どうにか、書き上げられました、第31話。
大満開の章 最終回後に上げる内容がコレで申し訳ないです。
相変わらずの遅筆ですが、楽しんでいただけると幸いです。
友奈に襲い掛かろうとした星屑が、縦に両断されて霧散する。
その残滓の向こうで、ユラリと海潮が振り抜いた槍を引き戻しながら立ち上がる。
「あ、海潮、おじいさん……」
なぜ勇者ではないのに倒せるのか。ボンヤリとそんな疑問が浮かびながらも、友奈は呆けたように相手を呼ぶことしかできなかった。
「どうしたのかね、勇者のお嬢さん」
肩越しに掛けられた声に、友奈は我知らず顔を微かに逸らす。それだけで、海潮は粗方を察した。
「戦えないのか」
その声に肩をすくませた友奈に、海潮は微かに苦笑を漏らした。
ごく当たり前の生活を過ごしてきた身で、この状況で喚き散らさないとは――まったく大したものだ。
「ならば。また立ち上がれるまで儂らが守ろう。狼狗!」
海潮の命令に、傍らにいた鋼の獣が不意に友奈の傍に寄り付き、友奈を守る様に陣を組んだ。
「だ、ダメです!その、あれは星屑って言って」
友奈を置いて前に出る海潮にそう呼びかけるが、海潮は軽い微笑みを浮かべて歩を進める。
「命ある限り、人を守る。それが、
言いながら、海潮は槍に巻かれていた布を解き放った。揮えば、布はバサリと広がり複雑に刺繍された紋様を示す。
海潮が振るっていたのは、正しくは槍ではなく戦旗。魔戒法師が揮う武器の一種だ。
海潮が旗を振るえばその軌跡に沿って幾多の魔界文字が宙に浮かび、
「ハッ!」
気迫の声と共に、幾多の光弾が迫る星屑を迎え撃つ。一発二発では星屑も怯む程度だったが、10数発も受ければついに耐え切れずに散滅していく。
だが、そんな同族の死を踏み越え或いは盾とし、数体の星屑が海潮に迫る。老体を噛み砕かんとその口を広げる星屑に、海潮は戦旗を構え直し、
「灯火纏装」
静かに術を発動させた。オレンジがかった魔戒の火が戦旗の穂先に燃え上がり、振るわれた刃に星屑が斬り屠られる。
その身のこなしは流麗にして淀みなく。星屑たちの突進は、まるで自分から海潮の餌食になろうとしているようにさえ見えた。
そうして星屑の波を一つ越えて。海潮は印を結ぶともう一本の戦旗を召喚した。両手に武器を携えて、樹海に吹く風に旗をたなびかせながら、海潮は星屑の群れに斬り込んでいった。
一方、星座型バーテックスを相手取っていた夏凛は星屑と空中戦を繰り広げながらライブラが生み出した竜巻になにか隙が無いかと目を凝らしていた。
ただの竜巻ならば、満開状態の機動力で突っ切ることも出来るのだが、敵もそれを許しはしない。
ライブラの足元に陣取ったピスケスが、ひたすら煙幕を吹き出し続けているのだ。おかげで竜巻自体も黒く染められライブラとピスケス、更にはやはりライブラの傍に陣取ったスコーピオンの姿が見えない。
だが、夏凛にとっての問題は、敵が見えない事よりもこの煙幕だ。
爆発性を持つ煙幕を孕んだ竜巻。迂闊に飛び込めば自身を囲んだ爆発が起きかねない。というか今も竜巻のあちこちで爆発が起きている。イルミネーションで飾られたクリスマスツリーもかくや、といったところだ。
しかも。
「!」
不意に竜巻から突き出されたスコーピオンの針を、追加装備の大刀で防ぐ。
星屑と戦いながらうっかりでもスコーピオンの攻撃が届く距離に近づけば、スコーピオンの攻撃が繰り出される。どういう手段か知らないが、竜巻の中からでもバーテックスは夏凛の位置を捕捉できるらしい。スコーピオンの尾も突き出す際に爆発で傷つくが、バーテックスの再生能力の前では大したダメージにもならない。切り落としたところで、少し経てば治っているだろう。
