GOD EATER The SAMURAI 作:umiusi
『今回の任務は、黎明の亡都に出現したコンゴウ二体とサリエルの討伐です』
「了解。今聞いたとおり、今回はコンゴウ、サリエルの討伐だ。そうだな、振り分けをしておこう。俺とナナのペアでサリエル。残りはコンゴウを頼む」
「分かった。じゃあ、俺とエミールで組むから片方はお前たちで頼む」
「りょーかい。頼むぜ、ギル」
「ああ。足を引っ張るんじゃねえぞ」
現在、彼らを乗せたヘリは目的地へと向かって進んでいる。敵はコンゴウとサリエルだ。ちなみに、勘のいい方は既に気づいているかもしれないが、シュウジはサリエルに向いていない。銃使えないし。それと、あれ以来シュウジは努力し続け、なんとかロミオとギルバートの関係の修復に成功していた。
「目的地に到着。着陸を開始します」
そうこうしているうちに着いたらしく、ヘリが下降を始めた。
「よし、全員散開」
「「「「「了解」」」」」」
ジュリウスの合図を聞き、シュウジはエミールとともに走り出す。
「エミール、お前は俺と戦う時、何か心がけていることはあるか?」
「え?ああそうだね……君の動きをよく見て、次にどこに攻撃が来るか考えることかな」
「そうか。なら、アラガミ相手にもそうしろ。いいな」
「わかった、肝に銘じるよ」
そんな二人の前に、ドレットパイクの群れが現れる。幸いにも、まだこちらに気づいていないらしい。それを確認したシュウジは、鞘の引き金を引く。それと同時に内蔵された火薬が爆発し刀身が打ち出される。
「イヤアァァァ!!」
打ち出されたムラサマと並進するように走り、群れの中に突っ込む。中心に到達した時には既に、ムラサマは振り抜かれていた。
「ピギャア!?」
4匹のドレットパイクは何が起こったのかわからないまま、その場に崩れ落ちた。
「おお……!今の技は一体!?」
「抜刀術・疾風怒濤。抜刀の勢いに乗せて、高速で刀を振る技で、先制や不意打ちに向いている」
目を輝かせて聞いてくるエミールに対し、シュウジは何でもないように答える。ちなみに、使えるのはゴッドイーターだからというわけではない。シュウジが人g……並外れた身体能力を持っているから使えるのだ。
周りにアラガミはいない。それを確認しムラサマを納刀したが、その瞬間辺りの空気が変わった。
「構えろ。どうやら、向こうから来てくれたみたいだ」
言い終えると同時に、二人の正面にコンゴウが落ちてきた。そして、こちらを振り向くやいなや空気の塊を発射してきた。
「甘いな。そんなんじゃあ俺には当たらないぞ」
「僕だってそんな物にあたらなぐぼあっ!」
シュウジが体を反らすだけで避ける一方、エミールはまともに喰らってしまった。
「もっとよく見ろ!なんだったら、あれを俺だと思え!」
「そんなことはできない!あの猿が君だなんて!」
「馬鹿!便宜上の話だ!」
そのやりとりで出来た隙をコンゴウが逃すはずがなく、今度は二人に向かって回転突進を繰り出してきた。
「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ……」
それを見たシュウジはムラサマを大上段に構え、気合をためる。そして、二つの影が交差した瞬間、コンゴウは真ん中から断ち切られ、シュウジの左右を通り過ぎていった。
「これはまた見事な技をろろろろろろろろろろ」
「いやまあ、気持ちはわかるが……」
視線の先には、―――見せられないよ!―――ているコンゴウが転がっていて、それを見たふたりは、シュウジはなんとこらえたが、エミールは吐いてしまった。
「ん?そういえば……ドク、アラガミを斬ってもバーストにならないんだが、どうしてだ?」
『ああ、それなんだが……実はあれは神機の不具合でな。今のところはなんともないが後に何かあっては困る。というわけで修理しておいた。言うのが遅れてすまないな』
「謝ることはない。むしろ、こちらが感謝すべきだ」
『そうか。では、引き続き頑張ってくれたまえ』
「了解」
「シュウジ、僕たちの目的は達成したようだが、どうするんだい?」
「そうだな……雑魚狩りでもしておこう。お前はあっちを頼む」
「わかった」
二人はここで、それぞれ北と南に別れた。
「さて、別れたのはいいものの、何一つとしていないな……?あれは……」
そこで見つけたのは回収素材。新しい武器を必要としないシュウジには不要かと思われたが、それはシュウジを沸かせるのには十分だった。
「お、おおお!これは……玉鋼!これでまた新しい刀を作ることができる!そうだ、他にはまだないか……」
だがその喜びも一瞬で破壊される。
―――ドドドドドドドドド……!
