ザコ敵から逃げたらボス部屋に来ちゃった…   作:カナーさん

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 少女ふうのは絶賛絶体絶命のピンチだった。なんてことはない紫色の敵__ワームの数が異常だった。

 ワームだけではない。ふうのを害する生物達がまるで何かに逃げるように溢れ出してきた。それに銃弾を使い切ってしまい、進みが遅いワーム達が多く残ってしまっていた。

 

 危険は承知だった。だがカードキーを手に入れたレーダーサイトという建物から出た途端、まるで腹を空かせた獣の檻を開けたように、雪崩込んでくるとは思わないだろう。

 

 だからこそ、逃げ込んだ建物にあったエレベーターにカードキーに付属してあった最重要災害生物隔離施設と描かれたカードキーが反応したのだから、エレベーターに、しにものぐるいで逃げ込んでも仕方なかった。

 

 エレベーターは自動で地下へ進んでいく。ワームから離れ幾分か落ち着いた時にそれは気付いた。あまりにも頑丈なのだ。それに関しては全くの無知であるふうのでも今まで利用していた物とは、一線を画していると分かる代物だった。それに思い返せば扉も二重構造だった。

 

 そしてさらに気付く。エレベーター内を観察していたが、しばらくしても止まらずドンドン下へ降りていく。

 四階とか八階とかそういうレベルではない。

 頑丈そうなので重くて動きが遅いのかもしれないが、それでも不安は拭えなかった。

 

 ゴォン〜ッ

 

と機械が唸る音がのみが体育座りのふうのに響く。かれこれ十分以上エレベーターに乗ったままだか、一向に止まる気配がない。とはいえ現状ふうのにはどうすることも出来なかった。

 

 何度見てもボタンは開と閉のみで、緊急停止ボタン等のものはなく、ケイに助けを求めることも出来そうになかった。

 

 もちろん、最悪配線を切って動きを止めることも考えはした(出来るかはともかく)。だがそれをすると今度は、ふうのを護ってくれた、この頑丈な造りのエレベーターが鉄の檻としてふうのを縛る。

 

 

 先程まで逃げていた恐怖とは別種の恐怖がふうのを襲う。エレベーターには備え付けの非常食がこういう事を想定されていた、と物語っている。

 

 

つまりここで数日くらいは堪えなくてはならない。堪えて外から救援を待たなくてはならない。そこまで考えが至り、ふうのは自分を抱きしめるように体育座りをして、貰った黒い上着が擦れる音と壊れたラジオのように狂ったように鳴り続ける機械の呻く音のみがエレベーターの端の方でジッと動かずいる体を震わしていた。

 

 最初に入れられていた部屋では、監視カメラから観られているような不快感があったが、今ではそれすら恋しく思ってしまう。このままでは自分は誰にも悟られずに…。

 

 そんな最悪のビションが頭を空回りして、エレベーターから重苦しくて、耳をつんざく音で現実に戻された。

 

 久しく聞いてなかったエレベーターの扉の開く音がふうのに届く。ガシャンッと扉が全開きになり、ハッと意識が戻り、そして急いでエレベーターから飛び出した。

 

 ふうのが出てくると示し合わしたように、扉が自動で閉まる。それを見届けると、出てくるのに必死だったため意識になかった部屋にゆっくりと顔を向ける。

 

 そこは協力かつ生存者のケイがいた管理室に似ていた。違う点があるとするなら全て同じ場所を撮しているのか病院のように白い部屋を撮していた。

 

 この島、この場所に似合わないモノがその部屋には溢れんばかりあった。…それはむしろふうのに馴染みのある物ばかりだった。

 

 どこにもある木の本棚に同色の机に椅子。少し離れた所には冷蔵庫に電子レンジにオーブントースターに少し前のほうにちゃぶ台と、まるでキッチンのような区画だった。

 

 ちゃぶ台の上には、湯気立っている(・・・・・・・)湯呑みと人魚が描かれたページが開かれたままの本が、ぽつんっと取り残されていた。

 

 「…!?」

 

 誰か居た。そう思い当たった時に後ろから音が唐突に響いた。バッと振り向くとそれは稼働を始めていた。それは過去にふうのを救ったものだった。ふうのをあの大男から断った障壁(・・)がエレベーターの入り口を塞ごうとしていた。 

