荒野の音速の翼たち~蒼空遠く~   作:疾風海軍陸戦隊

8 / 10
ENGAGE

「「遥かなる~蒼空遠く~」」

 

雲一転の無い青空に二機のF2戦闘機が飛んでいた。そしてそのパイロット二人は容器に航空自衛隊の歌である『蒼空遠く』を陽気に歌っていた。

 

「はぁ~平和だな菅野」

 

『そうですね。いつもスクランブル発進ばっかりだったので、こうしてゆっくりと飛ぶのも新鮮でいいですね』

 

操縦手である健と奈緒は無線でそう話していた。すると奈緒は

 

『それよりも健さん』

 

「ん?なんだ?」

 

『今から向かうガドールですが・・・・本当にジェット燃料が手に入りますかね?』

 

「さあな。だがそこに手掛かりがあるなら行くしかないよ。それにじっとあそこにいるよりはいい」

 

『そうですね。仮に手に入らなかったとしてもその時は、ここの飛行機を使えばいいですしね』

 

「そうだな…レシプロ機は訓練時代よく乗っていたからな。万が一手に入らなかったらF2は非常用として、ほかはこの世界の戦闘機を買うか借りてやるしかないな」

 

「紫電改とかあったらいいですね」

 

「菅野は本当に紫電改が好きだな」

 

「そりゃ、私の祖父が最後に乗っていた機体ですから。剣さんはやはり隼ですか?」

 

「そりゃあな。まあそれ以前にまずは最初の任務であるガドールに言って燃料を探そう。レシプロ戦闘機の購入は後程話し合って決めよう」

 

「そうですね」

 

と、そう言い二人はガドールに向かって飛ぶ。そしてしばらく飛んでいると

 

「後、15分で着くな・・・・・・」

 

『はい。それにしても静かですね。聞けばこの世界には空賊がいるという話を聞きましたが・・・・」

 

「なに、たとえ空賊が襲い掛かってきても開いてはレシプロ機。速度で引き離せばいい」

 

「そう言えばそうですね。この世界の飛行機はどれも旧日本軍が残した忘れ物。最速の戦闘機でも疾風の600キロ。こちらはマッハで振り切ればいいですし・・・・・・」

 

「なんだ。菅野。空賊とドッグファイトでもしたいと思っていたのか?」

 

「え?ええ…やっぱり私も自衛官とはいえ戦闘機乗り。やっぱり空中戦とかしてみたいな~って」

 

「あのな・・・・・・レシプロとジェットじゃ勝負にならんだろ」

 

呆れた声で健がそう言う

 

「じゃあ健さんレシプロとレシプロだったら?」

 

「う~んそれは技量に寄るかな…‥‥というより菅野の場合はすぐに機体壊しそうだしな」

 

「え~ソンナコトナイデスヨ?」

 

「おい、なんで片言なんだ?それによく言うよ訓練時代でも今でもお前、よく飛行機をよく壊してただろうが。整備の連中がいつも泣いて言っていたぞ。なあデストロイヤー君?」

 

「その仇名止めてください。私も好きで壊しているわけではないですし何より、この頃は壊してませんよ01」

 

「そりゃそうだ。この世界で部品がない以上壊されたら困るからな」

 

「ぶ~01.ちょっと意地悪ですよ。いくら航空学生時代からの仲だったとはいえ」

 

「いや~悪い悪い。まあ、菅野がドッグファイトをしたいて言う気持ちわからんでもないぞ。俺だってそうさ、けど俺たちは自衛隊員だ。先制攻撃はご法度だ。やるにしても正当な理由がなくちゃな。例えば相手が警告を無視して領内を飛ぶだけではなく街なんかを空襲した場合。もしくは向こうから攻撃した場合だ」

 

「そんなこと学校で習ってますよ。私たちは創立以来それで日本の平和を維持してきたんですから。ですがここは別世界…別に」

 

「だめだ。たとえどこの世界にいてもおれたちは自衛隊だ。元の世界に戻ってきたとき、自衛隊員として何も恥じることもない行動をとってきたと上官に報告したいじゃないか」

 

「それはそうですけど。異世界に行ってきましたなんて上官に言って信じてもらえますかね?下手したら檻付きの病院に入れられそうな気がしますが・・・・・」

 

