プロローグ
藤丸立香は先日、新たに出来た特異点を修正することに成功した。
そして現在の彼は、これからの闘いに向けて休眠中であった。
「うーん。」
目を覚ますと、いつものように、横には自称男装の赤いドレスを来た皇帝サーヴァントがいた。
そのサーヴァントの真名はネロ・クラウディウス。
ここで、サーヴァントがなんなのかについて説明しよう。
それは、英雄が生まれた時代から後世の人間たちが魔術で作り出した、人間たちの守護者の証のことである。
立香もその力を使うことが出来るが、彼は人類最後のマスターであるために、この娘のような護衛人が必要なのだ。
まぁ、どちらにしろ彼女とは結構深い関係にあることは一目瞭然だろう。
起き上がったのは良いが、彼自身はある違和感に気が付いた。
自分のいる場所についてだ。
「なにか、懐かしいような…」
彼は寝室を出て、廊下を見渡した。
「…!これは!」
すると後ろから、ネロが来た。
「マスター?どうしたのだ?」
「ネロ!ここ、覚えているか?」
彼は、内部の構造に驚きを隠せないでいた。何故なら…
「むむっ!?カルデアは確か、あのキャス狐の分身やアナスタシアらの攻撃によって、壊されたはずではないのか!?」
キャス狐の分身とは、前回倒したコヤンスカヤのことだ。そして、アナスタシアはクリプターの一人であるカドックという名の青年が使役していたサーヴァントで、氷の魔力と配下のオプリチニキでカルデアを攻撃してきたのだ。
藤丸は、感極まりそうになったが、それを抑えたうえで、ネロに話しかける。
「これはもしかしたら。何者かが、我々に幻術をかけているのかもしれない。」
「確かに魔力の気配を感じる。しかし、サーヴァント…ではないな。」
「あぁ、そしてこの魔力の流れは。魔術師のものでもマスターのものでもない。にも関わらず、かなりの量と質の魔力だ。」
と彼らが話していると、人影を見かけた。
その後ろ姿を、藤丸は見たことがある。
藤丸にとってそれは白いドレス姿で、その姿はどこか懐かしく、そして華やかだ。
「良く来たな、カルデアの魔術師・立香よ。」
その女はこちらを、振り向いてきた。
「なに!?余だと!?」
「お前はアメリカで……!」
そう、それは紛れもなく第5特異点であるアメリカで狂王ことクーフーリンオルタに敗れて死んだ、ネロブライドであった。
「強くなったな、カルデアのマスターよ。この皇帝である余が生きていたのだ。貴様が、これ以上強くなることはない。」
「…?」
しかし、藤丸は相手の言っていることがおかしいことに気付いた。
「余はな、貴様が『人理を守る戦士』として強くなる必要がないと言ったのだ。」
「!」
ネロブライドは、藤丸が今までした行為は全て無意味だと、言うのだ。
流石の藤丸もこれは反論してやろうかと思ったが、何故か頭が急に重くなった。
「貴様は、『人類悪』として強くなれば良いのだ。」
すると、ネロブライド(?)は藤丸に向かってなにかを呟いている…。間違いない!呪文だ!
「しっかりしろ、マスター!」
彼は一声発することも、指一本を動かすことも出来なかった。
が、そのとき。バン!っと銃声が聞こえた。
その銃口は、ニセネロに対して向けられていた。
そして、相手からの束縛が解かれたのか。藤丸の頭痛は嘘のように消えた。
そして、後ろから声が聞こえた。
「二度も、強力な魔導書に会うとは…。ところで、そこの貴方。男のほうの貴方。」
「助太刀感謝しますけど、なにか?」
彼は、突然の振られ方に驚いたが聞く耳を立て直す。
すると、先程の銃の持ち主である赤髪の少女は彼に銃口を向けながらこう言った。
「突然ですが、魔王候補である貴方には選択肢があります。
1.あの魔導書を破壊し、彼女に関する記憶を消す
2.危険な存在である貴方があの魔導書ごと消されるか
どちらかを選びなさい。」
2つの選択肢……どちらも藤丸立香本人からすれば、とんでもない選択肢だった。
なので、彼はこう言った。
「確かに賢明な選択肢だ…。だが、断る。この藤丸立香が最も嫌うこと!それは、私の進む道の動機を奪われることだ!」
赤髪の少女は、驚いた顔で彼を見つめて次にこう言った。
「では、どうするおつもりで?」
「決まっている。あの魔導書とかいうのを止めて…私は強くなる!憎しみを越えて、悲しみを越えて…!」
彼は再び、ニセネロに振り向かえる。
そして。
「抑止力モード!」
赤い外套を羽織り、英霊に匹敵する力を得ることが出来る姿・抑止力モードに変身。
「マスターの助太刀には感謝するが、貴様の名はなんだ?」
ネロに問われた赤髪の少女は答えたの。
「私の名は浅見リリス。トリニティセブンの一人です!」
完