「くそっ!」
竜巻を上から飛び越えようにも、黒い渦は見上げるほどに高く伸びている。それこそ宇宙まで届いているのではないかとさえ思える。
(あたしの『満開』じゃ竜巻が途切れるまで上ったら時間切れになる!素の状態でバーテックス3体一気に潰すのは――)
脳裏に浮かんだ「無理」の一言を頭を振って打ち払う。つい先ほど啖呵を切ったばかりではないか。「勇者部五箇条、なるべく諦めない」と。
ジリ貧はダメだ。今の『満開』が切れた後、ゲージを貯めきれる自信はない。
改めて覚悟を決めて、加速のための距離を取る。その動きに警戒を覚えたのか、星屑たちが夏凛と竜巻の間に割り込んでくる。星屑たちも風に流されまいと動きが鈍いが、集まれば突撃の勢いを削ぐ盾にはなるだろう。
「だったらそれごと!」
障害もろとも突き抜けるつもりで背面の大刀を全て正面に向けて突撃の構えを取る。
全てを賭けた大勝負に大きく息を吸った。その時だ。
不意に下の方から星屑の群れに向けて光弾が奔り、直撃を受けた星屑の体躯が揺れる。
「え?」
咄嗟に光弾の出処を見れば、黒い装束の老人が樹海を走って近づいてきていた。
竜巻の壁になっていない星屑たちが老人に向かうが、老人が戦旗を振るうたびに切り裂かれ、粒子と化して散っていく。
「アイツ?!」
零れた声を聴いたとでもいうのか。老人――海潮は夏凛の方を見ると高く跳び上がった。旗で風を捉えたとでもいうように悠然と宙を飛び、途中で近づいてきた星屑を切り裂き或いは旗で殴り飛ばし、ついには夏凛の大刀の上にフワリと着地する。
「ちょっ、なんなの?!こんなところに!」
夏凛の詰問に、海潮はフム、と小首を傾げながら、
「無論、力になりに」
言うと、竜巻に向き直る。
「あの奥に標的がいるのだろう?」
「そうよ!ここから一気にぶち抜いて」
「では、儂も手助けしよう」
言うと、海潮は両手の戦旗を大きく旋回させた。旗の軌跡に沿って魔法陣が2つ浮かび上がる。
「ハッ」
海潮が戦旗を薙ぐと、2つの魔法陣から光の蝶が無数に飛びだし竜巻へと向かっていく。途中で盾となっている星屑の群れとぶつかるも、蝶は星屑には目もくれずに竜巻へと向かい、当然の結果として暴風にちぎられ、散っていく。
「はぁ?」
その意味不明な術に夏凛が呆気に取られる。いや、星屑たちさえ戸惑ったような動きを見せたが、蝶は無害と理解したのか改めて竜巻の盾となる。
その時には、すでに海潮の仕込みは終わっていた。
戦旗の片方で不意に彼が走ってきた道を指し示すと、そこに突如無数の光弾が灯る。ここに来るまでに振るった旗の軌跡。そこはすでに海潮の魔導弾の砲台となっていたのだ。
「灼刃穿牙――
その詠唱を合図に、文字通り燃える鏃が豪雨の如く星屑に突き刺さり、爆裂し、星屑たちを打ち倒していく。
さらに海潮は背負っていたライフルを手に取り竜巻へと向けた。
「待って!あの煙は爆発するわ!」
夏凛の警告に、問題ないとばかりに頷いて。海潮は迷わず発砲した。夏凛が言ったとおり小さな爆発が竜巻の表面で起こり――。
竜巻を横に割る様に、巨大な魔法陣が浮かび上がる。
先ほど放った光の蝶は、遠隔で大技を放つための準備だ。砕けた蝶は魔導力となり、竜巻に呑まれながらも法術の発動する起爆剤となっていた。そこに、同じように魔導力を込めた銃弾が刺さり、術が発動したのだ。
魔法陣の中心は、ちょうど竜巻の中心でもある。つまりはライブラの直上。そこに生まれたのは、巨大な燃える槍。
「灼刃穿槍――
