ドールズフロントライン4.3 -IRIS-   作:仲村 リョウ

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ドールズフロントライン オーケストラコンサート最高でした!!サントラにはないものも演奏してましたので映像と演奏が見事にマッチしてて臨場感が半端なかったです。始まった途端鳥肌が立ちました(笑)オーケストラバージョンとかでるのかな?


案件2-2:防衛行動

-side Lenka-

 

ここの指揮官であるアヴェンジャーさんに指揮権を一時的に委任されてから数分後。私はカリーナさんのアドバイスを元に二部隊を編成した。一つは基本的なるアサルトライフルの3人とサブマシンガンの2人による第一部隊。そして、ノースシティの防衛を目的としたマシンガン二人とアサルトライフル二人にサブマシンガン一人による第二部隊。ノースシティにいるMDRさんというアサルトライフルのチームが展開しているため、第二部隊をノースシティ基地に配置させて攻撃と防御を後退させる形でプランをまとめる。それを今から編成した部隊の戦術人形の方達を集めてブリーフィングを行うところだ。

 

「み、皆さん初めまして。本日からここグリフィン統括地区S09地区に配属になりました戦術指揮官候補者のレンカ・ミア・プロブストです!初めての実戦で納得できない部分もあるかと思いますがよろしくお願いします!」

 

私はそう言いながら敬礼をする。見渡すと初々しいと思わないばかりに戦術人形の方達は苦笑しながらバラバラに「よろしく」と交わしてくれる。

 

「あんまり緊張しすぎないようにね」

「指揮官も鬼ね。配属初日に実戦を任せるなんて」

「でもあの人なりに考えがあるんじゃない?」

 

驚いたことに皆さん私が指揮権を一時的とはいえ委任されていることに不満がない様子だ。もう少し文句を言われるかと思ったのだけどーー

 

「で、では時間もあまりありませんのでブリーフィングを行います!」

 

部屋が暗くなりコンソールからからホログラムを投射させる。

 

「現在ノースシティにて鉄血工造の襲撃を受けています。被害はまだ定かではありませんが民家人とグリフィンの兵士にも死傷者が出ているとの報告が出ているとのこと。鉄血の部隊は北から二手に分かれて部隊を展開させており、迫撃砲を撃ってきたことから片方もしくは両方に多脚戦車型自走砲"ジャガー"いるものと思われます。また、装甲機械二脚歩行型自走砲"ニーマム"の存在も報告されています」

「具体的なプランは?」

「まず第二部隊はグリフィンノースシティ基地へ配置しMDRさん率いる部隊と防衛を交代してもらいます。第一部隊は基地近くにある飛行場へと配置後、北上しながら敵戦力の掃討を行ってもらいます。以上が今回の作戦ですが………」

「まあ、シンプルでいいんじゃない?」

「そ、そうでしょうか?」

 

第二部隊の隊長であるネゲヴさんが一言だけそう述べた。もう少し細かく作戦を練った方がよかったのかな?でも、あまり時間もありませんし……

 

「勘違いしないでね。別に不満とかあるんけじゃないのよ?ただ、指揮官といっても新人なのに猶予もない中短時間でここまで部隊編成と作戦を立案できるとは思ってなかったから」

ネゲヴさんは口角を上げながらそう言うとテーブルに置いていた自身の銃を手に取る。

 

「すみませんネゲヴさん。自分の小隊もあるのに引き抜いてしまって」

「いいのよ。どうせ暇だったんだし、たまには鉄血のクズどもをぶっ飛ばしたいじゃない?」

「は、はあ……」

「それに……私を引き抜くなんてあなたは中々センスがあるわ」

 

マシンガンを両手に持ちながら微笑まられると何か別の狂気のようなものが見えるのですが……気のせいですよね?

 

「で、では具申がなければブリーフィングを終えます。ブリーフィング終了後、第一部隊と第二部隊の皆さんはすぐにヘリに搭乗してください。皆さんの奮闘を期待しています」

 

そう言うけど私の指揮によって作戦の流れが変わるんだよね。思っているよりもプレッシャーが大きい。カリーナさんはあまり考えすぎない方がいいとは言っていたものの、流石に実戦となると動悸が早くなってくる。

 

だけどーーこれで私の進む道が決まる。そのためにもこの作戦は必ず成功させないと……

 

私は胸に手を当てながらそう決意を固めるのだった。

 

-side Avenger-

 

基地にて装備の補給を終えた俺とNZ75は街の北へ向かい、交戦しているMDRの部隊を支援するべく走っていた。迫撃砲は一旦止んだものの、また砲撃を開始するだろう。近づくにつれ銃声が大きくなり、全身の神経を集中させる。肌に当たる風も敏感に感じ取ってしまい痛みと錯覚するほどだ。

北には検問所があり詰所とゲートと監視塔が存在する。勿論敵が侵入してきた際に迎撃する機関銃が入り口に向けて土嚢とセットになって配備されており、現に機関銃の音が絶え間なく響いている。

