ゼロワンが楽しみ!
「普通のビブリア学園の編入生・藤丸立香には、人類史を汚そうとするクリプターとの闘いが待っている。しかし、リベル学園で崩壊現象…いや『世界構築』が発生していた。」
「ちょっと、マーリン。なぁに、真面目にあらすじやってるんだよ。」
「申し訳ない。ン我がマスター。では。記念すべき第20話」
「どうぞ!」
「おっ。今日は積極的じゃないか」
あらすじ完
「そんじゃ、こっちから行くぜ。」
ソラはそう言って、複数の魔法陣から光線を放った。
だが、ニセ聖は魔物たちを盾の代わりにして、それを防いだ。
「やれやれ。その闘いは悪の魔道士そのものじゃないか。そいつらは。元々ここの魔道士なんだろ?」
と、ニセ聖ことイーリアス断章に問うソラ。
「こうなってしまっては、彼らに意思なんてありませんから。」
ソラを挑発するかのように、悪びれるそぶりを見せないイーリアス。
それに答えるかのように、ソラは膨大な魔力の放出で応える。
「違いない。なら…もう遠慮はいらないな!!」
「へぇ…また魔力を高めましたね。」
何処か冷静に構えるニセ聖。
そこで、ソラは「今のマスターがヤンチャでな。」とさりげないマスター自慢を始めるソラ。
それに対してやはりクールに応える、イーリアス。
「うん。流石は、私たちの聖が選んだ魔王候補ですね。」
そして、ニセ聖が指を鳴らすと同時に二つの魔力がぶつかりリベル学園中の窓ガラスが一斉に割れた。
そして、煙から出たソラは自慢気に吠える。
「…ふぅ!!やっつけたか!!ソラさん、大勝利ぃ!」
しかし、そんな喜びもつかの間。黒い立方体が、仮初めの勝利に喜ぶ彼女の目の前に現れた。
「なっ!?」
その立方体は禍々しく光り、ソラをこの中に閉じ込めたのだ。
つまり、真の勝者は。
「あらあら。大きな魔力の後は隙が出ますよって、何度も聖に言われてましたのに。…待っていてくださいねアラタさん。もう…逃げられませんよ。」
最悪なことに、イーリアスが勝利者となったのだ。
「…外へ出たのは良いが。やはら魔力は封印されたままだな。」
「そうみたいですね。私の魔道書が出せませんし。」
「外に出ても学園の敷地内じゃ駄目ってことか。まっ、まあ。結界の要があるとしたら、こういう場所のほうが見付けやすいよな?」
アラタの質問に、ミラはいつとよりも縮まったかのように応える。
「そう…ですね。あちらに見える時計塔ならば、結界注としても結界芯としても問題なく機能していることでしょう。」
「よし、早速そこだな。」
時計塔のほうへ移動すると、如何にもそれの頂上へと繋がりそうな梯子があった。
「それじゃあ」
ミラは梯子を登ろうとするが、アラタの制服以外何も着ていない彼女は登っているときに自身の尻が見えることに気付いて顔を赤くした。
「…?どうかした?」
「え?あ…その。か、風が吹いてその。服がめくれてしまったので。」
「あー。そういうHっぽいの苦手だもんなお前…。なら、俺が先に登るか?」
ミラの性格を知っているアラタは、それに合った提案をしたが。
「……結界の要に罠があった場合、見抜いて対処出来ますか?」
「おいおい。罠とかあんのかよ。」
「普通は、敵が配置されない場合。確実にトラップが用意されています。例えばそうですね。矢、落とし穴、火に包まれる、挙げ句の果てには石の中にテレポートさせるものまで…」
ミラの本格的過ぎる、例にアラタは絶句してしまった。
「…じゃあ、そうだな。…おんぶするしかないか。」
ミラにとっては恥ずかしいことかもしれないが、アラタからすれば突然現れた罠を潜るにはミラの能力や経験が必要だ。
「…えーと…変なところ触らないで下さいね。」
「背負うだけならな。触れて尻だけだ。」
「尻とか言わないでください!」
ミラは取り乱した自身を落ち着かせるために咳払いをして、アラタの背に乗る。
「登っている間は支えられんから、しっかり掴まっててくれよ?」
そして、彼らは梯子を登り始めた。
