ごめん…ごめんやで。アナスタシア
「ビブリア学園がクリプター達に、襲撃された!
そして、藤丸立香と春日アラタ達は、魔王候補と化した聖を止めるべく立ち上がった!
では、祝え!我がマスターのサーヴァントの勇姿が見れる、この瞬間を」
「俺たちメイガスも忘れるなよ!」
「我がマスターと春日アラタが反論してきたところで、第24よろしく。」
現在のビブリア学園には、沢山の場所で福音探求会とクリプターの連合軍との闘いが繰り広げられていた。
ユイの夢の世界では、一人のサーヴァントがキメラ軍団を相手していた。
そのサーヴァントは女性ながらに、男顔負けの怪力でキメラたちの顎を砕いていた。
「中々の数ですね…!」
サーヴァント・巴御前が息を切らしながら、呟く。
「良かったら、ユイの魔力を分けますっ!」
「!私のマスターに負けないぐらいの魔力の提供、感謝します!」
巴はそう叫ぶと、大きな弓と矢を取り出した。そして、それを強く引き絞り矢を放った!
「燃えろ!!」
その矢は多くのエネミーを貫通し、文字通りに跡形も無く焼き尽くしたのだ。
一方で、多くの生徒が座ることが出来そうな広間では槍を持った褐色肌の女が雷を使役し、破壊の限りを尽くしていた。
「チッ。そこにいるのはわかってんだ。出てこいよ、コラァッ!!」
槍を持った女はクリプターのサーヴァントの一人・カイニスだ。
カイニスはこの学園に入ってから、数多くの生徒を雷で焼き殺した。
しかし、そのうちの一人を取り逃がしてしまい、その一人がいると思われる広間に移動したのだ。
「ひぃ…ひぃ…」と、一人の逃げ遅れた生徒が震えていた。すると、彼女に一枚の白い布が覆い被さった。
「…ッ!」
「お静かに。その布は私のです。そして、私は味方です。3を数えたら布から出てみて下さい。
女子生徒は「1…2…3!」と数えると意を決して、布を取った。すると、目の前には他に避難所へと逃げた生徒たちがいた。
「……!小細工しやがってくれたな……!」
「ええ。民を傷付けることは、このファラオ・ニトクリスが許しません。出ませい、スフィンクス!!」
太陽の神の生まれ変わりと謡われた女ファラオはスフィンクスと共闘し、海神に愛された女に立ち向かった。
一方で、リベル学園にいたアラタたちは。
転送装置が壊されているという事実に、驚愕し苦悩していた。
「…なんとかならないのか?」
「転送装置の術式は、複雑で難解過ぎるんです。修復には、『超古代魔術』を研究している専門家を何十人も必要とします。」
ミラが、転送装置の復元は現時点では不可能だと断言したその時。
「ふぅ、サーヴァントへの指揮完了っと。」
「おっ、リツカ。学園はどうなんだ…?」
アラタの質問に、藤丸は答えた。
「今は、サーヴァントたちが持ちこたえてくれている。だがそれも時間の問題…。そこで、トリニティセブンの『皆』にはカルデアのサーヴァントと協力させて頂く。」
そして、彼はビブリア学園のトリニティセブンやカルデアのサーヴァントにこっそりと送ったビブリア学園に攻めてきている勢力図を渡した。
「なんだ?こりゃ?」
「単刀直入に言うと、皆それぞれ別の場所にワープして欲しい。方法は簡単。お互いに一つずつの拳を合わせて、円を組む。」
藤丸たちは円を組んだ。
「先ずは、皆で魔力を高める。次に魔力が一番低い彼に一定量の魔力を与える。最後は私に任せろ。」
藤丸はそれだけ言うと、魔力を高めた。
それに呼応するように、アラタ以外の皆の魔力が高まる。そして、皆アラタに送る。
「力が漲ってきたぁ!!サンキューな!!皆!!」
アラタも魔力を高めたのを合図に、藤丸は自身の人類悪の魔力を皆に少しずつ分けた。
「行くぞ!」
すると、皆は光となって各地に飛んだのだ!