海潮の声に従い放たれた槍は瞬く間にライブラを抉り、地面に刺さって爆発へと化ける。その爆発は竜巻に混ぜられていたピスケスの煙幕に反応し、更なる爆発へと変じ――竜巻を覆うように展開されていた結界によって威力が内側に押し込められた。この結界も海潮の仕込み。蝶の残骸を使い、竜巻自体を覆うように術を発動させたのだ。
「では、とどめは勇者殿にお任せする」
それだけ言うと、海潮は気楽な様子で宙に身を躍らせ――いつの間にか現れた光の球にヒョイと乗る。
何を言えばいいのか、といった顔をしていた夏凛だが、ハッと気づけば、竜巻も煙幕も止まり、バーテックスたちが一時的に動きを止めていた。
「ああ、もう!」
言いながら、しかし生まれたチャンスを逃がすことなどできない。山ほどある聞きたい事を置き去りにして、夏凛は最高速度でバーテックスに突撃する。すでに『満開』装備からは消失が近い事を示すように光が零れている。もう余力はない。
生き残っていた星屑もその突進で消し飛ばし、夏凛は目に付いたバーテックス、ピスケスに迷わず突っ込んだ。
夏凛の接近を察してピスケスは地面に潜ろうとした。だが、炎の槍がちょうど直撃したピスケスの動きは機敏とはいかない。地面に沈もうとしたその瞬間に、夏凛はすでにピスケスを捉えていた。
「勇者部五箇条、一つ!悩んだら相談!!」
その一閃でピスケスは三枚おろしに断ち割られ、霧散する。
突撃の勢いを無理やりに殺しながら夏凛が見上げた先には、損傷を治して再び回転を始めるライブラが。そして夏凛から少し離れたところには尾を突き出そうとするスコーピオン。
(まだ、保ってよ!!)
散りゆく『満開』に全霊で願う。せめて後一体!
その願いが、或いは神に通じたのか。
「縛鎖よ」
海潮が放った術――標的を括りつける魔導力の鎖が、スコーピオンの尾とライブラの胴体を結びつける。
ライブラの回転は結果としてスコーピオンの尾、ひいてはスコーピオン自体を引き寄せ、衝突させ、奇妙な具合にからめとらせた。
丁度、一撃で2体仕留められる状態へ。
それを見逃す夏凛ではない。
残る力全てを注ぎ込んで絡み合ったバーテックスに突進。バーテックスの足元から一気に天へと飛び、4本の大刀と自身の二刀を縦横無尽に揮い、バーテックス2体を滅多矢鱈と切り刻む。
「勇者部五箇条、一つ!為せば大抵、なんとか、なあぁぁぁる!!!」
あらん限りの声で吠えて空の高みから大地を見下せば、ライブラもスコーピオンも共に光の粒へと霧散していく。
都合5体の星座型バーテックスを、夏凛はついに倒しきったのだ。
だが、その代償は軽くはない。
不意に夏凛の『満開』装備が解除されると、次いで勇者装束まで解除される。
一瞬の浮遊感と、次いで重力に引かれて落ちる感触にぞっとしながらしかし同時に納得もしている。
(結構、無理したからなぁ)
本来ならピスケスを仕留めた時点で『満開』は解除されていただろう。それを気合と根性で押し留められたが、それは勇者としての力を一滴残らず消耗することに他ならない。勇者の力は神樹から供給されているが、一旦使い切ってしまえば勇者への変身を維持出来ないのも仕方ない。
ともあれ再度変身すれば問題ない。が。
(あ、ヤバ)
変身が解けたせいか、右腕はピクリとも動かず、スマホを入れたポケットに手が届かない。スマホを操作できなければ勇者には変身できない。
浮かんだ冷や汗を置き去りにしながら夏凛の身体は地面に向かって一直線に落ちて行って。
樹海を飛び回る星屑に、不意に跳びはねてきた鋼の獣が襲い掛かる。
