荒野の音速の翼たち~蒼空遠く~   作:疾風海軍陸戦隊

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平成の零戦vs昭和の零戦

「な、なんだあの飛行機は!?」

 

飛行船を襲撃する空賊の零戦を相手に戦う。用心棒飛行隊コトブキ飛行隊は飛行船を守るため零戦相手に獅子奮迅の戦いをしていた。だが、その包囲網を突破して3機の零戦が飛行船を襲い掛かる。それを阻止しようと零戦を追いかけるのだが、突如背後から見たこともない大型の飛行機がすさまじい音と速さで彼女たちの上空を通過し零戦に向かうのが見えた。

 

「何あれ!?」

 

「すごく速い・・・・・・しかも大きい」

 

「新たな空賊?」

 

「それにしては見たこともないマークをしていますわね?白淵の赤い丸?」

 

コトブキ飛行隊のメンバーが驚く中、飛行船を襲う空賊たちも同様自分たちの機体の上空を走り抜けた戦闘機に驚き目を丸くする。そしてその戦闘機・・・・F2は奇麗な隊列で旋回する。そして空賊が慌てる姿を見た菅野は

 

「どうだ。少しは驚いたでしょ?01もう一度やって脅かしますか?」

 

『02。まずは無線で警告しろ』

 

「零戦に無線がついているわけないでしょ?大戦期の無線は粗悪品で陸軍の戦闘機に比べて海軍の戦闘機、特に零戦は手信号で連携をとっていたらしいですし?」

 

『念のためだ』

 

「はいはい。了解。全く01は真面目だな」

 

と、そう言いうと加藤が無線を取り

 

「こちら日本国航空自衛隊、貴殿らは無抵抗の飛行船を襲撃している!直ちに攻撃を中止し、この空域より離脱せよ。繰り返す!直ちに攻撃を中止し、空域を離脱しなければ発砲する!!』

 

と、そう言うが向こうは応じない。むしろ零戦たちはこちらに向かってくるのが見える

 

「応答がない・・・・・周波数が違うのか?だとすると連絡が取れないのは当たり前か・・・・」

 

『01やっぱ、向こうは無線持っていないんですよ。向こうも私たちに向かってきていますし、とにかく今は追っ払うことにしましょう』

 

「はぁ・・・・・しょうがない。02。もう一度アクロバットをして連中の度肝を抜かすぞ!」

 

「了解!!ソードウィング02エンゲージ!!」

 

「01、エンゲージ」

 

と、そう言いニ機は速度を出し、零戦を振り切り宙返りをし零戦の背後を取る。それを見た零戦のパイロットはいつの間に背後を取られたと思ったら、あっという間に追い越される。それを見た空賊の3機のうち一機は怖くなったのか逃げ出し、もう一機の白い零戦はあまりにも早いF2に驚いて見失ったF2を探すと下の方にいてゼロ戦は急降下しF2に機関砲を放つが速度が違いすぎるため弾丸は当たらない

 

「はっ!飯事やっているような物だな。そんなしょんべん玉が当たるかよ!」

 

『02!遊ぶな。いつまでもここにいるわけにはいかない。威嚇射撃をするぞ』

 

「え!?いいんですか!?」

 

『ただし当てるなよ。あくまで威嚇だからな。俺は赤い零戦に射撃をする。02は白の方だ』

 

「ですが01。当然ながら実戦での射撃は初めてです。万が一当ててしまった場合は・・・・」

 

『それは認めない!俺はお前の腕を信じているぞ』

 

「了解!!」

 

そう言うと菅野機と加藤機は左右に分かれそれぞれの零戦に向かい、菅野機は白零戦の背後を取り

 

「よし後ろをとった。ターゲットロックオン!ソードウィング02。Fox3fire!』

 

そう言いF2から20ミリ弾が発射される。無論発射された弾丸は零戦に当たらず、すぐそばを通り抜ける。それを見た零戦は先ほどの速度に続いてF2の機銃発射速度に驚き、慌てて逃げ出すのであった

 

「よし!威嚇終わり!」

 

菅野がそう言う中、加藤機も赤い零戦に向かっていた

 

「赤い零戦か・・・・・何か昔の漫画でそんなのあったな・・・・」

 

と、そんなことを呟きながら背後を取り

 

「ソードウィング01、Fox3・・・・っ!?」

 

と、そう言い機銃のトリガーを引きかけた瞬間、赤い零戦は突如、急降下し、そしてそのまま去って行った。それを見た加藤は

 

「離脱した?・・・・・・それにあの零戦のパイロット・・・・」

 

加藤はバルカン砲を発射する直前。赤い零戦に乗るパイロットの顔を一瞬だけ見ていた。

 

「女性に見えたが、気のせいかな?まあ、いいか」

 

とそう呟くと菅野機が戻ってきて

 

『01。こちら02、敵の威嚇射撃に成功し相手は逃げて行ったよ。そっちは?」

 

「こちらも同じだ。だが機銃撃つ前に相手は離脱したよ」

 

『そうですか・・・・・・で、この後、どうします?あの隼たち、めっちゃ私たちのこと警戒しながら飛んでいるんですけど?』

 

