ドールズフロントライン4.3 -IRIS-   作:仲村 リョウ

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もう少しで深層映写が来るのか………


案件1-10:後方支援

Avenger≪俺は少し用事が出来た為、これから単独行動をする。敵司令部付近に着き次第そのまま待機しろ≫

 

指揮官はそう言い残すと私が返答する前に通信が途切れてしまいました。

 

「M4。指揮官はなんて言ったんだ?」

「用事が出来たから単独行動をするみたいです………」

「なんですって?」

 

呆れた様子でこちらを見つめるAR15。気持ちはわかります………

 

「とんでもない指揮官だな………部隊と行動するならまだ分かるが、単独行動とはな…………」

「初めて会った時から指揮官はそんな人でしたから………」

 

M16姉さんには少しだけ同情してしまいます。なにせ、私を救ってくれた時も指揮官でしたから。

 

「でもでも。指揮官って凄く強いよね?それなら別にいいんじゃないのかな?」

「まあ………指揮官も無策で動くと言うことはないと思うから信用してもいいと思うわ」

「珍しいなAR15。お前が随分と肯定的じゃないか」

「どう言われても私達は指揮官の命令に従うしかないわ。いちいち指揮官の行動をどう考察したって分からないし、考えるだけ時間の無駄よ」

「謎が多いもんね」

 

確かにAR15の言う通り………指揮官と会ってまだ間もないです。知らないことの方が多いのは当然ですが、謎が多いというのは共感できます。名前はコードネームで呼ばれているようですし、プロフィールに至ってはカリーナさんやヘリアンさんも知らないときました………

 

(ですが………私は指揮官を信じます)

 

あの時、身を張って助けに来てくれたのは紛れもなく指揮官………こんな人形一体のために傷を負いながらも手を差し伸べてくれたんですから。

 

私はその時から指揮官の側にいることを決めた………どんなことが起きても必ず貴方を守ってみせると………

 

「指揮官の指示通り動きます。まずは7-03地点へ行きましょう」

 

私はそう言い放つとAR小隊は行動を開始する………

 

-side Avenger-

 

「ふわぁ~………」

「45達が行ってから5分も経ってないぞ………毎回思うがなんでそんなに眠たそうなんだ?」

「仕方ないよ………眠たいんだから…………」

 

なんだそりゃと思わず拍子抜けしてしまう。単するにこいつ(G11)は眠たいから眠いと言っているのだ。

「それよりも指揮官。今日はどうしてスナイパーなの?」

「お前にしてはまともな質問だな」

「え~………私はいつもまともだよぉ~」

 

まともだったらまず怠け癖を直すことだなG11。説得力の一欠片もないぞ。

 

「単に後方で支援する方が楽だったからだ」

「そんな理由?」

「今回の敵戦力なら司令部で指揮するくらいでよかったが…………窮屈すぎてダメだ」

「えー?私が指揮官なら司令部から動かないけどね」

「お前がいても寝るだけだろうが」

 

バレた?と言わんばかりにG11は口元を緩ました。ったく………こいつが指揮官だったら部隊はとっくに全滅確定だろうな。

 

M4A1≪指揮官。敵司令部に着きました。命令を待ちます≫

 

「思ってたより早いな」

「416がまた拗ねるね~」

G11の言う通り、悔しがる416の姿が思い浮かぶ。

 

「了解。待機しろ」

 

そう言うとAR小隊から第一部隊へと無線の周波数を変える。

 

「グリズリー。今どこにいる?」

 

グリズリー≪もう少しで敵司令部に到着するよ≫

 

「分かった。到着次第連絡を入れてくれ」

 

グリズリー≪了解≫

 

そう言い終えると俺はスナイパースコープを覗き込み、巡回している敵の一人を照準に定める。

 

「準備しろよG11」

「りょうか~い………」

 