前脚の爪を巨大化させた攻撃に星屑の身体が大きく切り裂かれる。だがそれは星屑にとっては致命傷ではない。傷を治しながらも反撃に出ようと向きを変える。
対する狼狗も星屑に向き直ると、その首元から不意にライオンの鬣のようなパーツが広がり、障壁が展開された。更にそのまま星屑とぶつかり合い、星屑の動きを止める。
途端に、狼狗の背中が左右に割れて中から伸びた砲身を星屑に突きつけ――発射。真芯を撃ち抜かれた星屑が消滅する。
もう一体の狼狗も背中に砲を展開し、星屑に向けて砲撃を次々と撃ち込む。星屑の胴体を撃ち抜かねばさすがに倒しきれないが――前線へと駆けて行った海潮に向かった星屑が多いのか、こちらに向かってくる星屑は狼狗2体で抑え込める程度でしかなかった。
そうして守られながら。
友奈は夏凛の戦いをジッと見ていた。
群がる星屑を払いのけ、3体のバーテックスと切り結び、時間切れになりそうな『満開』を気合で維持して、ひたむきに戦い抜く、真紅の戦士の姿を。
そこには、紛れもなく勇者がいた。
胸に抱いた勇気を糧に、如何なる困難も危機も乗り越えていく、友奈が“こうありたい”と思う勇者が。
そして夏凛がついに最後のバーテックスを撃破した時、友奈は歓声を上げた。
「夏凛ちゃん!!!」
その、ほころんだ笑みが、落ちる夏凛を見て途端に凍る。
「ああっ?!」
変身も解けて落ちていく夏凛の姿に、友奈は、意識するよりも先にスマホをタップした。
先ほどまで作動しなかったはずの勇者システムが起動し、光る花びらが走る友奈を包み――友奈を再び桜色の勇者として立ち上がらせた。
落ち行く夏凛に向かって全力で跳ぶ。
「かりんちゃああぁぁぁんんん!!」
聞こえた声に夏凛が振り向こうとした時には、友奈の腕が夏凛を包み込んでいた。自由落下の衝撃が夏凛には伝わらないように、優しく。
「ゆうな……、もう、大丈夫そうね」
「――うんっ!」
言われて、友奈は思い出す。
初めての御役目の時。自分は最初から戦えたわけじゃない。美森が自分に逃げるように言った時こそが、友奈が勇者となった瞬間。そう――。
「友達が危ない時、それを助けないなんて、そんなの絶対に嫌だ!」
友達を――人々を守りたいからこそ、友奈は勇者となり、御役目という名の戦いを選んだ。
なら自分がやらなきゃならないことは決まっている。
「わたし、東郷さんを止める!東郷さんが世界を終わらせるなんて、そんなの嫌だ!」
「――上出来よ」
ようやく普段の調子が戻ってきた友奈に安堵しながら、夏凛はそうつぶやいた。
ほどなく友奈は危なげなく着地。抱きかかえていた夏凛を下ろそうとして、
「おっと」
夏凛が力なく尻餅をつく。そうして足の様子を伺って、夏凛は2度目の『満開』の対価を知った。
「今度は、左足か」
右の方は問題なく動かせるが、左足はまるっきり動かない。右腕と同じように。
「それが、夏凛ちゃんの――?」
「みたいね。――本当に、なんでこう大事なところから供物にするんだか」
友奈の手を借りながら、右足に力を入れて立ち上がる。精霊・義輝がポケットから取り出したスマホを左手で受け取り変身アイコンをタップすれば、再び夏凛の姿が勇者の物に変わる。
右腕と左脚を包み込むようなパーツが追加されているが。
「――うん。なんか全然慣れた感じがしないわ」
動かないわけではないが、慣れ親しんだ動きを再現するには遠く及ばない感触に渋い顔をする。
「そんな」
その様子を見て、友奈の顔が悲痛に歪むが、それに夏凛は苦笑で答える。
「――ま、5体まとめて相手にしたんだもの。抜かれて神樹様を倒されるよりはずっとマシ。それにバーテックスの撃破数、これであたしがダントツじゃない?」
