スカイリムは名作です。
気になった方はSteamかswitchの方をどうぞ。
"定命の者"よ、と呼ばれていたな。ベッドの上でそんな事を考えてみた。
定命の者。"死の概念"を持つ者。寿命を持つ者。
多くの名で呼ばれてきた身ではあるが、確かに自分は定命の者だったのだろう。
現に今、人里から離れた屋敷のベッドで死にかけているのだから。
そう呼んたのはデイドラ達の王、デイドラ・ロードだ。
不老不死の存在。異界オブリビオンの住人。遊び感覚で世界を引っ掻き回す、性質の悪過ぎる邪神共。
人狼や吸血鬼、死霊や精霊、巨人にマンモス、ドラゴンやそれを統べる竜王まで狩った己でも殺せなかった超常の存在。
自分は彼らと関わりを持ち過ぎた。
関わり過ぎた故に、死後の魂がどこへ向かうのか今一分からない。
彼らはオブリビオンに独自の領域を持つ。関わったデイドラ・ロードは全部で16柱。つまり死後の行き先も16の領域のどれかになるのだろう。一応他にも逝けそうな場所はあるが……まあ、可能性は僅かだろう。
さてどうなることやら。あの悪趣味な連中が自分の魂を取り合っているのかと思うと、何とも言えず笑いが込み上げてくる。
「げほっ」
もっとも、老いたこの体では笑う体力すら残っておらず、口からは笑いではなく咳が漏れるのみ。
ああ、本当に自分は死ぬのだな。
記憶を持たないままに山間を彷徨い、知らずに国境を超えたせいで捕まって囚人となり、ヘルゲンで処刑される寸前で
山賊や蜘蛛を斬り伏せ、ドラウグルや熊に矢を撃ち込み、トロールやマンモスから全力で逃げ回り、巨人を追い回してドラゴンを狩った。
山や遺跡を巡って"言葉"をを学び、拾った本を読んでは魔法を修め、様々な薬や毒を作り、武器や鎧を造っては付呪を施した。
野を駆け、山を登り、川や海を越えた。暖かな草原で草を摘み、暗い洞窟や遺跡を巡り、灰に覆われた島を駆け、死者が彷徨う異界を彷徨った。
我が事ながら波瀾に満ちた人生だと思うし、酷い目に遭ったのも両手と両足の指を足してもまるで足りない。
しかし、悪い人生でなかった事だけは断言できる。
種族を問わずに沢山の友人が出来たし、血は繋がらないが娘も持てた。家族や友人に振舞う料理に苦心したのもいい思い出だ。良い人生だ。本当に良い人生だった。
ああ、もう瞼が重い。
旅に出た娘の事と、脳裏に浮かべる事さえ腹立たしい糞婆をこの手で始末出来なかった事だけがが心残りだが……まあ、あの娘ももう一人前だし、糞婆の方も盗賊ギルドを通じて賞金も掛けたから二度と表舞台には出て来れないだろう。
さて、霊体のみとなった者達とは何度か出会ったが、自分もああなるのだろうか? それとも何れかのデイドラの領域へと向かうのだろうか。
ああ、もう考えることさえ……。
「ママ!!」
勢い良く扉を開け、黒い鎧を纏った女性が屋敷へと入ってきた。
「ママ! 今帰ったわ!!」
女性は屋敷の奥へと進んでいく。
女性はつい先日、母の古い知己である吸血鬼から母が病に倒れたという報せを聞き、近くの遺跡に住み着いていた竜を吸血鬼と一緒に半殺しにして、その背に乗って文字通り飛んできたのだ。
同行した吸血鬼もすぐ来るだろう。女性は……ルシアは屋敷の奥へと向かい、母の部屋の扉を開けた。
「ママ!!」
バンッと大きな音を立てて、ルシアは雪崩れ込むよう部屋へと入るが、次に見たものに驚愕する。
「ママ?」
後ろから吸血鬼――セラーナの声が聞こえるが、ルシアの耳には届いていなかった。
何故なら……
「ママ? 何所に居るの……?」
その部屋には誰も居らず、【誰かが寝ていた】という痕跡のあるベットと、窓から入ってくる風にカーテンが揺れているだけだったのだから……。
◇
【クエスト順なら我が一番だ。ドー■■イカーも授けたのだから我にこそ権利がある】
【それを言うのなら我にこそ権利がある筈。これは我がナ■■■ゲールなるぞ】
【馬鹿な事を抜かすな! 我の"星"を穢したこの大罪人は我が領域で永劫の責め苦を受ける定めぞ!】
【この狩人は我が迷宮にこそ相応しい。人狼でなくなったのが残念ではあるが、"指輪"を所持しているのだから問題はなかろう】
【従徒としての契約を奴とは既に締結済みだ。ゆえに、この者はこのペ■イトが貰い受ける】
【剣に裏切りの血を吸わせよと命じたというのに、あれは仕舞い込んで一度も振ろうともしなかった。少々灸をすえてやらねば気が済まん】
【お前等、ちょっとは遠慮したらどうだ? ハチミツ酒でも飲むか? 勿論ド■■ーキンも呼んでよ】
【ド■■ーキンよ、風邪ごときで死んでしまうとは情けない! さようなら! そしてこんにちは! いやおはようだったか!? まあどうでもいいや! 】
【メイスをくれてやったんだ。この魂は貰っていくぞ】
【待て待て、こいつには臆病者の尻拭いをしてもらった借りがある。他の連中にはやれねぇなぁ?】
【黙れウ■■、これの所有権は我にこそある】
【この者は妾の戦士、その死後は妾の下である事がアレの望みだろうて】
【こいつには大事な仕事がある、あの馬鹿犬を連れ戻すという大事な仕事がな! 黙ってアイツの魂を俺に寄越!!】
【こいつは我が勇者だぞ? 我が領域で下僕共と戯れる事こそ相応しい】
【まあ待て、我が従僕が何処に逝きたいのかなど決まり切って……うん? ハル■■ス・モ■は何所に行った?】
【あっ!? ド■■ーキンの魂も消えてやがる!!】
【あの触手野郎!! 持ち逃げしやがったな!?】
◇
【言った筈だ……忠実に働けば十分な見返りを与えると】
「―――――――――」
【貴様は良く働いた。故にその魂、他のデイドラにくれてやるには些か惜しい】
「―――――――――」
【―――貴様を連中の手の届かぬ所へ送ってやろう。
「―――――――――」
【礼など要らぬ。ただ契約を果たすがよい】
「―――――――――」
【契約に従い、新たな知識を私にもたらせ。我が従者、最強のドラゴンボーンよ】
この
しかし、幸か不幸か彼女の物語は別の世界へと持ち越される事になる。
それが何を意味するのか、どんな物語を紡ぐのか、それは送り出した者を含め、誰にもわからない。
短い上に前半に力を入れ過ぎたせいで力尽きたモノ。
ドヴァーキンの魂を取り合ってる連中の口調はやや適当です。
彼女の魂が何処に向かうかは未定だったりする。