寝惚け眼を擦りながら彼女もライフルのスコープを覗き込んだ。

こんなものぐさな性格をしているG11だがやる時は奴やつだ。404小隊のアタッカー兼狙撃手としてのポジションにいる彼女個人の戦闘能力は高く、見た目に反して残酷でえげつないものだ。なにせG11が放つ"ストームアイ"と呼ばれる爆裂弾幕を問答無用で張る………意味がわかるか?標的に定められた敵は木っ端微塵になるということだ。

 

グリズリー≪ポイントへ到着。指揮官。いつでもいけるよ≫

 

「了解」

 

さてと………再びお仕事の時間だ。

 

「このまま制圧を開始していいんだな?」

「いいと思うよ。三人なら大丈夫だと思うし」

 

随分とアバウトな感じだが、実際404小隊ならやってのけるだろう。どの道、早く任務を遂行しないとまたヘリアンにどやされるしな。

 

「よし。AR小隊、第一部隊。制圧を開始しろ」

 

双方の部隊から「了解」との言葉を受け取り、北と東から銃声が聞こえてくる。

 

敵司令部内からは慌てふためく敵の声が聞こえてくる………まさか、戦力を集中している時に攻めてくるもは思わなかったのだろうか。まあ、こちらの情報が行き渡らないように拠点を制圧してきたのは正解だったな。

この司令部の出入り口は北、東、西の三つ。俺とG11が陣取っているのは南西の丘だ。AR小隊は東、第一部隊は北へと配置している。もし、敵リーダーが逃げようとするなら西の検問所しかないだろう。交戦している中へ突っ込んで脱出を図ろうとしたら賞賛してやるが。

 

「指揮官。敵何人くらい倒したらご褒美貰えるの?」

「んなこと知るか」

「え~………」

「いちいちそっちの倒した敵の人数なんか確認しねーよ」

「はぁ………仕方ないから頑張るよ」

 

G11はそう言うと、さっきまでのものぐさな仕草はどこに行ったのかと疑問に思うくらい真剣な表情を見せる。その姿は本当に修羅場をくぐり抜けてきてような兵士の顔だ。

彼女は呼吸を整える様子もなくトリガーを引いた。(くう)を突き抜けながら飛んで行く弾丸は、走っていた敵へとヘッドショットを決めたのだ。

さすが404小隊のメンバーなだけある。この調子でいけば数十分でカタはつくだろう。

 

待てよ?今のこいつに任せとけば見えてる奴全員倒してくれるんじゃないのか?

 

「指揮官。サボらないでよ」

「………チッ」

「なんで舌打ちしたの?」

 

なんかコイツに言われると腹がたつな。

 

まあいい。俺だって仕事できてんだからコイツに舐められないよう頑張るか。

さて、敵さんは建物の屋上に数人いるみたいだ。東側へと向かって発砲しているということはAR小隊と交戦しているといいことか。LMGまで乱射している………おいおい。コイツらの戦い方を見ていたら、3次大戦の民兵の方が上手く戦ってたと思うぞ。

それが幸と言っていいのか動かない(まと)も同然な為、撃ちやすいものだ。

 

「コイツら弱いね………」

「ああ。こんな事だったら司令部で大人しくしてた方がマシだったかもな」

「今更だけど違いないね」

 

にししと笑いながら発砲を続けるG11を横目に思わず同感する。屋上にいた敵は何処から撃ってるのか分からないまま頭を撃ち抜かれその場へと次々と倒れていく。

 

「あっ。416達だ」

 

丘の下からこちらへやってくる人影が見えると、俺とG11は敵司令部内の敵の攻撃をやめ、彼女達の後方へと注意を向ける。そんな心配はないだろうが一応念のためだ。

45を先頭に416が敵リーダーらしき人物の襟を掴みながら引きずっている………抱えてくるという選択肢はなかったのか?

 

「お待たせー」

「流石だな404小隊。早いな」

「ええ。これくらい余裕よ」

 

416はそう言うとこちらへ敵リーダーらしき人物を投げてくる。

 

「ぐっ!?」

 

敵リーダーは地面に落ちた衝撃で思わず声を上げてしまう。しかし、意識を持つ気力もないのか白目をむきながら脱力している………一体どんなやり方をすればこのような状態になるのだろうか?