冗談めかした言葉に込められた、「変に背負いこむな」という意味を察して、友奈はうん、と頷いた。
「さて。ひと段落はついたことだし。そろそろ色々と聞かせてもらおうかしら!?」
不意に声を張り上げて夏凛は辺りを見回す。壁近くで障害物が少ないこの辺りは身を隠すような物陰もない。
ないのだが。
「……………」
空にも地面にも、海潮の姿はなかった。
「――いなく、なっちゃった?」
目を離していたのは事実だが、それでもこうも姿をくらまされるとは思っていなかった。ギリ、と夏凛が歯ぎしりする。
「おのれぇぇぇ。人のいいおじいさんと思っていたら~」
「まだ星屑もいるから、危ないのに……と思ったけど、なんか星屑を普通に倒してたよーな」
「涛牙共々まるっきり分からないわね……。しょうがない、とりあえずは東郷を止めて、その上で涛牙を問い詰めましょう!」
「ほどほどに、ね?助けられた立場であるし」
少しだけ緊張を緩めたおしゃべりをしてから、友奈と夏凛は美森の下へと跳んで行った。
その様子を見る者の気配には気づかぬままに。
その頃。美森はそこから離れた壁の上にいた。
爆発の勢いで友奈たちとは逆の方に飛ばされたが、美森にとっては好都合だった。あの2人に本気で邪魔をされたら、妨害を潜り抜けて壁を壊すのはほぼ無理だ。
目を凝らせば、大穴が開いた壁から星屑やバーテックスが侵入し、神樹の方へと向かっていく。おそらくは夏凛や友奈もあの辺りにいるのだろうが。
「――もっと穴が増えれば、風先輩たちが来ても対応できない」
勇者にとって最大の弱点を、美森は理解していた。それは、人数だ。
一騎当千を体現するその能力値故にか、勇者は少数精鋭。先代は3人、当代の自分たちも5人しかいない。
敵が、同じく強大だが数は少ない星座型バーテックスならそれでもいいが、雲霞の如く押し寄せる星屑相手だと少数精鋭は対応しきれなくなる。一騎当千の英傑は、1万の敵を押し留められるわけではない。
旧世紀の時代、日本とアメリカが戦争した時と似たものだ、と美森は思う。如何にパイロットの質が良くても、大多数の敵が押し寄せれば抗しきれず呑み込まれる。
(そして。私がその後押しをする)
昔日本軍を苦しめ追い詰めた敵国の戦略を自身がマネして今の世界を終わらせる。その事実にチクリと痛むものを感じて、しかしそれを振り払う。
「でもこれで――私たちの生き地獄は終わる!」
己を鼓舞するように声を上げてライフルの銃口を足元の壁に向け。
不意に、元々出していた川蛍以外の精霊たちが美森の周囲に現れる。
(今更邪魔を?!)
と脳裏に浮かぶよりも先に、精霊バリアに強烈な衝撃が走り、美森の身体が横に吹き飛ぶ。
「――!?」
転ばぬよう踏ん張りながら見れば、細長いナニカが勢いよく壁上の地面を転がっていく。と、ソレは不意に跳ね上がり伸ばした両足で勢いを殺していく。
そう、美森にぶつかったソレは人間だった。オリーブドライのロングコートを纏った、美森もよく知る少年だった。
彼も敵だと美森は理解している。それでも尚、樹の結界で動けないはずの彼がここに来れる理由が分からず、美森は息を呑んだ。
転がる勢いが収まってから、彼はユラリと立ち上がる。その手に、鈍い輝きを宿す剣を構えて。
「これ以上は、やめろ」
美森に向けられた白羽 涛牙の視線は、手にした剣のように鋭かった。
大満開の章、防人組だけでなくのわゆ組まで出てくるとは思ってませんでした。
それぞれ薄味になった感じもありますが、神世紀の大赦の上層部や300年前の様子とかがアニメで登場したのはよかったと思いますね。