「えっと・・・・つまりあなた方は空賊じゃないんですね?」
あの後、俺と菅野はF2を格納庫にしまった後、とある部屋で町長らしき小太りの男と自警団の団長と名乗る男と話ていた。
「はい。そうです。それよりも訊きたいことがあるのですがよろしいですか?」
「なんでしょう?」
「あなた方は、日本。もしくはアメリカ、イギリス、ドイツといった国の名前をご存知ですか?」
「いえ‥‥聞いたことがありません。そもそもあなたたちの乗っていたあの戦闘機ですらラハマでも見たことがありませんから・・・・・」
「え!?ジェット機を知らないんですか?」
「ジェット機というのか?あれは?プロペラがないがどうやって飛ぶんだ?
俺や菅野の質問に部屋にいた街の人は訳が分からないと言いたいのか首をかしげる。すると菅野が
「加藤一尉。やっぱりおかしいですよ。日本、アメリカを知らないうえにジェット機も知らないなんて・・・・・」
「ああ・・・・・・町長」
「は、はい。なんでしょうか?」
「私たちはなんというか遠くから来たもので、あまりここのことを良く知らない。できればこの世界のことを教えてくれないか?」
「あ、はい。いいですよ」
と、町長は俺たちにここについてのことを教えてくれた。俺たちのいる場所はイジツという世界でその中でここはラハマと呼ばれる街だそうだ。そしてその世界は地下資源に頼って細々と街を作り生きていて。70年くらい前に世界の底が抜けていろいろなものが降ってきた。良いもの悪いものも含めて様々なものが降ってきた後、再び底の穴は閉じられたという。そのなかでもユーハングと呼ばれる者たちのもたらした航空機によって、街の間を空路で結んでの交流が盛んとなる。そして、それを狙う「空賊」も出現し、彼らに対抗するために用心棒である「飛行隊」も組織されるようになったという。そして彼らの街に置いてある飛行機もそのユーハングが残していったものだというのだ。
「・・・ということなんです」
「うむ・・・・・」
町長の言葉に俺と菅野は考えるしぐさをすると、中年の男が
「で、お前たちはどうするんだよ?」
「そうですね・・・・・我々は今、漂流というか帰る場所がわからない状態にあります」
「え?どういうことですか?」
「つまり私たち二人は何らかの形で漂流している状態なんです。それでよろしければ帰り道がわかる間でいいんです。ここの滑走路を借りるのとここに住んでもよろしいでしょうか?無論、ただとは言いません。ここの人と同じ働いて借りを返したいと思います」
「私からもお願いします」
と、俺と菅野が頭を下げると
「そうします町長?」
「別にいいんじゃないかな?この人たち悪い人には見えないし、何よりまだ若いでしょ?そんな二人を荒れ地に放りだすなんてできないよ」
「だが町長。素性の知れないよそ者に滑走路を貸すなんて・・・それにあの戦闘機の燃料代誰が出すと思っているんだよ?」
「それは無論私が出しますよ。その代わり彼らにも自警団の手伝いをしてもらうのはどうかな団長?」
「うむ・・・・確かに彼らの乗る飛行機は今までの飛行機より早いしな・・・・・まあ自警団の手伝い云々は保留として、悪い奴らではなさそうだし滑走路を貸すぐらいなら別にいいぞ」
「ほんとですか!」
「ああ、団長や町長が言うんなら問題ないだろうし、困った時はお互い様だからな。さて、もう遅いし、お前たち、ご飯食べてないんだろ?酒場に行こうぜ飯おごってやるから」
「え!?いいんですか?」
「話を聞く限りこことは違うところから来たんだろ?だとすると金持ってないんだろ?別にかまわしねえよ。俺はラハマ自警団第三支部長のトキワギだ」
「すみません感謝します」
「ありがとうございます」
俺と菅野はお礼を言い、町の人につられて酒場でご飯とお酒を飲みながら街の人たちと交流しているうちに少しだけ仲が良くなった。因みに俺と菅野は20超えたばかりで25未満だから酒の飲酒は別に問題ない。
