GOD EATER The SAMURAI 作:umiusi
補足
文章中には書かれていませんが、ちゃんと小技は使われており、実は割と時間はたっています。
ミッションを無事終えた三人はフライヤに帰還し、それぞれで寛いでいた。しかし、そこにドカッ、という音が響く。その音がしたところにはロミオとナナ、そして見慣れない、若い男がいた。
「ってえ……なにすんだよ!」
ロミオは尻餅をつき男に向かって叫んでいる。どうやら、先ほどの音は男がロミオを殴った音らしい。
その騒ぎを聞きつけ、ジュリウスとシュウジが集まってきた。
「おいおい、どうした?」
「状況を説明してほしいな……お前は?」
ジュリウスが男にそう問うと、男はこう答えた。
「俺はギルバート・マクレイン……ギルでいい。このガキがムカついから殴った。それだけだ。懲罰房なり除隊なり、好きなように処分してくれ」
それだけ言うと男―――ギルバートは去っていった。
「はあ……ロミオ?」
「俺は何もしてないよ!ただ、前いたとこを聞いただけで…そりゃ、少ししつこかったかもだけどさ……」
「いきなり暴力はいけないねえー。でも、先輩もすこし弄りすぎだったかもだけどねー」
話を要約すると、ロミオが初対面のギルバートにいつものように接したところ、少々しつこかったらしい。
「今回のことは不問に付す。ただし、関係は作戦に影響しないよう修復しておくこと。いいな」
「ま、そういうことだ。ほら、お兄ちゃんも一緒に行ってあげるから、謝りに行くぞ」
「無理だよあんな暴力ゴリラ!って……シュウ!お前俺よか一つ下じゃん!?」
「あっはっはっはっはっはっは」
「笑ってごまかすな!」
ロミオがシュウジに向かって突っ込む。しかしシュウジは全く応えていない……かのように思われた。
「はっはっはっはっうぇっほ、ごほ……ああ、やっぱ慣れないことはするもんじゃない」
「じゃあするなよ!?」
そのあたりの云々は置いておいて、ひとまずこの場の空気は和やかなものになった。シュウジが無理をした甲斐があったというものだろう。
「ああ、ここにいたのか」
「あんたか……俺の処分でも決まったか?」
あの後シュウジはフライヤ中を駆けずり回りギルバートを探していた。……まさか庭園にいるとは思ってもいなくて随分と時間をかけたが。
「そうだ。お前の処分は……ロミオたちとの関係の修復だ」
それを聞くとギルバートは一瞬「は?」という顔をし、やがて笑い出した。
「ハハ、そいつはいい。そういえばあんた、名前は?」
「俺は月刀シュウジ、好きなように呼んでくれ。お前のことはギルでいいよな?」
「構わない、Mr.サムライ」
「サムライ?」
「知らないのか?ブラッドに極東からサムライが来たと有名になっているが……」
ぶっちゃけ、当の本人にも心当たりがある、というかありすぎる。彼が使っているのは太刀、しかもワンオフの神機でこのような例はほかに存在しない。更に抜刀術や剣術を基本にした技。そう言われても仕方のないことなのかも知れない。
「……まあ悪くはないか」
―――ギイィィィィィィィ……!