何の罠も無く、無事に時計塔頂上に着いたミラとアラタはそこで衝撃的な物を見てしまった。
「あれは…ソラ!?」
黒い立方体に閉じ込められたソラそのものだ。
アラタが、ソラが負けたという現実に驚愕していると頭上のほうから声が聞こえた。
「お待ちしておりましたよ。アラタさん。
「聖…!」
「いえっ、あれは。イーリアス断章です!!」
ニセ聖ことイーリアスは満月を背景に、アラタたちの目の前に立ちはだかる。
「さあアラタさん。貴方の魔道書と魔力を封じました。あとは、そこのイレギュラーな女を排除すらば私と貴方の二人だけー。時間も空間も全て止まったこの地で。聖がこの世界を滅ぼすその時まで。私と共に過ごしましょう。」
イーリアス断章はその両腕を翼のように広げて、彼女なりの宣戦布告をした。
それに従うかのようにアラタたちを囲んだのは、かなりの強さを持つ魔物たちだ。
「こいつは噂に聞く…クライシスって奴なんじゃないか?」
「そんなことありませんよ。貴方は私にとっても聖にとっても、大切な人ですから。大ピンチなのはそこの。女だけです。」
どうやらイーリアスはアラタを気に入っているらしくまた、独占欲を彼に向けているようだ。
「いや…そうもいかねーんだ。イーリアス断章?」
「イリアで構いません。聖はそう呼んでいました。」
「んじゃ、イリア。この裸Yシャツ娘は、俺の上司でな。」
「だっ、誰が裸Yシャツ娘ですか!?」
「うん。あざといですよね、その格好。」
「あざとくなんかありません!!」
緊張を解すコントをしていると、アラタの脳内に声が響いた。
「おい、マスター。おっと、このテレパシーには反応するなよ?こちとらバレないようにしているんだ。私が捉えられている要であるコイツは、結界の要でもあるんだ。」
「要…?」
「これはこの空間とリベル学園を構成する物でもある。つまり、ここをぶち壊せばこの学園も崩壊するのさ。私が内側から色々やってみる。時間を稼いでくれ。」
「あぁ。やってみるぜ。」
アラタはミラのほうを見て。
「ミラ。この状況じゃ、早めにお前を出してやるっていうのも大事かなと思うんだが。」
「はい!?貴方…まさか!!」
そして、アラタはイリアにある提案をする。
「なぁ、イリア。俺はここに残る…だが、こいつは外に出してくれないか?」
この提案にミラは反対したが。アラタは続ける。
「結局、おまえさんが必要なのは俺なんだろ?だったら、ミラはいなくてもいいんじゃないか?」
「確かに。私たち二人だけの世界にその女は要りませんよね。分かりました。では、私の近くに来ていただけませんか?アラタさん?」
「ああ。」
すると、ミラは大きな声で反論する。
「いけません!!そんな、自己犠牲的な方法は!」
「いやーっ。だけど次席としちゃ大将を安全な所に逃がすってのも務めだからな…と。」
「そういう判断は私が下します!貴方は『仮』次席ですから、そんなことしなくても!!」
アラタはミラの言い分を聞くと、笑顔で謝った。
「すまんっ。上手く出られたら外から助けに来られるかどうか、試してみてくれよ。」
アラタは、イリアの元へ行く。そして、ある疑問を彼女にぶつけた。
「聖が世界の全てを滅ぼすってどういうことだ?」
「はい。今の聖は、もうアラタさんが知る聖ではないのです。」
「それは…どういう…」
「それは。世界を終わらせて、この世界の偽りを全て完全に消し去って。そして全てが終わったら…その時に直接尋ねるのが良いと思いますよ、アラタさん。」
イリアは謎の涙を目に浮かべて、アラタの疑問に答えた。
「では、あの魔道士を……殺してしまうことにしますね❤️」
「え…!?」
事も有ろうことに、イリアはアラタの提案を白紙に変えようという魂胆だ。
実は、アラタとソラの会話も予測されていたことなのだ。そして、イリアはアラタが動けないように、黒い茨のようなもので彼の四肢を縛り上げた。
「くっ!卑劣な!!」
