その頃の凛華はーー
ーー今、凛華の居る所、それは"神界"である。
"神界"とはその名の通り、神々が居る所である、但しそこに至るまでが億劫なのだが。
そして凛華を呼んだのがーー
「ーーやあ…こんにちは」
「ふん…妾を呼んだ癖に随分と遅いでは無いかーー"オーディン"」
ーーそう、"北欧の主神オーディン"である。
「すみませんってば……今回は少し"準備"が必要だったものでして」
「……なんの準備じゃ?」
「フフッ……貴女が知る必要はありませんよ、"喰龍妃"」
「……貴様、妾に殺されたいが為に呼びたしたのではあるまいな?」
落ち着いた声で言う凛華だが、その声には確かな怒りが含まれていた。
その証拠に凛華の周りの床はひび割れており、綺麗な白色の髪を逆立てている。
それなのに顔は無表情な為、更に恐ろしさを引き立てている。
そんな状況なのにオーディンは笑っている、正確には苦笑いなのだが。
「失礼…貴女はこう呼ばれるのは嫌いでしたね」
「……ふん、貴様は本当に食えない奴じゃ……ハッキリ言って妾は貴様が嫌いじゃ」
「おや……それは悲しい」
と、ニッコリと言ってのけるオーディン。
「ーーさて、そろそろ本題に入りましょうか…その前に、貴女に紹介したい者がいます…入れ」
「失礼します」
そう言って入って来たのは全身白銀の鎧を身に纏った少女。
「ーー"ヴァルキリー"です、以後よろしくお願い致します」
「……貴様は"何に通じてる"戦女神"だ?」
凛華が質問するとヴァルキリーは少し驚いた表情で、だがスグに無表情になり。
「ーー勝利のルーンです」
そう告げた。
「成る程……それでオーディン、妾にこの小娘を見せてどうするのじゃ?」
「いえいえ、彼女は非常に"優秀"なヴァルキリーなので是非とも見て頂きたかったのですよ」
「……そうか……で、話とやらはなんなのじゃ?妾も忙しい身でな、早く帰りたいのじゃが」
「ああ、すみません、ーーではヴァルキリー"例の件"よろしくお願いしますよ?」
「ハッ、御心のままに」
そう言ってヴァルキリーは何処かに行ってしまった。
「では話を始めましょうか…とは言っても話す事は"如月"に関係する事なんですけれどね」
「ー何…?どういう事じゃ」
「一つは彼に"原典"が宿っている事です……貴女はこの事を知っていましたね?」
「当たり前じゃ……原初の事じゃろう?何故それを"今更"貴様が気にする必要がある」
「それは原典は人間に耐えられる物では無いからーー」
「ーー嘘じゃな…諦めろ、原典はお主では無く如月を"選んだのじゃから"」
「………」
そう…オーディンは遥か太古から原典を求め続けた…自身の目を泉に捧げ、全知全能を得る程までに。
しかし……オーディンが全知全能を手に入れた時、既に原典は消えていた。
原典は既に"選定"を終えていたのだ、そして…如月が選ばれた。
「ーー貴様は如月が憎いか?」
皮肉たっぷりに凛華が聴くと、オーディンはこう答えた。
「いいえ、全然」
まるで何かに勝利したかの様な…そんな顔で。
「ーーほぅ、そうか…で、もう一つはなんなのじゃ?」
「もう一つは……"フェンリル"が脱走しました」
「ーーなんじゃと?フェンリルは貴様が封印したのでは無いのか?」
「その筈なんですが……どうやら"鎖"の封印だけ食い千切られたようです」
苦笑いをしながら言うオーディン、だがーー
(何かが可笑しい…一番被害を受けるのはオーディンの筈じゃ…)
そう、フェンリルがもし完全に封印が解けたら真っ先にフェンリルの餌食になるのはオーディンだ。
「…貴様、何故そんなに笑顔でいられるのじゃ?真っ先に被害を受けるのは貴様じゃろうて」
「…フフッ…ですから頼んだのですよ……ヴァルキリーに"如月の近くにいるフェンリルを回収しろ"とね…あぁ、もし"誰かが抵抗するなら"殺しても構わないと言ったね」