藤丸たちがリベル学園にいた時刻の、ビブリア学園の屋上では。
「ー凶がれ!!」
空間を歪め、敵を引きちぎる少女がいた。
彼女もカルデアのサーヴァントの一人だ。
彼女が挑んでいる敵は、黒い鎧を着た竜の騎士と三人の戦乙女が率いるワルキューレ軍団だ。
「ワルキューレは然程の問題ではござませんが……。やはり、倒されたはずのサーヴァントが無理矢理蘇生させられているのには違和感を覚えてしまいます。」
「フン…喋る女だな。私はオフェリアという美しい少女を探しているのだが……。」
すると、少女サーヴァントはニッコリと頬を緩ませて。
「おかしな人ですね……。彼女は私たちのマスターが看取ったと何度言ったら。」
「いいや。オフェリアは生きている。私には感じるのだ……」
「そうですか…。では、死んでください。死体サーヴァントさん。」
そして、学園の庭では。
ルーグの背後を取ろうとしたレヴィの攻撃が弾かれていた。
「さっきよりも、鋭くなりましたね。隠れてる間に、学園祭長の癒し術で左腕も動くようになったおかげッスよ!」
「……!」
ルーグは背後のもう一つの気配に、気が付いた。
「そこ…!」
レヴィの助っ人・沖田総司が、第2の奇襲を仕掛けたのだ。
ルーグはこれをかわすが、そんな彼女の肩に傷がついた。
「!」
そして、かわして着地したところでレヴィは手を引く。
「まだまだッス!」
「!!」
「忍法・影糸縛鎖(えいしばくさ)」
沖田総司はこの隙を突こうと構えている。
「ここで決めましょう…!」
「えぇ。いくら高速とは言えども、少しでも動けない今がチャンスッスよ。沖田さん。」
ルーグはピンチにも関わらず、状況を冷静に分析する。
「なるほど。両手が使えるようになると、よりトリッキーになるのですね。それに、援軍のサーヴァント…ですか。」
ルーグに突進を行おうとする沖田。しかし、それも邪魔が入らなければルーグ撃破の兆しになっていたであろう。
何かが、空を舞いながら回転。そして、沖田たちの方角へ飛んだのだ。
「!」
沖田とレヴィの二人は、どうにか避ける。
「糸を斬られたッス…!」
「まさか…!新たなサーヴァント!?」
そこには、仮面を被った剣士がいた。
「2対2は流石に…!」
レヴィと沖田のコンビがピンチと思われた、その時!
一つの黒いバイクが、二体の敵に突っ込んだ。
敵のセイバーはこれを跳躍してかわし、ルーグはこれを斬った。
バイクの持ち主と思われる、少女は突っ込む直前に仮面のセイバーのほうを標的に跳躍。
そして、仮面のセイバーの足を掴んで地面に叩きつけたのだ。
「ぐっ!!」
「卑怯な…とは抜かすなよ?」
その少女の手には、黒い剣が握られていた。
「アレは誰ッスか?」
「えぇ、アレは。私たちの味方です。」
すると、黒い少女は手短に自己紹介を始めた。
「サーヴァント・セイバー。アルトリア・ペンドラゴンだ。マスターの命により、ハンバーガーを報酬に参上した。」
「あぁ、えっと。ハンバーガーの件は…気にしないであげてください」
「ところで、モ⚫派ッスか?マッ⚫系ッスか?」
「キン⚫のほうだ。」
「あーっ、そっちッスか。」
「先程のハンバーガーギャグに順応してる!?」
すると仮面のセイバーが立ち上がって、黒セイバーに斬りかかる。
そして黒セイバーは、それを鎧で防いだのであった。
「クッ。」
「なんだ?軽いな?」
黒セイバーは挑発するが、防いだということは仮面のセイバー程の素早さを黒セイバーは持っていないということだ。
そこで、藤丸はある人物に助っ人を任命した。
「セリナ、君は仮面のセイバーを黒いセイバーと協力して倒せ。」
「えぇ!?」
勿論、その通信を聞いた夢の中のユイたちは驚いた。
「確かにレヴィちゃんたちはピンチだけど、そこは私が!!」
ユイの反論を封じるように、藤丸はだめ押しした。
「ユイがそこを抑えなかったら、誰が夢の世界を形成するんだ?今のマーリンは、生徒たちを守るので必死だ。それに。」
藤丸は続ける。
「セリナには、彼女自身は気付いていない秘密の力がある。それを開花させるには今しか無い。」
「えぇ、分かりました。」
「セリナちゃん…!」
「私だってトリニティセブンの一人、リーゼロッテ・シャルロックの妹なんですから!!」
