音撃戦隊バングドリーマー   作:作者アアアア

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7thLive 走り始めたばかりのキミに

 地下帝国にて、ウィンドは爪を噛みながら周囲を歩き回っており、その姿からストレスのたまり具合が察せた。

「可笑しい! 何故、誰も勝てないんですの⁉」

「俺はむしろ歓迎だがな、今までが弱すぎたんだ」

「だとしても、たった五人のせいで侵略が一ミリも進んでいないのはどう考えても可笑しい!」

 玉座に座り、その様子を眺めていたクラムが隣に立つシーに耳打ちをする。

「ウィンド、どうしちゃったの?」

「我々の計画が一向に進まない事からかなり気が立ってようですね」

「そんなに怒る事かな? ゆっくり進めていけば良いのに」

 ウィンドの苛立ちに疑問を持ったクラムは、迷わず聞き出す。

「ねえウィンド、そんなに怒る事かな? 皆でゆっくり進めていけばいいじゃない」

「お言葉ですがクラム様!」

 ウィンドは鬼気迫る姿で上司に詰め寄り叫ぶ。

「この世界には醜いものが多すぎるんです!」

「醜いもの?」

「ハッ! クラム様も知ってるだろ?」

 鼻で笑いつつライトが聞き返す。

「自分以外は醜いんだとよ」

「おだまらっしゃい!」

 ライトの声にウィンドは振り返り怒鳴った。

「私はそんなナルシストではありませんわ! 私が求めるのは、私に相応しく、対等で、美しいものですわ!」

 ライトの台詞に訂正を入れつつ激昂し続ける。

 そこへ一人が歩いて来た。

「皆~、コナモが来たよ」

 ヘラヘラ笑いつつ、手を振りながらコナモがヒステリーを起こしている女怪人がいる空間に入る。

「何ですの⁉ 今は話しかけないで下さいまし!」

「ひどいな~いいアイデアを持ってきたのに」

「……アイデア?」

 アイデアと言う単語にウィンドは冷静さを取り戻す。

「そう、コナモがいい事を思いついたんだ」

「……早く教えてください」

 ウィンドはコナモから聞くのは癪なのか睨みながら聞く。

「フッフッフ……それはね……」

 不敵な声を出すコナモ、あからさまにもったいぶった間を作り言った。

「直接会って倒せばいいんだよ!」

「は?」

 自分達が戦いに出る、そんなシンプルな提案にウィンドは嫌そうに声を出す。

「私に動けと? 嫌ですわ」

「でも、放っておいたら確実に強くなるだろうし、その前に仕留めて置くのが正解だと思うんだけどなあ?」

「……だったら、貴方がやって頂戴」

「コナモ、働きたくなーい」

「コイツ……!」

 コナモ煽り全開の一言に普段の口調を忘れるほどに憤るウィンド、それに対してライトは楽し気に言った。

「いいな! 俺は乗るぜ!」

「流石ライト! シーとウィンドはどうするの?」

 乗り気なライトを見て、コナモは喜々と二人に聞く。

「……私も行きますわ。ライトが活躍するのは癪ですもの」

「……」

 ウィンドは悔しそうに参加を決め、シーは顎に手を当て考え込む。

「行ってきなよ」

「クラム様?」

 そこに一言入れたのは四人、ひいては組織の長であるクラム。

「だって、シーも行きたそうだもん」

「ですが……」

「僕だって、身の回りのことぐらい一人で出来るよ。だから偶にはさ」

「……」

「それじゃあ命令。シー、例の五人と戦って!」

「……かしこまりました……!」

 シーはクラムから命令という形で参戦を決めるのだった。

「よし、コナモは……」

「行かないよ」

「は? 言いだしっぺは貴方でしょう?」

「大丈夫大丈夫、代わりを寄越したからさ。そいつに付いていけば確実に会えるよ」

 五人に最大の危機が迫っていた。

 