 

 「まっ……!」

 

 そこを閉められたら帰れない。必死に手を伸ばそうとしたが踏みとどまる。その間、ガシャンっと南京錠をはめたような無情な音がふうのに届く。

 

 あのまま手を伸ばしていたら手を巻き込んでいただろう。とはいえそっち方が良かったかもしれないとふうのは思った。出口のない鉄の牢獄に閉じ込められたまま

餓死するよりは…。

 

 そんな思考を閉じられた障壁を見ながら浸っているいた時だった。

 

 カタン、

 

 泥沼にハマった思考と静寂な管理室から不意に背後から聞こえた。

 ピタッと停止する思考と体。静まりかえった部屋の中空気、背後を感覚が探った。  

 

 ふうのはゆっくりと古びた扉のようにギギッと振り向いた。

 そこにはさっき見た管理室と何ら変わりなかった。椅子があってモニターがあって、机には乱雑に置かれた紙束に机の端に置かれた湯呑み…。

 

 「………ッ!?」

 

 顔が強張り、心臓が跳ね上がった。

 湯呑みから湯気立っていた(・・・・・・・)

 バッとモニターに視線を移す。

 …やはりない。ちゃぶ台の上にあった、本と湯呑みが消えていた。ほかのモニターを見るがどこにも映っていない。

 

 ドッドッと心臓の音を感じる。あの湯呑みの置き方は側にある椅子から置かれたような位置なのだ。そして背もたれはケイが座っても隠れてしまうほど大きく、そこに誰かいるのか視認できない。

 

 だがその背もたれは若干傾いていた。黒い上着を強く握る。ふうのは先程確認した。ここは自分を除いて無人。死体もない。椅子の上にも死体や物が乗ってはいなかった。些細なこと情報がほしい現状、見逃すはずがない。

 

 だがいる。何かがいる。そしてそれはある程度知性を持っている。ヤツらは開け放しの扉なんかは通ってくるが機械を操作した所は見たことがない。どれも獲物に真っ直ぐでそれ以外は見向きもしない。故に、すぐ襲ってこない何かはヤツらではないのだろう。

 だが感染仕切っていない研究員の可能性も捨て切れなかった。どちらかというとこちらの方が可能性は高かった。ふうのを閉じ込めたのもそれで理由がつく。

 

 「だれ、だれなの!?」

 

 悲鳴に似た叫びを上げながら問いかけた。

 もう限界だった。どういう訳かふうのかなり参っていた。空気がどんよりとした不安感と圧迫感がそれを煽っていた。椅子より奥のモニターが薄く妖しくふうの達を照らしている。

 

 スーッと背もたれがこちらを向く。

 

 「…あんたこそ誰だよ」

 

 いたのはふうのより身長が高くケイより低い青年だった。中高校生くらいだろうか。膝に先程見た本を乗っけて気だるそうにふうのを見据えていた。

 

 「…あんた名前は?」

 

 「…ふうの」

 

 「ふうのか。俺の名前は聞かんでくれ。ここじゃあ適当な名称で呼ばれてたからな」

 

 「あなたもここに閉じ込められていたの?」

 

 「…まあ、そうだな。期間でいうと7.8年以上、こんな場所にずっとさ」

 

 「ひどい…わね」

 

 あぁ、本当にね。とウンウンと頷きながら肯定していた。その姿は年相応の姿で、不自然はなくジャージ姿にもとくに気になる点はない。

 

 「なんだ?あんたも俺をここにいた奴等見たいな目で見るのか?」

 

 「ご、ごめんなさい」

 

 別いいけどな…っと不機嫌そうに本に目に落とす。

 色々壊された気分だった。力んでいた体からスゥと力が抜けていく。

 そのままペタンと床に座る。冷たい床に足の体温が抜けていく。

 

 「少し思うところがあるが、本当に気にしてないからな?」

 

 勘違いしたのか態々訂正してくる。久しい感じだ。今のふうのには遠い日常がここには微かだがあった。

 

 「そ、そうなんじゃないわ」

 

 「まあ、いいが。で、あんたはなんでこんな所に?あんたは研究員でも職員でもなさそうだが」

 

 ふうのはここまでの経緯を話した。

 

 「…あんた凄いな。よくこんな施設で生き残れたな。とにかくわかった」

 