「分かった!夢の世界からの出動で良いんですね!?」
「あぁ!」
セリナの決心に、ユイも承諾しセリナの出動が遂行された。
「そりゃーっ!」
セリナは仮面のセイバーの上空から、彼をカメラで撮影した。
すると、数秘術が発動され彼の動きが弱まる。
「う、動けん!」
黒セイバーは落下するセリナを受け止め、活躍を誉めた。
「ほう、人間にしては中々勇気があるな。」
そして、彼女を降ろすと黒セイバーは聖剣を構えた。
「さて、止めと行こうか。」
「魔力を一気に放ちなさい、セイバー!!」
そこで、仮面のマスターらしき声は赤い光を発して彼の束縛を解いたのだ。
「くっ!こちらにもマスターがもう少し近くにいれば…!」
すると、仮面のセイバーは先程よりも速い錘のような一撃をセリナに放った。
「危ないっ!」
「キャッ!」
咄嗟に黒セイバーは庇い、セリナ共々保健室へぶっ飛ばされた。
ぶっ飛ばされる際も黒セイバーはセリナのクッションとなったため、セリナに怪我は無かった。
「これはキツい…な。」
黒セイバーは、仮面のセイバーに立ち向かおうと起き上がろうとするが。
一つの腕がそれを制止した。
「ふぅっ。久しぶりにこっちの世界に来たけど、こんなことになってるだなんて」
黒セイバーの目の前には、セリナがいた。
しかし、先程までの彼女とは口調や纏う空気が変わっていた。
これには、仮面のセイバーも驚いた。
「お前は誰だ…?」
「あの声は…!」
「おや…。お早いお戻りッスね。」
「誰だか知らないけど、セリナを庇ってくれてありがとうね。」
「貴様は一体…?」
黒セイバーの質問に、謎の少女が答えた。
「トリニティセブンの悪の魔道士担当・リーゼ!最愛の妹の体を借りて!いざ登場っ!!そこの仮面の色男。妹をいたぶってくれちゃって。許さないわよ?」
「馬鹿な…『魔道極端法』を使い、『永劫に停止した時間の世界』でさまよっていたのでは?!」
仮面のセイバーは焦りを顕にした。
そして、リーゼはそんな仮面のセイバーを挑発した。
「残念だったわね、全てトリックよ。」
「なら、当機がそちらに」
「「やらせは!しません(ないッス)!!」」
援護に回ろうとしたルーグをスピーディーコンビが妨害し、学校の外壁まで追い詰める。
「2対1では拉致が空きませんね。いいでしょう。嫉妬『インウィディア』の書庫に接続ー
テーマを実行いたします。」
追い詰められたルーグは、まるで天使のように光った刃を顕現させ武装した。
「勇気武装『ヴァータスアーム』・『光穿槍ブリューナク』
誠意武装『フェイスアーム』・『光斬剣フラガラッハ』
開放武装『ソルヴォアーム』・『光剣翼クラウソラス』」
「うっわ、なるほど。『トリニティ』の資格取得には、その手があったッスか……」
「どれもこれも、伝説の宝具だねぇ。それも、それぞれのテーマを極めた者のみ手にすることが許されるヤツ。」
「これは…レヴィさん!この一撃は受けちゃいけませんッ!」
「と言っても、相手は速いッスよ?」
すると、ルーグは沖田に斬りかかった。
そしてルーグのフラガラッハは、空を斬った。
「!」
ルーグはその際、近くにいたニンジャがいないことに気付いたが既に遅かった。
かわした沖田と、素早く移動したニンジャが糸でルーグを縛り付けたのだ。
「今度は頑丈のヤツもの!」
「沖田さん!合体忍術もとい、合体剣技をやるッスよ!!」
すると、二人は挟み撃ちした状態でルーグとの間合いを素早く無くした。
「「一歩音越え…!二歩無間…三歩絶刀…!!」」
「!!」
「「無明桜旋風!!」」
二人は斬撃の旋風で、ルーグの武装と身体に大きなダメージを与えた。
一方で、学園の図書館では。
「うふふ。人間を氷漬けにして造る城は楽しいわね、ビィ。」
身体の半分が水のように溶けだしている氷の女王が、岩のように硬い氷の玉座に腰を掛けていた。
完
次回のFate/Grand Orderは。
「では、トリニティセブンが魔王に支配される前に。今ここで3人殺しましょう。」
「ネロ、着地任せた!」
「仲間のトリニティセブン側に着くわ。」
「というわけで、聖。反撃開始と行くぜ?」
こんな内容ですが、終盤の『崩壊危惧学園 聖ビブリア』を楽しんで頂ければ幸いです。