 

 

「皆集まったわね!」

 サークル前のカフェテリア、今日は休日なので五人は私服姿でテーブルを取り囲んで話をしていた。

「こころん、話って何?」

「あたしね思ったの!」

 言いだしっぺのこころはある持論を語る。

「あたし達、いつも五人で戦ってるでしょう? これってバンドと似てないかしら⁉」

「戦いとバンドは全然違うと思うけど……」

 彩は苦笑いを浮かべるがこころは語り続ける。

「それで決めたの!」

「決めた? 何を?」

「あたし達にも名前を付けようって!」

「名前?」

「ええ、音撃戦隊! これが名前よ!」

「それ、必要かしら」

 友希那は腕を組んだまま、こころに聞く。

「ええ! もう衣装も用意したわ!」

 こころはそう言って立ち上がると、脇に置いてある袋からレーシングジャケット五着を取り出し、一人一人に配っていく。

 受け取った香澄は早速、畳まれたそれを広げる。

 黒の下地に所々にピンクのラインが引かれ、背中には大きく『キラキラ☆ドキドキ』と書かれていた。

「こころん、カッコいいよこれ!」

「そうでしょう! 三人もそう思わない?」

 蘭と彩もジャケットを背中部分をまじまじと見つめる。

「……何て言うか……すごいデザインだね」

「背中の文字ってわざわざ考えたの?」

「……」

 蘭も彩もそれぞれ感想を述べる中、友希那は黙っている。

「ええ! ハロハピの皆と考えたの! それで……」

「弦巻さん」

 そこに割って入るは友希那。

「わざわざ用意してもらって悪いけれど、これはあまりいいアイデアとは言えないわね」

「あらどうして?」

「私達のしている事は常に危険と隣り合わせ、死ぬ可能性だってある。それを遊び感覚でやろうとしている様にしか見えないわ」

 友希那は受け取ったジャケットをこころに返す。

「悪いけれど、これは受け取れないわ」

「あら残念、でも欲しくなったら何時でも言って頂戴!」

『会話の最中で悪いが奴らが現れたようだ』

「ポップ?」

 その時、香澄の中にいるポップが香澄に声を掛ける。

「皆! エクシードだよ!」

 香澄は四人に伝えると、こころは早速ジャケットを羽織り、現場へ急行しだす。

 

 

 