「これ以上の面倒ごとは御免だ。厄介なことに前に離脱するぞ」

 

「あの飛行船との接触は?」

 

「今のところ状況がつかめないし、あの飛行船が無事なら接触する必要なし。それにそろそろどこかに着陸しないと燃料が切れるぞ」

 

「了解。」

 

と、そう言いニ機はすかさずその空域から離脱する。それを見たコトブキ飛行隊は

 

「あ、あの戦闘機逃げた!追いかける?」

 

「速度が違いすぎる・・・・・追いつけない」

 

「それにあの戦闘機羽衣丸を助けてくれたし・・・・・レオナどうする?」

 

「離脱するなら深追いは無用だ。帰還するぞ」

 

と、そう言いつつレオナは先ほどの戦闘機を見て

 

「何者なんだ・・・・あの二機は?」

 

と、そう呟くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、加藤たちは

 

「見渡す限り荒野ばかり基地どころか街もない・・・・・・01。どう考えてもここ日本じゃありませんよ」

 

「そうだな。それにアメリカでもない。それにあの大きな飛行船。もしあんなのが浮いていたら今頃ニュースになっているはずだ。それ以前にあの空域に旧日本軍の零戦や隼が飛んで味方同士空中戦しているのもおかしな話だ。それに、塗装や国籍マークもおかしかったしな」

 

『確かにそうですね~よく漫画や小説で陸自が戦国時代に行ったり海自が太平洋戦争にタイムスリップする話はよく聞きますが、私たちの場合はどれも当てはまらないしチンプンカンプンですよ』

 

「それは俺だって同じだ。まったく何がどうなっている」

 

とそうぼやきながら二機は当てもなくしばらく飛んでいると・・・・・

 

『01、2時方向に街らしき建物発見!」

 

「ほんとだ。しかも滑走路までついている。街のすぐ横に滑走路のある所なんて聞いたことあったか?」

 

『さぁ?もしかしたら民間航空会社の滑走路でしょうか?』

 

「とにかく無線で着陸許可を求めて少しの間、借りさせてもらうか」

 

そう言い加藤は無線を取り

 

「こちら航空自衛隊の加藤です。滑走路を借りたいので着陸許可をお願いします」

 

と呼びかけるのだが、やはり応答がない。

 

『応答ありませんね・・・・・降りてもいいってことでしょうか?」

 

「燃料もあんま無いし・・・・仕方がない。管制塔の人には理由は降りて話せばいいか・・・・・」

 

『これ上にバレたら始末書ですね』

 

「始末書で済めばいいんだがな・・・・」

 

と、そう言い降下すると

 

『01、なんか街にいる人たち、驚いた顔をしてますよ?』

 

「まあしょうがない。いきなり空軍の戦闘機が来たら誰だって驚くさ。着陸するぞ」

 

『了解』

 

そう言い俺たちに気は速度を落とし、着陸態勢をとり、そして誤差もなく着陸する

 

「着陸成功。機体異常なし」

 

「02。こちらも異常なし・・・・・・ん?01あそこの倉庫?」

 

「倉庫?」

 

菅野の言葉に加藤は倉庫を見ると

 

「あれって・・・・・九七式戦闘機だな?」

 

「あの零戦と言い、隼と言い、なんで旧日本軍の戦闘機があるんでしょうね?」

 

「さあ?とにかく降りよう」

 

と、そう言い俺たちはコックピットを開けて降りる。そしてヘルメットを脱いで辺りを見渡すと

 

「01・・・・いや、一尉。まるで西部開拓時代のような街ね?」

 

「そうだな・・・・」

 

そう話し合うと複数の人がこちらにやってくる。すると中年の男が

 

「あんたら誰だよ!」

 

「「(へっ!?日本語?)」」

 

俺と菅野はその人物が日本語を話していることに驚くと中年は

 

「おい、黙ってないでなんか言えよ!」

 

「え?ああ、俺たちは日本国航空自衛隊xx基地所属の加藤健一等空尉です」

 

「同じく、菅野奈緒三等空尉です」

 

「ニホンコク?ジエイタイ?聞いたことねえな?」

 

「え?日本と自衛隊を知らない?あんた日本語を話しているのに?」

 

菅野が驚いてそう言うと中年の男が首をかしげ、中年男より若い人が

 

「あんたらさっきから訳の分かんない話をしているけど、空賊じゃないんだな?」

 

「「空賊?」」

 

俺と菅野は訳が分からず首をかしげるとその若い男が

 

「まあいい。訳は後でで聞くから、そこに飛行機おいていると邪魔だ。あそこに空いている倉庫があるからそこに入れてくれ」

 

「あ・・・・はい。感謝します」

 

俺たちは訳が分からず、とにかくF2にまた乗り込み先ほどの男が言った空いた倉庫に入れるため動かすのだった。一方街の人たちは

 

「なんだろあの機体・・・・見たことないな?」

 

「ああ、それにプロペラがない。あれでどうやって飛ぶんだ?」

 

「それにコウクウジエイタイって?聞いたことないな?どこの用心棒だ?」

 

と、加藤たちのF2を見てそう話し合っているのであった


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