それはフライヤが進行を止める時の音だった。なぜ止まったか?それはフランが館内放送で伝えてくれた。
『フライヤの前方、及び後方に多数のアラガミ。中型種も少数ですが確認されます。ブラッド隊は直ちに迎撃に向かってください』
「ッ!」
「行くぞ、シュウジ」
「!、わかった」
シュウジを最後にブラッド隊が全員集合する。
「全員集まったな。状況を説明する、フライヤは現在、前方と後方を挟まれている。針路を変更しようにも障害物がありそれもできない。また、アラガミの数は後方に集中している。」
「なるほど、突破するには正面の連中を一掃すればいいが、そうしたら後ろからやられる、か。……後ろには俺が回る。ジュリウス、構わないな?」
「ああ。だが同行者がいたほうがいいだろう」
「そうだな……ん?」
なにかの視線を感じ、その方を向く。すると、「あいつを連れていけ!」と言いたげなロミオの目があった。
(はいはい、わかったよ)
「ギル、頼めるか?」
「ああ、ならサムライの戦い方を見させてもらうとするか」
「すまないが俺はこの二人の指揮に就く。お前たち二人になってしまうが、いいのか?」
「大丈夫だ、問題ない」
略すと大問題。はこの際言わない。
フライヤ後部ハッチ。二人はそこに立っていた。
「こりゃ、相当の数だな。行けるのか?」
「フ、当然。……見ておけギル、これが俺の剣だ。それと、今回は全力で行く」
言い終わるやいなや、シュウジは飛び出す。
「いざ、参る!」
群れの数メートル手前で止まり、ムラサマを使うときの特有の抜刀の構えを取る。
「シュクチバットウ…………ズアァァ!」
火薬の爆発力によりムラサマが圧倒的なスピードで打ち出され、抜刀の更なる後押しとなる。
『キァァ…?』
アラガミが数体、突然のことに理解が追いつかないまま地に伏した。だがそれだけでは終わらない。シュウジは撃破を確認すると、すぐさま手近な相手へ……というのを繰り返していった。
「なんと他愛無い。鎧袖一触とはまさにこのことか」
そこにシユウが乱入するが、攻撃をはじかれ抜刀による反撃を受けあえなく崩れ落ちる。
「ギル、そっちはどうだ」
ザシュ「こんなの数だけだ、どうってことはない」
見れば、ギルバートもなかなかの数を倒している。
これならばすぐに終わるだろう……厄介なものさえ来なければ。
「ゴアアァァァァァァ!!」
虎のような体、背にたなびく赤いマント。そう、こんなものが来なければ。
「「ヴァジュラ!」」
ヴァジュラはビルから飛び降りるとまず、すぐ下にいたシュウジを襲った。
「ごはっ!」
いきなりのことであったためと、ヴァジュラの素早さが高かったことから避けきれずモロに喰らってしまう。しかも運の悪いことに、弾き飛ばされた先にあるコンクリートからは鉄筋突き出ていて、腹に深々と刺さっていまった。
「おい!大丈夫か!」
「ぐ……問題ない、それよりも前だ!」
「うっ……!?」
今度はギルバートが攻撃されたが、辛くも避けた。
ヴァジュラは避けられた事にやや悔しそうにしたが、それ以上は取り合わず未だ身動きがとれないシュウジに顔を向けた。
このままでは確実にやられる。だが身動きが取れない、諦めるしかないのか?それに対しこの男が出した答えは……
「ぬぅううあああぁぁああああああ!!!」
否、だ。
「はああぁぁぁぁぁぁぁ!!」
無理にぬこうとすすると痛みが走り力が抜けるため、鉄筋を斬り無理やり動けるようにした。腹に刺さったままだが問題はないだろう。
「ゴアアアアアアアアアアア!」
「さあ…来い!」
お互いが走り出す。そして、衝突する寸前シュウジはスライディングをし、腹の下をくぐり抜ける。その際に斬りつけ、ダメージを与えておいた。
「グギャウ!?…………グルルルルル…」
予想外の反撃に驚き、怒りに満ちた表情で此方を向く。だが、振り向いた時には敵がすぐそこに迫っていた。
「イヤアァァアァァァァァァ!」
渾身の一撃のより顔が結合崩壊を起こす。それを見届けると今度は飛び上がり、斬撃モードを発動してマントをバラバラにする。そして胴体の中間あたりに着地、そのままムラサマを振り抜き、左手を突っ込む。その手にはヴァジュラのコアが握られていた。
『アラガミ反応の消失を確認。前方も終わったようですので、帰還してください』
「了解……ててて…」
「肩を貸そうか?」
「ああ、たのむ」
戦闘が終わったことでアドレナリンの分泌が止まる。それに伴い激痛がシュウジを襲った。
「だいぶ派手にやってたが、いつもああなのか?」
「いや、博士に他の奴らにもっと経験を積ませろって言われててな、普段は少し抑えるようにしている」
「そうか」
いや、そうじゃない。確かに少しは抑えられているが、ほんの少しのためあまり変わっていない。だから現在、通常時は高周波電流を切っておくようにしては、という案が出ている。
「あ、そういえばこれが初めてだな」
「何がだ」
「負傷」
「そうなのか」
意外と気の合う二人のようである。
~そのころ~
「あああ……し、シュウジが怪我を……!こんな時は一体どうすれば……」
「気にしなくてもいいと思うわ、ラケル。だって彼、そう簡単には死なないと思うから」
あれ?ギルが空気……?
さてさて、今回シュウジにとある悪夢さんが憑依しましたが何人気づいたかな?