何か大きなものが迫ってくる音。それは北から、エミールがいる方角から聞こえてきた。それだけで先程までの感情を殺し、臨戦態勢に移行した。
そして、曲がり角からエミールと、白い狼のようなアラガミが現れた。
「な、なぜだ!なぜ神機が動かない!? !うわあっ!!」
エミールが叫んでいるとおり、彼の神機が動いている様子はない。
彼は必死に逃げていたが、ついに追いつかれ、弾き飛ばされてしまった。それで体を強く打ったらしく、気絶してしまい動かなくなった。
「神機が……?まさか、あれが感応種なのか?」
感応種―――赤い雨が原因で発生したと言われる新種のアラガミ。様々な能力を持ち、従来の神機使いでは対応できず、そのためにブラッドが組織された。つまり、シュウジ達の専門分野である。
「グルルルルル……」
アラガミはエミールからどうでもいいというふうに目をそらし、シュウジのほうを向いた。対して、即座に反撃できるように構えたのだが―――
―――ドクン―――
「かっ!?」
―――謎の痛みが彼を襲った。それはだんだんと増していき、ついには膝をついてしまった。
「しま……ごはっ!!」
それを見逃すアラガミではなく、走り寄り、殴り飛ばした。さらにとどめを刺そうと、右腕を展開させ、跳び上がって踏みつぶそうとしてきた。
「なん……とぉ!!」
出せる力を振り絞り、ムラサマを叩きつける。空中にいたアラガミはそれを避けることができず、喰らい、弾き飛ばされた。見ると、ちょうど左目に当たったらしく、潰されていた。
「アオォォォォォォォン!!」
予想外の攻撃を受け怒ったアラガミは、今度こそ止めを刺そうと、突進した。だが、シュウジにはもう立ち上がるだけの力すら残っていない。また、痛みもまだ増している。
(ここで、終わるのか)
アラガミが迫って着るのがスローモーションで見たを最後に、シュウジは意識を失った。
―――ドォン!
一発の弾丸がアラガミに直撃した。
「大丈夫か!?」
ジュリウス達、他のブラッド隊が来てくれた。ジュリウスはシュウジの介抱をして、ナナ、ロミオ、ギルバートは銃撃でアラガミを押しとどめている。
「アオォォォォォォォン!!!」
「くそっ!隊長、早くシュウジを安全なところに連れていけ!」
「わかっている!」
「ああ!まずい!」
アラガミが3人を飛び越え、後方にいるジュリウスとシュウジに向かって再び走り出した。
―――ドクン
刹那、辺りに波動が響き渡り、アラガミは足を止めた。
―――ドクン!
「なんだ、これは?」
「な、何?」
―――ドクン!!
「これって、あの時の隊長と同じ……」
―――ドクン!!!
「まさか……!」
―――ドクン!!!!
波動の中心にいたのはシュウジ。彼はジュリウスの手を振り払うと立ち上がって笑った―――否、嗤った。
「クク、ハハハハハハハハ!!おいワン公、死にたいのはお前か?ハッハッハッハ……」
「グ、グルルルルル……」
アラガミは怯えていた、目の前にいる得体の知れない存在に。アラガミは恐怖していた、そこにいる強者に。そして、アラガミは逃げるように、走り去っていった。
「ちっ……つまらねぇ奴だ」
「なあ、お前、シュウ……だよな」
「ん?そうだ。まあもっとも、”俺も”と言った方が正しいけどな」
「俺も?」
「ああ、俺は、こいつの闘争心の塊だ。あぁ?けっ、もう時間かよ……じゃあな」
それだけ言い残すと、シュウジは再び意識を失い、倒れてしまった。
反省はしている。後悔は……していない?