万丈「まあ傍からみりゃ中身二十六のおっさんが幼女の服脱がせたってだけなんだけどな」
桐生「それを言うんじゃないよ!まるで俺が犯罪者みたいじゃん!」
万丈「いや、俺ら元の世界じゃ指名手配されてたし、どっちにしたって同じだろ」
桐生「全然ちげーよ!つか、お前だけ実害ねえじゃねえか!」
万丈「そりゃー俺関わってねーしな」
士道「て、いうか!俺の話題には触れねえのかよ!前回のカッコいい戦闘シーン!」
桐生「人の発明品勝手に持って行った件でノーカンとさせていただきます」
士道「嘘〜ん!?」
桐生「なんかデジャブだなその驚き方………と、言うわけで!新章突入の第二十話をどうぞ!」
第20話 転校生はナイトメアにやって来る
唇を舐めると、汗の味がした。
身体に展開された
過度の運動か、重度の疾患か、あるいは_______異様な緊張感か。
間違いなく後者だろう_____と、折紙は断言できる。
呼吸を整えながら、手にした高出力レーザーブレード、【ノーペイン】をぐっと握り直す。
折紙が纏うCRユニットは、現代の
しかし、今。その折紙は、徹底的なまでに追い詰められていた。
『う、うわぁぁぁあああぁぁぁあっ!!?』
「っ………」
ヘッドセットから悲鳴が聞こえる。これで、九人目だ。
即ち______折紙以外の味方は全て倒されてしまったことになる。
「…………く」
折紙は障害物に身を潜むと、脳内に指令を発する。瞬間、搭載された
その、景色の中心に。
_______白い仮面の少女が、悠然と佇んでいた。
その身には、白と水色のアーマーが纏われ、その上からCRユニットの武装が取り付けられている。仮面の複眼は、青色に鈍く光っている。
そして腰には_____まるで、注射器の類を思わせるシルエットの、バックルとベルト。
それは姿だけを見るのなら_______間違いなく、
_____少女の名は、崇宮真那。
歳の頃は、十四、五といったところだろう。先程見た、今は仮面に隠れた素顔は、年相応のあどけなさが残っていた。
だがその小さな体躯を包むのは、少女にはまるで似つかわしくない、白と水色のアーマーと、その上にある、CR-ユニットだった。
どういうわけか手に入れている、ASTの要注意対象______仮面ライダーの技術と、そのアーマーのハードポイントに装着された、盾のような兵装。CR-ユニットは折紙たちよりも一世代新しく、仮面ライダーのアーマーについては完全な試作品という話である。_____最も、仮面ライダーの技術については、深く詮索をするなとの警告がされていたが。
そして結果は______見ての通りである。
開始から十分と経たずに、九名が既に無力化され、折紙もまた、近接用レイザーブレード以外の装備を失っていた。
これが相手がCR-ユニットのみであったなら、また違った経過になったのかもしれない。だが、結末は同じだ。
このまま隠れていても仕方ない。折紙は身体を浮遊させ、真那の前に姿を現した。
「_____お。ようやく腹が決まりやがりましたか?」
「…………」
背中のスラスターを駆動させ、ブレードを持ち直す。どのみち接近戦しか、折紙に道は残されていない。身体を前傾させ、凄まじいスピードで空を駆ける。
「潔し。嫌いじゃねーです、そういうの」
真那は仮面の下で唇の端を挙げると、左肩のユニットを可変させ腕に装着し、次いで右手に持った武装を展開した。
「【ムラクモ】
次の瞬間、盾の先端部と、右手の武装の円筒部から巨大な光刃が姿を現す。
しかし構わず、《ノーペイン》を振りかぶってスピードを上げる。
だが、このまま突貫しても返り討ちに遭うことは目に見えている。
「_____今」
故に、自分と真那の
そのまま、ワイヤリングスーツとスラスターの接続を解除すると、光の刃を消した《ノーペイン》を抱き込むようにして身体を丸め、真那の脇をすり抜けた。
だが。
「あめーです」
至極落ち着いた様子で、右手に持った銃型ブレード、【デュアルブレイカー】を振りかざし、スラスターを両断した。
そのまま、バックルから何かを取り出し、ブレイカーに接続する。
「_____っ!」
折紙はそのまま、ノーペインの刃を再度出現させ、真那の背中に切っ先を向ける。
しかし、真那にその攻撃が当たる事は、無かった。
「な………っ」
どこからか機械音が流れ、真那が手に持ったデュアルブレイカーが、白い輝きを増し、エネルギーを増幅させる。
次の瞬間、折紙が見たのは_______