刹那、凛華はオーディンに向け、跳び、オーディンの首元を狙ったがーーー
「ッ!?がはっ!!」
瞬間、"鎖"が凛華に絡まり、跳んでいた凛華を強制的に床に縛りつけた。
「貴様…ッ!」
「フフッ……どうですか?全てを縛り付ける『女神の鎖』は?」
「このッ!!離れるのじゃ!!ぐッ…!!」
「無駄ですよ、足掻けば足掻く程、貴女は強く縛り付けられる…まあ貴女の"本当の力"を使えばこんな鎖、スグに解けるのでしょうけどね…フフッ」
「貴様ァ!!…ぐッ…!」
「だから余り暴れないで下さいよ…私も貴女を余り傷つけたくは無いのですからね」
「貴様!如月を殺すつもりか!!」
「殺すつもりなんて毛頭ありません……ですが、障害となるなら殺せ、と言っただけですよ?それに…」
そう言ったオーディンは一つ間を開け。
「ーーヴァルキリーに殺されるか、はたまた逆にヴァルキリーを倒すか…どちらに転ぶのかは私も分かりませんからね」
「くっ……如月……」
凛華自身、本当の力を使えばこの程度の鎖は破壊出来るが…。
(それは出来ない……妾の力を解放したらーーーになってしまう)
それだけは避けたい、だが、それでは如月を助けに行けない。
「如月……無事でいてくれよ…お主にはまだ…」
二つの矛盾を抱え、無力な凛華は祈るしか無かったーー
ぶっちゃけバトルシーンも纏めて書こうかと思ったけど気力が持たず断念、現実が忙しいからしょうがないね!。
オーディンとヴァルキリーの簡単な説明。
【白銀の戦乙女 ヴァルキリー】
そもそもの話、ヴァルキリーにも色々な者達がいるが、彼女は取り分け優秀な為、オーディンに選ばれた。
身長は180cmだが、本人は高身長なのを気にしている様子。
因みに胸は鎧で見えないが、かなりある模様。
容姿はダークブルーの目に、膝まで届く長い白銀の髪、そしてオーディンより授かった白銀の鎧である。
【白銀の鎧】
鎧と言ってもそんなにゴツゴツした者では無く、必要最低限な所だけに神鉄がある。
【北欧の主神 オーディン】
北欧の主神でありながら、他の神話系列にちょっかいを出す困った主神。
全ては彼の知識欲を満たす為だけに起こされているのである、何とも迷惑な主神だ。
そんな困った主神だが、北欧の主神を名乗るだけはあり、凛華とタイマンを張れるレベルの強さはある。
容姿は金色の目に、背中にまで届く、男にしては長い青髪、身長は180cmである。
身長の事で凛華にからかわれ、一度切れたことがある。
【神装・グングニル】
一度、如月が暴走状態の時に作り上げた劣化品のグングニルとはケタ違いの質力を発揮する。
北欧の神々曰く、「当たったらヤバイ」
それと前回如月が使っていた技についても。
『護神』
如月に神力を服のように纏わせ、一度きりの無敵状態を発生させる技。
主に、緊急の時などに使う。
『裂破』
如月が外の世界に良く喧嘩をする時に使った足技(勿論、力は加減していた)
相手の懐に潜り込み、回し蹴りを放つ攻撃。
如月自身、この技を使い慣れている為、相手が何処を防御するのか良く分かっている為、相手の防御の隙間を的確に狙える。
また、踏み込む段階で別の技に切り替え可能な為、様々な場面で使われる事が多い。
『神脚』
主に空中戦で戦う幻想郷の為に改造した技。
空気を地面を蹴るように跳び、相手の後ろに回り込む技、その時に足に神力を全力で入れなければならない為、少し燃費が悪い。
『流天』
如月の護身術の最終形態の一つ。
相手の技を極限まで受け流し、その力の反動を5倍で返す技。
また、コレは相手の技の威力に比例する為、相手が強い技を使ってきた場合、如月の負担も大きくなる。
また、この技を使う際に如月自身の力の流れを流天用に変えなければならない為、余り連続して放てる技では無い。