「あら…?魔道は目的のために、手段を選ばないことですよね?」
「ですが、これは…!!」
屈強な魔物が、イリアの命に従ってミラを拘束しだす。
「これは?私の魔力を吸い上げる装置でもあったのか!!謀ったな!イリア!!」
「恨むなら、私の作戦に気付かない自身の愚かさを恨んでください。アスティルの写本。」
あまりにも狡猾で卑怯なイリアに対して、ソラも抗議する。
「よせ、イリア!必要なのは俺だけだろ!?」
「…あまり他の女の為に必死にならないでください、アラタさん。聖がきっと『嫉妬』してしまいますよ?」
ドス黒い殺気をアラタにぶつけるイリア。
「アラタさんはそこで見ていてください…。貴方と仲良くなろうとするあざとい女と、貴方の魔道書の存在意義が無くなるその瞬間を。」
それぞれ、イリアの罠に嵌まり苦しむソラとミラを見ていて耐えられなくなったアラタはその堪忍袋の緒を切らした。
「イリアァァァァァ!!」
「!!アラタ…さん…?……どうして……そんな顔を……?」
アラタはまるで、深海『闇』に漂う氷のような表情でイリアを睨む。
「!?!?!?」
「…どうしたのですか?リツカ?」
一方で藤丸は、膨大な魔力が時計塔から流れているのを感知していた。
「……アキオ。私をあの時計塔の方角へ蹴り上げてくれ。」
「よし。こっちに来い。」
アキオは、自身に向かって走るように彼に指示をした。
すると、藤丸は言われた通りに猛スピードでアキオの方へ走る。
そして、アキオは両足に魔力を込める。藤丸も同じように魔力を込める。
踏み台となったアキオは、藤丸と息を合わせてキックをお見舞いする。
すると藤丸は、時計塔の方角へとミサイルかのように飛んで行った。
「…俺はさ。俺を気に入っている奴が笑っていられるのが…大好きなんだよ!!ただ友達が笑って過ごしている。本当にそれだけでいいのに。また…繰り返すのか?理不尽な『魔道』とかいう力に捕まって、やりたいことをさせられないまま…。」
「アラタ…さん。」
「っっ!イーリアス断章!!マスターを止めろぉぉ!!」
ソラはイリアに警告を鳴らすが、それも遅かった。アラタから膨大な魔力が溢れだした。
アラタがいたところから出てきたのは、黒い鎧を来た大魔属…即ち。
「こいつが、真の魔王候補『春日アラタ』に秘められた究極の存在ー『アストラル・トリニティ』さ。
その魔力の前には、先程まで勝ちを確信していたイリアが嘘のように震えていた。
さらに魔王は、ソラの説明に応えるように、イリアを上から見下ろして「その通りだ。」と言う。
そして、それだけでイリアの変身が解けだした。聖としての姿は強制的に解除され、現したのは黄緑色の髪と赤い眼を持った幼い女の子だ。
「よく見ておけ。これが本当の『支配』というものだ。」
イリアの魔力が解除されたのか、ソラとミラは自由の身となった。
アストラル・トリニティはそんな二人を見ると、邪悪な笑みを浮かべた。
「メイガスのほう。貴様は中々の素質を持っているな?さぁ…我が物となれぇ。」
ミラのほうを指指した彼は、そのままゆっくりと彼女に近づいた。
「誰が貴方の物なんかに…!」
ミラは抵抗するが、アストラルトリニティにとってはそれもひ弱な物でしか無く。
彼女の唇が魔王に奪われそうになる…その時!!
「アラタぁ!目ぇ覚ませぇぇぇぇ!!!」
青い鎧を纏ったメイガスモードへと変身していた藤丸が、アストラル・トリニティ目掛けてその頬にパンチをお見舞いしたのだ。
「ナイスだぜ!ミネルバのマスター!」
「ッ…!貴様…ッ!!その鎧は!……『兄上』…なのか?」
すると、藤丸の肌が一部が赤く変化し右目は鋭く光った。そして、彼の口調はしゃがれた老人のような物とそう変わらない物へと変化したのだ。
「『弟』よ…いつまでこんなことをしているのだ?」
完
次回予告入れとくの忘れましたが、ぶっちけ次回起きることを言うと藤丸vsアストラルトリニティです。是非も無いよネ!(予告を楽しみにしている皆さん、すみません)