まるで狼のような、巨大なエネルギーの奔流だった。
そのエネルギーの奔流は、折紙の
「残念、
「……………っ」
負けを認める他なかった。今のは、彼女があえて外したのだ。それが当たれば、折紙の
『
「ふう、終わりでいやがりますか」
音声が流れるとともに、崇宮真那はバックルから、何か小さな試験管のような形をした、
◆
「んじゃ、行ってきまーす」
「行ってくるぜー」
「行ってらっしゃい。あ、士道は残りなさい。話があるから」
「へ?俺?」
五河家のリビングにて。
戦兎、万丈、士道の三人が登校しようとしたところ、士道のみが呼び止められる。
ちなみに今の琴里のリボンは黒______即ち『司令官モード』だ。恐らく士道はこれから苦労する事だろう。
「ま、まあ。二人は先行っててくれ。後から行くからさ」
「ん、そうか?……じゃあ、先行ってる」
士道の言葉に甘えて、万丈と二人で家を出る。もうすっかり学校に登校するのも慣れた。東都先端研究所に通勤してた時と同じ感覚だ。とは言え通勤してた期間は、そう長い間では無かったが。
今日は六月五日。
もう梅雨の季節だと言うのに、ここ最近は非常に天気に恵まれている。洗濯物が干しやすくなったと、前に士道が呟いていた。
「……先月、雨を使い切ったからだろうなー」
「ん?どうしたんだよ急に」
『ギギー?』
「いや、別に何も」
普通なら雲に遮られているであろう日光が激しく地面に照りつけ、気温が上昇している。さしもの暑さに耐えかね、三人揃って制服が夏服になっていた。普段着のトレンチコートも、今はクローゼットの中だ。万丈の周囲を舞っているクローズドラゴンも、心なしか動きが重い。
と、そこで。
「ん?」
「おい、あれって………」
陽光の中、五河家の真ん中に立っていた人影を目にして、思わず目を見開いた。
そこにいたのは、琴里とほぼ同年齢の女の子だった。
薄手のワンピースと白の麦わら帽子の涼しげな服装に、青い髪とサファイアのような瞳が見える。
そして特徴的なのが、その左手に装着された、コミカルなウサギのパペットだ。
そんな個性的な風貌の少女を、忘れるわけがない。
「四糸乃じゃん!久しぶり」
戦兎は四糸乃を見つけると、足を進めた。
『やっはー、戦兎くん、龍我くん、ドラゴンくん、ひっさしぶりだねー!』
『ギーギギー!』
と、四糸乃の左手に装着されていたウサギのパペットが、口をパクパクさせてくる。それに応えるように、先ほどまで重い動きだったクローズドラゴンが、軽快に飛び回って鳴き声を鳴らす。
「よう。久しぶりだな、よしのん」
小さく頷いて、パペット____よしのんの方へと返す。
「どうしたんだよ。もう検査は終わったのか?」
『んー、検査自体は結構前に終わってたんだけどねー。ちょーっと練習をしてたのさー』
「練習?もしかして、筋トレか!?」
「お前基準にすんな筋肉馬鹿」
万丈にツッコむ。こいつの中で練習とは、筋トレのことのみを指すのだろう。
だがそれはそれとして、何を練習していたのかは気になるところだ、と、戦兎がそう考えてると。
「…………っ」
四糸乃が、怯えるように肩を揺らす。
そして、震える唇を開いた。
「お………っ、おはよう、ございます、戦兎さん…………っ!」
先月よりも少しはっきりした声音で、四糸乃が言ってきた。
「おおっ!」
戦兎は感心したように声を漏らした。
恥ずかしがり屋な四糸乃は、基本的によしのんに対外的な反応を任せている。少なくとも、戦兎はこんなに大きな四糸乃の声を聞いたのは初めてだった。
「凄いじゃないか四糸乃。ちゃんと挨拶できて!」
戦兎がそう褒めると、四糸乃は恥ずかしげに帽子のつばを下げ、しかし口元を嬉しそうに動かした。
「なんだ、戦兎だけなのか?」
「ま、今はこれでも十分だろ」
万丈が言ってくるが、四糸乃は恥ずかしげにしている。どうやら戦兎以外では、まだ少し恥ずかしいようだ。
しかし、その後も震えながらも、言葉を紡ぐ。
「あっ、あの………学校、がんばって、くださ………っ!」
と、そこで言葉が途切れ、帽子で顔を隠す。ちらりと見ると、顔が真っ赤になっていた。
『あちゃー。四糸乃ったらまーた恥ずかしがっちゃって。ごめんねー、戦兎くん、龍我くん』
「いや、気にすんな」
「ああ。……サンキューな四糸乃。わざわざ来てくれて」
「…………っ!」
戦兎がそう言うと、四糸乃は尚も恥ずかしそうにしながら、しかしコクコクと首を動かした。
「さて。じゃあそろそろ行くか。またな、四糸乃、よしのん」
