ドールズフロントライン4.3 -IRIS-   作:仲村 リョウ

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人間が滅ぶまで戦争は終わらない………


今回は架空組織が登場します。


案件1-8:夜間行軍

「………こちらアヴェンジャー。12時の方向に敵二人を確認。一人は塔の上だ」

 

俺は一人離れた所でM4達AR小隊をスナイパーライフルを構えながら見守っている。

スナイパーライフルをバイポッドで支え、何十分もうつ伏せでいるためそろそろ腰が痛くなってきた。

そんな独り言はさておき、今は任務に集中だ。相手の距離はザッと見て250メートルだろうか。俺の腕では余裕の射程圏内にある。

 

M4A1≪了解。確認しました≫

 

「敵とは聞いていたが………まさか、反人形人権連盟とは聞いてないぞ」

 

M16A1≪まあ、指揮官と同族だからな。思うことは分かるよ≫

 

あんなクズみたいな連中と同情されたくはないがな。

 

M4A1≪指揮官。交戦規定は?≫

 

「一応、ヘリアンに問いただしたが無しだそうだ。奴らに対しては慈悲がないみたいだからな」

 

上記通り同情はしない。

反人形人権連盟とは名の通り、人形に人権を与えるなとか弾いているくだらない連中だ。

彼らが決起するきっかけとなったのは蝶事件のことが大きいだろう。表向きは人形を戦争に参加させることを反対たり人権を剥奪しろなどほざいている連中だが、本性は人形を拉致しては虐待や性的暴行を加えるというイカれた奴らだ。俺達は被害にあったことはないのだが、主にPMCの人形を標的として定めており、上記で言っただけではなく違法的に売買されている。理由としては単純にIOP社の人形は性能がいいからだろう。俺的には鉄血よりもこいつらを駆逐したいところだが………そう言ってしまえば頭のネジが外れたかのような発言と思われるだろうから言っておこう。

しかし、奴らが手を出しているのは人形だけではないのだ。

 

同類である人間にまで拉致等と及んでいるらしく、各地域では奴らが占領している地域があるときた。情報によればテロを起こしているのもこいつらも関わっているらしい。正直、鉄血工造よりもタチが悪いな。

そのため、グリフィンを含む民間軍事企業と正規軍は連携して奴らの根絶を図っているところだ。

今まさに現在進行形でな。

まあ、このようなイカれた組織はこいつらだけではない為、根絶するには長い年月が必要だろう。

 

要するに敵は鉄血工造だけではないというのはこういうことだ。

 

「同時にやるぞ。塔にいる奴は俺が仕留める」

 

M4A1≪はい≫

 

「スリーカウント。3…2…1…………グッドキル」

 

スナイパースコープのレティクル越しに見えるのは屍と化した武装した人間の姿。壁には血液が飛び散ってこびり付いていた。

ったく。夜間だというのに灯火管制も敷かないのかこいつらは………

 

M4A1≪これより飛行場に入ります≫

 

「了解」

 

SOPMODⅡ≪ねえねえ指揮官?派手にやっていいの?≫

 

「ああ。だが、第一部隊の応答を待て」

 

戦術リンクがとれている今ではリアルタイムで第一部隊の戦況が伝わってくる。作戦では第一部隊と同時に敵拠点に攻撃を仕掛けるといったシンプルなものだ。と言っても、単純に敵が敵なため、頭を使うような作戦を実行する必要もない。

 

もちろん、油断はしないがな。

 

グリズリー≪こちらグリズリー。指揮官。戦闘準備完了だよ≫

 

「了解。だそうだSOP。好きに暴れろ」

 

SOPMODⅡ≪りょうかーい!よーし!暴れるぞー!!≫

 

「ついでに言っとくが人間の目ん玉くり貫くのはナシだからな」

 

以前SOPは鉄血の人形を壊しては目玉をくり抜いて俺にお土産として持って帰るのがしょっちゅうあった。あの時はさすがに俺でも引いてしまった。

側から見ればあまり良く思われない為、やめるよう注意はした。

それからというもの最近は頻度的にはマシになっているのだが………

 

あとは察してくれ。

 

そんなことを思いながら再びスコープを覗くと飛行場内から銃声が聞こえてくる。AR小隊が敵と接敵したのだろう。

 