 

「南から味方が接近する。撃つなよ」

 

MDR≪りょうかーい!≫

 

次の角を曲がれば検問所が見えるだろうが、一度その手前で止まって注意しながら向こう側を除く。MDRの部隊とグリフィンの兵士が鉄血の部隊と真正面から撃ち合いをしているのが見える。見た限りだと戦死した者は見られないが何人かは負傷している者はいるようだ。

敵はまだこちらには気づいておらず、今なら全速力で走り抜ければ撃たれる心配はないだろう。そう判断した俺は彼らの元へと走る主旨をNZ75へと伝えると彼女はそれを了承する。

呼吸を整えると角から飛び出して一気に彼女達の方へと走る。何発かこちらに銃弾が地面へと着弾するのが分かったが、俺は気にすることなく土嚢へとカバーして、MDRの元へ合流することに成功する。

 

「指揮官じゃん。なんか新しいネタとかあるんすか?」

「ねーよ。状況を考えろ」

 

土嚢から身を乗り出し50メートル先から撃ってくるヴェスピドへ向けてライフルを発砲する。確認するだけでも七体はいるな。

 

(思っているよりこっちの敵部隊の数が少ない……)

 

正面から突破しようとするほど鉄血も馬鹿ではない。人海戦術ならば理解できるが、あの少人数で真正面から撃ち合いなど何か企んでいるのではないのかと疑う。鉄血も戦術人形だ。指揮するものがいなければ戦術的に動けないのは分かっている。

 

(………鉄血のボスがいやがるのか)

 

可能性はある。だとすれば何を狙う。基地まで目前だというのに奴らは少人数で攻めてきているのだ。

 

(このやり口はイントゥルーダーではないな……)

 

なら別のやつだ。わざとここを制圧させないようにしている。相手を焦らすかのようにじわじわと戦線を狭めてくる陰湿的なやり方はやられる側にとってかなりのストレスだ。情報も少なく相手の戦力も分からないーー下手をすれば味方がパニックになって全滅の可能性もあり得る。

 

俺は周囲の状況を確認するため無線の周波数を基地の指揮所(CP)に変える……がその時だ。

 

Guard captain ≪CP!CP!こちら飛行場警備隊!鉄血の部隊に襲われている!!至急増援を送ってくれ!!≫

 

撃ち合いの状況なのか無線越からノイズと発砲音が混じりながら飛行場の警備隊から増援の要請を聞き取ってしまう。

 

(っーー飛行場を制圧して増援部隊を降ろさせないつもりか)

 

仮に飛行場を制圧された場合、基地の指令基地に降り立つ増援部隊のヘリが集中放火を浴びてしまう。そうなれば損害も大きく戦闘の続行は不可能にとなり、街を見捨てる判断を下さなければならなくなる。何百人といる民間人に犠牲が出てしまうのは目に見えた。

 

「こちらアヴェンジャー。俺達が増援に向かう。あと、3分は耐えろ」

 

Guard captain ≪し、指揮官でありますか!?りょ、了解であります!お前ら!増援が到着するまで耐えるぞ!!≫

 

警備隊長だろうか?彼が増援に来てくれることに対して部下に鼓舞したことからか周りから歓喜と気合の声が張り上げている。そういえば警備隊には海兵隊の出身者が多いらしい。なら、簡単に飛行場は奪われないだろう。

 

「聞いていたなCP。これから俺達が増援に向かう」

 

CP≪こちらCP。了解≫

 

「MDR。俺はこれから飛行場の増援に向かう。ここは任せて大丈夫か?」

「誰に言ってるの?指揮官。ここなら私達だけで大丈夫だよ!」

 

MDRはこちらをニカッと笑みを浮かべながらサムズアップをする。

 

「分かった。任せるぞ。よし、お前とお前とお前!俺についてこい!」

 

グリフィンの兵士を三人指名すると彼らは「了解」とだけ答えて俺の指揮下に加わる。

 

「これから飛行場の増援及び防衛に向かう。道中開けた場所があるがイェーガーに撃たれたとしても走り続けろよ。MDR、援護射撃を頼む」

「りょうか~い」

 

MDRは自身の部隊に援護射撃の指示を出す。敵がいる方へと部隊全員の一斉射撃が放たれたおかげで相手はダメージを避けるように詰所の向こう側へと隠れる。俺達はそれを合図に一斉に走り出し、飛行場へと向かうのだった。

 




用語集

≪ジャガー≫
豹の名を持つ自走型迫撃砲戦車。遠くから砲撃を放ち、その正確さからも侮れない鉄血の兵器だ。

≪ニーマム≫
ネメアの獅子の名を持つ装甲機械兵器。装甲をまとったジャガーの派生バージョンと言っていい二脚歩行自走砲。動きは鈍く次弾までの装填時間は長いが攻撃力は高く、敵陣営に大打撃を与えることも少なくはない。話によれば正規軍の戦車を一撃で大破させたとか……が、耐久性はそれほど高くはない。

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