GOD EATER The SAMURAI 作:umiusi
そういえば1月の8辺りにまたアップデートがあるみたいですね。PCとNPCの晴れ着姿が特典で。
「はー、終わった終わった」
「シュウ、凄かったねー。まさか素手でアラガミを倒すなんて思わなかったよー」
「規格外……としか言いようがないな」
実戦訓練が終わり、帰還した三人は寛いでいた。
言うまでもないが、シュウジは感心される、驚かれる、呆れられるなど様々な評価を受けていた。
「おお、此処にいたか、シュウジ」
「ん?ああ、ドクか。どうかしたか?」
現れたのはドクだ。シュウジは見た感じの雰囲気からドクが労いに来たわけではないと悟る。
「一つ聞きたいのだが、戦闘中あの斬撃以外に何か体に変化はなかったか?」
シュウジは考え込む。やがて、思い当たることがあったのだろう。顔を上げた。
「そういえば……一瞬だけ体が軽くなったように感じたな。講習で聞いたバーストに症状が似ていたがそのことか?」
「ほう、やはりそうか。モニタリングしていて気付いたのだが、その刀、ムラサマだったか。それがアラガミの血を吸い、簡易的な捕喰を行っているようだ」
「えぇ!?」
「そんなことがあるのか!?」
「なんと……!」
三人三様、それぞれ驚く。それにしても、血を吸うとは、まるで妖刀だ。
「それも神機になった影響か?」
「斬撃モードはそうだが、これはもとからあったようだ。斬撃モード中に起動する高周波もな。もっとも、そのムラサマの構造は把握しきれていないからよく分からないがな」
「把握しきれていない」、ドクは確かにそう言った。この男でも解析できないとは、ムラサマは一体なんなのだろう。
「待てよ……確かじじいが寄越した荷物の中にムラサマに関係あるものがあったな。少し待っていてくれ。持ってくる」
シュウジは席を立ち、自室へ向けて走っていく。しばらくして戻ってきたシュウジは微妙な顔をしており、その手には小さな冊子が収まっていた。それは、比較的新しいと思われる物だった。
「それがか?」
「ああ。でも、なんか、なぁ。よく分からないけど、なぜか取説なんだよ」
「「「は?」」」
ドクに手渡されたそれは、確かに取扱い説明書だった。少々面喰ってはいるが、ドクはそれを読み始めた。
「まずはこの刀の由来からいこう。『高周波ムラサマブレードについて。これは、近年裏社会で発展しつつある、サイボーグに対抗するために製造されたものです。そのため、高い切れ味と耐久性を誇っています』……サイボーグか。昔は面白いものがあったのだな。次へ進もう」
サイボーグ。体の一部、または全体を機械に改造された人間。今ではそのようなものは存在しないし、聞くこともない。あっても認められないだろうが。しかし、それが残っていないとなると、ムラサマの元の持ち主が殲滅したか、秘密裡に処理された、もしくは、アラガミに喰われたか、だ。
「『機能について。これには、高周波、吸血の二つの機能があります。高周波は、刀身に高周波電流を流し、対象の分子結合を弱めることで切れ味を高めます。吸血についてです。ムラサマには、高周波の動力として、燃料電池が搭載されています。この機能は、サイボーグの血液である伝導性プラスチックを吸収し充電するものです』だそうだ。どうやら吸血の元になったのはこれのようだな」
「さいぼーぐ?よく分からないけど昔はそんなのがいたんだねー」
「どちらにせよ人ならざる者を相手にするための刀か」
「そんなところだな。ところでシュウジ、これを暫く借りてもいいか?もっと詳しく調べたい」
「いいぞ。どうせ俺が持っていても仕方がない」
「ありがとう。おお、そういえばいいのか?ラケル博士の所へ行かなくて。呼んでいたぞ」
「「あ」」
シュウジとナナは声を上げて固まった。帰ってきた時にそのことは聞いていたが忘れていたのだ。
「シュウ、お先!」
「あ、おい待て!……集まる場所どこか知らないのに、どうやって行けと?そうだ、ジュリウスは場所知って……いない」
ナナは走り去り、ドクは研究室に向かい、ジュリウスはいつの間にかいなくなっていた。仕方がないので、シュウジは勘を頼りに歩き出す。
「ミーティングルームってどこだよ……そもそも、ここどこだ?」
完璧に迷っていた。フライヤが広いうえに、シュウジはやや方向音痴気味なのだ。仕方ないと言えば仕方ない。
ドン
「っと」
「あ……」