「汚物は消毒だ~!」

 駅前では背中にガスボンベを背負い、右手に火炎放射器を取り付け、左手の甲に穴が開いている蛙の怪人が火をまき散らしながら逃げ惑う人を襲っていた。

「そこまでだよ!」

 そこへ香澄を中心に五人が横一列に並ぶ。

「皆、行こう!」

「分かった」「うん!」「ええ」「ええ!」

 四人は香澄の号令に答え、それぞれDバレットと変身アイテムを出して叫んだ。

「音撃チェンジ!」

 全員が変身を終えると、それぞれ武器を片手にターゲットに走り出す。

「はぁ!」

 最初に出たのは香澄、相手の火炎放射器と鍔迫り合いになる。

 そこに香澄の後ろから蘭とこころが飛び上がり、弾丸と矢弾を飛ばす。

「ぐっ……らあ!」

 二人の射撃を受けたが怯まずにそのまま香澄を押しのける。

 そして、射出口を胴ががら空きになった香澄に向けた。

「させない!」

 だが、彩がその間に入り、センターブレードで火炎放射器を叩くと衝撃で射出口が地面に向けられる。

 それと同時に炎が放たれた。

「どいて!」

 友希那の台詞に二人は蛙怪人から離れると、友希那はブルーローズで何度も相手を突く。

「うぐぅ……」

 怯んで脇腹を押さえた所で止めを刺そうとポケットからDバレットを取り出す。

「止めよ」

 そう言って、Dバレットをブルーローズに装填しようとしたその時

「無駄だ~!」

 その隙を突いて穴の開いた左手の甲から冷気を放った。

 それが友希那の手に掛かると、彼女の手が一瞬で凍り付き動かなくなってしまった。

「なっ⁉」

「追い打ちだ~!」

「きゃああああああ!」

 さらに追い打ちに冷気を全身に浴びせられた友希那は氷像となってしまった。

「友希那先輩!」

「アイツ!」

「氷に気を付けて!」

「オラオラ隠し玉だ~!」

 今度は左を振りまわして暴れだし四人は思う様に近付けずただ回避に専念するばかり、しかし、終わりの時は早く来た。

「ガス切れか! 撤退だ~!」

 蛙怪人は撤退用に残しておいた僅かなガスを使って、左手で氷の塊を足元に生成すると、火炎放射器でそれを超高熱で一気に溶かす。

 すると、激しい水蒸気は発せられ四人は顔を塞ぐ。

 そして、気が付いた時には既に奴の姿は無かった。

「逃げたみたいだね」

「でも、ガス切れって言っていたよね? だとしたらしばらくは襲ってこないと思うけど……」

「ねえ、友希那はどうするの?」

 こころの台詞に四人は凍ってしまった友希那を見つめる。

「これが使えないかな?」

 そう言って香澄はポケットから火の絵が描かれた銅色のDバレットを出す。

『フレイム!』

 バレットから音声が発せられ、ガントレットに装填して装着している左手を友希那に向ける。

 すると火が放たれ、氷が徐々に解けていき、最終的には元に戻った。

「助かったわ」

「良かった~、友希那ちゃん大丈夫?」

「少し体が冷えているだけよ」

 香澄は、友希那の様子に安堵しつつDバレットを抜く。

 だが今度は香澄のDバレットに異変が起きる。

「あれ⁉」

 銅色だったDバレットが鈍く光る所々が錆びついた鉄色になっていた。

「私のDバレットが⁉ 何で⁉」

『どうやら寿命みたいだな』

「寿命?」

 ポップの言葉に疑問を浮かべる。

『分かりづらいかもしれないが、Dバレットも一種の生命体だ。力を引き出せば命と引き換えに光り、最後には消える。これはその残骸だ』

「そんな……」

 Dバレットの思わぬ最期に悲しんでいるとポップが語る。

『これからこう言った事は何度もあるはずだ。だから嘆くな』

「そうね、戸山さんあまり気負いしない方がいいわ」

「……はい」

 香澄はそう呟いて錆びついたDバレットを静かに握った。

 この時、そのバレットが僅かに光りを取り戻した事には誰も気づいていなかった。

 

 

 

 ジャケットを貰って翌日、昼休みの時間、中庭で弁当を広げて食事をしている中、早速香澄はポピパの四人に自慢をしていた。

「じゃーん!」

 香澄は四人に得意げに音撃戦隊のジャケットを広げる。

「これってレーシングジャケットだよね。どうしたの?」

「こころんが用意してくれたんだ! 私達が音撃戦隊になれるようにって!」

「制服みたいな物だね。反対はどうなっているの?」

「こんな感じ!」

 たえに言われジャケットを反転させて裏面を見せる。

「どう? かっこいいでしょ⁉」

「キラキラドキドキ……」

「いいなあ、私の分は無いの?」

「うーん……こころんなら作ってくれるかも!」

 りみは文面を読み、たえはねだる。

「あのさ」

 舞い上がっている香澄に対して沙綾は冷静に聞く。

「香澄っていつも戦っているんだよね」

「うん」

「大丈夫なの?」

「大丈夫大丈夫! 負けたことも無いし、それに皆が助けてくれるから!」

「そういう問題じゃないんだけど……」

「戸山さん」

「はい!」

ウキウキな香澄はそのまま声を掛けた人に振り返ると、紗夜が立っていた。

「それは何ですか?」

「え……ジャケット?」

「何故、指定制服以外の物を持っているのですか?」

「えーっと……」

「……これは放課後まで預かります」

「ああ! そんなぁ~!」

 