「さて………こちらも仕事を始めるか」

 

そう言いながら、飛行場の中へと射程を定める。突然AR小隊が奇襲をかけたせいか、敵さんはパニックになりながらも両手にライフルを持って交戦している。

 

まだ(スナイパー)がいることを知らずに………

 

「背中を向けるとはいい度胸だな………アマチュア共が」

 

重力の影響に距離と風速を計算し、自身の呼吸を制御しながらレティクルをやや右上と上げてトリガーに指をかけて引く。

肩から全身へと衝撃が伝い、一発の弾丸は重力に引かれながらも俺が定めたターゲットへと向かって飛んでいく。

 

命中………ヘッドショット………

 

一人脳天を撃ち抜かれ血が霧のよう分散した。

奴らはどこから攻撃されたのか分からないのかパニックが更に強くなっていく。なら、今のうちに敵の数を減らしていくか。

 

M16A1≪やるなぁ指揮官。最近狙撃してるとこ見てないから腕が落ちたんじゃないのか心配してたよ≫

 

「言ってろ」

 

ボルトハンドルを起こして後ろに引くと薬莢が排出される。そして、前へと戻し次の弾を送り込む。また狙った敵へと照準を合わせ発砲………飽きそうになるくらい単純な動作の繰り返しだが、やはり狙撃はボルトアクションがしっくりとくる。

 

M4A1≪気をつけてください指揮官。敵が数人そちらへ向かいました≫

 

「分かった」

 

俺としたことがスナイパーの基本を忘れて場にとどまりすぎたか………まあ、どうとでもなるが。

 

さて、狙撃は一旦やめて敵さんはどう攻めてくるか見ものだ。

 

「ぐわぁああああ!!」

 

叫び声と共に聞こえてきたのは爆音だ。こうもあろうかとクレイモアを仕掛けておいて正解だったな。いや、常識か。

 

「気をつけろ!!罠が仕掛けてあるぞ!!」

 

奴ら。スナイパーの位置を把握してハンター気分でいたのだろう。アマチュアさ全開だな………誰かが言ったかは分からないが、真のハンターとは足元を警戒するということを知らないのか?

 

「スナイパーライフルがあったぞ!」

「それはいい。狙撃手はどこに行ったんだ!?」

「くそっ!まだ近くにいるはずだ!探し出して殺せ!」

 

………確かに近くにはいる。

 

ただ、こいつらが足りないのは………警戒心と観察力だな。

 

「なっ!?」

 

俺は奴らの死角となっている木の影から一気に飛び出すと、まず一人の懐へと入り込みハンドガンを腹部へと連発する。

 

「ど、どこから現れやがったんだ!」

「そんなことはどうでもいい!撃ち殺せ!!」

 

すると、奴らは俺に目がけて小銃を連射してくる。俺は咄嗟に死体を盾にして身を守るが、この方法はプレートキャリアを装着してくれる部分しか守ってくれないため長時間続けるのは良しとしない。まあ、こいつらの撃ち方が下手なだけあってあまり気にしなくてもいいのだが………

さておき、俺はタイミングを見計らい死体の胴体を横にして二人のうち一人をハンドガンでヘッドショットを決める。それを見て動揺したもう一人は一度射撃をやめてしまう。

それが運の尽きだ………

 

「があっ!?」

 

死体をもう一人の方へと押し付けると、重みでバランスを崩し勢いよく地面へと倒れ込んだ。だが、敵はすぐさまライフルを構えて俺の方へと向けるが既に遅かった。

俺は相手のライフルを蹴り上げ、無理やり武装を解除させると、続けて敵の顔面へと蹴りを喰らわした。

 

「おいおい。威勢のわりには大したことないな」

 

俺はそう言いながらハンドガンの銃口を敵の頭へ向ける。

 

「ガハァ………ハァ………き、貴様………我々に逆らってタダで済むと思うなよ………」

「おー、こわ。それが1世紀前だったら通じる脅しだな。だがな………お前は脅す相手を間違えてる」

「なんだと………」

 

すると、敵は俺の左腕に貼られているパッチに目を配る。

 

「ちっ………PMCか……」

「人形を使っている時点で気づけよマヌケ。それとも、鉄血の奴らかと思ったのか?」

 

まあ、いきなり奇襲でもされたらそう思ってしまうのも無理はないな。

 

「死ぬ前に質問だ。お前らはこの辺りで何をやってんだ?いつものように人形狩りか?」

「き、貴様に答える道理はない!この、人形を率いる人類の裏切り者が!!」

「お前らから見て俺がどんな裏切りをしでかしたかは分からないが………」

情報を貰おうと思ったが……よく考えれば下っ端にそんなもん持ってるはずがないよな。

トリガーにかかる指に力がはいるが、木々の影に人の気配を察知しナイフを取り出す………が。

 

「死ねぇ!!この悪魔が………」

 

タンッ!

