ここは、藤丸立香が編入生として通っている聖ビブリア学園の廊下。
外には、激しい雨と猛々しい雷が現れていた。
そして、何回か雷が鳴ったと同時に普通は割れないはずの窓が突然割れた。
そこを夢遊病患者のようにさまようのは、不敵な笑みを浮かべた女だ。
しかも、ビブリア学園の制服を来ている。
そんな妙な魔力の流れにいち早く気が付いたのは。
「ここか?アークさん?」
「あぁ。間違いねぇ。コイツだ。お前と似て非なる魔力が、プンプンするぜ。」
藤丸立香とその相棒魔道書のアークミネルバだ。
「おい、そこのお前。」と、現場に生徒が来た。
誤解されないように振る舞ったが、運悪く崩壊現象に五月蝿いグリモワールセキュリティーの者たちだった。藤丸は彼らの尋問を受けることになってしまった。
不幸にも廊下での尋問は長く続き、あっと言う間に生徒が集まってしまった。
「俺は何もしてねぇ!本当なんだ、信じてくれよ!」
何度も同じ質問を繰り返してくる彼らに、業を煮やした藤丸がこう叫ぶと。
「とても残念なことながら、彼の仕業ではないようです。」と、どこか含みがある女の声が聞こえた。
「ミラ?本当なのか?」
生徒の一人が不思議そうに、藤丸を見ながら言った。
集まってきた人々の会話を聞いていると、今回も魔王候補の仕業じゃないかと疑われている。疑われているのは言うまでない。藤丸とアラタ、さらにはユイもだ。
長い尋問からようやく解放された藤丸本人は。わざとミラに聞こえるように、
「あぁ、精々した。」と愚痴をこぼした。
そうこうしていると。
「もしかして、尋問受けてたのって。リツカさん?」
とリリスが声をかける。そこにはアラタやユイもいた。
「そうだよ。今回の騒動の第一発見者だったから、疑われちゃって。魔力検査しっかりしろって話だよ。」と愚痴をこぼす藤丸になりふり構わず、ミラはリリスにこう言った。
「今回の魔力は…『あの図書館』と同じ気配を感じます。」
「…」
リリスとミラがなんの話をしているのか、私やアラタにはさっぱり分からなかった。
そして、この図書館事件のことはかなり長い間眠り続けていたユイも知らなかった。
どうしても気になってしかたないので、私はある者を呼んだ。
「マーリン。出てきて。」
すると、教師の姿となった花の魔術師が現れた。
「呼んだかな?ン我がマスター。何か知りたいのかな?」
まるで、何処かの魔王の家来みたいな言い回しだ。しかし藤丸はそのことを気にせずにこう聞いてみた。
「ヤバい噂が立ってる、ここの図書館って知らない??」
「あぁ、アレか。お化けが出たっていう」
そうマーリンが言うと、「ひゃわっ!?」とユイが悲鳴を挙げて、アラタの腕にしがみついた。
そして、ユイの豊かな胸がアラタの腕に当たると「ふむ。なかなか!」とスッキリしたような表情でアラタが呟いた。
「もしかして、お化け苦手なのかな?ハハハ」と笑うマーリン。
藤丸もつい。「お化けが苦手なんて、ユイにも可愛いところあるんだな」と笑ってしまった。
ユイは、「魔物は可愛いけど、ゆーれいは怖いもん!」と返す。
「もんって。お前。魔物とかドラゴンみたいなもんじゃねえか。」
「ち、ちがうよ!」とさらにアラタに抱きつくユイ。
「ただの幽霊なら、殴れば倒せるんだけど。」
と言う藤丸に、マーリンが首を横に振る。
「残念ながら。マスターが臨むようなことには、ならなさそうだ。」
「うん。あの廊下で感じた魔力を察すると、幽霊だとしても、ただの幽霊じゃないね。」
と話していたところで、先生たちが生徒らを鎮めて就寝するように注意しだしたため、大人しく寝ることにした。
次の日。このことをよく知るアリンに話を聞いた。
図書館で起きた幽霊事件は、昨晩と同じように雨が強い日であった。その日は雷がうるさいために授業が早めに終わって、皆自由研究をしていたという。
そんな中、ある双子の姉妹が二人だけで図書館で研究していた。そして、昨日のように窓ガラスが全て割れ、大量の本が一斉に崩れてきたのだ。そして、妹だけが発見され。姉は跡形も無く消え去ってしまったというのだ。
これは、藤丸とアラタが来る半年前のことであった。
さらにはレヴィ曰く、雨の日にいなくなった少女の人影が目撃されたという。
もし、この話が本当なら。あの魔力はその少女の物になるのだが…。
と考えていると。アラタが仕切った。
「よし、現地調査と行こうか。」
助言をくれたマーリンと別行動をして事故物件ならぬ事故図書館を訪れると。
そこには、リリスとミラたちがいた。
「よっ、リリス。幽霊事件ってのが気になったから調べに来たぜ」と声をかけるアラタに、
「邪魔をしに来たなら、即刻消し飛んでもらいますよ?」と威圧をかけるミラ。
「だぁ、違う!崩壊現象らしき魔力があったなら、俺達がいたほうがいいかもだろ?!」
とミラの発言に的確に返すアラタ。