 

 

 放課後、ジャケットを返してもらい、校庭から出ようとしたその時、香澄の内にいるポップが声を掛ける。

『香澄、エクスードが現れたようだ』

「本当⁉」

 周りに誰もいない事もあって普通に語り掛ける。

『ああ、近いな』

「分かった!」

 香澄は鞄から返してもらったジャケットを取り出して制服の上から着て、ファスナーを思い切り首の下辺りまで一気に上げる。

「行くの?」

「うん! でも、大丈夫!」

 不安げな沙綾に香澄は笑って返すと戦地へ向かって行った。

 

 

 

 エクスードの前に五人が一列に並ぶ。

 友希那は香澄とこころの恰好を見て一言。

「貴女達、結局着てきたのね」

「似合ってますか?」

「それは後、今度こそアイツを倒しましょう」

「はい!」

「音撃チェンジ!」

一瞬で変身し、立ち向かう。

二度目の戦いともあってか戦況はいい方向に進んで行き、相手を追い詰める。

「よし、今度こそ!」

「ま、待て! 待つんだ~!」

五人は一列に並んで、それぞれ止めを刺そうと技を放った。

しかし、蛙怪人に当たる直前に何かが間に入り阻止される。

『⁉』

「ポップ?」

『こ、この感覚は……⁉』

 煙が晴れていき、状態が発覚していく。

 そこには、蛙怪人に加えて三体の影が立っていた。

「苦戦しているみたいだな」

「恥ずかしくないんですの?」

「す、すいません」

 蛙怪人は謝りながら飛び跳ねる様に遠くへ逃げていく。

「誰だ!」

 三体の影に蘭が叫ぶ。

 それに対してライトをセンターに叫ぶ。

「未来を司るは情熱の炎! ライト!」

現在(いま)を司るは優しさと水! シー!」

「過去を司るは知性と風! ウィンド!」

 それぞれポーズを取って名乗ると友希那が聞く。

「それ、いるのかしら?」

「何? この世界ではこうやって名乗るのがルールじゃないのか?」

「そこまではやらないかな?」

「……一体何しに来たの?」

 彩が苦笑いをしつつ言って、蘭が睨むと、それにシーが答える。

「ええ、今日は貴方方の様子を伺い、場合によっては始末させてもらう事にしました」

「!」

 始末、その言葉に全員が一斉に武器を構えて三人を睨む。

「やる気か! いいぜ」

「我々への敵意はかなり高い、だが腕はパッと見よろしくない……と」

「場合では無くて、今すぐ殺った方がよろしくて?」

 幹部らもファイティングポーズを取り五人を睨む。

 互いに流れるのは静寂、そしてそれは八人が一斉に走り出すという形で破られた。

 それぞれ、彩とこころはウィンド、蘭と友希那はシー、香澄はライトと対峙して戦いが始まる。

「やぁ!」

「とぉ!」

 彩とこころが同時に武器で殴るが全く聞いておらず、はじき返して彩の手首を掴む。

 距離を取ったこころは胴を撃とうと銃を構えるが、彩を盾にして体を隠す。

 すかさず頭に標準を向けようとしたその時、引き金を引き金を引くよりも早くウィンドは彩を投げつけた。

「きゃあ⁉」

「ぶぇっ⁉」

 高速で飛んできた彩をどうする事も出来ず、ぶつけられ二人共仰向けに倒れると、ウィンドは更に二人のみぞおちを思い切り拳で突いた。

「かはっ……⁉」

 体内の酸素が一気に抜けていく感覚と共に、戦えないほどのダメージを負った。

 シーは懐からレイピアを抜き二人に剣先を突き付ける。

 最初に動いたのは友希那、だが彼女の突きは軽々弾かれ、それどころかブルーローズを宙に飛ばされてしまう。

「⁉」

