「藤丸立香の単独顕現スキルでどうにか、リベル学園に着いた五人はそれぞれ二手に分かれてしまった。」
「あぁ。無事だと良いんだがな。」
「アキオも心配か?私も嫌な予感がしていてな。まあ、これが気のせいであることを祈って。第19話、どうぞ。」
「お久しぶりですね。アラタさん。」
「本当に…聖なのか?」
本来なら、再会したことを喜びたいと思うアラタだが。違和感を覚えたミラがそれを許さなかった。
「冗談はおやめなさい。貴女の魔力は、人間のそれではありませんよ。」
「えっ」
するとニセ聖は困ったかのように笑いながら、偽物であろう魔道書を取り出す。
「…流石はビブリア学園のトリニティセブン。そう簡単には騙されてはくれませんか。」
「私の正義『ユースティティア』の名の元に。その正体を現しなさい!!」
ミラは怒りを込めるかのように、衝撃波を出してニセ聖を倒そうとするが。
「この魔力。危険かも…ですね。」
結界を張られ、逃げられてしまった。
「聖じゃないなら、アイツはなんなんだ一体?」
状況が飲み込めていないアラタに、ミラは再び聖が偽者であることを説明した。
そして今度はミラが、珍しく先程から黙っているソラに質問する。
「あのニセ聖の魔力の質が…貴女に酷似していましたよ?ソラさん。」
「…アイツは『イーリアス断章』。聖の記憶や外見を映して、身代わり役を担当していた私と同じ魔道書だ。」
つまり、ニセ聖の正体はイーリアス断章という魔道書なのだ。
「因みに、聖が魔道士の仕事で家を空けている間お前さんの料理やら掃除やらしてたのはアイツだ。つまり、一応ちゃんと『久しぶり』ではあったってことだ。」
「…消滅したハズの学園に春日聖の契約魔道書が現れた。調査は、私一人でも出来ます。貴方は彼女でも探してはいかがですか?」
ミラは眉に皺をよせて、スタスタと歩いていく。
「…なんか怒ってないか?」
「そりゃあ、昔の女が出てきたらなぁw」
「なっ!そっ、そんなんじゃありませんっ!」
ソラの弄りにミラは反応を示した。
「なーんだ。ミラも可愛いてころあるんだなぁ。」
「違うと言っているでしょう!!」
一方で。
「中に入ったは良いが……多いな。」
「こうなったら!」
「待て。ここは私がどうにかする。」
藤丸は、少しずつ前に出る。そして、魔物たちのところへ歩いて行った。
一匹の大きな鬼が、藤丸を通せんぼするが…その魔物は砂の城のように崩れた。
「えっ?」
「嘘だろ?おい。」
リリスとアキオが、信じられない物を見た顔をした。
「体格が大きい割りに弱すぎる。本丸はどいつだ?ん?」
藤丸は研ぎ澄まされた殺気を、魔物軍団全体に送っていた。そして、先程のは近づく者をほんの一瞬で愛刀・シルバームーンでその魔力を消し飛ばしていたのだ。その剣の性能と鍛え挙げられた剣術で。
「因みに……俺の仲間に近づいても殺すからな。貴様ら……!」
藤丸がそう言った途端、無数の魔物たちが一斉に逃げ出した。
「おお、マスター。中々やるようになったじゃないか?」
アークミネルバはそんな藤丸を視て感心したかのように、そう言ったのだ。
「因みにだなマスター。この学園は消滅したわけでは無いんだ。」
「そうなのか?だとしたら…」
「『世界構築』で異次元に隔離された…ということですか?」
『世界構築』。それは、魔王となったものが扱うことが出来ると言われている世界そのものを創り挙げる大技のことだ。
一言で言えば、かの大魔術である『固有結界』の上位互換のような物だ。
「ここは並行多元宇宙の狭間を浮遊している。つまり、私たちはこの学園しかない世界にワープさせられ閉じ込められたというわけさ。」
「しかし。あらかた回ったはずだが、なんも無いな。」
アラタたちは、得体も知れない廊下を歩いていた。
「もしかしたら、はぐれてしまったリリス先生やアキオとも合流出来るかと思ったのですが。」
「…なんも無いってわけでもなさそうだぜ。マスター。」
すると、アラタたちのほうへ恐怖の対象から逃げるように走る魔物達がいた。
「こっちに向かってくる!?」
「不浄な…!傲慢『スペルビア』のアーカイブに接続!テーマを実行します!!」
ミラはメイガスモードへ移行しようと思ったが、服が破けてしまったようだ。
「……」
「お、おう…。」
「キャアァァァ!!?」
何かの特殊な力により裸にされたミラの絶叫がリベル学園に響く。
「ちっ。ご馳走さまとか言える状況じゃねーなっ!!」
ミラのメイガスモードが解けたのに興じたかのように、逃げたうちの屈強そうな数体がアラタたちの前に立ちはだかる。
「どういうことだ、ソラ!?」
「この学園内じゃ、メイガスモードは封じられてしまうらしいな。私みたいに純粋な魔力存在なら、なんとでも出来るがな。」
ソラは数体の魔物を睨みながら、アラタにミラを担いで逃げるように促した。
「行くぞ、ミラ。」とアラタはミラに呼び掛けるが。
「あぁうぅ…。」
裸にされてしまった彼女はまるで、狼にでも狙われた小動物のように震えていた。
アラタは仕方なく、ミラを抱き抱えることにした。
「あとでいくらでも殴っていいから、今は逃げるぞ!」
「……わかりました。」
ミラは顔をトマトのように赤くしながら、アラタの行動に賛成するしかなかった。
「いかん、もっこりする」
「ふっ…ふざけないでくださいっ!!」
二人のそんな様子を見て笑うソラであった。
「やれやれ。マスターはハーレムでも作るつもりなのかねぇ?さて…と。」
ソラが指を鳴らした途端、瞬時に現れた沢山の魔法陣から光線が一斉掃射された。
数体の屈強な魔物は砂の城のように、脆く崩れた。
そして、魔物たちの死体を踏むように現れたのは。ニセ聖であった。
「相変わらず魔力の強さは流石ですね。『アスティルの写本』。」
「そっちこそ。相変わらず技の小賢しさは流石じゃないか。『イーリアス断章』。」
二人は睨み合った。
「貴方がいくら強くても、ここは私の領域です。」
「どうだかな。やってみないと分からないんじゃないか?」
今度は挑発し合う二人いや、二つの魔道書。
どうにか、一つの安全な部屋に着いて一息入れる二人の魔術師。
そして、はぐれた二人と一冊の魔道書を探す三人。
それぞれの思考が交わった。
完
次回のFate/Grand Orderは!
「今のマスターがヤンチャでね」
「待っていてくださいね、アラタさん。もう…逃げられませんよ」
「こいつが真の魔王候補『春日アラタ』に秘められた存在。『アストラルトリニティ』さ。」
「アラタぁ、目ぇ醒ませぇぇ!!」