 

一発の銃声が鳴り響く。

木々に隠れていた敵が身を乗り出して銃口を俺に向けた瞬間、そいつの額から血を流しながら地面へと倒れこむ姿が目に映った。

 

「………おい。一人でも対応できたんだが45?」

「ごめんなさいね指揮官。こっちから見れば殺されそうになってたから」

「………まあいい。でっ?こんなところに何の用だ404小隊」

 

木々の影から現れ、死体をまたいでこちらへやってきたのは404小隊の連中だった。

 

「私達も任務で来たんだけど」

「別件か………」

「そっ。この付近にいる野獣共のリーダーを拘束しに来たのだけど………どうやら指揮官との任務内容は少し違うみたいね」

「ああ。俺らはこの辺りにいる敵さんの掃討及び基地の制圧だ」

「なら間に合ってよかったわ。このまま行ったら指揮官。奴らのリーダーを殺してるところだったし」

「私達の任務は失敗扱いになって報酬はチャラになってたわね」

「そうかい………そいつは運がよかったな」

 

バンッ!

 

俺はそう言うと、敵に向けていたハンドガンの引き金を引いた。

 

「………そいつ。リーダーじゃないわよね?」

「んな嫌がらせするか」

 

薄っすらと笑みを浮かべる45を背に向け、ため息混じりに返答するとハンドガンをホルスターへとしまい込む。

 

「M4。飛行場を制圧したか?」

 

M4A1≪はい。残存する敵はありません≫

 

「分かった。お前達はこのまま作戦通り"7-03地点"へ向かい、敵を掃討しつつ敵司令部へ向かえ」

 

M4A1≪了解≫

 

「…………俺は少し用事が出来た為、これから単独行動をする。敵司令部付近に着き次第そのまま待機しろ」

 

俺はそういい終えると地面に置いてあったスナイパーライフルを手に取り404小隊へと振り向く。

 

「どういうつもり?指揮官」

「なに。お前らの任務を少し手伝おうかと思ってな」

「………いいの?」

「まあ、今回の敵はそれほど脅威でもないからな。どの道、俺とお前の任務は一緒のようなもんだ。敵司令部にはどの道行かないといけないだろ?」

「まあ、確かにね」

デザートフィッシュ(J-STARS)の情報によれば敵リーダーは司令部にいるらしいからな」

 

敵も見た目に反して臆病なものだ。武力に関しては正規軍と民間軍事企業には勝らないため、奴らはコソコソ隠れて攻撃するしか戦法がないのだ。そのため、向こうのリーダーは拠点に篭って活動することが多いためデザートフィッシュの情報はほぼ正しいだろう。

 

「じゃあ行きましょ?」

「そうね。AR小隊には先を越されたくないし」

「え~………私はゆっくりでいいよぉ~」

「冗談じゃないわ。あいつらに遅れをとるなんて私が許さない………」

「落ち着いてよ416。方針を決めるのは45姉だよ?」

相変わらず416はAR小隊に対して対抗心が高い。とくにM16には呆れるくらい噛み付く。

 

「さてと………悪者を捕まえにいくか…………」




用語的な

J-STARS:Joint Surveillance and Target Attack Radar System の略で通称ジョイントスターズ。レーダーで敵地上部隊を探知、識別し味方地上部隊へと情報を送る。簡単に例えるとAWACSの対地版。
そもそもAWACSと思う人はいるだろう。

AWACS:早期警戒管制機と呼ばれ一定空域内の敵・友軍の航空機などの空中目標を探知・分析し、友軍への航空管制や指揮を行うのが主な任務。いかなる時代においても情報というのは最強の武器だ。
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