 そう言いながら障壁に歩いていく。

 

 「いったいなにをするの?」

 

 「うん?あんた、このまま上に戻っても奴等がいるんだろ?丸腰じゃなす術ないんだろ?俺がどうにかしてやっから」

 

 「で、でも障壁が」

 

 「あぁ、これ?」

 

 ガァァと重い音が響き渡る。エレベーターの扉も一緒に動作したのか開いていた。

 

 「おら行くぞ。女の子を助けたいんだろ?」

 

 

 

 

 ガタンという音と共に特有の浮遊感とでもいうものの感覚がなくなった。そのまま重苦しい音を鳴らしながら扉が開く。

 

 バッと身構えたがサァという葉の擦れる音のみが辺りを支配していた。

 

 建物を出て辺りを見渡してみたが影も死骸も見当たらない。

 

 「あれ?」

 

 「どうした?行くぞ。俺は外出なんて許されなかったから道がわからないだが」

 

 「そうね。こっちよ」

 

 彼に催促され進み始めるふうの達。蟲のようなヤツと犬のまでヤツの姿が見れないのを不思議に思いながらレーダーサイトという建物に向かう。彼からの要望でまずは一番近い建物に行きたいらしい。

 そんな彼だが上を向いたままボ〜と空を眺めて、ふうのとは対照的に歩いていた。

 

 「空って前から青かったよな、そういえば」

 

 「そうよ?空が青くない所で育ったの?」

 

 「前も青かった筈だけど、長いこと見ていなかったからか何か疑問に思ってな」

 

 「安心していいわ。昔から青いわよ。さてここよ、体調はだいじょうぶかしら」

 

 「そうだな行ける」

 

 じゃあと進もうとするのガサッと茂みから掻き分けたような音がいやに耳に付いた。

 

 バッと道に飛び出して来たのは一匹の犬型のヤツ。唸り声を上げながらこちらに走ってくる。

 

 「下がって!!」

 

 頼りである武器の銃弾を補充出来なかったのもあるがふうのは焦っていた。一匹ですらかなり厄介なのに加え銃が使えない状況で、さらに今は一人ではない。

 だが彼は守らなくちゃとふうのは無意識に動いていた。だが彼は…。

 

 「ん?大丈夫だ、進んでくれ」

 

 とまるでピクニックにでも行く陽気さで進んでいく。

 

 ガシッと彼のジャージを強く握りしめて

 

 「いいからにげて!」

 

 ともはや叫びに近い声を彼に投げる。それでも彼は止まらない。

 

 ザクザクと砂利を踏みしめて悠々と進んでいく。

 

 犬型は脚が速い。だからもう無理だとふうのは悟り、せめて彼だけでもと彼の前に飛び出して彼を護ろうとした。

 

 だが犬型の足音はいつまでしても聞こえてこない。彼もふうのが進行方向にいるからか、留まっていた。

 風が凪いでいる。心地良い音がふうのに届く。

 

 疑問に思い瞳を開ける。犬型の姿はどこにもなかった。顔を勢いキョロキョロと動かして見るがやはりいない。

 彼が何かしたのか?そう思い彼を見上げるが

 

 「休むか?」

 

 とどこに持っていたのかハサミをカチャカチャ動かしながら投げかけた。

ふうのが欲しかった言葉は出てこなくて、代わりにふうのが心奥で求めてる日常を彼はこの異常の中送ってくる。

 

 「…だいじょうぶよ」

 

 サァと風にあおられて林が鳴いている。ここの一コマを切り抜きたら格好以外はふうのが求めてる…まるでさっき見た犬型のヤツらは幻で、夢ではないとないかと一瞬かん…頭を振って霧散させる。

 

 こうしている間もあの子はもがき苦しんでいる。

 

 切り替えるためパシッと頬を手で叩いた。それに若干驚いたのかジャリジャリと足を引きずる音が自然な音の中で響き渡る。それにフフッと小さく笑いながら進んでいく。

 

 

 




公式を見てきたのですが小説を書いていいのかわからなかったので、取り敢えず反応を見てみたいと思います。

それと断章のグリム要素と合わせてみたいですね。人魚姫とか。それもやっていいのか判断があやふやだったので取り敢えず書いちゃえと出来たのがこの作品。
感想あるといいな〜。
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