 武器を失い僅かに狼狽える友希那。

 それを見た蘭は後ろから矢弾を撃ちながら近づき、宙を舞う友希那の剣を手にしようと飛ぼうとした。

 だが、シーには分かっていたらしく足を突く。

「うわあああ!」

 痛みに悲鳴を上げる蘭を他所に、シーは落ちてきた友希那の剣を手にする。

 そして、レイピアとブルーローズの二刀流で二人を吹き飛ばした。

 香澄は大剣を振るライトと近距離戦を行っていた。

 だが、剣を両手で使う香澄に対してライトは自分と同じ大きさの大剣を片手で軽々と振り、付け入るスキが見つからない。

「そこっ!」

 しかし、大剣を持った手を後ろに下げたの見た香澄は、剣を振り上げたその時

「うわっ!」

 ライトはもう片方の手で香澄の頭を掴むと無理矢理地面に叩きつけ、大剣を両手で握り、彼女の胴体に振り下ろした。

「ああああああああああああ!」

 千切れるような痛みと内臓が潰れるほどの勢い任せな一振りに絶叫と血を吐き出す。

「ごっ……ゴホッゴホッ……!」

 咳き込みつつ腹を押さえる香澄を心配し四人が千鳥足で駆け寄る。

 ウィンドはライトの隣に立ち、シーもブルーローズを手放しライトの傍による。

「この威光に耐えられるか⁉」

 そして、五人の傍に立ったライトは手をかざすと、五人は金の衝撃波に包まれた。

「あ、あれ……!」

「か、体が……!」

「ぐっ……動かない……⁉」

 困惑の声を出す彩、友希那、蘭。

「……まだまだだな」

「では今度は私が……」

 シーがお辞儀をする。

「はっ!」

 シーは手を五人に向かってかざすと、黒色の衝撃波を放った。

「うわぁ⁉」

 一行はそれぞれ腕で顔を防ぐが漆黒の靄がそれぞれの体を包んでしまう。

 

 

 

「あれ?」

 蘭は気が付くと一人になっていた。

「フフフ……」

 目の前には嘲笑うシーがいる。それを見た蘭は、迷わず弓剣を構え叫ぶ。

「よく分からないけど喰らえ!」

 弦を引き矢形の光弾を放った。

「うわああああああああ……」

「えっ……」

 しかし、そこにはシーはおらず、その代わりに一番の親友であるモカが立っていた。

 顔を青くする蘭。蘭自身が作りだしたぽっかりと開いた胸を見せつつモカはか細い声で一言。

「モ、モカ……?」

「蘭……どうして……?」

 それだけ言うと、モカはうつ伏せに倒れ事切れた。

「モカ! モカ!」

 無駄だと分かっていても、彼女の亡骸を揺する。その時、蘭の後ろから悲鳴が響いた。

「きゃああああああああ!!」

 悲鳴に驚き振り返ると、怯えるひまり、怒りの形相で睨む巴、激しい憎悪を発するつぐみの姿。

「み、皆……!」

「蘭! お前!」

 巴は、早歩きで蘭に近づき胸倉を掴むと顔面を思い切り殴った。

「うぐっ!」

「何でモカを殺した!」

 そう言って、執拗にまで殴る。

 蘭もいつの間にか変身が解け、吐血をしていた。

「ま、待ってよ……あたしは……」

「つぐ! やっちまえ!」

「分かってるよ!」

「つ……つぐみ?」

 ナイフを片手に蘭に迫るつぐみは躊躇いも無くそれを首に深々と確実に殺すためだけに刺す。

 つぐみに刺され薄れいく意識の中呟く。

「あたしは……あたしは……」

 そして、最後にはモカの声が蘭の脳内に木霊する。

『蘭、ひどいよ』

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああ!!!!」

 蘭の絶叫が暗闇の中で響いた。

 

 

 