そうこう迷っていると、角を曲がった瞬間誰かとぶつかった。シュウジはすぐに体勢を立て直したが、ぶつかった女性は車椅子に乗っていたためそうはいかず、バランスを崩し倒れそうになる。
「危ない!」
間一髪、助けるのが間に合った。
「ええと……」
女性は恥ずかしそうな声を上げる。というのも、身長の問題でシュウジが女性を抱き上げる形になっているからだ。
「すいません、今戻します」
さらに、車椅子に戻す際に、右手で背中を支え、左手で足を支える持ち方、所謂お姫様抱っこをした。そのため、女性は頬を赤くし、更に恥ずかしそうにする。
「すいません。前を見ていなかったので。お怪我は?」
「いえ……大丈夫です。それより……探しましたよ、シュウジ」
「あなたは?」
「私はラケル……ラケル・クラウディウスです……」
「ああ、あなたが」
どうやら、シュウジを探していたようだ。わざわざ自分から探しにに来るとは珍しい。
「ええと……その、集まる部屋はどこに?」
「ふふ……ついてきなさい。案内します……」
ラケルの後をシュウジはついて行く。シュウジは車椅子を押そう思ったが、自動で動き出すのを見て必要ないと思いやめた。
「シュウジ、あなたは私のことをどう思いますか?」
「といいますと?」
「たまに……不思議なものや、気味の悪いものを見る目で見られるので……」
立ち止まり、少し考える。
「んー、別にそうは思いませんけど。俺個人の意見ですけど、博士が自分のことを自分だと思っているならいんじゃないですか?十人十色、人の個性は人それぞれと言いますし」
笑いかけながら、ラケルにそう言う。ラケルは少し驚いた顔をし、やがて微笑んだ。
「そうですか……そうですね、私は私。ありがとうございます、参考になりました」
「どういたしまして」
そうか話しているうちに、目的地に着いたようだ。中に入ると、すでにナナとロミオがいた。
「やっと来た。何してたんだよシュウ」
「いやー、道に迷った。だってここに来てから自室とロビーと庭園にしか行ってなかったし」
ならば地図を見ればいいだろう、と思う人もいるかもしれない。しかし、彼は地図を見ない。面倒だから。故に、いつも自分の足でその場に赴き道を覚える。方向音痴のため時間がかかるが。
「話を始めますよ……」
ここでラケルが二人の会話を遮る。本題に移るようだ。
「先ほどの…実地試験の結果を見ました……おめでとう、三人とも合格です……これで、正式にブラッドに配属されることとなります」
「よかった……」
「シュウは心配しなくてもよかったと思うよ?ってあれ?先輩もまだ候補生だったんですか?」
「う……うん、まあ。ハ、ハハハ…」
三人とも無事合格したようだ。ところで、ロミオはどのようなことをしていたのだろう?二人の試験はジュリウスの独断だったから、一人でいたロミオのは普通に行われたのだろうか。
「今日はもう、ゆっくりお休みなさい……任務は明日からになりますから……」
「分かりました。よし、ロミオ飯食いに行こう。大丈夫奢らせるとかそういうの無いから」
「いいよ。何食おっかなー」
「あ、私も行くー。それじゃ、博士もおやすみなさい」
三人が出ていくと、入れ替わるように赤毛の背の高い女性が部屋に入ってきた。ラケルの姉、レア・クラウディウスだ。
「どうだった、あの三人?」
「ええ……一人、気になる人がいました……」
「へえ……!」
レアは少々驚く。理由はいつもなら全員と言うが、今回はそれが一人ということ。それとその人物を「子」ではなく「人」と呼んだからだ。そして決め手は……
「あのようなことをされたのは初めてでしたので……」//
頬を赤く染めていることだ。
「へえ……それで、その人の名前は?」
「月刀、シュウジです……」
「そう、分かったわ…………私の目が黒いうちは妹に手は出せないから。覚悟しなさい、月刀シュウジ」
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「っ!?」ゾワッ
「どうかした?シュウ」
「い、いや、なんでも……」
(なんだ今のは。何かとてつもなくいやな感じが……気のせいか?)
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「お姉様……?」
「なんでもないわ。そう、なんでも……ね」
後に、シュウジはこう語ったという。「シスコン怖い」、と。
いつの間にかラケルにフラグを立ててしまっていた件について。
なんでこうなった?