「たしかにな・・・・でも」

 

「わかってますよ。01の言う通り・・・・・・・ん!?01レーダーに反応!」

 

「空賊か?」

 

「わかりません。レーダーに高度3千に超大型機2機。そしてその周りに複数の小型機・・・・恐らく戦闘機が30機以上いる戦闘機と交戦している模様」

 

「超大型は恐らくラハマから飛び立ったあの飛行船だな・・・・・そしてその交戦している戦闘機の中の数機は・・・・・」

 

「コトブキ飛行隊・・・・・」

 

「その可能性はある。とりあえず高度5千を維持してそこに向かうぞ。02燃料は?」

 

「まだまだ余裕あるわ。それにレーダーに映っている場所ガドールから近いしね。もし相手が空賊であの飛行船を襲ていたら、この前みたいに威嚇するんでしょ?」

 

「そうだ」

 

「警告無視して、威嚇射撃しても止めなかったら撃墜よね?スクランブルのマニュアルでもそうだし」

 

「撃墜は最終手段だ。万が一そうなったら、絶対に人には当てるな。狙うのは翼だけ。いいな?」

 

「了解01」

 

「よし、決まりだ。これからレーダーにうう撃った場所へ向かう。高度は今の5千を維持しておけ」

 

「了解」

 

そう言いニ機はレーダーに映った場所へ向かう。そして数分経つと下の方でラハマで見た巨大な飛行船二機が見えその先には複数の戦闘機が空中戦をしていた

 

「見えた・・・・・あれだな。02飛んでいる戦闘機の種別はわかるか?」

 

そう言うと、02こと菅野は目を細め、下で交戦している戦闘機を見る。加藤も目はいい方なのだが、菅野の目は鷹のように目が良く。長距離先の看板の小文字も見えるぐらいで皆からは『デストロイヤー』の他にとあるアニメの登場人物の固有魔法をとって『ホークアイ』などと呼ばれたりもしている。そして菅野は

 

「肉眼で見るからには・・・・・コトブキ飛行隊の隼以外に塗装は違いますが、一機は銀色の戦闘機・・・・あれは・・・P51Ⅾ・・・・・いや、旧陸軍の三式戦闘機一型とやられている方は二式単座戦闘機鍾馗です」

 

「飛燕に鍾馗か・・・・・またまたレアなのが出たな。02。どっちが空賊だかわかるか?」

 

「現在視認したところコトブキ飛行隊が鍾馗をそっている飛燕を攻撃したのを見るとどうやら飛燕が空賊の用です。しかし今の空賊飛燕はコトブキ飛行隊によって落とされています。これは私たちの出る幕はなさそうですね。飛燕は突っ込みが効きますが格闘戦には不向きな戦闘機ですし隼の機動力なら回り込んで撃ち落とすことは可能でしょう」

 

「まだわからん。思わぬ伏兵が待ち構えてるかもしれない。数十分監視するぞ。それで何もなればガドールに行く」

 

「了解01。それにしてもあのコトブキ飛行隊の戦闘機隊のうちの二機。連携が悪いですね」

 

「ああ、さっきも危うく飛燕に落とされそうになってたな。仲間の助けが無ければ墜とされていたぞ。先頭の戦闘機ちゃんと列機を見ているのか?」

 

そう言いながら下の先頭の様子を監視する二機。すると・・・・

 

「01。先ほどの隼二機の動きが変わりました」

 

「ああ、いきなり息の合った行動に出たな。前に居た飛燕の後ろに張り付き、後ろから追いかけてきたもう1機の飛燕に挟み込まれる態勢をとっているな・・・・お、後ろの隼飛燕を撃ち落とした。いきなりのあの連携・・・・・なかなかだ」

 

「ええ、先ほどよりいい動きですね・・・・・・て、01!?レーダーにあの二機の後ろに3機の飛燕が接近しています!恐らく雲の中に潜んでいます」

 

「向こうは気づいてるか!?」

 

「いいえ、他の仲間も相手が雲に隠れているせいで気づいていないようです」

 

「ちっ!仕方ない。02行くぞ!威嚇射撃して追っ払うぞ!エンゲージ!!」

 