「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああああ!!!!」

 地に伏せ、頭を押さえて発狂する五人。

 それをせせら笑いつつ、シーは語り掛ける。

「この悪夢を見ても我々に逆らいますか?」

「そんな事……!」

 しかし、香澄は頭を片手で押さえつつ、よろめきながらも立ち上がる。

「ほう……」

「そんな事させない!」

 剣を両手に走り出し、シーに飛び掛かった。

「はっ!」

「ぎゃっ⁉」

 しかし、それも簡単に手で払いのける。

 そして、壁に叩き付けられた香澄。悪夢に耐え切れなかった四人はそのまま気を失った。

「それでは、皆さんにはここで」

「ちょっと待て」

 シーは止めを刺そうと一行に近づくが、それをライトが阻止する。

「何ですか?」

「ここで死んだら面白くない……だろ?」

「出ましたわね。ライトの悪癖」

 ウィンドはライトが止めた動機が分かるのか呆れている。

「この悪夢を抜けたら奴らはもっと強くなるはずだ。それに、一方的な蹂躙は嫌いじゃないが面白くない」

「はぁ……また、至高の殺し合いですか?」

「ああ、最近そういう奴がいなかったからな」

「貴方のその提案で一週間で終わる活動も一カ月も掛かった事がある事を忘れたのですか?」

「俺はもっとスリルを味わいたいんだ」

『三人共』

 ライトとシーが言い争っていると、三人の脳裏に声が響く。

『音撃戦隊には会えた?』

「ええ、まぁ」

『もう戻って来ていいよ』

「しかし!」

『じゃあ命令、三人共帰って来て!』

「そうこなくっちゃな!」

「はぁ……」

「……チッ」

 満足気なライトに対して、シーとウィンドは不満げに撤退する。

 ここに残ったのは満身創痍の女子高生五人だけだった。

 

 

 

「う、うぅ……」

 その日の夜、香澄は目が覚めると何処かの部屋にいた。

「あれ?」

 上体を起こして辺りを見渡すと、見た事のある和室、自分は布団で眠っていた事、周りには使った跡がある布団が四組ある。

「ここって……」

 その時、部屋の出入り口である襖が開かれ、見慣れたツインテールが入って来た。

「香澄! やっと目が覚めたか!」

「有咲!」

 有咲は、香澄の傍に座り体調を伺う。

「私の部屋、皆で担ぎ込んだんだ。それで、体はどうなんだ?」

「ん、大丈夫。それよりもどうして私達の場所が分かったの?」

 香澄が聞くと、有咲の陰からポップが現れた。

「コドウ達が教えてくれたんだ。何かあったのか?」

 香澄は先程あった事を分かる範囲で話した。

「マジか……そんな強い奴が……」

「有咲、ダメだったよ……今まで負けたことが無かったのに……」

「何言ってんだよ……」

 有咲は悲しげに言う。

「勝ち負けとかどうだっていいだろ……!」

「所で皆は?」

「……皆、帰ったぞ。けれど、様子が変だったな」

「変?」

「ああ。まともに話が出来たのは弦巻さんぐらいだな。蘭ちゃんは、目を覚まして、私の顔を見るなり逃げ出したから……。友希那先輩も彩先輩もな……」

 四人の異変に香澄は鳥肌を立たせていると有咲が案を出してきた。

「今日は泊ってけ」

「……そうする」

 

 

 

 三人の幹部との直接対決、見せつけられたのは、圧倒的な戦力差、己の無力さ、そして悪夢。

 蘭達三人は何処へ、避けられないであろう幹部との戦いに勝機はあるのか。彼女達の戦いは、次に続く。

ポピパの楽曲と言えば?(採用されたものがフォーム名になります)

  • STAR BEAT!~ホシノコドウ~
  • 二重の虹(ダブル レインボウ)
  • キズナミュージック♪
  • Returns
  • ティアドロップス
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