GOD EATER The SAMURAI 作:umiusi
「さすがに今回は断ることはできないか……」
「じゃな……」
極東の居住地区にあるとある道場。そこでは二人の青年と一人の老人が話し合いをしていた。
「心配しないで、兄さんが言っても俺たちで何とかするから。新しい道場主も見つけたしね」
「ならいいが、それは誰だ?」
「もうそろそろ来ると思うよ―――ほら」
アキヒサが話し終えると同時に、道場の扉が開き、男が入ってきた。その男は、シュウジ達と違い、欧米人種だった。
「お呼びでしょうか、アキヒサ殿、ゲンブ殿」
「サム?新しい道場主というのはサムのことか?」
「うん、サムエルさんなら俺よりも強いし、いざという時の判断も任せられるしね」
「あの、話が見えないのですが……」
男―――サムエルは戸惑ったように聞いた。どうやら話はされていないようだ。
「サムエル、今日お前を呼んだのはほかでもない、お前にこの道場を継いでほしい」
「な!?今の師範はシュウジ殿です、その師範に私は勝ったことがありません。なのに何故私に道場を継げと?」
「それはシュウジから話す」
ゲンブから促され、シュウジは口を開いた。なぜこうなったかを話すために。
「先日、フェンリルから通達があった。なんでも、新しいタイプのゴッドイーターになる可能性があるそうだ。断ろうと思ったが、どうやらできないらしい」
「そうですか。ですが、それならアキヒサ殿かゲンブ殿がもう一度師範代になればよいのでは……」
それが妥当な判断だろう。しかし、アキヒサとゲンブは首を横に振った。
「儂ももう歳じゃ、昔のように動くことはできん」
「確かに俺が継ぐのが普通かもしれない。でも、さっき言った通り俺よりかサムエルさんの方が強い。だから、勝手な話だけどあなたに任せたいと思う」
「サム、俺からも頼む」
シュウジは、サムエルに向かって頭を下げた。
「そんな……!顔を上げてください」
自分の尊敬する人間が頭を下げたのだ、サムエルが焦るのも当然だろう。
サムエルはシュウジにそう言うが、シュウジが顔を上げる気配はない。寧ろ、先ほどよりも深く頭を下げている。
「………分かりました。サムエル・ホドリゲス、不肖ながら、この道場の師範を務めさせていただきます」
「ありがとう」
(良い目だ、やっぱり、サムに頼んで良かった。これならここも平気だろう)
シュウジは立ち上がると、サムエルのもとへ行き自分の刀を差しだした。
「お前にこれを託す」
「これは……マサムネ!?」
「ああ、俺からの祝いに品だ。遠慮はいらん」
マサムネは、シュウジが自ら素材を集め、鍛えた刀だ。その出来は、人に厳しいゲンブでさえも名刀と言わざるを得ないものだった。
「ありがとうございます。この刀を扱うに相応しい腕になるよう、精進いたします」
「……よし、じゃあ、行こうか。じゃあな。アキヒサ、爺、サム」
シュウジは出て行こうとしたが、それをゲンブが止めた。
「待て、その前にお前に渡すものがある。少し待ってろ」
ゲンブは外に出て、蔵の中に入って行った。少しして出てきたゲンブの手には、日本刀のようだが、鞘に引き金があるという、変わった刀を持ってきた。
「それは?」
「月刀家に伝わるものだ。と言っても、何百年も昔ではなく、アラガミがこの世に現れる少し前に作られたものだがな。銘は、ムラサマじゃ」
「ムラサマ……」
シュウジはムラサマを受け取ると、さっきから気になっていた引き金を引いた。すると、
バァン!!
という音とともに、刀身が打ち出された。普通の人間なら、これに反応できず刀を落とすだろう。しかし、シュウジはこれに反応した。
「……!!」ヒュオン!
ムラサマは、シュウジの手に収まり、その姿を露わにしていた。
それは、血のように赤く、紫電を纏っていた。
「居合切りを最大限に活かすための作りか。おもしろいな」
「ふむ、やはりお前ならこれを扱えるか。シュウジ、ムラマサはお前にやる。マサムネが無くなった今丁度いいだろう」
「ハ!爺にしちゃ気の利いた餞別だな、だがまあ、礼を言う。ありがとう」
「はっはっは!気にするな、さっさと行けい!小童よ!」
「言われずとも!」
こうして、シュウジは道場を出て行った。始まりの地へ向かうために……
さあてどうやってムラマサを神機にしようか……