そこで、藤丸は本棚をボーッと見ている一人の女に気付いた。セリナだ。
そういえば、この間の温泉で言っていた最後のトリニティセブンと今回の幽霊事件の犯人は無関係なのだろうか?そこで、藤丸はその疑問をセリナにぶつけてみた。
「セリナ。こんなところで調査か?」
「あっ。リツカさん。えぇ、まあ。」
と、何かを誤魔化してそうな返事をしたので。質問した。
「あのさ、最後のトリニティセブンと今回の幽霊事件って何か関係ある?それでさ。もしかして、その人ってセリナの大事な人?」
すると、セリナは豆鉄砲を喰らった鳩のような表情を浮かべたあとで少し悲しいような表情を浮かべた。
「バレてしまいましたか。」
「温泉の時の君の表情と先程の本棚を見ている表情が似ていたので、もしやとは思ったが。……」
「どうかしましたか?」
と聞くセリナに対して答えるように、藤丸は皆にこう言った。
「皆!聞いてくれ!今回の幽霊事件の幽霊は、この図書館内にいる!!すぐそこにいるぞぉ!」
「はぁ!?」と驚くアラタ。
すると、ただの図書館の風景がガラリと廃墟へと変わったのだ。
「クソ、固有結界の類いか!」
「この場所は『永劫図書館』」
「そんな!あの図書館に強制接続させられたというのですか!?」
「ちょっと寝てる間に、おもしろくなってるじゃねーか。お前らは、固まって端にいたほうがいいぞ」
っと、ミラとリリスと起きたばかりのアキオが、魔道士特有の戦闘服・メイガスモードへと変身した。
「来い!メイガスドラゴン!」
すると、藤丸のところに小さなドラゴンのようなロボット・メイガスドラゴンが飛んできた。
そして、その腰辺りについてあるボタンを押した。
「ウェイクアップ!メイガスドラゴン!Are you ready?」とメイガスドラゴンからの音声を聞き取った藤丸は腰にメイガスドラゴンを当てて「変身!」と叫ぶ。すると、白い鎧と青い炎が彼を包んだ。彼は、このメイガスドラゴンを通じて、メイガスモードへと変身したのだ。
「さて、あとは何処から攻撃するのか分かれば。。」
すると、ユイが叫んだ。
「お兄さん、気をつけて!」
黒い影は、蛇のようにアラタを絡めようとしたがセリナが庇ったので、かわされた。
「で、次は私か。」そして、藤丸はそれを普通に殴って消滅させてやった。
すると、アラタのほうから声が聞こえた。「貴方たちが魔王候補?」
その声の主は、セリナと瓜二つだ。しかし、所々に違う箇所があった。それは全体的に黒い格好。豊かな胸部そして、ニーソに隠れた美しい脚だ。
「リーゼさん…」
リリスが、その名を口にした。
「そうか。リーゼロッテシャルロック。それが、今回の幽霊事件で現れた幽霊の正体であり、トリニティセブンの一員でもある。それでもって、セリナの双子の姉である…と。」
「あら♪よく知っているじゃない。」
「これでも伊達にこの学園に入った訳では無いのさ。」
と言った会話が続いたあとで、リーゼがある二人に気が付いた。
「あら♪センセにセンパイ♥️お久し振りです。久しぶりついでに」
と言った途端にアラタの目の前から、リーゼが消えた。そして、ミラとリリスの間に割って入るように現れた。
「その魔力、貰っていくわよ。」
数式の帯こと、数秘術が二人を囲うように現れた。リーゼの言う通りなら、二人の魔力はリーゼに吸収されるということになる。
「させるか!」と、藤丸はリーゼに龍のエネルギー弾を放とうとした矢先。
リーゼが発生させた、数秘術が斬り刻まれていた。
「おおーっと!まだこっちにも挨拶が来てないッスよ」
数秘術を不発させたのはニンジャこと、レヴィだった。
「アキオにニンジャじゃない?元気にしてたみたいね?」
「まあな。そっちは、なかなか悪の魔道士っぽくなったじゃねーか。」
しばらくして、「どういうことなんだ?」と説明を要求するアラタにリリスとミラが答える。
「彼女は…禁忌とされていた『永劫図書館』への接続実験を強行した犯罪者です。」
「元グリモワールセキュリティーのセカンドであり、怠惰『アケディア』のトリニティセブンです。」
「あの胡散臭い組織の元セカンド!?これは気を引き締めて行かないとな!」
「…胡散臭いは余計です。消しますよ?」
そんな会話していると、リーゼが舌を出して唇を舐めた。
「まさか、全員揃った上に魔王候補までいるなんて。せっかくだから、皆の魔力はあたしが全部貰ってあげるわね♪」
また、リーゼは舌を出しては、興奮したような表情で敵対者をじっくりと見つめた。
To be continued
次回のFate/Grand Orderは!!
「そもそも、魔道なんて人の道を外れたもんじゃない?それで、禁忌とかナンセンスそのものだわ。」
「俺もめんどくせーのが苦手でよ。出来ることなら近道が良いし、楽する方法があればそれに越したことはねーわな。だがな。俺はなんつーか。ダチの魔力を奪う…ってのは嫌っぽいわ。」