「じゃあな。元気にしてろよ!」
『ギーギガー!』
『おぉーっと、ちょっと待ってよ戦兎くん。四糸乃の格好について、何か言うことがあるんじゃなーい?』
「っ!よ、よしのん………っ!」
「格好?」
四糸乃が赤くなりながら、よしのんを押さえようとする。戦兎はちらりと四糸乃の方を見て、最後に会った時と違う点を見つけた。
「そういや四糸乃。今日は麦わら帽子なんだな」
「………っ、……は、はいっ」
四糸乃が一瞬よしのんの陰に隠れようとして踏みとどまり、小さく頷いた。
「今日は……暑いからって、その、令音さんが………それで…………」
「あ、そう言うことか。似合ってる、可愛いと思うぞ」
「……………っ!」
戦兎が言うと四糸乃は顔をボンっ!と、赤くして俯いてしまった。
照れ屋なところはまだ変わっていないようで、思わず苦笑してしまった。
「……お前、やっぱロリコンか?」
「だから違うって。その視線やめろ」
隣の万丈が何処か冷めた視線を送ってくる。
とはいえ、戦兎が向けている視線はそういうものではなく、どちらかというと妹に向けるような感じであるため、大丈夫であろう。
「って、そろそろ行かねーとな」
「そうだな。そういや士道は来てねえのか?」
「まあ後から来るし、先行って待ってよーぜ」
戦兎がそう言うのとほぼ同時に、四糸乃がペコリと頭を下げた。
「きょ………今日は、これで………失礼、します。いってらっしゃい………戦兎さん、龍我さん、ドラゴンさんー
「おう。行ってくる」
「ああ、また来いよ」
『ギガガー!』
戦兎と万丈が軽く手を振る。四糸乃はもう一度お辞儀をすると、とてとてと道の向こうへ走って行った。
◆
「ん?遅かったな士道、と………十香か」
「何かあったのか?お前ら」
「い、いや………ちょっとな」
『キュルゥ』
結局士道が来たのは、戦兎達が学校に着いてから二十分くらい経ってからだった。朝のホームルームが始まる十分前だ。心なしか士道の表情がげんなりしているように見える。
「よっ、五河。いつもより遅いと思ったら十香ちゃんと一緒か?妬けるなぁこのこの」
すると、士道たちの元にクラスメイトの殿町が目を向けてきた。
「からかうなよ殿町」
「む、むう。一緒に学校に来るのは駄目だったのか………?知らなかったぞ………」
すると、殿町が若干焦った様子で手を振る。
「い、いやいや。冗談だって。ちょっと揶揄っただけだしさ。だから、そんなピュアな視線向けてこないで……?」
「もう気を付けとけよ?十香が本気にするからさ」
「あ、ああ。気をつけるよ」
士道が注意すると、殿町が少し冷や汗をかいて席に戻っていった。
すると、そこでスピーカーからチャイムが鳴り響いた。
「お、ホームルームか。十香、席に着いとけ」
「うむ」
「ガルーダも、ほら、鞄に」
『キュルゥ』
十香が士道に従って席に着き、ガルーダが士道のカバンの中へと収まっていく。
周囲に散らばっていたクラスメイト達も次々と着席していき、程なくして担任のタマちゃん先生が入ってきた。
「はい、みなさんおはよぉごさいます。あ、今日はみんなにお知らせがあるんでした」
と、いつもの如くホワホワした挨拶をしてからタマちゃん教諭が言って、教室がざわめく。
「ふふ、なんとねえ、このクラスに、転校生が来るのです!」
ビシッ、とポーズを決めながらタマちゃんが叫ぶ。すると教室内から、地鳴りのような声が響いた。まあ転校生といえば、学校生活でもあるかないか分からない、大きなイベントだ。実際、戦兎達や十香が来た時にも多かれ少なかれ皆が浮かれていた。
だがしかし、戦兎は首を捻る。
「(この短期間で転校生……?このクラスは十香が二ヶ月前に来たばっかだし、人数が不足しているわけでもない。なんか、変だぞ……?)」
「ん?どうしたんだよ戦兎」
「ん?ああいや、別に」
万丈に軽く応答してから、扉の方に顔を向ける。
流石に考えすぎか、と戦兎が不毛な考えを結論付けた時。
ゆっくりと扉が開き、転校生が教室に入ってくる。瞬間、教室は水を打ったように静まり返った。
姿を現したのは、一人の少女だった。この暑い中で冬服のブレザーを着込み、黒のタイツを穿いている。漆黒の髪色で、長い前髪は顔の左半分を覆い隠しており、右目しか窺い知れなかった。
しかしその少女が、十香に勝るとも劣らない魅力を備えていることは確かで、今もクラスの皆が唾液を飲み込む音が聞こえてきた。
「さ、じゃあ自己紹介をお願いしますね」
「ええ」