「了解!!02エンゲージ!!」

 

そう言い二機は急降下するのであった

 

 

 

 

一方下の方ではキリエとチカが連係プレイで飛燕を撃墜したのを見てザラが

 

「あの二人、息ぴったりねレオナ」

 

「二人は怒ると思うが、あの二人はああ見えて似た者・・・・・」

 

そうレオナがそう言おうとした瞬間。急にチカとキリエの背後から雲を突き抜け3機の飛燕が飛び出してきた。それを見た瞬間、レオナたちは驚き、すぐに迎撃に向かおうとしたが間に合わない

 

「チカ、キリエ!避けろ背後にまだいるぞ!!」

 

「「えっ!?」」

 

レオナが無線で二人に知らせるが3機の飛燕は二人を背後を取り一斉射撃をしようとした。

 

一方、羽衣丸では

 

「っ!?新たな飛行物体上空から急降下して接近。速度は・・・・・800以上!?」

 

「おいおい、なんだその速度!?」

 

オペレーターの言葉に副艦長がは驚くと、上空からまるで雷のような音が鳴り響く。そしてそこから二機の灰色の大きな戦闘機が太陽を背にしてチカとキリエに襲い掛かろうとする飛燕に発砲する。

 

「っ!?」

 

突然のことに飛燕のパイロットたちは驚き、チカとキリエから離れる。そしてその二機の戦闘機を見たコトブキ飛行隊の隊員たちは

 

「あ、あの飛行機は!?この前の!!」

 

レオナはその機体を見て以前夜に羽衣丸を助けた飛行機を見て驚き、チカとキリエは

 

「あ!?あの時の戦闘機!」

 

「え!?何あれ!でかい!?」

 

以前F2を見たキリエは驚き始めてみるF2を見てもっと驚くのだった。そして攻撃された飛燕三機は見たこともない大きな戦闘機を見て怖くなったのか、急いで他の飛燕とともに逃げ出すのであった。それを見たレオナは

 

「逃げたか・・・・・それにしてもあの戦闘機・・・・・」

 

と、ちらっと二機のF2戦闘機を見る。すると無線から・・・・

 

『ザ・・・・聞こえるか?・・・・・ザ・・・・・応答せよ』

 

と無線から周波数が大きいのか大きい声が聞こえレオナはその声はF2に乗るパイロットの物だと確信し無線機を取る

 

「こちらコトブキ飛行隊の隊長のレオナだ。先ほどは仲間を助けてくれて感謝する。貴殿は何者だ?貴殿らは空賊なのか?」

 

と訊くと、

 

『こちら、日本国航空自衛隊、第64戦隊所属の・・・ザー・・・一尉だ。空賊ではない』

 

「(日本国?航空自衛隊?聞いたことない国に聞いたことのない部隊だな?それにイチイ?変わった名前だな?)」

 

名前を名乗るとき雑音が混じりレオナには階級名の一尉しか聞き取れなかった。そると無線から

 

『我々はこの後、急用があるため、これからこの空域を離脱する。縁があればまた会いましょう。幸運を祈るレオナ隊長』

 

と、そう言うと二機のF2は急旋回してものすごい速さで離脱するのであった。そのあまりの速さにレオナたちは唖然とし、そしてレオナは

 

「航空自衛隊・・・・・一体何者だ?それにさっきの無線の声。どこかで聞いたような・・・・・」

 

そう疑問を持ちながら彼女たちは飛行船に戻るのであった。そして羽衣丸の中ですべて見ていたユーリア議員は

 

「あの戦闘機・・・・・いったいなにものかしら?ねえ副館長さん。あなたは。あなた何か知っている?」

 

「え!?い、いえ、二日前に空賊から救ってくれたことしか・・・・」

 

「搭乗員と会わなかったの?」

 

「はい。空賊を追っ払った後、さっきのようにものすごい速さでいなくなってしまったので・・・・」

 

「そう・・・・・あの戦闘機・・・・是非、うちに欲しいわね。それとそれを操るパイロットも」

 

そう言いふっと笑うのであった。

 

 

 

 

だが、この時、彼女たち知らなかった。この後ガドールに着く時、二人と早く再会することに・・・・・

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。