 

「こいつで間違いないのか?」

「ええ。クライアントから貰った写真と照合したら一致したから間違いないわ」

 

なら、この敵司令部の制圧も時間の問題だな。指揮する奴がいなくなった事でパニックに陥るのも目に見えてしまう。

 

「それで?G11はちゃんとしてたかしら?」

「それは愚問だな416」

「へへーん。西詰所にいる奴らはほとんど私が倒したし。やるときはやるんだよ」

「物を提示されてやる気を出すのは子供でも出来るわよ」

「あはは!素直に褒めてあげなよ~416」

 

「うるさい」と顔を赤らめながらそっぽ向く416。何だかんだ言って416はG11のことは褒めてるのだろう。

 

「さてと………俺はそろそろ彼女達と合流するか。あまり単独で動いていたらお前達の存在を疑われそうだ」

「名残惜しいけどそうね。はい、指揮官。お土産」

「ん?」

 

すると、45はなにかこちらへ投げてくる。俺は片手でそれを受け取り、手の平を広げるとそこにはUSBメモリがあった。

 

「こいつらの基地情報の位置をハッキングしておいたわ。一応、あいつら(AR小隊)を誤魔化せるでしょ?」

「ああ。助かる」

 

気がきく奴だ。アリバイ作りと言えば言葉は悪いが、404小隊の存在を疑われるのもよろしくないのでありがたく受け取っておこう。

 

後で対価を求められそうだが、まあいい。

 

「えー!?指揮官!ご褒美は!?」

「引っ付くんじゃねーよ9。何回も言わせんな」

「でもでもぉ!」

 

くそっ!力が強いな!全然引き剥がせねぇ!

 

「あっ。そうだ!私にも得して指揮官にも得できるご褒美思い付いちゃった!」

「はあ?何を………んっ!?」

 

すると、いきなり9が飛びついたと思った刹那………気がつけば彼女は俺と唇を重ねていたのだ。

 

「なっ!?」

「はっ!?」

「えっ!?」

目を瞑りながら唇を重ねる9は離さないと言わんばかりに俺の首に腕を絡ませている。甘い香りが鼻をくすぐり、思考が一瞬だけ停止してしまう。

 

三人が驚きの声を上げた中、俺は自分でも珍しくパニックに陥りそうになっていた。

そりゃそうだ。俺だって人間なのだ………こんな行為をいきなりされれば動揺だってする。

 

「ん………ぷはぁ!」

「…………」

 

やっと満足したのか、9は頬を赤らめながら放心状態になっている俺を上目遣いで見つめている。

 

「どうだった?指揮官………」

「………どうだったもなにも、いきなりなにやってんだって思ってる」

「えー!?キスだよキス!私、初めてだったのに!」

「知るか………」

 

なにが不満だったのか知らないが、とりあえず9からは離れておこう。次やられたらCQCで投げ返してしまいそうだ。

 

「指揮官~?なに一人でいい思いしちゃってるわけ?」

「そうよ。に、任務中だってこと忘れてない?」

「私ももう少しだけ背が高かったら出来るのに………」

「なんで俺が文句言われなきゃならないんだ?」

 

俺からしたわけではないというのに何故俺が責められるんだ。それに、G11はサラッととんでもないこと言ってるぞ。

 

「9もしたんだから………私にもしてくれるよね?」

「「…………」」

 

なんだろう45の後ろに見えるドス黒いオーラは………今のあいつなら一人で敵司令部を掃討できそうな気がする。

………ここは瞬時に離脱するのがいい選択肢だろう。

 

「あっ!」

 

俺は彼女達に包囲される前に丘の斜面から滑り落ちていく判断を下し、404小隊の連中から逃走するのに成功するのだった。

 

………帰投したら自室のセキュリティを強化するのをカリンと相談しよう。

 

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