先生が促すと、少女は優美な仕草で頷き、チョークを手に取った。
そして黒板に、美しい字で『時崎狂三』の名を記す。
「
そして、そのよく響く声で、少女はこう続けた。
「私_______
『________ッ!?』
その一言に、士道達は心臓を鷲掴みにされたような感覚に襲われた。
心なしかその少女の視線は、士道に向けられているような気がした。
◆
天宮駐屯敷地内の一角。南関東全域の霊波情報を統括する観測室で。
「まさか………間違いないの?これは」
「残念ながら。ここの観測機の精度は、国内でも最高クラスです」
「………そうよね」
画面上に表示された数値を視線でなぞり、困惑をため息に変えて吐き出す。
画面上には、とある人物のスキャニングデータが表示されていた。否、人物というには、少し語弊があるだろう。
なぜならその数値は、対象が世界を破壊する災厄である事を記していたのだから。
「………高校に、精霊が転入?笑えないジョークね」
今日の九時頃、折紙から基地に通信が入ったのである。
自分のクラスに精霊を名乗る少女が転入してきたため、確認求む、と。
「まさか、本当だったとはね………」
「隊長?どうかしやがりましたか?」
と、そこで後ろから奇妙な単語が聞こえてくる。
そんな言葉遣いをする隊員は一人しか心当たりがない。ちらりと目をやると、予想通りに崇宮真那が立っていた。
「………ん?」
真那は画面に目をやると、忌々しげに眉をひそめた。
「これは………なるほど、やはり出やがりましたか、【ナイトメア】」
「【ナイトメア】………?」
怪訝そうに問う。すると真那が、心底忌々しげに息を吐いた。
「識別名【ナイトメア】。______私が追っている、
「最悪の、精霊………」
燎子が反芻すると、真那はその概要を簡単に説明した。
そしてその説明だけで、その呼び名の所以が知れた。
曰く_______直接その手で、一万人以上の人間を手にかけたと。
それが、人間だろうと精霊だろうと、どんなに恐ろしいことか。ことAST隊員なら、それが十分に理解できた。
「……さ、早速準備をしましょうか」
「え?」
「精霊が現れやがったんです。であれば、ぶっ殺す以外にやる事はねーです」
「そりゃあそうだけど………市民はみんな避難していないのよ?そんな中で一体____」
「心配無用。私に任せやがってください。あれは私の専門です。それに_____私には、これがあります」
言って、真那は懐からそれを取り出す。
一見すると大きい注射器にも見えるそれは、名を【リバースドライバー】という。先日の演習において、真那が使用していた____仮面ライダーの、力だ。
燎子に限らず、多くのAST隊員が疑問に思っていた事。それは、そのドライバーの存在だった。
なぜ、突如として現れた謎の存在、【仮面ライダー】の技術を、彼女が所持しているのか。
しかしそれについて詮索する事を、隊員は真那から、さらには上層部からも固く言われている。
確かにその力は、凄まじいものがある。AST隊員十人を相手取って、完封してみせたのは真那自身の常人離れした実力もあるが、そのドライバーの力もまた大きかった。
しかし燎子にはその力が______酷く、危険なものにも思えて仕方なかった。まるで、一つ間違えれば命を簡単に落としてしまうほどの。
「………まず、説明しなさい。隊長は私よ。勝手な行動は許さないわ」
真那はしばし思案を巡らせるように黙った後、小さく手を上げ、ドライバーを引っ込めた。
「了解、従います」
しかし、すぐに燎子を値踏みするような視線を向けてくる。
「でも、くれぐれも忘れねーでください。私は『
「……分かってるわよ」
燎子は面白くなさそうに顔を歪めると、真那の手を離した。
どうでしたか?
その第3章の狂三編ですが、書くのが難しい章なので、投稿が若干遅くなる可能性があります。
もし遅くなった場合は、気長に待っていただけると幸いです。
さてさて!という事で改変その一。
崇宮真那さん、仮面ライダーになりました。
おっと、そこで設定崩壊とか言って低評価を押そうとしているそこの君。少し待ちなさい。いや待ってくださいお願いします。(切実)
これが後々重要になってくるので、どうして彼女がライダーになったか、適当に考察してて下さい。
それでは次回、『第21話 悪夢はデートの誘いに微笑む』を、お楽しみに!
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