その後俺たち二人は、酒場の上にある誰も使っていない部屋を間借りすることになった。俺はベットに腰掛け、菅野は椅子に座ると
「なあ、健さん。この状況どう思いますか?私たちどうやら別世界に来ちゃったみたいですけど・・・・・・」
「そうだな・・・・・まあ、何とかなるだろう。帰る方法がない今、俺たちにできることは限られているしな。それよりも少し気になることがある・・・・」
「気になることですか?」
俺の言葉に菅野は首をかしげると俺は頷き
「ああ、さっき街の人が言っていた、ユーハングのことだ・・・・・」
「ああ、それですか・・・・確かに変な話ですね。それにそのユーハングが持ち出した飛行機を見ると、おそらくユーハングは・・・」
「ああ、おそらく俺らと同じ日本人だろうな。しかもユーハングがやって来たのが70年前。俺たちの時代で言えば第二次大戦のころだ。つまりユーハングは日本人。しかも旧日本軍である可能性がある。だが、不可解なことは第二次大戦ごろに日本軍が異世界に行ったという話は聞いたことがない」
「私たちみたいに偶然、飛ばされたとか?」
「最初はそう思ったが、戦闘機の数や産業文明の知識をこの世界に教えた後ユーハングたちは穴・・・・つまり元の世界に帰ったと訊く。つまり・・・・」
「私たちと状況が違うということ?」
「ああ、あの時代は軍による情報規制があったからな。俺たちの知らない裏の歴史で何かあったのだろう・・・・」
実際、旧日本軍は核弾頭や殺人光線などの極秘の研究をしていたらしい。もしかしたらその穴というのは異次元ゲートか何かで旧軍は何かの極秘の任務とかの目的でこの世界に来た可能性がある
「・・・・・で、これから、どうします健さん」
「とにかく今は帰れる方法を探しながらこのラハマで暮らすしかないな」
「F2戦闘機はどうします?空賊って言うのが来たら出撃しますか?」
「アホ。この世界の燃料が使えるかどうか不明なうえにこの世界じゃミサイル兵器はない。補給が厳しいよ」
「でも20ミリ弾なら・・・・」
「あれは威嚇用で、すぐに撃ち尽くしちまう。なるべくF2は補給のメドが立つまでは飛び立つことは難しいな・・・・」
「そうですね・・・・・・」
俺の言葉に俺と菅野はあくびをする
「さて…議論はここまでにして寝るか」
「そうですね・・・・・言っておきますが一尉。寝込み襲ったらぶん殴りますからね」
「しないよ。全く旧海軍のエース、菅野直の血を引く子は怖いな」
「何か言いました?」
「いいや、なにも。じゃあ、おやすみ」
「おやすみなさい」
そう言い俺と菅野は明日に備えて寝るのであった。
「ふぁ~おはよう菅野」
「おはよう・・・・」
翌朝、俺と菅野はベットから降り着替えると街の外を歩いていた
「昨日は寝れたか?」
「え、おかげさまで・・・・・・一尉?一つ訊きますが?」
「手は出してないから安心しろ」
「そうですか」
と、そんな話をしながら歩くと頭上から巨大な飛行船が通って行った
「菅野あれ・・・・・」
「ええ、昨日の飛行船・・・・・・だよな?」
俺と菅野が見たその飛行船はこの間、謎の零戦集団に襲われていたあの飛行船だった。すると
「おう、二人とも昨日はよく寝れたか?」
「あ、トキワギさん。ええおかげさまでぐっすり寝られましたよ」
「そうか。それはよかった」
「ところでトキワギさん。あの飛行船は・・・・」
「え?ああ、オウニ商会の飛行船だよ」
「オウニ商会?」
「ああ。そうだぜ。物資の輸送を生業とする企業だよ。じゃあ俺は仕事があるから、またな」
「あ、ああ。ありがとうございます」
俺はトキワギさんに礼を言うと
「一尉・・・・会いに行きますか?」
「いや、必要ないだろう。それはともかく今日は図書室か本屋に行って元の世界へ戻る方法を探そうか」
「それもそうですね」
と、そう言い俺たちはまず、帰る方法の手掛かりがないかを探すため、まずは本のある所を探すのであった