どうして紗夜はあたし達を帰してくれたのかしら?」

「え⁉ 今ここでその疑問⁉」

「それは我々が答えます」

「うわっ! いつの間に⁉」

 美咲達の背後に突如、黒スーツにサングラスの女性が圧を出しながら立つ。

「黒服さん!」

『こころ! この人達誰⁉』

「こころ様が動けるように少々手配をしました」

「あらそうなの? ありがとう!」

「それと、今回の一件について独自に調査をした所、こころ様が初めて会った、駅前は三件目でそれ以前に人を躍らせていたようです」

「それってどこですか?」

「こちらに」

 スマホで地図を見せる。こころは思いついたのか叫ぶ。

「そうだわ! 皆で待ち伏せをしましょう! 香澄はショッピングモール、彩は花咲川にいて頂戴! あたしはCircleに行くわ!」

 こころの提案に香澄が質問をする。

「蘭ちゃんはどうするの?」

「蘭は羽丘にいてもらうの!」

 

「それと黒服さん。お店や学校……人が沢山集まる所にいて頂戴!」

「分かりました。そのように手配いたします」

「あ! 後、あたし達にも一人ずつついて来てくれないかしら?」

「かしこまりました」

「さあ皆、今度は勝つわよ!」

「こ、こころちゃん元気だね……」

 

 

 

 サークルの前でダンスを披露する光景を好奇な目で見つめる民衆だが、当人は気にしておらず、舞っている中黒服が一言。

「プチミッシェル様、少々お話が」

『こいつ……直接脳内に……⁉』

「プチミッシェル、呼ばれているわね!」

『わ、分かってるよ……』

 こころに言われ、プチミッシェルは彼女の中から出て行き、姿を現す。

 黒服はプチミッシェル抱き、こころから離れていく。

「突然、申し訳ございません」

「いえいえ……」

 プチミッシェルは他人行儀に振舞う。

「貴方様にお願いがあります」

「お願い?」

「いざという時にはこころ様を守ってもらいたいのです」

「ま、守る? ボクが?」

「はい」

 黒服の思わぬ頼みに困惑を見せるプチミッシェルにその理由を語る。

「確かに、我々はこころ様の為に全力でサポートをしてきました」

「それじゃあ、こんな危険な事を止めないのって?」

「それはこころ様が願っているからです。だから、我々はその手助けをしているのです」

「……」

「ですが、エクスードという人知を超えた脅威だとすれば、出来る事も限られてしまう」

「それで……でも、ボクよりも皆さんの方がこころの事を理解しているし、力にはなれないと思います」

「いえ、難しい事は言いません。ただ、こころ様の傍にいてくれるだけでいいんです」

「え……」

「今のこころ様はプチミッシェル様を原動力におります。つまり、貴方の力が必要なのです」

「……」

 黒服の真剣な姿にプチミッシェルの中から断りの感情が薄れていく。

「それじゃあ……」

 プチミッシェルが言いかけたその時、奴が来た。

「レッツダンス! イェア!」

「出たわね!」

「げぇ⁉」

「こちら、エクシードが現れましたどうぞ」

 こころは黒服の通信を他所にハッピー砲とDバレットを取り出す。

「音撃チェンジ!」

『スマイル!』

 ハッピー砲にスマイルバレットをシリンダー装填し、思い切り回転させた。

 陽気なサンバのリズムが流れる中、こころは踊っている。

「こころ、それで戦えるの⁉」

「大丈夫よ!」

 締めにバク転をしてすぐ、銃口を天に向けて引き金を引く。

 黄色の光弾が発砲、こころの体が光り出し姿を変え、最後に光弾が顔に貼り付いてミッシェルの面となりこころの顔の上半分を隠した。

『ハッピー! ラッキー! ドリーマーズ! イエロー!』

「さあ、行くわよ!」

ステップで相手に近づき一ターンして発砲。

 

ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)

  • STAR BEAT!~ホシノコドウ~
  • 二重の虹(ダブル レインボウ)
  • キズナミュージック♪
  • Returns
  • ティアドロップス
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